研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。生命機能工学領域の平塚准教授らの共同研究がNEDO「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に採択
生命機能工学領域の平塚祐一准教授が参画する研究課題が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に採択されました。
NEDOは、2015年に策定された政府の「ロボット新戦略」を受け、2015年度から「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」を推進しています。このプロジェクトは、現在のロボット関連技術の延長上に留まらない、人間の能力を超えることを狙った革新的な要素技術をターゲットとし、これまで人工知能・ロボットの導入を考えもつかなかった未開拓の分野で、新しい需要を創出することを狙っています。
NEDOは、次世代の人工知能・ロボットの研究開発強化に向けて、「次世代人工知能技術分野」および「革新的ロボット要素技術分野」において、今まで実現されていない革新的な要素技術をターゲットに公募を実施し、今回、13テーマを採択しました。
■採択期間
平成28年度~平成29年度(継続の可能性あり)
■研究課題
「生体分子を用いたロボットの研究開発」
■共同研究機関
国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
国立大学法人東京工業大学
国立大学法人北海道大学
詳しくはNEDOホームページをご覧下さい。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100599.html
平成28年7月19日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2016/07/19-1.html学生の永原さんが第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞

学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が、第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞しました。
フロンティア太陽電池セミナーは、産官学の様々な分野で太陽電池研究に取り組む研究者が集まり、シリコンや化合物など無機系、有機薄膜系、ペロブスカイト型、さらには量子ドット型など新しい太陽電池も含み、広く太陽電池の開発研究および関連する基盤技術を題材に取り上げ、様々な視点から徹底的に議論し、研究者間での連携を深めることで、本研究分野の飛躍的な発展の促進を図るものです。
第6回フロンティア太陽電池セミナーは令和6年12月12日~13日にかけて、愛媛県(松山市)にて開催されました。
※参考:第6回フロンティア太陽電池セミナー
■受賞年月日
令和6年12月13日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度および浸水試験
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。また、ベースの端部にOリングをはめ込み、ポリカーボネート製カバーとフレーム状のクランプで押さえることにより水分浸入の抑止を試みた。この構造を持つ小型モジュールに対し浸水試験を行った結果、水分浸入がみられなかったことから、OリングとAlフレームは水分浸入を防ぐ構造であるということが示された。
■受賞にあたって一言
優秀ポスター賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平圭介教授をはじめ多くのサポートと貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和7年1月31日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/31-2.html学生の永原さんが第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞
学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞しました。
日本太陽光発電学会は、太陽光発電に関連する学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、将来の脱炭素社会の実現とその発展に寄与することを目的としています。
同シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として開催されています。
Innovative PV奨励賞は、同シンポジウムにおいて、太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同会若手会員に対し授与されるものです。
※参考:日本太陽光発電学会
■受賞年月日
令和6年8月28日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度評価
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。
■受賞にあたって一言
奨励賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平教授をはじめ多くの方からサポートや貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和6年9月24日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/09/24-2.htmlバイオ機能医工学研究領域の廣瀬講師がCHEMINAS 49において優秀研究賞を受賞
バイオ機能医工学研究領域の廣瀬大亮講師が、化学とマイクロ・ナノシステム学会第49回研究会(CHEMINAS 49)において、優秀研究賞を受賞しました。
一般社団法人化学とマイクロ・ナノシステム学会は、化学・生命科学・医学などの物質や生命現象を対象とする学問分野と、マイクロ・ナノスケールの材料・加工、計測・制御、システム構築などを対象とする工学技術を融合することで、新たな学術領域・技術分野を開拓し、それらを応用した新規産業の創出を目指しています。
CHEMINAS 49は、令和6年6月1日~2日にかけて東京農工大学小金井キャンパスにて開催され、研究の質とフラッシュプレゼンテーションを含む発表の質の両面において、優秀な研究発表を行った正会員または賛助会員の発表者、及びその連名者全員に優秀研究賞が授与されました。
※参考:CHEMINAS 49
■受賞年月日
令和6年6月2日
■研究題目、論文タイトル等
酸化物薄膜トランジスタ型核酸センサーの機械学習を用いた検出判定
■研究者、著者
廣瀬大亮、ZHAO Yunshu(博士前期課程2年)、高村禅
■受賞対象となった研究の内容
本研究室で研究を進めている酸化物薄膜トランジスタ(ox-TFT)型センサーは、小型、高感度、リアルタイム検出可能と、核酸検出の極めて有力なツールとなる可能性を有している。しかしながら、検体のわずかな液性変化で検出判定が左右されるという打たれ弱さがあった。そこで我々は、機械学習を用いることでより精度の高いDNAの検出判定が可能になるのではないかと考えた。500以上の実測データを用いて、主成分分析による測定データの次元圧縮ならびに教師あり学習による検出判定を行ったところ、高精度での核酸の検出判定ができることがわかった。
・発表ポスターより
背景
作製した酸化物薄膜トランジスタ型センサーと機械学習による検定結果
■受賞にあたって一言
この度は化学とマイクロ・ナノシステム学会第49回研究会において優秀研究賞を受賞でき、大変光栄です。講師就任後、初の発表でしたが、気負うことなくこれまでの成果をまとめることができたのが、吉と出たかと思っています。材料科学と情報科学を組み合わせることで、魅力的な研究となったと実感しております。高村禅教授をはじめ、研究室の皆さまより様々なサポートをいただいたことに深く感謝します。


