研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。機能性バイオマテリアルで難治性疾患を治療する
機能性バイオマテリアルで難治性疾患を治療する
先端ナノ医療・長寿創生研究室
Laboratory on Advanced Nanomedicine and Longevity Creation
教授:栗澤 元一(KURISAWA Motoichi)
E-mail:
[研究分野]
バイオマテリアル、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、ナノメディシン、再生医療
[キーワード]
生体内分解性高分子、ナノ粒子、緑茶カテキン、インジェクタブルゲル、薬物徐放・ターゲッテイング、細胞治療
研究を始めるのに必要な知識・能力
高分子化学の基礎知識があれば、問題なく研究を始めることができますが、入学前に特別な知識・能力がなくても大学や企業で活躍出来るように本気で指導します。要は日々の研究活動に対する心構え次第で、いくらでも成長できます。そのためには自他共栄の精神を研究スタッフ・学生と共有できる研究室づくりが大切だと考えています。
この研究で身につく能力
栗澤研究室では、ナノ粒子やゲルの設計・合成、キャラクタリゼーションを行い、細胞実験や動物実験によって、目的とする機能が十分であるのか否かを評価します。幅広い領域を学ぶので、種々の測定装置や実験手法の基礎を身につけることができます。動物実験を完了するころには、緻密な実験計画を立てる能力、討論・プレゼンテーション能力を習得することができます。研究目的を達成することに邁進することは大事なのですが、フェアに実験結果を評価できる能力を習得できるように指導します。
【就職先企業・職種】 大学教員、博士研究員、特許審査官、化学企業、製薬企業
研究内容

図1.緑茶カテキン・ナノ粒子による疾患治療
当研究室では、高分子科学、生体材料、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、再生医療などの学問領域を基盤とし、難治性疾患を治療可能とする機能性生体材料を開発します。昨今、遺伝子治療や再生医療などを含む先端医療が実施され、これまでに治療不可能とされてきた疾患に新しい治療法が切り拓かれてきています。このような先端医療を支える生体材料に関する研究は、難治性疾患を将来的に治療可能とする医療技術開発において益々重要な役割を果たすものと考えられます。シンガポール、韓国、米国をはじめとする海外研究機関との共同研究を展開しており、臨床応用及び産業化を目指した研究開発を推進します。
[緑茶カテキン・ナノ粒子を用いたドラックデリバリーシステム]
栗澤研究室では、タンパク質・抗体・低分子・核酸などの性質の異なる医薬品の内包を可能とする緑茶カテキン誘導体を薬物キャリアとしたナノ粒子の開発によって、癌をはじめとする難治性疾患の治療を目指したドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を展開します(図1)。 緑茶カテキン・ナノ粒子は、薬物を疾患部に送達することを主な目的とした従来のDDS製剤とは異なる設計指針によって開発されています。疾患部への送達に加えて、薬物キャリアの主成分である緑茶カテキンが抗癌活性を有するために、薬物と緑茶カテキンのそれぞれの抗癌活性に基づくシナジー効果によって、抗腫瘍効果を増幅することを特徴としています。

図2.インジェクタブルゲル・システムによる医療応用
[インジェクタブルゲルによるヘルスケアへの貢献]
生体内での安全なハイドロゲル形成を可能とするインジェクタブルゲルシステムの開発及びその生体機能性材料としての応用研究を展開します。従来、注射によって生体内で安全に化学架橋を誘導する事は困難でありましたが、高分子—フェノールコンジュゲートと酵素溶液の同時注入により、コンジュゲート中のフェノールの酸化カップリングを誘導し、生体内で安全にゲル化させるプラットホームテクノロジーを開発しています(図2)。この手法によって、生体内で薬物及び細胞をゲル内に固定し、長期間に及ぶ薬物徐放及び細胞増殖・分化の制御が可能となることから、様々な疾患に対して新たな治療法をDDS及び再生医療分野において確立されることが期待されます。
主な研究業績
- N. Yongvongsoontorn, J. E. Chung, S. J. Gao, K. H. Bae, M. H. Tan, J. Y. Ying, M. Kurisawa, Carrier-enhanced anticancer efficacy of sunitinib-loaded green tea-based micellar nanocomplex beyond tumor-targeted delivery, ACS Nano 13, 7591-7602 (2019).
- K. Liang, J. E. Chung, S. J. Gao, N. Yongvongsoontorn, M. Kurisawa, Highly augmented drug loading and stability of micellar nanocomplexes comprised of doxorubicin and poly(ethylene glycol)-green tea catechin conjugate for cancer therapy, Adv. Mater. 30, 1706963 (2018).
