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令和元年度学位記授与式を挙行

 3月25日(水)、令和元年度学位記授与式が本学小ホールにおいて挙行され、博士前期課程252名、博士後期課程20名の計272名に学位記が授与されました。

修了者内訳

博士前期課程 博士後期課程
知識科学研究科 2 1
情報科学研究科 0 3
マテリアルサイエンス研究科 0 0
先端科学技術研究科 知識科学系 74 4
情報科学系 96 3
マテリアルサイエンス系 72 9
融合科学共同専攻 8 -
合計 252 20
info20200325-1.jpg   学位記を受取る学生
info20200325-2.jpg優秀修了者表彰
info20200325-3.jpg   告辞を述べる浅野学長
info20200325-4.jpg修了者代表謝辞

学長告辞

 卒業生諸君、おめでとうございます。ご家族や友人、教員の皆様、おめでとうございます。この良き日を迎えることができて幸いです。修了生諸君はJAISTの厳しい修了要件を満たされて、今日学位をえられたわけで、ぜひ自慢してほしいと思います。諸君を支えて来られたご家族・ご友人の皆様も喜んでおられると思います。今年は新型コロナウィルスの影響で学位記授与式も規模を縮小して実施しなければならなくなったことは残念でなりません。出席を予定されていたご家族、ご友人の皆様には申し訳ありません。

 皆さんご承知のように、今世界は激動の時代にあります。特に求められる才能が大きく変わろうとしています。科学技術の分野では、今までは一つの専門分野に精通していることが要求されてきましたが、これからの社会では変化に追随できる柔軟な考え方をもつことが望まれています。変化に追随できる才能を身に着けるにはどうすればいいのでしょうか?私は自信をもつことだと思います。自分の能力にゆるぎない自信が持てれば、予期しない変化にも追随できるのではないでしょうか?

 では、どうすれば自信をもつことができるのでしょうか?「分かりました.これからは自信をもつことにします」というような簡単なことではありません。自信とは、過去の自分の努力を考えて、あの時は頑張れた。だから、今度も頑張れるだろうと思えることが自信につながるのだと思います。皆さんはJAISTの厳しい修了要件をすべてクリアして、今日、学位記授与式に参加しています。他の大学院であればレポートだけで単位を取ることもできたでしょう。JAISTではどの講義科目でも筆記試験を課しているので。要求された単位をそろえることは難しかったはずです。多くの学生がJAISTの共用のスペースを使って互いに励ましあいながら勉強してきたことが今日につながったのではないかと思います。特に、一研究科になってからは、他の学系の講義科目を取りやすくなりました。今までは学系が違えば話をする機会も少なかったと思いますが、一研究科のおかげで違う学系の学生と話をする機会も多くなったと思います。それが皆さんの考え方にも影響を与え、知らず知らずのうちに、今までより広い観点から修士・博士の研究ができたのではないかと思います。

 一研究科を始めたとき、指導教員と学生の関係がどうなるのかという不安もありました。今までの考え方だと、指導教員は研究を指導するだけでなく、あらゆることについて自分の学生を指導するものだと思い込んでいたところがあります。通常の大学だと,学部の4年間を経てから大学院に進学するので、先生の方は学生を1年生のときから知っているわけです。人間の記憶では最初に出会ったときの印象が強いので、先生は学生の若かったときのことを強烈に覚えているものです。その記憶が指導教員と指導学生を親子のように考えてしまうことにつながっているのだと思います。私が一研究科で改革したかったことは、この関係の改善です。私はオープンキャンパスにくる学生と話をしていて、今の学生は昔よりずっと多くのことを考えていると思っています。こんな研究がしたいという強い意志をもった学生と話をしていると、学生が自分のやりたい研究のために一番適切な助言をくれそうな先生を選んで指導をしてもらうこともあるのではないかと思うようになりました。そのような学生にとって指導教員は研究面での指導をお願いしただけで、自分の勉強の進め方、あるいは生き方全般にわたって指導をお願いしたわけではありません。当然のことながら、指導教員と異なる学位を目指して勉強するということも考えられるな、と思いました。近い将来に、そのような勇ましい学生が出ればいいなと秘かに期待していたのですが、何と一研究科の最初の年からそのような学生が出現しました。このことからも時代は進んでいるのだと感じています。いつまでも「近頃の若者はなっていない」などと繰り返すのではなく、若者の真の姿を見ていかなくてはいけないなと強く感じています。また、そういう学生が学部のない大学院だからこそ出現したのではないかとも感じています。学部時代のことを知らずに、一人の大人として学生と接することが重要なのだと思います。

 これから修了生諸君にはますます活躍してほしいのですが、JAISTの教育の中心にもなっている副テーマのことに言及しておきたいと思います。最近では副テーマを課す大学も増えてきましたが、ほぼ30年前に本学が開学した時点では他にないユニークな試みでした。複眼的な視点をもってほしいという願いからできた制度です。修士あるいは博士の研究を始めて、研究が楽しくなってくると、一つのことに集中したいという思いが強くなります。そこを敢えて副テーマを課しているのは、どんなときにも心に余裕をもっていてほしいからです。卒業後10年経ったところでアンケート調査を行っていますが、その結果を見ると、在学中には副テーマの重要性に気が付かなかったが、10年経過して、役に立ったという意見が多く寄せられています。副テーマというポケットをもう一つ持っておくと知らず知らずのうちに見方が広くなっているのです。JAISTを卒業しても、そのことを忘れず、常に副テーマを探してほしいと思います。常に副テーマは何かを模索しておけば、やがて訪れる変化にも対応しやすくなると思います。

 体を鍛えることも大切です。先日の金沢マラソンにノーベル賞受賞者である山中先生が参加されていましたが、何と3時間半で走られたそうです。時速に直すと平均毎時12キロという私には2キロも走れないスピードです。何が言いたいかというと、山中先生も研究ばかりしていたわけではなく、マラソンのトレーニングもしていたということです。それが心の余裕に繋がっているのではないかと思います。

 私も学長に就任したとき以来、自分の体を鍛えることに注力してきました。以前なら、研究の疲れを取るために一日中自宅で何もしないで過ごすこともありましたが、考え方を変えて、疲れたときほど訓練が必要だということで、スポーツジムに通うようにしました。私はヨガとかエアロビのように集団でする活動には及び腰ですが、ランニングマシーンの上でのランニングが気に入っていました。たった40分程度のランニングでも汗をかくことが疲労を取るのだと実感しました。最近、クールジャパンというNHKの番組でトレーニングする女性の活動を紹介していました。なぜ体を鍛えるのですか、との問いに、自分との闘いに勝ちたいとの答えに感激しました。自分との闘いに勝つことができたら、世の中怖いものがなくなり、仕事でも積極的に取り組むことができるようになったという感想もありました。さらには転職も決意できたという勇ましい感想もありました。外国人の参加者からは、日本の女性は男性に頼らずに生きて行こうと考えるようになった証なのではないかという感想が寄せられましたが、私も同感です。

 本日、皆さんはJAISTから学位を取得して、さらなる高みを目指して巣立って行かれます。新たな社会のリーダーとしての資格を得たということを自覚してもらって、諸君のすべてが、今後の社会や会社で偉大なリーダーとなり、最高級の発展へと導いてくれることを願って私のはなむけのことばとします。

令和2年3月25日

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