令和6年8月22日
触媒シーズ創出に向けた自動特徴量設計技術を開発 ~事前知識なしで未知材料の機能を高精度に予測~
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北陸先端科学技術 北海道大学 科学技術振興機構 |
触媒シーズ創出に向けた自動特徴量設計技術を開発
~事前知識なしで未知材料の機能を高精度に予測~
ポイント
- 機械学習を用いた材料の機能予測において、経験的な側面を排除した特徴量設計技術を開発
- 事前知識を必要とせず、様々な触媒系のスモールデータに対して圧倒的な予測精度
- 機械学習を用いた材料探索の裾野を大きく広げ、材料シーズ創出を飛躍的に効率化
北陸先端科学技術大学院大学 物質化学フロンティア研究領域の谷池 俊明教授らは、北海道大学大学院理学研究院の髙橋 啓介教授らと共同で、機械学習を用いた材料の機能予測において、事前知識[注1]を必要とすることなく高精度な予測を実現する、特徴量設計技術を開発しました。 最近、AIやその他の機械学習技術を利用して、触媒などの実用材料に関する研究開発を加速させる取り組みが注目されています。これには、機械を訓練するためのデータと、材料を記述し機能を予測するための変数(記述子)が必要です。中でも、未知材料の機能を高精度に予測するには、機能に影響する因子を効率的かつ網羅的に取り入れた、材料記述子[注2]の存在が必要不可欠です。従来、この記述子は、対象に関する高度な専門知識(事前知識)に基づいて研究者が手ずから設計してきました。しかし、これは裏を返せば、真新しい、ないしは、非常に複雑などの事由により、知識の蓄積が十分でない対象に対しては、本来最も望まれるにも関わらず、機械学習の活用には大きな制限がありました。 本研究では、対象に対する事前知識を一切必要とせず、数十点程度の訓練データに対して機能する汎用的な特徴量設計技術を開発しました。これは、考え得る大量の記述子候補、すなわち仮説を生成し、目的にかなった記述子を機械に選ばせる、いわば仮説スクリーニング技術です。本研究では、この開発技術が、対象とする触媒反応によらず、従来技術を圧倒する予測精度を与えることや、ハイスループット実験[注3]と再帰的に組み合わせることで、膨大な候補材料から多様なシーズをピンポイントで見つけられることを示しました。本研究の成果は、機械学習を用いた材料探索の裾野を大きく拡大し、材料シーズ創出の飛躍的な効率化に役立つことが期待されます。 本研究成果は、2024年1月12日10時(英国時間)に英国の科学誌「Communications Chemistry」のオンライン版で公開されました。 本研究は、科学技術振興機構(JST)「未来社会創造事業 探索加速型(No.JPMJMI22G4)」、「戦略的創造研究推進事業 CREST(No.JPMJCR17P2)」の支援を受けたものです。 |
【研究の背景と経緯】
従来、自然科学研究は、個々の研究者の洞察に基づく仮説検証に導かれてきました。しかし、データ駆動型アプローチの隆盛により、このパラダイムは変化しつつあり、触媒を含む様々な材料分野で成功を収め始めています。このような背景の中、効果的な機械学習に適した、十分な規模を備えた材料データの欠如が大きな課題となっています。データの限界は、精巧な機械学習モデルの応用を困難にし、それでも高精度な予測を得るためには、材料の本質を捉えた記述子の存在が必要不可欠です。しかし、このような記述子設計は、関連要因を網羅するために、対象材料の高度な事前知識を必要とし、一般的に大変困難です。何より、未知の領域に踏み込むためにその事前知識が必要となることは論理的に矛盾しており、この記述子設計の経験的な側面は、データ駆動型アプローチの適用対象を、比較的良く知られた材料系に限定せざるを得ない主要因となってきました。
【研究の内容】
今回、本研究グループは、対象材料の事前知識を必要とせず、効果的な記述子を自動的に設計可能な汎用技術を開発しました。開発技術は、材料データが小規模であることを前提とし、元素などに関する一般的な物理量から演算を通して大量の記述子候補を生成し、目的に関連する記述子を機械に選択させる技術です。記述子候補を、材料の機能を説明し得る"仮説"と捉えると、開発技術は、コンピュータ上で大量の仮説を生成し重要な仮説を抽出する、いわば、仮説スクリーニング技術です。本研究では、メタンの酸化カップリング、エタノールのブタジエンへの転換、三元触媒のライトオフ温度という全く異なる対象に対して、開発技術が、触媒組成を記述子とする従来法と比較して、はるかに優れた予測精度を与えることを明らかにしました(図1)。さらに、ハイスループット実験と当該技術を組み合わせて用いる能動学習[注4]を通じて、機械が触媒設計を捉える認識の精度と汎化能力を改善していき(図2)、最終的に、類似性の低い多様な高性能触媒を、83%もの高精度[注5]でピンポイント予測することに成功しました。
このような成功の裏には、谷池教授らのグループが開発したハイスループット実験技術と、これによって創出した高品質な触媒データの存在が不可欠でした。
図1 開発技術を用いた触媒性能の予測。(上部)開発技術が異なる触媒反応に対して高精度な回帰を与えること、(下部)従来技術(元素組成のみ、元素組成+特徴量選択、特徴量付与のみ)と比較して極めて高い精度を与えることが示されています。1~3次は合成特徴量の次数を指し、次数が増加するほど、より複雑な特徴量をより大量に生成します。 |
図2 能動学習を用いた機械の改善。汎性を有さないモデル(対立仮説)の予測精度は能動学習に伴い悪化するが、汎性を有するモデル(真の仮説)の予測精度は悪化しない。 |
【今後の展開】
開発技術は汎用性が高く、触媒に限らず、訓練データを差し替えるだけで様々な材料対象へ即座に展開可能です。本研究グループは、開発技術とハイスループット実験、計画的なサンプリングを組み合わせて用いることで、数十億種もの材料を含むような極めて広大な空間から、事前知識や仮定を一切必要とすることなく、効率的に材料シーズを発見することができるようになると考えています。今後は、開発技術をソフトウェア化し、広く社会実装していく予定です。
【参考図】
自動特徴量設計技術: AIや機械学習を用いた材料機能の予測において、材料機能を説明し得る材料の特徴、すなわち材料記述子の質は機械学習の精度に直結します。今回開発した汎用技術は、材料記述子の設計を自動化・非専任化する技術です。対象の事前知識を必要とせず、数十点のデータから高精度な学習を可能にします。 |
【用語解説】
特定材料系の構造や機能などに関する専門知識を指す。従来のデータ駆動型アプローチでは、事前知識に基づき材料記述子を設計することが専らであった。よって、事前知識が十分に存在しない、複雑ないし未知の材料系では材料記述子の設計が困難であった。
組成や構造、物理特性といった材料を特徴付ける量の中で、目的とする材料機能と関連するものを材料記述子と呼ぶ。材料機能が単一の材料記述子によって説明できることは稀である。一方、材料記述子の数を増やすほど規模の大きなデータが求められるため、データが小さくなりがちな材料分野においては、機能を十全に説明可能な最小数の記述子を入手することが肝要である。
自動化・並列化・効率化などの手段に基づき単位時間当たりの実験数を飛躍的に増大させた実験を指す。材料分野では、研究者間にデータ取得・報告に関する統一性が存在しないことがほとんどであり、均質なデータを効率的に生成できるハイスループット実験は、データ駆動型アプローチと親和性が高い。
データを追加し繰り返し学習させることで機械の精度や汎化能力を高める方法を指す。
予測した触媒(36種)の内、エタンとエチレンの合計収率が15%以上を達成した触媒(30種)の比率を示す。
【論文情報】
掲載誌 | Communications Chemistry |
論文タイトル | "Automatic feature engineering for catalyst design using small data without prior knowledge of target catalysis" (対象の事前知識を必要としない触媒設計のための自動特徴量設計技術) |
著者 | Toshiaki Taniike*、Aya Fujiwara、Sunao Nakanowatari、Fernando García-Escobar、Keisuke Takahashi |
DOI | 10.1038/s42004-023-01086-y |
令和6年1月15日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2024/01/15-1.htmlMoS2ナノリボンのエッジが示す特異な力学特性の観測に成功

