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最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功 -襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待-

JAIST pr20211126-logo-otowa.jpg pr20211126-logo-tokyo-tech.png 北陸先端科学技術大学院大学
音羽電機工業株式会社
東京工業大学

最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功
- 襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待 -

 北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域のアフサル カリクンナン研究員、マノハラン ムルガナタン講師水田 博教授の研究チームは、音羽電機工業株式会社(兵庫県尼崎市)、東京工業大学と共同で、グラフェン(炭素原子シート)を用いた超小型電界センサ素子を開発し、雷雲が生み出す大気電界(最小検出電界~67V/m)を、センサにグラフェンを使用して検出することに世界で初めて成功しました。
 本研究成果に関し、11月26日に、北陸先端科学技術大学院大学において記者発表を行いました。

<記者発表出席者>

・北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域
  水田 博 教授
  マノハラン ムルガナタン 講師
  アフサル カリクンナン 研究員

・音羽電機工業株式会社 技術本部
  圓山 武志 取締役 本部長
  工藤 剛史 部長

・東京工業大学 地球インクルーシブセンシング研究機構
  堀 敦 URA(リサーチ・アドミニストレーター)

<ポイント>

  • 超小型グラフェン電界センサで、雷雲が生み出す大気電界の検出に世界で初めて成功。
  • 雷雲内の電荷の分布を反映した大気電界のプラス・マイナス極性判定にも成功。
    複雑な雷現象のメカニズム解明と襲雷予測の精度向上に期待。
  • 既存技術に比べて大幅な小型化と低消費電力化を実現。

<研究背景と内容>

 雷の事故による世界の死者数は年間6千~2万4千人と推定され、日本では毎年数名が亡くなっています。また、雷サージ(雷による異常電圧・電流)は情報システムや生産ラインなどに甚大な影響を与えます。こうした被害を軽減するには、早期に襲雷/避難情報を提供する予測システムを開発し、人々に行動変容を促す必要があります。高精度な襲雷予測には広域かつ高密度な雷雲監視ネットワーク作りが重要ですが、そのためには電界センサの小型化と省電力化が大きな課題となっています。
 これに対して研究チームは、ナノ炭素材料のグラフェン(炭素原子が蜂の巣状の六角形結晶格子構造に配列した単原子シート)膜を検出用チャネルとした微細センサ素子を開発しました(図1参照)。このグラフェン電界センサを用いて、雷雲が生み出す大気電界の時間変化を電気的に検出することに世界で初めて成功しました。最小検出電界は約67V/mで、これは晴天時の地表付近における大気電界レベルです。さらにこの電界センサでは、大気電界の極性の判別も可能です(図2参照)。これにより、雷雲内部の電荷分布の推定が容易になり、複雑な雷現象のメカニズム解明に大きく寄与するものと予想されます。
 このグラフェンセンサをモジュール化して、屋外で雷雨時に動作試験を行ったところ(図3参照)、20km以上離れた地点での落雷を電界ピーク信号として検出することに成功しました。信号検出のタイミングは、既存のフィールドミル型電界検出装置(重量~1kg, 要外部電源)と精度よく一致しています。今回の電界センサは、従来のフィールドミル装置と比べて、電界検出部の寸法で約2万分の1の小型化(ミルの直径:170mm ⇒ グラフェンチャネル寸法:10mm)と、低消費電力化(太陽電池駆動)を実現しています。さらに、測定された電界の時間発展データを特異スペクトル変換法で解析することで、5km圏内の落雷を32分前に予測できることも見出しています。これらの新技術を統合すれば、既存技術では困難だった多数のセンサ素子を広域に配置した落雷検出ネットワークの構築が容易となり、高精度な襲雷予測の実現に向けた大きな前進が期待できます。

 本成果は、第82回応用物理学会秋季学術講演会で発表されました。
 ・題名:Enhancing Electric Field Sensitivity in Graphene Devices by hBN Encapsulation(11a-N306-9)
 ・題名:雷予測精度向上のための特異スペクトル変換法を用いた電界波形解析(9p-Z22-10)

 本成果は、科学技術振興機構(JST)による以下の研究助成によって得られました。
 ・事業名:センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム
  研究課題名:「『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点」
  研究代表者:サテライト拠点代表 水田 博(北陸先端科学技術大学院大学 教授)
  研究開発期間:平成29年度~令和3年度
 ・事業名:研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト JPMJTM20DS
  研究課題名:「襲雷予測システムのためのグラフェン超高感度電界センサの開発」
  研究代表者:マノハラン ムルガナタン(北陸先端科学技術大学院大学 講師)
  研究開発期間:令和2年度~令和3年度

pr20211126-1.png図1 グラフェン雷センサイメージ図

pr20211126-2.png図2 (a)開発したセンサの構造, (b)電界検出感度特性, (c)電界極性判定

pr20211126-3.png図3 (a)フィールドテストの様子, (b)グラフェン電界センサの検出信号と既存のフィールドミル電界計の検出信号の比較,
(c)検出地点から10km以内での雷発生状況

令和3年11月26日

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