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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。学生の貝沼さんが令和3年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞
学生の貝沼 雄太さん(博士後期課程3年、応用物理学領域、安研究室)が令和3年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞しました。
令和3年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会は、12月4日に信州大学工学部及びオンラインにてハイブリッド開催され、一般54名・学生78名が参加しました。
この学術講演会において、応用物理学の発展に貢献しうる優秀な一般講演論文を発表した若手支部会員に対して、その功績を称えることを目的として発表奨励賞が授与されます。
■受賞年月日
令和3年12月4日
■講演題目
「走査ダイヤモンドNV中心磁気プローブによる磁気ドメインイメージング」
■研究者、著者
貝沼 雄太、林 都隆、安 東秀
■講演概要
ダイヤモンド中の格子欠陥の一種として知られている窒素-空孔(NV)中心は、室温下で優れた磁場感度と高い空間分解能を有する磁気センサとして応用されています。このNV中心を含有するダイヤモンドプローブを走査プローブへ応用することでナノメートルスケールの高い空間分解能の実現が期待されています。従来、走査NV中心プローブの作製はリソグラフィ法が主に用いられていましたが、我々は加工自由度の高い集束イオンビーム(FIB)を用いた加工に着目し、FIBを用いて走査ダイヤモンドNV中心磁気プローブを作製し、磁性試料の磁気ドメイン界面のイメージングが可能なことを実証しました。今後、FIB加工により走査NV中心プローブの形状の最適化を進めることで、磁場感度と空間分解能向上の実現が期待されます。
■受賞にあたって一言
この度は、令和3年度北陸・信越支部学術講演会で発表奨励賞をいただけたこと、講演会主催者様に深くお礼申し上げます。我々の地道な努力が今回の受賞に至ったと思っております。ご指導いただきました安東秀准教授ならびに支援くださった研究室メンバーに深くお礼申し上げます。本受賞をきっかけとして今後の研究生活の励みにしていきたいと思います。
令和3年12月23日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2021/12/23-2.htmlダイヤモンドを用いた広帯域波長変換に成功 ~新しい量子センシング技術の糸口に~
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国立大学法人筑波大学 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) |
ダイヤモンドを用いた広帯域波長変換に成功
~新しい量子センシング技術の糸口に~
| 強い光と物質の相互作用に関する研究は、1960年にレーザーが開発されて以降、非線形光学分野として発展してきました。その中でも特に活発に研究されているのが高調波発生です。非線形光学結晶にレーザー光を照射した際に、その周波数の整数倍の光が放出される現象で、2倍の周波数の光が発生する場合を第二高調波発生、3倍の場合を第三高調波発生と呼びます。レーザー光の波長を変換する際などに用いられます。そして近年は、光共振器や光導波路などの光通信用技術としてダイヤモンド非線形光学が進展してきました。 本研究では、ダイヤモンドの表面近傍に窒素−空孔(NV)センターと呼ばれる欠陥を導入してダイヤモンド結晶の対称性を操作し、第二高調波、第三高調波発生など、広帯域の波長変換を行うことに成功しました。 この実験で波長変換の効率を評価したところ、第二高調波が第三高調波と同程度の高効率で生成されていました。その理由として、第二高調波がダイヤモンドの表面に極めて近い深さ約35nm(nmは10億分の1メートル)の領域で発生し、第三高調波の駆動力となっていることが明らかになりました。 また、このダイヤモンド中NVセンターの非線形光学効果により、波長1350~1600nmの赤外光が、波長450~800nmの可視~近赤外光にわたる広い帯域で波長変換でき、短い波長ほどその変換効率が高いことも判明しました。 ダイヤモンド中NVセンターによる第二高調波発生、すなわち電場振幅の二乗に比例する2次の非線形光学効果が可能となれば、ダイヤモンド結晶では今までできなかった電場による屈折率変調(電気−光学効果)なども可能となり、ダイヤモンド非線形光学の新領域を開拓できます。さらに、第二高調波発生や電気−光学効果などを利用した新しい量子センシングの開発への貢献も期待されます。 |
