AI・HPC基盤「HAKUSAN(はくさん)」の運用を開始 ―材料探索からAI for Scienceまで、JAISTの研究を加速―
AI・HPC基盤「HAKUSAN(はくさん)」の運用を開始
―材料探索からAI for Scienceまで、JAISTの研究を加速―
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、AI研究および高性能計算(HPC)を支える新たな計算基盤「HAKUSAN」を整備し、2026年3月から運用を開始しました。
本システムは、xFusion製のラックスケール液冷サーバー「FusionPoD」を採用し、高密度1U液冷サーバーノード「DH120E V8」124台を高速インターコネクトネットワーク「InfiniBand NDR」で接続した大規模計算システムです。理論演算性能は2.03PFLOPS(最大で毎秒2,030兆回の浮動小数点演算)、CPUコア数は31,744コア、総メモリ容量は186TiBを有し、大規模な科学技術計算やAI研究に対応する高性能な計算環境を提供します。また、本システムの採用するラックスケール液冷技術により、キャビネット全体を一体的に冷却することで、高性能CPUを高密度に集積しながら優れた電力効率を実現しています。従来の空冷方式では困難な高集積計算環境を支えるとともに、クイックコネクタによる無停止に近い保守性を備え、持続可能で信頼性の高い研究計算基盤を提供します。
【寺野稔学長コメント】
「HPC基盤は、単なる大型の計算機ではなく、これまで見ることのできなかった現象を明らかにし、新たな科学的発見を生み出すための強力な研究基盤です。JAISTではこれまでも、材料科学をはじめとする多くの研究分野で、高性能計算とデータ科学を組み合わせた成果を生み出してきました。HAKUSANでは、これにAIを融合し、計算科学、データ科学、AI、実験科学をつなぐ最先端領域での研究を加速します。HAKUSANを、研究分野を越え、大学と産業界をつなぐ、JAISTの次世代研究基盤として発展させていきます。」

HAKUSANの外観
【導入の背景】
JAISTでは、研究活動を支える計算基盤として、高性能計算システムをおおむね5年ごとに更新し、研究ニーズや技術動向に応じた計算環境の整備を進めています。
近年は、生成AIをはじめとする人工知能技術の急速な発展や、大規模データ解析・数値シミュレーションの高度化に伴い、研究活動に求められる計算資源はますます増大しています。
こうした状況を踏まえ、JAISTでは旧システム「KAGAYAKI」の後継として、新AI・HPC基盤「HAKUSAN」を導入しました。本システムは、高性能な計算環境と省エネルギー性を両立し、JAISTにおけるAI研究や科学技術計算をはじめとする幅広い研究活動を支える基盤として運用します。
【HAKUSANの主な特長】
1. AI・科学技術計算を支える高性能計算基盤
理論演算性能2.03PFLOPS、31,744CPUコア、総メモリ容量186TiBを備えています。124台の計算サーバーを高速インターコネクト「InfiniBand NDR」で接続し、大規模並列計算やAI研究に対応する高性能な計算環境を実現しています。
2. ラックスケール液冷による高密度・高効率なシステム設計
xFusionのラックスケール液冷サーバー「FusionPoD」を採用し、最新のIntel Xeon 6プロセッサを高密度に実現しています。優れた冷却性能により高い計算性能とエネルギー効率を両立し、持続可能な研究計算基盤の構築に貢献します。
3. 高い保守性と安定運用
ラックスケール液冷技術により安定した冷却環境を実現するとともに、クイックコネクタと連動した遮断機構により安全かつ迅速なノード交換を可能にしています。また、ハードウェア障害の検知や遠隔監視機能を備え、高い可用性と安定したシステム運用を支援します。
【HAKUSANの活用】
JAISTではこれまで、HPC基盤を活用し、原子・分子レベルの現象解明や新材料探索など、計算科学を基盤とした先端研究を推進してきました。
これまでに、網羅的な第一原理計算によって、多数の元素から構成されるハイエントロピー合金の中に従来知られていなかった「隠れた規則構造」を発見したほか、高性能蓄電材料の優れた充電特性を生み出すメカニズムの解明や、従来の計算手法では精密な解析が困難であった分子シミュレーション上の課題の解決など、多くの成果を上げてきました。
新たに導入する「HAKUSAN」は、こうした研究をさらに発展させる次世代の計算研究基盤です。多数の計算ノードを高速ネットワークで接続した大規模並列計算環境により、原子・分子・材料の高精度シミュレーションや大規模探索計算を加速するとともに、データ科学と計算科学を融合した新たな材料探索や科学的発見を支援します。さらに、AI研究を支える計算基盤として、科学データ解析やAIを活用した新材料探索、未知の現象や法則の発見を目指す「AI for Science」の研究にも活用します。
JAISTはHAKUSANを中核的な研究基盤として、計算科学、データ科学、AI、実験科学を有機的に結び付け、幅広い分野における研究と教育の高度化を推進していきます。
【システム名称・デザイン】
「HAKUSAN」は、JAISTが立地する石川県を代表する霊峰白山に由来しています。
キャビネット側面には、旧システム「KAGAYAKI」のモチーフである北陸新幹線「かがやき」と白山を描きました。役目を終えた「KAGAYAKI」を「HAKUSAN」が見届ける構図を通じて、JAISTの研究基盤を継承し、未来へ発展させていく姿勢を表現しています。
【システム全体構成図】

令和8年7月24日