- J. E. Chung et al. Self-assembled nanocomplexes comprising green tea catechin derivatives and protein drugs for cancer therapy, Nature Nanotechnol. 9, 907-912 (2014).
使用装置
紫外可視分光光度計、NMR、動的光散乱測定装置、HPLC、レオメーター、電子顕微鏡、細胞培養装置、動物実験関連機器
研究室の指導方針
学生に寄り添うスタイルで研究室を運営することをモットーとします。研究のディスカッションや勉強会・雑誌会はできる限り、 頻繁に行い、学生の研究能力の向上に努めます。当然ながら、レベルの高い研究成果を多く創出することは重要ではありますが、学生には先ず、自身が携わっている学問や研究が開拓しうる将来の社会を楽しく想像しながら研究することを提案します。応用研究を遂行する際には、社会貢献の可能性について、学生と十分に議論し、将来に学生が社会でリーダとして活躍するべく力を養う機会にします。また、学生であっても情報受信だけではなく、情報発信ができるよう指導いたします。学生の興味や個性をよく把握し、学生の能力を伸ばします。研究室内では常に世界の最先端の研究を意識しつつ、研究室もその舞台の中であり、世界に向けて発信したいと強く学生が意識する雰囲気を創ります。
[研究室HP] URL:https://kurisawa-lab.labby.jp/
細胞・組織の機能を制御する高分子材料を創成し、医療に役立てる
細胞・組織の機能を制御する高分子材料
を創成し、医療に役立てる
生体制御高分子研究室 Laboratory on Biofunctional Polymers
教授:松村 和明(MATSUMURA Kazuaki)
E-mail:
[研究分野]
材料化学、高分子化学、生体材料
[キーワード]
高分子化学、バイオマテリアル、再生医療、凍結保存、ハイドロゲル
研究を始めるのに必要な知識・能力
化学をベースとして、生体に応用できる材料を目指すので、化学の基礎知識は持っていた方が望ましいです。その上で、生物学や医学に対しても必要な事を習得する姿勢を期待します。異分野からの参加は歓迎しますが、化学、高分子化学の勉強を興味を持って続けられる向上心は必要です。
この研究で身につく能力
生体材料の研究は化学・生物・医学また物理学を含んだ学際的領域の研究です。生体の持つ高度に制御された機能を学び、それを代替する材料の創成を目標として研究を続けていくことで、化学のみならず、生物学や医学、物理学などの幅広い学問分野に触れ、多角的な物の見方を獲得することが出来ます。
また、生体材料の研究は目的がはっきりしているニーズ指向型の研究のため、課題解決能力を育む事が可能です。特に博士後期課程の学生に関しては、問題発見能力も同時に身につけるように研究を進めていきます。
【就職先企業・職種】 製造業・化学メーカーなど
研究内容
機能性高分子バイオマテリアル
人工臓器やドラッグデリバリーシステム(DDS)には高分子化合物のようなソフトマテリアルが多く使用され、研究されています。バルクな材料だけでなく、コロイドやミセル、溶液なども一種のバイオマテリアルとして様々な場面での研究が展開されています。
高分子材料はそのバルク界面で、もしくは溶液状態で細胞や組織と相互作用し、機能を制御することが可能であることがわかってきました。また、様々な場面でその機能を利用したバイオマテリアルの研究開発が行われています。
凍結保護高分子
細胞を凍結保存することができる高分子を見出し、その機序を調べると共に応用を目指しています。この不思議な現象は、電荷密度の高い高分子化合物、特に両性電解質高分子に見られる特徴であることがわかってきました。細胞などの様な水を含む高次構造体をそのまま凍結すると細胞内の水の結晶化により致命的なダメージが加わり、死滅します。このような高分子化合物で細胞を凍結時のダメージから保護できるということは、これまでの常識では考えにくいことでした。従って、この現象の機序を解明することで、凍結保護だけでなく、生体組織や高次構造体の保護作用などへとつながる可能性を秘めています。我々はこの高分子をゲルにすることで、細胞保護性のハイドロゲルを作成しました。また、ナノ粒子化することでドラッグデリバリーシステムへの応用も試みています。

再生医療応用可能な高分子
再生医療や組織工学に応用可能な、生体内分解性セルロースの開発も行っています。この技術により、細胞をその中で増殖させ、生体内で細胞治療が可能な足場材料の開発が期待されます。
生体と調和する高分子バイオマテリアル
生体機能の再生を目的とした診断・治療の支援を行うために、材料工学の手法を用いた、基礎的ならびに応用的研究も目指しています。具体的には、ハイドロゲルを用いた人工関節や人工血管用材料の設計など、高分子材料の観点から生物と化学の融合を目指し、さらには生体を凌駕するような機能を探求しています。

主な研究業績
- Rajan R, Furuta T, Zhao D, Matsumura K. Molecular mechanism of protein aggregation inhibition with sulfobetaine polymers and their hydrophobic derivatives. Cell Rep. Phys. Chem. 5, 102012 (2024)
- Kumar K, Nakaji-Hirabayashi T, Kato M, Matsumura K, Rajan R. Design of Highly Selective Zn-Coordinated Polyampholyte for Cancer Treatment and Inhibition of Tumor Metastasis. Biomacromolecules 25, 1481-1490 (2024)