【研究代表者】
筑波大学 数理物質系
長谷 宗明教授
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 応用物理学領域
安 東秀准教授
【研究の背景】
天然のダイヤモンド単結晶は、地球のマントルにおいて超高温かつ超高圧下で生成されます。高純度のダイヤモンド単結晶は希少で高価なため、産業応用は限られていました。しかし、20世紀中頃から、不純物濃度が極めて低い高純度ダイヤモンド単結晶が人工的に安価に作製できるようになり、エレクトロニクスや光学分野で応用されるようになりました。
高純度ダイヤモンド単結晶は結晶学的に対称性が高く、空間反転対称性を持つ(対称点を中心に結晶を反転させると結晶構造が重なる)ため、非線形光学の観点では2次の非線形感受率注1)がゼロとなり、2次の非線形光学効果が発現しません。そのため、光学分野でのダイヤモンドの研究開発は、光カー効果注2)や2光子吸収注3)など、もっぱら3次の非線形光学効果を基に光共振器や光導波路に関する研究が行われてきました。応用上でも重要である2次の非線形光学効果の研究はほとんど行われて来なかったのです。しかし、最近の研究で、高純度ダイヤモンド単結晶に窒素−空孔(Nitrogen-Vacancy: NV)センター注4)と呼ばれる格子欠陥を導入することにより、欠陥準位を介したマイクロ波による発光制御が可能になり、この原理を用いた量子センシング注5)の研究が活発になっています。
今回、本研究チームは、高純度ダイヤモンド単結晶の表面近傍にNVセンターを導入してダイヤモンド単結晶の対称性を操作し、第二高調波注6)および第三高調波の発生について研究しました。
【研究内容と成果】
本研究チームは、フェムト秒(1000兆分の1秒)の時間だけ赤外域の波長で瞬く超短パルスレーザー注7)を、NVセンターを導入した高純度ダイヤモンド単結晶に照射し、表面近傍から発生した第三高調波に加えて、第二高調波を世界で初めて観察することに成功しました。
具体的には、波長1350nmの赤外パルスレーザー光を励起光として照射すると、第二高調波が1/2波長の約675nmに、また第三高調波が1/3波長の約450nmに発生することが明らかになりました(参考図1)。この時、レーザーを照射されたダイヤモンド単結晶は紫色(赤色と青色の混成色)に発光していることが分かります(参考図1挿入写真)。
従来のダイヤモンド中NVセンターの研究では、連続発振グリーンレーザー(波長532nm)を照射した際に、NVセンターの欠陥準位を介した発光が、約660nmを中心とした波長領域に現れることが分かっています。このような既知の発光である可能性を取り除き、今回観測された約675nmの発光が第二高調波発生であることを確かめるため、励起レーザーの波長を掃引して波長変換特性を調べました。その結果、励起レーザーの波長の変化に応じて、第二高調波だけでなく第三高調波の発光波長が逐次変化することが確かめられました(参考図2)。これにより、今回観測された発光は、常に660nmを中心とした波長領域に観測される従来の欠陥準位を介した発光ではなく、欠陥により結晶の対称性が崩れることによる2次の非線形光学効果、すなわち第二高調波発生であることが明らかになりました。さらに、その変換効率は短波長ほど大きくなり、最高で5x10-5に達することが分かりました。今回、第二高調波がダイヤモンドの表面近傍約35nmの非常に薄い領域から発生していることを鑑みても、極めて高い変換効率であることが分かります。
また、励起レーザーの偏光角を回転させることで、第二高調波と第三高調波の発光強度の変化を調べたところ、それらの偏光角依存性はNVセンターを導入する前の高純度ダイヤモンドのパターンとは明らかに異なることが分かりました(参考図3)。特に、NVセンターを導入したダイヤモンドでは、第二高調波と第三高調波のパターンが若干の回転を除けば非常に似ていることが分かり(参考図3bとc)、これらのことから、第三高調波は第二高調波が駆動力になっていることも示唆されました。
【今後の展開】