MoS2ナノリボンのエッジが示す特異な力学特性の観測に成功
ポイント
- 雷、加速度、ガス、臭気などの環境電磁界を計測するセンサーの開発に必要な要素技術として、機械共振器がある。
- ナノスケールの超薄型機械共振器として期待されている、単層2硫化モリブデン(MoS2)・ナノリボンのヤング率測定に成功した。
- リボン幅が3nm以下になると、ヤング率がリボン幅に反比例して増加する特異な性質を発見した。
- リボンのエッジ部分における原子配列の座屈がエッジの強度を高める要因であることを、計算科学手法を用いて解明した。
北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)ナノマテリアル・デバイス研究領域の大島義文教授は、サスティナブルイノベーション研究領域の前園涼教授、本郷研太准教授、鄭州大学物理学院の刘春萌講師、張家奇講師らと、独自に開発した顕微メカニクス計測法を用いて、リボン状になった単層2硫化モリブデン(MoS2)膜の力学性質を調べ、リボンのエッジ部分の強度が、リボンの内部より高いことを明らかにした。 単層MoS2ナノリボンは、ナノスケールの超薄型機械共振器への応用が期待されているが、その力学性質の解明が課題となっている。ナノリボンの力学性質について、そのエッジ部分の影響が予想されており、第一原理計算による予測値は報告されているが、明確な結論が得られていない。本研究では、世界唯一の手法である「顕微メカニクス計測法」を用いて、単層MoS2ナノリボンの原子配列を観察しながら、そのばね定数を測定することに成功した。解析の結果、エッジがアームチェア構造である単層MoS2ナノリボンのリボン幅が3nm以下になると、ヤング率が増加することを発見した。リボン幅の減少とともにエッジ構造の物性への寄与が大きくなるため、この結果は、エッジ強度が内部に比べて高いことを示す。 このエッジ構造を第一原理計算で調べたところ、エッジにおいてモリブデン(Mo)原子が座屈しており、硫黄(S)原子へ電荷が移動していることが示唆された。このことから、両原子間に働くクーロン引力の増加が、エッジ強度を高めることに寄与したと説明できる。 |
【研究の背景】
シリコンをベースとした半導体デバイスを凌駕する新奇ナノデバイスの開発、あるいは、加速度、ガス、雷などの環境電磁場を測定するセンサーの開発が精力的に行われている。このような開発に必要な要素技術として、機械共振器[*1]がある。従来、高い剛性を持ち、かつ、高品位な結晶が得られることから水晶が機械共振器として用いられてきたが、近年、ナノスケールの超薄型機械共振器が求められており、その有力候補として単層2硫化モリブデン(MoS2)のナノリボン(ナノメートルサイズの幅に切り出した帯状物質)が挙げられている。しかし、単層MoS2ナノリボンの力学性質は、明らかになっていない。その理由として、物質の力学特性を理解するためには、力学的応答を測定すると同時に材料の結晶構造や形状を観察する必要があるが、そのような観察手法が確立されていないことが挙げられる。
従来手法では、原子配列を直接観察できる透過型電子顕微鏡(TEM)にシリコン製カンチレバーを組み込んだ装置を用いて、カンチレバーの曲がりから測定対象材料に加えた力を求め、それによって生じた変位をTEM像で得ることで、ヤング率(変形しやすさ)を推量している。しかし、この測定法は、個体差があるカンチレバーのばね定数を正確に知る必要があり、かつ、サブオングストローム(1オングストローム(1メートルの100億分の1)より短い長さのスケール)の精度で変位を求める必要があるため、定量性が十分でないと指摘されている。
【研究の内容】
大島教授らの研究グループは、2021年、TEMホルダーに細長い水晶振動子(長辺振動水晶振動子(LER)[*2])を組み込んで、原子スケール物質の原子配列とその機械的強度の関係を明らかにする「顕微メカニクス計測法」[*3]を世界で初めて開発した。この手法では、水晶振動子の共振周波数が、物質との接触による相互作用を感じることで変化する性質を利用する。共振周波数の変化量は物質の等価バネ定数に対応しており、その変化量を精密計測すればナノスケール/原子スケールの物質の力学特性を精緻に解析できる。水晶振動子の振動振幅は27 pm(水素原子半径の約半分)と微小なため、TEMの原子像がぼやけることはない。この手法は、上述した従来手法の問題点を克服するものであり、結果として高精度測定を実現した。
本研究では、この顕微メカニクス計測法を用いて、単層MoS2ナノリボンの力学性質を測定した。特に、アームチェア構造のエッジを持つMoS2ナノリボンに着眼し、そのヤング率の幅依存性について調べた。
具体的には、単層MoS2ナノリボンは、MoS2多層膜の端にタングステン(W)チップを接触させ、最外層のMoS2層を剥離することで作製した(図1)。図2に示す2枚は、それぞれ、同じ単層MoS2ナノリボンを断面から観察したTEM像(2-1)と平面から観察したTEM像(2-2)であり、単層MoS2ナノリボンが、MoS2多層膜とWチップ間に担持した状態にあることが確認できる(図3のイラストを参照)。また、エッジ構造は、平面から観察したTEM像のフーリエパターンから判定でき、アームチェア構造であることが分かった。この平面から観察したTEM像から、ナノリボンの幅と長さを測定し、それに対応する等価ばね定数をLERの周波数変化量から求めることで、このナノリボンのヤング率を得た。図3右側のグラフは、異なるリボン幅に対するヤング率をプロットした結果である。
同グラフから、リボン幅が3 nm以上では、ヤング率は166 GPa前後でほぼ一定であり、一方、リボン幅が2.4 nmから1.1 nmに減少すると、ヤング率は179 GPaから215 GPaに増加することがわかった。リボン幅の減少とともに物性へのエッジ構造の寄与が大きくなることを考慮すると、この結果は、エッジ強度が内部に比べて高いことを示す。
さらに、このアームチェア構造を第一原理計算で調べ、アームチェア・エッジにおいてモリブデン(Mo)原子が座屈し、硫黄(S)原子へ電荷が移動しているという結果を得た。このことから、両原子間に働くクーロン引力が増加することによりエッジ強度が高くなったと説明できた。
本研究成果は、2023年9月11日に科学雑誌「Advanced Science」誌のオンライン版で公開された。
【今後の展望】
現在、雷、加速度、ガス、臭気などの環境電磁界を計測するセンサーの開発が精力的に行われている。このようなセンサーの開発に必要な要素技術の一つが機械振動子である。本研究の成果は、ナノスケールの超薄型機械的共振器の設計を可能にする。近い将来、これを用いたナノセンサーがスマートフォンや腕時計などに組み込まれ、個人がスマートフォンで環境をモニタリングしたり、匂いや味などの情報を数値としてとらえ、自由に伝えることができる可能性がある。
図1.MoS2多層膜の端にタングステン(W)チップを接触し、最外層の単層MoS2膜を剥離する過程を示したイラスト
図2.同じ単層MoS2ナノリボンを断面から観察したTEM像(2-1)と平面から観察したTEM像(2-2)
図3.(左)単層MoS2ナノリボンが、MoS2多層膜とWチップ間に担持した状態を示すイラスト、
(右)アームチェアエッジの単層MoS2ナノリボンに対するヤング率のリボン幅依存性を示すグラフ |
【論文情報】
掲載誌 | Advanced Science(Wiley社発行) |
論文題目 | Stiffer Bonding of Armchair Edge in Single‐Layer Molybdenum Disulfide Nanoribbons |
著者 | Chunmeng Liu, Kenta Hongo, Ryo Maezono, Jiaqi Zhang*, Yoshifumi Oshima* |
掲載日 | 2023年9月11日 |
DOI | 10.1002/advs.202303477 |
【用語説明】
[*1] 機械共振器
材料には、ヤング率、その形状(縦、横、長さ)、質量によって決まる固有振動があり、これを共振周波数と呼ぶ。この共振周波数は、他の材料と接触したり、あるいは、ガス吸着などによる質量変化に応じてシフトする。そのため、この変化から、接触した材料の等価ばね定数や吸着したガスの質量を評価できる。このような評価法を周波数変調法という。本研究でも、周波数変調法によって、単層MoS2ナノリボンのばね定数を算出している。
[*2] 長辺振動水晶振動子(LER)
長辺振動水晶振動子(LER)は、細長い振動子(長さ約3 mm、幅約0.1 mm)を長辺方向に伸縮振動させることで、周波数変調法の原理で金属ナノ接点などの等価バネ定数(変位に対する力の傾き)を検出できる。特徴は、高い剛性(1×105 N/m )と高い共振周波数(1×106 Hz )である。特に、前者は、化学結合の剛性(等価バネ定数)測定に適しているだけでなく、小さい振幅による検出を可能とすることから、金属ナノ接点を壊すことなく弾性的な性質を得ることができ、さらには、原子分解能TEM 像も同時に得られる点で大きな利点をもつ。
[*3] 【参考】「世界初! 個々の原子間の結合強度の測定に成功―強くて伸びる白金原子の鎖状物質―」(2021年4月30日 JAISTからプレスリリース)
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/04/30-1.html
令和5年9月19日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/09/19-1.htmlナノ物質の強度を決める表面1層の柔らかさ ―電子顕微鏡観察下での金属ナノ接点のヤング率測定―