- Hirose T, Rajan R, Miyako E, Matsumura K. Liquid metal–polymer nano-microconjugations as an injectable and photo-activatable drug carrier. Mol. Syst. Des. Eng. 9, 781-789 (2024)
使用装置
NMR
FITR
動的粘弾性装置
細胞培養用装置
共焦点レーザー顕微鏡
研究室の指導方針
本研究室では、高分子化学の基礎から応用までを理解し、生体材料としての応用を目指しています。そのためには、化学の知識だけでなく、生物や医学、さらには機械工学などの幅広い学問領域に通じている必要があります。また、生体材料がカバーする範囲は、人工臓器、再生医療、ドラッグデリバリー、バイオセンサなど多種多様であり、それらの研究開発に必要な知識を興味を持って獲得し、多角的な視点で課題の解決を遂行できる力のある学生を育成することを目標としています。
年に数度の学会発表を通じてプレゼンテーション能力を身につけ、週一度の研究室ゼミで基礎力・ディスカッション能力を養います。
[研究室HP] URL:https://matsu-lab.info/
次世代の医用材料による医療の発展
次世代の医用材料による医療の発展
医用材料学研究室 Laboratory on Biomedical Materials
講師:西田 慶(NISHIDA Kei)
E-mail:
[研究分野]
生体材料学、合成高分子、タンパク質工学、ナノメディシン
[キーワード]
医用高分子、刺激応答性、バイオ界面、細胞膜、細胞内分解系
研究を始めるのに必要な知識・能力
特定分野の知識や能力は問いません。高分子化学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、情報学を含む学際的な医用材料の研究について、学生のバックグラウンドに応じてテーマを設定します。新しい技術や分野を開拓する好奇心や向上心が最も大切です。
この研究で身につく能力
合成高分子やタンパク質、細胞を材料とした医用材料や疾患の診断・治療法の開発に取り組みます。学生の興味やバックグラウンドに応じて、有機合成や遺伝子工学、生物といった基盤材料を選択し、社会的にも学術的にも重要な研究テーマを進めてもらいます。各種材料の作製だけでなく、材料物性の評価、細胞や動物を用いた生命科学的な評価と多岐の分野にわたる実験技術や知識が必要になります。材料学と生命科学といった学問的な高いレベルの知識と技術が身につくとともに、理系人材としてどこでも活躍できる広い視野と知恵を養います。
【就職先企業・職種】材料、製薬、医療機器、食品関連企業
研究内容
私達は、がんをはじめとした疾患の治療や診断法の開発といった応用研究と、生体と医用材料の相互作用の理解や制御といった基礎研究を両立した医用材料の開発を進めています。有機合成、遺伝子工学、タンパク質工学、細胞工学を駆使して様々な材料を設計し、次世代の医用材料を創出しています。
1. 細胞の代謝機能を改善する刺激応答性高分子

図1 刺激応答性高分子やタンパク質からなる医用材料

図2 ステルス材料としての直鎖状タンパク質
がん化や老化した細胞は、正常な細胞と比較して代謝機能が大きく変わります。この代謝機能の変化に着目して、がんや老化の進行を逆転させる治療法の開発に取り組んでいます(図1)。特に、代謝産物や生理活性分子を細胞に送り込むことで代謝を改善し、疾患治療への応用を検討しています。具体的には、代謝産物などを原料とした刺激応答性合成高分子を設計し、細胞内の特異的環境に応答して分解・代謝物を放出する医用材料を合成しています。
2. 細胞膜構成分子に着目したがん治療・診断
がん細胞の細胞膜構成分子に着目した新たながん治療や診断法を開発しています (図1)。特に、がん細胞で異常性がある細胞膜のコレステロールや糖鎖を標的としています。このような細胞膜構成分子と相互作用するタンパク質材料を遺伝子工学的に設計し、がん治療や診断法を検討しています。例えば、細胞膜コレステロールに相互作用する合成タンパク質を設計し、がん細胞のコレステロール合成系やオートファジーといった細胞内分解系を制御し、がんの殺傷を可能にしています。
3. 直鎖状タンパク質のde novo設計とステルス材料
採血管や注射器から人工心肺、人工臓器、バイオ医薬などの医療機器・医薬品は、医療技術に必要不可欠なものです。医療機器・医薬品の表面は血液や体液と接触するため、血液の凝固や異物認識、免疫・炎症応答を抑制するためにタンパク質の吸着を抑制するステルス特性が重要です。私達は、医療機器・医薬品にステルス性を付与するタンパク質性の医用材料を構築しています (図2)。特に、計算科学やAIを活用した直鎖状タンパク質の設計法を考案し、ステルス性医用材料としての有用性を検討しています。
主な研究業績
- Kei Nishida, et al, Cholesterol- and ssDNA-binding fusion protein-mediated DNA tethering on the plasma membrane, Biomaterials. Science, 13, 299-309 (2025)
- Kei Nishida, et al., Sensitive detection of tumor cells using protein nanoparticles with multiple display of DNA aptamers and bioluminescent reporters, ACS Biomaterials Science and Engineering., 9, 5260–5269 (2023)
- Kei Nishida, et al., Selective Accumulation To Tumor Cells With Coacervate Droplets Formed From Water-Insoluble Acrylate Polymer, Biomacromolecules, 23, 1569–1580 (2022).