本研究チームは、2次の非線形光学効果である第二高調波発生や電気−光学効果を用いた量子センシング技術を深化させ、最終的にダイヤモンドを用いたナノメートルかつ超高速時間領域(時空間極限領域)での量子センシングの研究を進めています。今後は、フェムト秒パルスレーザー技術が持つ高い時間分解能と、走査型プローブ顕微鏡注8)が持つ高い空間分解能とを組み合わせ、ダイヤモンドのNVセンターから引き出した2次の非線形光学効果が、電場や温度のセンシングに応用できることを示していきます。さらに、今回の成果は、ダイヤモンドNVセンターにより、2次の非線形光学効果のみならず、4次、6次以上の高次の非線形光学効果の開発に貢献することが期待されます。
【参考図】

図1.本研究に用いた実験手法と結果
NVセンターを導入したダイヤモンドに波長1350nmの励起光を照射し、その発光スペクトルを分光器で測定すると、波長約675nmに第二高調波(SHG)が、また約450nmに第三高調波(THG)が発生することが分かった。これは、エネルギーω(波長にすると1350nm)の2光子からエネルギー2ω(波長にすると675nm)の第二高調波がNVセンターによる結晶の対称性の崩れから発生していることに相当する(挿入図)。

図2.変換効率の発光波長依存性
第二高調波(SHG)と第三高調波(THG)の変換効率を励起レーザーの波長を変化させて記録した。

図3.発光強度の励起光偏光角依存性とエネルギーダイヤグラム
高純度ダイヤモンド(Pure diamond)(a)およびNVセンターを導入したダイヤモンド(NV diamond)において、第二高調波(SHG) (b)と第三高調波(THG) (c)の発光強度の励起光偏光角依存性をプロットしたもの。(d) 第二高調波発生から第三高調波発生へ向かうエネルギーダイヤグラムを示す。
【用語解説】
注1) 非線形感受率
物質の光への応答は、パルスレーザー光のように光電場振幅が大きくなると振幅に比例せず、非線形な非線形光学効果となる。非線形感受率は非線形光学効果の大きさを特徴づける光学定数である。
注2) 光カー効果
媒質中に光が入射した際に、媒質の屈折率が光強度に比例して変化する現象で、1875年にJohn Kerrによって発見された3次の非線形光学効果(電場振幅の三乗に比例する効果)の一種である。
注3) 2光子吸収
二つの光子が同時に媒質に吸収される現象で、3次の非線形光学効果の一種である。
注4) 窒素−空孔(NV)センター
ダイヤモンドは炭素原子から構成される結晶だが、結晶中に不純物として窒素(Nitrogen)が存在すると、すぐ隣に炭素原子の抜け穴(空孔:Vacancy)ができることがある。この窒素と空孔が対になった「NV(Nitrogen-Vacancy)センター」は、ダイヤモンドの着色にも寄与する色中心と呼ばれる格子欠陥となる。NVセンターには、周辺環境の温度や磁場の変化を極めて敏感に検知して量子状態が変わる特性があり、この特性をセンサー機能として利用することができる。このため、NVセンターを持つダイヤモンドは「量子センサー」と呼ばれ、次世代の超高感度センサーとして注目されている。
注5) 量子センシング
量子化した準位や量子もつれなどの量子効果を利用して、磁場、電場、温度などの物理量を超高感度で計測する手法のこと。
注6) 第二高調波
二つの同じ周波数(波長)を持つ光子が非線形光学結晶に入射すると、入射した光子の2倍の周波数(半分の波長)の光を発生する現象のこと。2次の非線形光学効果(電場振幅の二乗に比例する効果)の一種である。
注7) 超短パルスレーザー
パルスレーザーの中でも特にパルス幅(時間幅)がフェムト秒以下の極めて短いレーザーのこと。光電場の振幅が極めて大きいため、2次や3次の非線形光学効果を引き起こすことができる。
注8) 走査型プローブ顕微鏡
小さいプローブ(探針)を試料表面に近接させ、探針を表面に沿って動かす(走査する)ことで、試料の原子レベルの表面構造のみならず、温度や磁性などの物理量も画像化できる顕微鏡である。
【研究資金】
本研究は、国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST「ダイヤモンドを用いた時空間極限量子センシング」(研究代表者:長谷 宗明)による支援を受けて実施されました。
【掲載論文】
| 題名 | Second-harmonic generation in bulk diamond based on inversion symmetry breaking by color centers. (色中心による反転対称性の破れに基づくバルクダイヤモンドの第二高調波発生) |
| 著者名 | Aizitiaili Abulikemu, Yuta Kainuma, Toshu An, and Muneaki Hase |