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国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 国立大学法人 金沢大学 |
ナノ物質の強度を決める表面1層の柔らかさ
―電子顕微鏡観察下での金属ナノ接点のヤング率測定―
ポイント
- 金ナノ接点の物質強度(ヤング率)は接点が細くなると減少した。
- 独自開発の顕微メカニクス計測法でこの計測実験に成功。
- 最表面層のヤング率のみがバルク値の約1/4に減少。
- ナノ電気機械システム(NEMS)の開発に指針を与える成果である。
北陸先端科学技術大学院大学 ナノマテリアル・デバイス研究領域の大島義文教授、富取正彦教授、張家奇研究員、及び金沢大学 理工研究域 数物科学系の新井豊子教授は、[111]方位を軸とした金ナノ接点を引っ張る過程を透過型電子顕微鏡で観察しながら、等価ばね定数と電気伝導の同時に測定する手法(顕微メカニクス計測法)によって、金ナノ接点のヤング率がサイズに依存することを明らかにした。 金[111]ナノ接点は砂時計のようなくびれ形状を持つ。そのくびれは、0.24nm引っ張るたびに、より小さな断面積をもつ(111)原子層1層が挿入されることで段階的に細くなっていく。この観察事実を基に、挿入前後の等価ばね定数値の差分から、挿入された(111)原子層の等価ばね定数を求め、さらにこの(111)原子層の形状とサイズを考慮してヤング率を算出した。サイズが2 nm以下になると、ヤング率は約80 GPaから30 GPaへと徐々に減少した。この結果から、最外層のヤング率が約22 GPaと、バルク値(90GPa)の約1/4であることを見出した。このような材料表面での機械的強度の差は、ナノ電気機械システム(NEMS)の材料設計において考慮すべき重要な特性である。 本研究成果は、2022年4月5日(米国東部標準時間)に科学雑誌「Physical Review Letters」誌のオンライン版で公開された。なお、本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費、18H01825、18H03879、笹川科学研究助成、丸文財団交流研究助成を受けて行われた。 |
金属配線のサイズが数nmから原子スケールレベル(金属ナノワイヤ)になると、量子効果や表面効果によって物性が変化することが知られている。金属ナノワイヤの電気伝導は、量子効果によって電子は特定の決められた状態しか取れなくなるためその状態数に応じた値になること、つまり、コンダクタンス量子数(2e2/h (=12.9 kΩ-1);e: 素電荷量、h: プランク定数)の整数倍になることが明らかになっている。近年、センサーへの応用が期待されナノ機械電気システムの開発が進められており、金属ナノワイヤを含むナノ材料のヤング率などといった機械的性質の理解が課題となっている。この解決に、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)にシリコン製カンチレバーを組み込んだ装置を用いて、カンチレバーの曲がりから金属ナノワイヤに加えた力を求め、それによって生じた変位をTEM像で得ることで、ヤング率が推量されている。しかし、この測定法は、個体差があるカンチレバーのばね定数を正確に知る必要があり、かつ、サブオングストロームの精度で変位を求める必要があるため、定量性が十分でないと指摘されている。
本研究チームは、原子配列を直接観察できる透過型電子顕微鏡(TEM)のホルダーに細長い水晶振動子(長辺振動水晶振動子(LER)[*1])を組み込んで、原子スケール物質の原子配列とその機械的強度の関係を明らかにする顕微メカニクス計測法を世界で初めて開発した(図1上段)。この手法では、水晶振動子の共振周波数が、物質との接触で相互作用を感じることによって変化することを利用する。共振周波数の変化量は物質の等価バネ定数に対応するので、その変化量を精密計測すればナノスケール/原子スケールの物質の力学特性を精緻に解析できる。水晶振動子の振動振幅は27 pm(水素原子半径の約半分)で、TEMによる原子像がぼやけることはない。この手法は、上述した従来の手法の問題点を克服しており、高精度測定を実現している。
本研究では、[111]方位を軸とした金ナノ接点(金[111]ナノ接点)をLER先端と固定電極間に作製し(図1上段参照)、この金[111]ナノ接点を一定速度で引っ張りながら構造を観察し、同時に、その電気伝導、および、ばね定数を測定した(図1下段)。金[111]ナノ接点は砂時計のようなくびれをもつ形状であり、0.24nm引っ張る度により狭い断面をもつ(111)原子層1層がくびれに挿入されることで段階的に細くなることを観察した。これは、図1下段のグラフで電気伝導がほぼ0.24nm周期で階段状に変化することに対応していた。この事実から、挿入された(111)原子層の等価ばね定数を挿入前後の等価ばね定数の差分から算出することができ、さらに、この(111)原子層の形状やサイズを考慮することでヤング率を見積もった。なお、28回の引っ張り過程を測定して可能な限り多数のヤング率を見積もることで統計的にサイズ依存性を求めた(図2)。その結果、ヤング率は、サイズが2 nm以下になると、サイズが小さくなるとともに約80 GPaから30 GPaへと徐々に減少した。この結果から、最外層のヤング率が約22 GPaと、バルク値(90GPa)の約1/4であることを見出した。このような材料表面の強度は、ナノ電気機械システム(NEMS)の材料設計でも考慮すべき重要な特性である点で大きな成果である。
図1
(上段)金ナノコンタクトの等価ばね定数を計測する顕微メカニクス計測法。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて金ナノ接点の構造観察をしながら、長辺振動水晶振動子(LER)を用いて等価ばね定数を計測できる。
(下段)(左)金ナノ接点の引っ張り過程における変位に対する電気伝導及び等価ばね定数の変化を示すグラフ。(右)変位Aと変位Bで得た金ナノ接点のTEM像と最もくびれた断面の構造モデルを示す。黄色が内部にある原子、青が最表面原子である。
図2
金[111]ナノ接点の引っ張り過程を28回測定して、統計的に求めた金[111]ナノ接点ヤング率のサイズ依存性である。横軸は、断面積である。赤丸が実験値であり、誤差は、同じ断面の金(111)原子層に対して得られたヤング率のばらつきを示す。青丸は、第一原理計算によって得た結果である。
【論文情報】
掲載誌 | Physical Review Letters |
論文題目 | Surface Effect on Young's Modulus of Sub-Two-Nanometer Gold [111] Nanocontacts |
著者 | Jiaqi Zhang, Masahiko Tomitori, Toyoko Arai, and Yoshifumi Oshima |
掲載日 | 2022年4月5日(米国東部標準時間) |
DOI | 10.1103/PhysRevLett.128.146101 |
【用語説明】
[*1] 長辺振動水晶振動子(LER)
長辺振動水晶振動子(LER、図1参照)は、細長い振動子(長さ約3 mm、幅約0.1 mm)を長辺方向に伸縮振動させることで、周波数変調法の原理で金属ナノ接点などの等価バネ定数(変位に対する力の傾き)を検出できる。特徴は、高い剛性(1×105 N/m)と高い共振周波数(1×106 Hz)である。特に、前者は、化学結合の剛性(等価バネ定数)測定に適しているだけでなく、小さい振幅による検出を可能とすることから、金属ナノ接点を壊すことなく弾性的な性質を得ることができ、さらには、原子分解能TEM像も同時に得られる点で大きな利点をもつ。
令和4年4月11日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2022/04/11-1.htmlビッグデータが拓く新時代の触媒化学
北陸先端科学技術大学院大学
北海道大学
熊本大学
科学技術振興機構
ビッグデータが拓く新時代の触媒化学
ポイント
- ハイスループット触媒評価装置による材料ビッグデータの取得
- データ科学に立脚した触媒とプロセスの同時設計
北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野哲夫、石川県能美市)、先端科学技術研究科物質化学領域の谷池俊明准教授、西村俊准教授らは北海道大学(総長・名和豊春、北海道札幌市)の髙橋啓介准教授、熊本大学(学長・原田信志、熊本県熊本市)の大山順也准教授らと共同で、ハイスループット実験・材料ビッグデータ・データ科学を基盤とした触媒インフォマティクスを実現することに成功した。
近年、自然科学においても人工知能(AI)という言葉が頻繁に聞かれるようになった。特に、機械学習などのデータ科学的な方法論を駆使し、材料科学の研究開発を飛躍的に加速せんとする試みをマテリアルズインフォマティクス(MI)と呼ぶ。我々は、MIを触媒開発に利用することを試み、メタンの酸化カップリング反応(OCM)*1において、日に4000点もの触媒データを自動取得可能なハイスループット触媒評価装置*2を設計し、これを用いて過去30年で蓄積されたデータ数を一桁上回る12000点ものデータをわずか3日で取得することに成功した。さらに、得られた触媒ビッグデータを機械学習などによって分析し、その結果に基づいて固体触媒や反応プロセスを通してOCMの反応収率を大きく改善することに成功した。 MIは概念的な意味では良く研究されてきたが、これが真に材料科学に革新をもたらすか否かは、質・規模共に十分な材料データが用意できるかどうかにかかっていた。 これまで研究者らが科学論文という形で積み上げてきたデータは、研究者の実験方法や興味を強く反映しており、また、性能の低い材料データを含まず、機械学習には不向きであった。我々はハイスループット実験によってこの問題を突破し、30年の研究が、実働1ヵ月に満たない短期間で実施できることを実証した。今後、同様な方法論がさまざまな材料分野における研究開発を飛躍的に加速させ、人類社会の持続的な発展に大きく貢献する材料を次々と生み出していく時代が来ると期待される。
![]() 本成果は、2019年12月25日0時(米国東部標準時間)にACS Publications発行「ACS Catalysis」のオンライン版に掲載された。なお、本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」(研究総括: 上田渉)における「実験・計算・データ科学の統合によるメタン変換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御」(研究代表:髙橋啓介)の支援を受けて行われた。
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【論文情報】
掲載誌 | ACS Catalysis (ACS Publications) |
論文題目 | High-Throughput Experimentation and Catalyst Informatics for Oxidative Coupling of Methane |
著者 | Thanh Nhat Nguyen, Thuy Phuong Nhat Tran, Ken Takimoto, Ashutosh Thakur, Shun Nishimura, Junya Ohyama, Itsuki Miyazato, Lauren Takahashi, Jun Fujima, Keisuke Takahashi, Toshiaki Taniike |
掲載日 | 2019年12月25日0時(米国東部標準時間)にオンライン版に掲載 |
DOI | 10.1021/acscatal.9b04293 |
【用語解説】
*1 メタンの酸化カップリング反応(OCM)
普遍的に存在するメタンはそのままでは化学的な有用性が低く、これを触媒によって別の有用化合物へ変換することが望ましい。メタンの酸化的カップリングとは、メタンと酸素分子の反応を通してエタンやエチレンを直接合成する高難度反応である。
*2 ハイスループット触媒評価装置
実験の回転速度をスループットと呼ぶ。ハイスループット実験装置とは高度な並列化や自動化によってスループットを劇的に改善する装置を指す。
令和元年12月25日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2019/12/25-1.html水田教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞受賞