使用装置
NMR、高速液体クロマトグラフ、水晶振動子マイクロバランス、接触角計、フローサイトメーター、共焦点レーザー顕微鏡
研究室の指導方針
医用材料に関する研究では、様々な学問に関する知識や技術必要です。個々に独立した研究テーマを設定し、基礎知識や技術を指導するとともに自分の研究に愛着と興味を持って自らが研究を追求できるように導きます。さらに理系人材として重要な科学的な思考力や文章力、表現力を身に付けられるようサポートします。また、もっとも成長する場である学会の参加・発表のチャンスもたくさんあります。ディスカッション、就活、生活についての悩み等、なんでも相談してください。ウェルカムです。
[研究室HP] URL:https://miyakoeijiro.wixsite.com/eijiro-miyako-lab
人体に学び、自然を理解し、ナノ戦略で難治性疾患や老化に挑む
人体に学び、自然を理解し、ナノ戦略で難治性疾患や老化に挑む
抗疾患ナノファイター研究室 Laboratory on Anti-Disease Nano-Fighter
教授:鄭 主恩(CHUNG, Joo Eun)
E-mail:
[研究分野]
バイオマテリアル、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、ナノメディシン、抗がん治療、アンチエイジング
[キーワード]
生体適合性ポリマー、ナノ粒子、非侵襲的薬物送達、ターゲティング、薬効増幅、緑茶カテキン、メラトニン
研究を始めるのに必要な知識・能力
特別な専門知識や技術は必要ありません。科学への探究心があり、向上心、自他への責任感、本気で世界トップレベルの研究に取り組む意欲と覚悟が大事です。
この研究で身につく能力
バイオマテリアルの合成やナノ粒子の調製から化学物質・細胞・動物を用いた様々な手法の評価まで、学際的な知識や分析技術を経験し習得することができます。社会実装価値の高い医療技術創出を目指し世界最先端技術と競う研究を行う中、実験・ディスカッション・プレゼンテーション・論文執筆を通して、論理的思考、慎重さ、忍耐強さ、トラブルシューティング能力、洞察力、コミュニケーション能力を鍛えられるよう指導します。
【就職先企業・職種】 大学教員、博士研究員、特許審査官、化学企業、製薬企業
研究内容

図1 自然由来のナノファイターによる難治性疾患治療および健康寿命の伸長
当研究室はバイオマテリアルを用いたナノシステムを開発し、現治療法の限界を克服することを目指しています。
昨今、医療技術の発展に伴い世界中の人々の寿命が長くなっていますが、健康寿命の伸長は平均寿命より遅く、そのギャップは老化に伴う様々な疾患による生活質(QOL)の低下や個人と社会への大きな負担をもたらしています。当研究室では自然や人体由来の物質からなる新規な生体分解性バイオマテリアルを合成し、様々な難治性疾患の治療や抗老化作用を発揮するナノ粒子を開発しています。例えば、緑茶カテキンまたは脳内睡眠ホルモンであるメラトニンの誘導体を薬物キャリアとしたナノ粒子の開発により、今まで薬物送達が困難とされている疾患部位(がん・脳・後眼部など)へタンパク質・抗体・低分子・核酸などの性質の異なる様々な薬物を高濃度で疾患部位へ特異的に送達し、従来の薬物治療の大きい問題となっている正常部位への副作用を低減すると共に、緑茶カテキンやメラトニンから由来するキャリア本来の治療効能とのシナジー効果により、著しく薬効を増幅することが可能であります(図1)。このナノ粒子は薬物送達の妨げになっている様々な生体バリアを効率よく克服する高い薬物送達能力と、副作用のない低濃度の薬物を用いても高い薬効を達成する薬効増幅能力を兼ね備えた革新的なテクノロジーであり、トップジャーナルに掲載され高い国際評価を受けています。さらに国際特許(90報以上)の出願・登録および大学や企業との共同研究など臨床応用及び産業化を目指した研究開発を推進します。
従来のDDS製剤とは異なる設計指針によって開発されている当研究室のナノメディシンにより、今まで治療困難であった難治性疾患の治療や老化により蓄積する生体へのダメージの修復を可能とし、健康な生活・社会の実現や産業の活性化を目指しています。
主な研究業績
- N. Yongvongsoontorn, J. E. Chung, S. J. Gao, K. H. Bae, M. H. Tan, J. Y. Ying, M. Kurisawa, Carrier-enhanced anticancer efficacy of sunitinib-loaded green tea-based micellar nanocomplex beyond tumor-targeted delivery, ACS Nano 13, 7591-7602 (2019).
