脳神経回路は究極の生体組織の一つです。回路を構成する細胞の厚さ数nmの細胞膜に0.1V程度の電圧信号が発生します。この信号は回路網を高速に伝播し、自律的に組織化され、並列的に処理されます。この組織化や処理の過程を理解する事は現代科学の本質的な挑戦の一つであり、さらにその先には未知の情報処理アルゴリズムの解明、病態の理解、そして究極的には人工システムとの統合という展開も期待されています。しかしながら、その挑戦には数多くの難関があります。根本的な課題の一つといして、細胞活動の時空間パターンの詳細な計測が現在の技術では不可能であるという点が挙げられます。
本研究室では、様々な原理に基づく分子センサーを作り、従来にない、生きた細胞の活動の読み取り技術を構築することを目指しています。そのために、基礎生物学・生物物理学・生理学、材料工学などをまたぐ分野横断的なアプローチを行います。