本学の先端科学技術研究科の水田 博(みずた ひろし)教授が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞することが決定し、文部科学省から10日に発表されました。
文部科学大臣表彰とは、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃え贈られるものです。
今回の受賞は、水田教授の下記の業績が評価されたことによります。
なお、表彰式は4月17日(火)12時10分~(予定)に文部科学省 3階 講堂で開催されます。
科学技術賞 研究部門 ■受賞者 先端科学技術研究科 教授 水田 博 ■業績名「ナノメータスケールにおける電子-機械複合機能素子の研究」 |
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業 績 MOSFETの微細化で集積回路の集積度を上げていくムーアの法則が終焉を迎える中、集積回路にセンサ、アクチュエータなど異種デバイスを融合させて多機能化をはかる取組みが盛んになっている。特にMEMSと集積回路の融合技術は、IoT市場における鍵技術と期待されている。 本研究では、電子デバイス内部にナノ・原子スケールの機械的可動構造を取り込んだ高機能ナノ電子機械システム(NEMS)複合デバイスを創生した。可動構造として極薄シリコン膜、および原子層材料グラフェンを採用し、従来のMEMS技術では不可能であったナノメータ領域へのダウンスケーリングに成功した。 本研究により、スイッチ素子応用では、従来のMEMS技術より1桁以上小さい〜1Vレベルの低電圧・急峻スイッチ動作を達成した。センサ素子応用では、現在の技術では極めて困難であるppbレベル低濃度ガスに対する室温・高速単分子検出と、ゼプトグラム(10-21g)オーダーの室温・高感度質量検出を実現した。 本成果は、集積システムの大幅な消費電力削減と、環境・健康モニタリング技術における検出感度の飛躍的向上、小型化、低コスト化に寄与することが期待される。 主要論文 「Low pull-in voltage graphene electromechanical switch fabricated with a polymer sacrificial spacer」 Applied Physics Letters誌、vol. 105、033103 (4 pages)、2014年7月発表 「Room temperature detection of individual molecular physisorption using suspended bilayer graphene」 Science Advances誌、vol. 2、e1501518 (7 pages)、2016年4月発表 |
平成30年4月11日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2018/04/11-1.html多糖類から「ゼロ複屈折ポリマー」の開発に成功

