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Graduates Voice

佐久間 陽 さん
佐久間 陽 さん
2014年 博士前期課程修了
株式会社サクマ 取締役
【在籍時研究テーマ】

「溶液プロセスで形成したアモルファスSiの基礎物性と太陽電池特性の評価」

現在の仕事内容について

 JAISTを卒業後、3年間他社で就業したのち、2017年に実家の父が経営する会社に入社しました。当社は、リフォームや水道工事等の設備工事業を手掛けており、私は主に営業と経営計画立案を担当しています。営業の仕事では、お客様の要望を聞き取り、様々な機器から希望に沿ったものを選定したり、外注業者と工程の打ち合わせを行います。経営計画立案では、父である社長と協力し、人口減少・担い手不足という社会環境の中、どの事業に注力していくか、従業員にやりがいを持って働いてもらうにはどうすべきかを検討しています。
 仕事を通じてやりがいを感じるのは、お客様から感謝の言葉を聞かせてもらえる時です。お客様と接すると、「いつもサクマさんにはお世話になってます」「困ったときはいつもサクマさんが来てくれて助かります」といった声をいただきます。生活に身近な水道、電気、ガス、ガソリンなどを扱っているため、お客様に必要とされている、大切な仕事なのだなと実感することも多いです。
 今の職種は研究職ではないのですが、大平研究室で学んだ太陽電池の知識は今でも役立っています。当社は太陽光発電の設置工事も行っており、これからの再生可能エネルギーの動向に注目して事業を検討しています。仕事上、セミナーやWebで情報収集する際にも、再生可能エネルギーや太陽電池の原理について理解していることが大いに役立っていると思います。

大平研究室を選んだ理由

 私は大学時代に液体材料からCu2ZnSnS4 (CZTS)太陽電池を作製する研究を行っていました。研究を通じ、化合物よりも実績もあり評価されているシリコン(Si)に興味を持ち、液体Siを研究しているJAISTを知りました。当時、大平先生も関連研究を行っており、かつ、私自身がもともと太陽電池の研究をしていたこともあり、太陽電池を主テーマとしている大平研に入りました。

大平研究室での研究内容

 私は液体Siを使った太陽電池の基礎研究として、液体Siを焼成してできたアモルファスSi (a-Si)膜の物性評価を主にラマン分光法で行っていました。シクロペンタシラン(Si5H10)という常温で液体のSi化合物から作られるSiインクを塗布して焼成すると、大気圧下でa-Si膜が形成されます。一般的なCVDで作製したa-Siと液体Siで作製したものとで何が違うのか調べること、その知見をもとに太陽電池の発電効率向上につなげることを目的として研究していました。

研究室での思い出

 振り返ってみると、正直、あまり苦労したという意識はありません。もちろん、普段は朝から夜まで一生懸命に研究に打ち込み、実験や論文作成、学会前の発表練習などで忙しかったのですが、何かしら課題にぶつかったときにも、先生がこまめに相談に応じて指導してくださいましたし、先輩・同期・後輩も良い人ばかりで助けられることが多かった気がします。
 大平研では学会前に発表練習をしっかりと行います。聞きとりやすい話し方、相手に伝わるよう視線・所作も交えて話すやり方、話しやすいプレゼンのまとめ方など、役立つアドバイスを沢山頂き、プレゼンテーション力が格段に向上したと思います。もともと人前で話すのが苦手だった私も、今では「上手だね」と周りから言ってもらえるほどです。論文作成では、文章の癖の修正や正しい言葉使い等、わかりやすい文章を作成するための基礎を教えてもらいました。こうしたスキルは現在の仕事にも大変役に立っています。

 研究室以外でも、週末に同期とBBQをしたり、旅行に行ったり、外食に行ったりと、とても楽しい学生生活を過ごさせてもらいました。また、大平先生は運動することを推奨していたので(?)、夕方によく研究室のメンバーでテニスを楽しみました。研究の合間のいい息抜きになったと思います。他の研究室と合同で忘年会を開いたこともありました。JAISTの近くにはいい温泉地が多くあるので、そこに1泊してゆっくりと温泉を楽しみました。
 JAISTのソフトボール大会も良い思い出です。当時、大平研のメンバーと一緒に企画・運営を行いました。個人的に野球が好きだったので当日は試合を楽しみましたし、他の参加者も楽しんでくれたようだったのでとても充実感を味わえました。

学生へのメッセージ

 大平先生はとても指導熱心な先生です。頑張れば頑張った分だけ、知識も技術も学ぶことができると思います。また様々な学会や展示会にも行くので、企業や研究者の人を相手に話す良い機会に恵まれますし、他の大学や企業の話も聞けて良い経験になります。
 研究に打ち込むと同時に、同期や周囲の人々とのつながりも大切にした方がいいと思います。寮での一人暮らし、研究生活はときとして孤独との戦いになります。そんなとき、周りの人との交流が大いに支えになることは間違いありません。幸いなことに、石川は金沢や各温泉地、能登半島等観光地もたくさんあります。それらを満喫し、研究も頑張ればとても充実した大学院生活になること間違いなしです。