| 掲載誌 | ACS Photonics |
| 掲載日 | 2021年3月18日 |
| DOI | 10.1021/acsphotonics.0c01806 |
令和3年3月18日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/03/18-1.htmlミリメートルの長距離スピン情報の変換に成功 -量子情報素子やスピンセンサーの技術開発に道-
ミリメートルの長距離スピン情報の変換に成功
-量子情報素子やスピンセンサーの技術開発に道-
ポイント
- 磁気の波(スピン波)を用いて数ミリメートル離れたスピン状態へ情報を変換する基本原理を実証
- 量子情報素子やスピンセンサーの新手法として期待
北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野哲夫、石川県能美市)、先端科学技術研究科応用物理学領域の菊池大介研究員、安東秀准教授らは、京都大学、東京工業大学、東北大学、理化学研究所、ニューヨーク市立大学と共同で、スピン波注1)とダイヤモンド中の窒素-空孔複合体中心(NV中心(図1))注2)を組み合わせた長距離(約3.6ミリメートル)スピン信号変換に成功しました。
<背景と経緯>
近年、持続可能な社会の実現に向けた環境・エネルギー・情報通信などの問題への取組が活発化する中で、電子デバイスの省電力化やナノセンシング技術の高性能化が求められています。これまでデバイスに情報を入出力する方法として電流が用いられてきましたが、情報処理に時間がかかること、多くのエネルギーが熱として浪費され発熱によりデバイスの動作が不安定となることなど問題がありました。これらを解決する方法として、電流を用いずに電子の自由度であるスピン注3)を用いるスピントロニクス素子注4)や量子情報素子(発熱を抑えるとともに情報処理時間を飛躍的に高速化できる)の実現が期待されています。従来、これらの素子では相互作用を大きくするためにスピンとスピンの距離をナノメートル程に設計する必要がありました(図2)。今回の研究では、スピンの波(スピン波)とダイヤモンド結晶中のNV中心に存在するスピン状態とを組み合わせた手法によりミリメートルの長距離でもスピン情報を伝送できることを実証しました。
<研究の内容>
今回の研究では、図3の模式図に示した実験により、スピン波とNV中心スピンを用いた長距離スピン信号変換に成功しました。先ず、直径4ミリメートルの絶縁体である磁性ガーネット (Y3Fe5O12: YIG) 注5)多結晶円板にマイクロ波と磁場を印加して、磁気の波(スピン波)を試料左端に励起します(図3(a))。この際に、表面スピン波注6)と呼ばれる、試料表面に局在し一方向にのみ伝搬するスピン波を励起します。その後、試料左端から右端へ3.6ミリメートル伝搬した表面スピン波は、試料右端上に配置されたダイヤモンド中に用意された複数のNV中心スピンを励起します。励起されたNV中心は光学的に磁気共鳴信号(ODMR)注7)やラビ振動注8)を計測することにより検出します(図3(b), (c))。今回、スピン波の共鳴周波数とNV中心の共鳴周波数が一致する条件でODMR信号が増強され、ラビ振動の周波数が高くなることを発見しました。
<今後の展開>
本研究では、スピン波とNV中心を組み合わせることで離れたスピン状態間の信号の伝送・変換が可能なことを実証しました。今後、2つのスピン状態をスピン波で接続することで、これまで困難だった長距離(ミリメートル以上でも可能)離れた2つのスピン状態間の信号の変換を可能にし(図4)、新しい量子情報素子やナノスピンセンサーを実現する技術開発に貢献することが期待されます。
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| 図1 ダイヤモンド中の窒素(C)-空孔(V)複合体中心(NV中心)スピン状態 | 図2 従来のスピン変換の概念図 ナノメートル程の距離の2つのスピン状態、スピンAとスピンB間で信号を変換する。 |
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| 図3 スピン波とNV中心を用いた長距離スピン信号変換の原理。(a)多結晶ガーネット(YIG)磁性体試料の左端で励起された表面スピン波は右方向へ数ミリメートル伝搬した後、試料右端上のダイヤモンド中のNV中心スピンを励起する(スピン変換)。励起されたNV中心は光学的磁気共鳴検出法(ODMR)により磁気共鳴(b)やラビ振動(c)として検出される。 | |