多糖類から「ゼロ複屈折ポリマー」の開発に成功
1. 発表者 |
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檀上 隆寛 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 博士課程) ロジャース 榎本 有希子 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 特任助教(当時)/ 国立研究開発法人産業技術総合研究所 構造材料研究部門 主任研究員(現在)) 島田 光星 (北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 博士課程) 信川 省吾 (北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 助教(当時)/ 名古屋工業大学 大学院物質工学専攻 有機分野 助教(現在)) 山口 政之 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科マテリアルサイエンス学系 教授) 岩田 忠久 (東京大学大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 教授/JST-ALCA ホワイトバイオテクノロジー・岩田チーム 研究代表者) |
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2. 発表のポイント |
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3. 発表概要 |
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多糖類の1つであるプルランを出発原料とし、プルランの持つ特徴的な分子構造を保持したまま、簡単なエステル化により、光学特性に非常に優れたゼロ複屈折ポリマーの開発に成功しました。開発したゼロ複屈折ポリマーは、添加剤を一切加えることなくゼロ複屈折を発現するとともに、全ての可視光領域に対して、複屈折がゼロである優れた光学特性を持ち、機械物性、耐熱性、耐水性、成形加工性にも優れています。また、置換するエステル基の種類を変えることにより、ゼロ複屈折から高複屈折を持つさまざまな光学フィルムを作製することも可能であることから、偏光板保護フィルム(注4)や位相差フィルム(注5)として、多方面での利用が期待されます。
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4. 発表内容 |
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液晶ディスプレイは、スマートフォン、タブレットPC、液晶テレビなどに広く用いられています。液晶ディスプレイの基本構成材料の1つである偏光板を保護する目的で、さまざまなポリマー保護フィルムが使われています。一般的なポリマー保護フィルムは、セルローストリアセテート、シクロオレフィン樹脂、アクリル系樹脂などのポリマーから製造されていますが、その複屈折をゼロに近づけるために、多くの添加剤が混ぜられています。
本研究グループは今回、多糖類の一種であるプルランから、添加剤を全く必要としない「ゼロ複屈折ポリマー」の開発に成功しました。 原料として用いたプルランは、微生物によって生合成される水溶性多糖類の1つで、グルコースが2つのα-1,4結合と1つのα-1,6結合を規則正しく繰り返すことにより長くつながった、階段状の非常に珍しい分子構造を持っています(図1)。プルランは主に、食品添加剤、可食性フィルムや医療用カプセルなどとして利用されていますが、これまでプラスチックの原料として用いられることはありませんでした。 今回、プルランの特徴的な分子構造に着目し、分子構造中に存在する3つの水酸基(-OH)をエステル基に置換してプルランアセテートに変えることにより、特徴的な分子構造を残したままで、ゼロ複屈折を発現させることに成功しました(図2)。 開発したゼロ複屈折ポリマーは、ゼロ複屈折の発現に、添加剤を一切必要としません。これは、プルランの持つ特徴的な階段状の分子構造のため、分子配向が抑制されたためであると考えられます。また、熱延伸を施しても、分子配向の緩和が容易に起こることから、ゼロ複屈折の延伸フィルムも得られることがわかりました。さらに、このゼロ複屈折ポリマーは、全ての可視光領域(波長=380~750nm)において、ゼロ複屈折を示すことも発見しました。機械物性、耐熱性、耐水性、成形加工性にも優れていることから偏光板保護フィルムや位相差フィルムとして、さまざまな分野での利用が期待されます。 今後は、溶融押出成形などの工業手法により、ゼロ複屈折フィルムの作製を行いたいと考えています。自然界には、人工的には決して作り出すことができない、さまざまな特徴的な分子構造を持つ多糖類が存在します。今後は、それらの特徴的な構造を保持したまま、新規な高機能・高性能ポリマーの開発を行いたいと考えています。今回の成果を糸口として、石油由来の原料を使用しない、バイオベースのプラスチック創出技術を確立することで、二酸化炭素の排出削減につながることが期待されます。 本研究は、JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発(ALCA)と文部科学省科学研究費補助金 基盤研究A(研究代表者:岩田忠久)の一環として行われました。深く感謝いたします。 |
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5. 発表雑誌 |
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雑誌名:Scientific Reports 論文タイトル:Zero birefringence films of pullulan ester derivatives 著者:Takahiro Danjo, Yukiko Enomoto-Rogers, Hikaru Shimada, Shogo Nobukawa, Masayuki Yamaguchi and Tadahisa Iwata* (*責任著者) DOI番号:10.1038/srep46342 URL: www.nature.com/articles/srep46342 日本時間4月18日(火)午後6時(イギリス時間18日(火)午前10時)に公開されました。 |
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6. 用語解説 |
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注1 プルラン デンプンを原料として黒酵母によって生合成される水溶性多糖類。グルコースが2つのα-1,4結合と1つのα-1,6結合を規則正しく繰り返した分子構造を持つ(図1)。 注2 エステル化 多糖類の水酸基(-OH)を、アセチル基(-OCOCH3)やプロピオニル基(-OCOCH2CH3)などのエステル基に化学的手法により置換すること。 注3 ゼロ複屈折ポリマー 物体中を光が透過する際、光の振動方向によって進む速度が異なる現象を複屈折と呼ぶ。一般にポリマーフィルムにおいても、分子が配向することにより複屈折が生じる。ゼロ複屈折ポリマーとは、種々の方法により複屈折をなくしたポリマーのこと。 注4 偏光板保護フィルム 液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板を保護するために貼られるポリマーフィルム。このフィルムの複屈折は、可能な限りゼロであることが望ましい。 注5 位相差フィルム 光学補償フィルムの1つで、複屈折による光学的な歪みや視角方向による変調が原因で起こる表示の着色等を防止するために貼られるポリマーフィルムのこと。 |
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7. 添付資料 |
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平成29年4月19日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2017/04/19-1.html原子層材料グラフェンを用いたナノセンサー素子で二酸化炭素分子一個の検出に成功

