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トランスフォーマティブ知識経営研究領域の吉岡准教授の記事が漁協広報誌「瀬音第17号」に掲載されました

 トランスフォーマティブ知識経営研究領域の吉岡秀和准教授らの研究グループによる執筆記事「斐伊川:自然と人間の共生を学究できる「知」の拠点」が、島根県雲南市の斐伊川漁業協同組合発行の年次広報誌「瀬音」に掲載されました。

■掲載誌
 瀬音 (斐伊川漁業協同組合広報誌) 第17号, pp.6-7. 2025年4月発行

■研究者、執筆者
 吉岡 秀和、濱上 邦彦(岩手大学)、辻村 元男(同志社大学)、吉岡 有美(岐阜大学)

■記事タイトル
 斐伊川:自然と人間の共生を学究できる「知」の拠点

■研究概要および掲載にあたってのコメント
 吉岡准教授らは2014年度から今日まで、一級河川島根県斐伊川(ひいかわ)や一級河川石川県手取川(てどりがわ)等の河川を研究フィールドとして、我が国の主要な内水面水産資源であるアユ(学名:Plecoglossus altivelis altivelis)の資源動態、ならびにアユを取り巻く水環境について、調査・研究を進めてきました(写真)。
 アユは「清流の女王」(きれいな水を好む美しい魚である)、「年魚」(通常、1年で一生を終える)、「香魚」(キュウリのような独特の香りがする)という複数の名を持ち、日本人に愛されてきました。しかしながら、生物を対象として野外で行う研究の常として、その動態については未解明の部分が多く残っています。また、河川ごとにアユの成長や個体数が異なることも、研究の難しいところであり、同時に面白いところでもあります。アユがもたらす社会・経済的な効果についても不確実な部分が多いのが現状です。また、いま現代社会が強く求められているサスティナビリティの観点からは、「どうすれば自然と人間の共生を実現することができるのか」という問いに対して回答できるような研究が待ち望まれています。アユについては、例えば「資源としてのアユが枯渇しないように内水面漁業を持続的に営むことができるか」という問いが浮かびます。
 今回出版された瀬音17号では、斐伊川漁業協同組合と連携した調査によって得られた成果を含む、いくつかの成果が公開されています。仔細については、ぜひとも本ページにある記事を御覧いただきたいと思いますが、例えば、アユの成長の様子、「斐伊川のアユを獲る人たちの行動理論」構築のための基礎的な研究成果、斐伊川水系最大のダムである尾原ダムの下流における土砂還元を念頭においた水理実験成果について述べられています。
 野外で調査に従事しながら屋内で数理・数値解析に取り組む、すなわち内業と外業を両立することは物凄く研究エフォートを要します。しかし、理論と応用を繋ぐためには必要不可欠であるとも考えられます。個人研究者のみでは内業と外業の両立に限界がありますが、様々な研究者が一元となって取り組むことで、この限界を押し上げることができることでしょう。

 瀬音第17号以前にも吉岡准教授による複数の執筆記事が掲載されています。こちらから無料で閲覧可能ですので、ぜひご覧ください。

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写真:斐伊川のアユ(2024年8月25日.吉岡秀和が撮影)

令和7年5月8日

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