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| 図4 今後の展開。長距離離れた2つのスピン状態、スピンAとスピンBをスピン波で接続する。 | |
<論文情報>
掲載誌:Applied Physics Express
論文題目:Long-distance excitation of nitrogen-vacancy centers in diamond via surface spin waves
著者:Daisuke Kikuchi, Dwi Prananto, Kunitaka Hayashi, Abdelghani Laraoui, Norikazu Mizuochi, Mutsuko Hatano, Eiji Saitoh, Yousoo Kim, Carlos A. Meriles, Toshu An
Vol.10, No.10, Article ID:103004
掲載日:10月2日(英国時間)公開 DOI: 10.7567/APEX.10.103004
<研究助成費>
本研究の一部は、キャノン財団研究助成プログラム、村田学術振興財団研究助成、科学研究費補助金・新学術領域研究「ナノスピン変換」公募研究、研究活動スタート支援の一環として実施されました。
<用語解説>
注1) スピン波
スピンの集団運動であり、個々のスピンの磁気共鳴によるコマ運動(歳差運動)が波となって伝わっていく現象である。
注2) NV中心
ダイヤモンド中の窒素不純物と空孔が対になった構造(窒素-空孔複合体中心)であり、室温、大気中で安定にスピン状態が存在する。
注3) スピン
電子が有する自転のような性質。電子スピンは磁石の磁場の発生源でもあり、スピンの状態には上向きと下向きという2つの状態がある。
注4) スピントロニクス
電子の持つ電荷とスピンの2つの性質を利用した新しい物理現象や応用研究をする分野
注5) 磁性ガーネット
本研究では希土類元素をイットリウム(Y)としたイットリウム鉄ガーネット(Y3Fe5O12)多結晶を用いた。スピン波の拡散長が数ミリメートル以上と長いことで知られている。
注6) 表面スピン波
スピン波の一種であり、試料の表面に局在し一方向にのみ伝搬する性質を持つ。また、表面スピン波の持つ非相反性より、試料の上面と下面では逆向きに伝搬する。
注7) 光学的磁気共鳴検出法(Optically Detected Magnetic Resonance, ODMR)
磁気共鳴現象を光学的に検出する手法。本研究では532ナノメートルのレーザー光入射により励起・生成されたマイクロ波印加による蛍光強度の変化を計測しNV中心スピンの磁気共鳴を検出する。
注8) ラビ振動
NV中心の2つのスピン状態間のエネルギーに相当するマイクロ波磁場を印加することにより状態が2準位の間を振動する現象。本研究ではマイクロ波磁場の代わりにスピン波によるマイクロ波磁場を生成してラビ振動を励起した。
平成29年10月3日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2017/10/03-1.html応用物理学領域の安准教授が村田学術振興財団の研究助成を採択
応用物理学領域の安東秀准教授が公益財団法人村田学術振興財団の研究助成を採択しました。
公益財団法人村田学術振興財団は、エレクトロニクスを中心とした科学技術の向上発展、及び国際化にともなう人文・社会科学的諸問題の解決に寄与するため、学術の研究に対する助成、学術的国際交流への助成等の諸事業を行い、わが国の学術研究の発展に寄与しようとするものです。
■採択期間
平成28年7月-平成29年7月
■研究課題
「NV中心ダイヤモンドロッドを用いた走査スピンプローブセンサーの開発」
■研究課題概要
ダイヤモンド中に存在する窒素-空孔複合体中心(NV中心)を走査型の磁場センサーとして用い、ナノスケールで磁気イメージングが可能な装置を開発する。特に、ダイヤモンドをレーザーカッティングの手法を用いて簡便に切り出す手法を考案すること。これを原子間力顕微鏡のプローブ先端に取り付け、共焦点顕微鏡と複合化し、簡便、且つ、高性能な装置を実現する。
■採択にあたって一言
この度は本研究助成に採択頂き、大変光栄です。村田学術振興財団および選考委員の皆様に御礼申し上げます。また、研究に貢献してくれている研究室メンバーに感謝いたします。
平成28年6月13日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2016/06/13-1.html