原子層材料グラフェンを用いたナノセンサー素子で二酸化炭素分子一個の検出に成功
- 超高感度・超小型パーソナル環境センシング応用に期待 -
ポイント | |||
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<開発の背景と経緯> | |||
原子層材料であるグラフェンは、その優れた電気的特性に加え、シリコンと比べて1桁以上高いヤング率(材料の弾性係数)と、引っ張り応力に対して約20%の格子変形にも耐える機械的特性も有していることから、ナノ電子機械システム(NEMS)への応用が期待されています。さらに表面対体積比率が極めて高いことから、高感度センサーの材料としても大きな期待が寄せられています。水田らのグループは、グラフェンNEMS複合機能素子の研究にいち早く着手し、科学研究費助成事業・基盤研究(S)において、超高感度・環境センサーとパワーマネジメント素子を融合したオートノマス・複合機能センサーの開発に取り組んできました。近年、シックハウス症候群に代表される個人の生活空間レベルでの空気汚染に起因する健康障害が深刻な問題となっていますが、建材やインテリア素材、家具などから発生する化学分子ガスは一般に濃度がppbレベルと非常に希薄で、既存のガスセンサー技術で検出することは極めて困難です。今回の単一CO2分子検出成功は、グループが世界に先駆けて構築してきたグラフェンNEMS素子に関するリーディング技術と、吸着分子とグラフェン間に生じる相互作用を原子レベルで明らかにするシミュレーション技術を融合させて初めて実現できた成果です。 |
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<今回の成果> | |||
グラフェンNEMS作製技術を用いて、半導体基板上に2層グラフェン膜の両持ち梁を作製した後、下部の金電極に電圧を印加することで、グラフェン梁を電極上に引き寄せて付着させ、グラフェン斜め梁を形成しました(図1参照)。非常に希薄なCO2ガスを導入し、グラフェン斜め梁の電気抵抗を時間的にモニターしましたが、この状態では分子吸着に伴う信号は検出されません(図2(b)内の黒点データ)。しかし、半導体基板に電圧を加えて電界を発生させると、グラフェン梁の電気抵抗に、CO2分子一個一個がグラフェン梁表面に吸着・離脱したことを示す量子化された変化(一定の値で抵抗が増減すること)が観測されました(図2(b)内の青点とピンク点データ)。これは、基板から印加した電界によってCO2分子内にわずかな分極が生じ、それと基板からの電界の相互作用によってCO2分子がグラフェン梁表面に引き寄せられるからです(図3参照)。 |
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<今後の展開> | |||
今回の実験では、分子内の分極がゼロで電気的な検出が困難と考えられていたCO2分子を用いましたが、今後はシックハウス症候群の原因となっているホルムアルデヒドやベンゼンなど揮発性有機化合物ガスを用いた検証実験を進めていきます(図4参照)。また、グラフェン梁の幅をシングルナノメートル(10ナノメートル未満)に超微細化することで検出感度を更に向上させるとともに、基板から印加する電界の強度とグラフェンNEMS構造のデザインを最適化することで検出速度の向上を図ります。さらに、本プロジェクト内で並行して開発を進めているグラフェンNEMSスイッチを、本センサー回路のパワーゲーティング素子として集積化することで、センサーシステムの待機時消費電力をシャットアウトし、バッテリーの寿命を飛躍的に延ばすことを試みます。 |
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<用語説明> | |||
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<参考図> |
![]() 図1 (a)作製した2層グラフェンNEMSセンサーの構造、(b)斜めグラフェン梁の模式図、(c)実際に作製した素子の原子間力顕微鏡写真 |
![]() 図2 (a)吸着したCO2分子によるグラフェン梁電気抵抗変化を説明する模式図、(b)実際に観測された電気抵抗変化の時間依存性(黒点:基板電圧オフの場合、青点:基板に正電圧印加の場合、ピンク点:基板に負電圧印加の場合)、(c)電気抵抗変化の統計分布。'抵抗変化の量子化'を示している。 |
![]() 図3 斜め2層グラフェン梁の表面に物理吸着するCO2分子の様子を分子動力学でシミュレーションしている途中経過(左)。2層グラフェン表面付近での静電ポテンシャル分布。ポテンシャルの高い領域(黒い部分)に吸着CO2分子がトラップされる様子を示している(右上)。基板電界をオフにした場合、CO2分子が離れて行く軌跡を示している(右下)。 |
![]() 図4 シックハウス症候群、シックカー症候群などの原因となる揮発性有機化合物ガス分子の一例。表中の数字は、WHOから示されている8時間での限界濃度値で一桁のppbレベルでの検出精度が要求されることを示している。 |
![]() 図5 本研究成果に対するイメージ図 |
平成28年4月18日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2016/04/18-1.html学生の福田さんがANTEC2024においてStudent Poster Winnerを受賞
学生の福田雄太さん(博士前期課程2年、物質化学フロンティア研究領域、山口研究室)がAnnual Technical Conference (ANTEC2024)においてStudent Poster Winnerを受賞しました。
ANTEC2024は、国際的なプラスチック技術者協会であるSociety of Plastics Engineers(SPE)が主催し、3月4日~7日にかけて米国セントルイスにて開催された国際会議であり、当該分野では世界で最も大きな学会です。
同会議はプラスチックのイノベーションに焦点を当て、ポリマー加工におけるリサイクルやAIを活用した射出成形、サーキュラーエコノミー、持続可能な輸送などのトピックを扱う講演者による最先端のセッションの宝庫です。プレナリー講演では、機械学習や革新的なポリマー設計、持続可能な成長について探求し、プラスチックの未来を垣間見ることができます。
※ANTEC2024
■受賞年月日
令和6年3月6日
■研究題目
Control of Cyrstalline Structure for Isotactic Polypropelylene Containing Hydrogenated Poyl
(dicyclopentadiene)
■研究者、著者
福田雄太
■受賞対象となった研究の内容
ポリプロピレン(PP)に水素化オリゴシクロペンタジエンを添加し急速冷却を行うことで、PPの結晶形態を制御できることを見いだした。その結果、得られるフィルムは高強度かつ高剛性となり、フィルムの薄肉化が可能となる。
■受賞にあたって一言
この度はANTEC2024においてポスター賞を受賞できたことを大変うれしく思っています。受賞にあたって日頃から熱心に指導してくださる山口政之教授、および研究室のメンバーに深くお礼申し上げます。


令和6年3月28日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/03/28-1.html金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催
令和5年6月26日(月)、本学小ホールにおいて、金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催しました。
金沢大学と本学は、融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、本年度より、融合科学共同専攻にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目指し、共同シンポジウムを開催することといたしました。
第1回である今回は、「エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開」をテーマに開催し、寺野 稔学長による開会挨拶後、本学 サスティナブルイノベーション研究領域 大平圭介教授、金沢大学 理工研究域 機械工学系 辻口拓也准教授、金沢大学 ナノマテリアル研究所 當摩哲也教授、本学 融合科学共同専攻長 松見紀佳教授にそれぞれエネルギー関連の最新研究についてご講演いただき、金沢大学 和田隆志学長の挨拶をもって閉会となりました。
本シンポジウムが、今後の両大学間の共同研究の発展と促進を目的としていることから、各講演者は、自身の研究内容の説明に加えて、「どのような研究分野との共同研究が可能か」という点も併せて講演されました。
オンライン配信とのハイフレックス形式にて開催しました本シンポジウムには、両大学より多くの方が参加され、質疑応答の時間には研究者間による活発な意見交換が行われました。次回は金沢大学を会場として開催される予定であり、本シンポジウムが今後両大学間の共同研究発展の端緒となるよう推進して参ります。

開会の挨拶をする寺野学長

講演① 「シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発」
大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域)

講演② 「ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発」
辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系)

講演③ 「軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化」
當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所)

講演④ 「次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発」
松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長)

閉会の挨拶をする金沢大学 和田学長
令和5年6月28日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/06/28-1.html第1回 金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 共同シンポジウム
開催日時 | 令和5年6月26日(月)13:30~17:00 |
会 場 | マテリアルサイエンス系講義棟1階 小ホール ※Webexにて同時配信(ハイフレックスにて開催) |
対 象 | 両大学の教職員・学生 |
テーマ | エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開 |
プログラム | 13:30~ オープニング(共同シンポジウムの趣旨説明等) 13:40~ 開会挨拶 北陸先端科学技術大学院大学 寺野学長 13:45~14:25 ≪講演1≫ 講演者:大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域) 講演タイトル:シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発 14:30~15:10 ≪講演2≫ 講演者:辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系) 講演タイトル:ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発 15:10~15:30 休憩 15:30~16:10 ≪講演3≫ 講演者:當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所) 講演タイトル:軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化 16:15~16:55 ≪講演4≫ 講演者:松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長) 講演タイトル:次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発 16:55~17:00 閉会挨拶 金沢大学 和田学長 |
参加申込 | 下記申込み用フォームからお申込みください https://forms.gle/eUG4xNHfKwfutWNq8 ※会場での参加、オンライン参加ともに申込みが必要です ※オンライン参加の方には、アクセス用のURLをご連絡いただいたメールアドレス宛に後日送付いたします。 【本件問合せ先】 研究推進課 学術研究推進係 内線:1907/1912 E-mail:suishin@ml.jaist.ac.jp |
サスティナブルイノベーション研究領域の水田教授が応用物理学会からフェロー称号を受理

サスティナブルイノベーション研究領域の水田 博教授に公益社団法人応用物理学会からフェローの称号が授与され、表彰を受けました。
応用物理学会は、半導体、光・量子エレクトロニクス、新素材など、それぞれの時代で工学と物理学の接点にある最先端課題、学際的なテーマに次々と取り組みながら活発な学術活動を行っています。公益性の高い学会として広く活動を展開し、社会連携事業にも取り組んでいます。
*参考:公益社団法人応用物理学会ホームページ
■フェローの概要等
「応用物理学会フェロー表彰」制度は、同学会の会員表彰制度の一環として、2006年に創設されました。この表彰制度は、同学会における継続的な活動を通じて、学術・研究における業績、産業技術の開発・育成における業績、教育・公益活動を通した人材育成や教育における業績などにより、応用物理学の発展に貢献した在籍累計年数10年以上の正会員を対象とし、特に貢献が顕著であると認められた会員を表彰するものです。また、フェローの人数は同学会個人会員数の3%程度と定められています。
*参考:第16回(2022年度)応用物理学会フェロー表彰者
■授与日
令和4年9月20日
■表彰内容
ナノメータスケール電子-機械複合機能素子の研究
■水田教授からの一言
本フェロー表彰の対象となった研究は、企業から大学に異動した2003年頃に「従来の電子デバイスの中に機械的に動くパーツを入れたら面白いことができるのでは?」という単純な発想で開始したものです。約20年にわたり東工大、サウサンプトン大、本学と職場を移しながら継続し、特に本学ではグラフェンなど原子層材料を用いて、気相単分子センシングやナノスケール熱制御素子などの極限機能素子について原理探索から社会実装までを進めてきました。英国で働いた期間も長かったのですが、その間、応用物理学会では200件超の発表、分科会・研究委員会幹事、シンポジウム世話人、また応物主催/共催の国際学会の実行委員長・論文委員長など、微力ながら学会の活動に参画させていただきました。これらはひとえに学内外の多くの方々からいただいた多大なご支援、特に研究室の同僚の方々・学生の皆さんのご協力の賜物です。この場をお借りして心より御礼を申し上げます。
*水田教授は2012年に英国物理学会(IOP)フェローの称号も受理しています。
![]() 表彰を受けた水田教授(左) |
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記念盾とフェローバッジ |
令和4年9月21日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/09/21-1.html物質化学領域の木田助教の研究課題が澁谷学術文化スポーツ振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 澁谷学術文化スポーツ振興財団の研究助成「大学の新技術、研究活動への奨励金」に物質化学領域の木田 拓充助教の研究課題が採択されました。
澁谷学術文化スポーツ振興財団では、大学における学術研究の充実を目的とした奨励金の給付事業を行っています。「大学の新技術、研究活動への奨励金」は、石川県内の大学において、機械・電子・電気・化学・情報処理・環境関係等の研究を行う教授・学生等のグループ又は個人を対象とし、成果が期待される新技術開発の研究に対して給付されます。
*詳しくは、澁谷学術文化スポーツ振興財団ホームページをご覧ください。
■研究者名
物質化学領域 木田 拓充助教
■採択期間
令和3年11月~令和4年10月
■研究課題名
振動分光法を用いた重水素化プローブ分子鎖の直接観察による高分子の変形メカニズムの解明
■研究概要
ポリエチレン(PE)をはじめとする結晶性高分子材料は、非常に優れた延伸性や柔軟性、加工性を示すことから、我々の日常生活で幅広く利用されています。結晶性高分子材料は内部に結晶と非晶が入り混じった複雑な構造を有しており、例えば結晶と結晶を繋ぐ分子や、非晶内に浮遊する分子鎖など、さまざまな構造状態の分子鎖が存在しています。材料の変形過程において、これらの分子鎖はそれぞれ異なる力学応答を示すため、各構造状態の分子鎖量の違いによって物性は大きく変化します。そのため、最近では各構造状態の分子鎖量を最適化することにより、従来の高分子材料に比べて飛躍的に優れた物性を有する高性能高分子を開発する試みが盛んに行われてきました。本研究では、我々が有する精密合成技術を駆使することで、特定の分子鎖のみを重水素化し、赤外分光法などの振動分光法で重水素化分子鎖の運動状態を直接観察することに挑戦します。各分子鎖の力学応答を正確に把握することができれば、材料設計者が希望する物性を達成するために必要な分子鎖構造を予測することが可能となり、高性能高分子開発のための重要な知見となることが期待されます。
令和3年11月24日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/11/24-2.html