- K. Liang, J. E. Chung, S. J. Gao, N. Yongvongsoontorn, M. Kurisawa, Highly augmented drug loading and stability of micellar nanocomplexes comprised of doxorubicin and poly(ethylene glycol)-green tea catechin conjugate for cancer therapy, Advanced Materials 30, 1706963 (2018).
- J. E. Chung et al. Self-assembled nanocomplexes comprising green tea catechin derivatives and protein drugs for cancer therapy, Nature Nanotechnology. 9, 907-912 (2014).
使用装置
動的光散乱測定装置、紫外可視分光光度計、HPLC、NMR、電子顕微鏡、細胞培養装置、動物実験関連機器、IVIS動物イメージングシステム
研究室の指導方針
自分が行っている研究の科学的・社会的意義やインパクト、そして最先端技術と競うレベルの新規性をしっかり理解することで、熱意と意欲を持って研究を進めるよう鼓舞します。研究の進捗状況に関する十分なディスカッションを行い、総合・分析・判断力や問題解決能力を身につけるよう指導します。研究課題を含め学生の個性と適性に合った方法で段階的なマルチプルマイルストーンを設定し、着実に自信をつけながら成長するよう努めます。迅速な意見交換やチームワークは研究遂行において重要であるため、コアタイム(10-17時)を設けます。雑誌会、研究発表、論文執筆を通して、実力・倫理観・リーダーシップを兼ね備えた科学者として活躍できるよう育成します。
[研究室HP] URL:https://chungje-lab.labby.jp/
AI設計の次世代ステルス材料と極細硬性内視鏡を開発 ―光熱がん治療の新たな可能性を切り拓く―
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| 国立大学法人東北大学 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 エア・ウォーター株式会社 帝京大学先端総合研究機構 |
AI設計の次世代ステルス材料と極細硬性内視鏡を開発
―光熱がん治療の新たな可能性を切り拓く―
【発表のポイント】
- 血中滞留時間が従来のPEG(注1)の4倍以上で生分解性(注2)を持つ新しい人工タンパク質「IDP1(注3)」を人工知能(AI)を用いて開発しました。
- IDP1でコーティングした光熱変換ナノ粒子(注4)は静脈投与だけで腫瘍に効率よく集積し、正常臓器への分布が少ないことを定量的に確認しました。
- 標準的な注射針に挿入できる極細硬性内視鏡(注5)を開発し、腫瘍内部から直接レーザを照射する「接触型照射システム」を実現しました。
- マウスの大腸がんモデルにおいて、1回の薬剤投与と1回のレーザ照射の組み合わせで腫瘍が14日以内に消失し、40日以上再発しないことを確認しました。
- 観察期間中、明らかな全身毒性は認められませんでした。
【概要】
| 近赤外線レーザでがん細胞を熱で破壊する「光熱療法」は、手術や放射線治療に比べて体への負担が少ない次世代のがん治療として期待されています。しかし、治療薬を運ぶナノ粒子が免疫細胞に排除されて腫瘍へ届きにくいことや、体外からのレーザ照射では深部腫瘍に十分な熱を届けられないことが課題でした。 東北大学 多元物質科学研究所の都 英次郎教授(北陸先端科学技術大学院大学 客員教授)らと、エア・ウォーター株式会社の山下 紘正グループリーダー(帝京大学先端総合研究機構 特任准教授)らは、共同研究によりこれら2つの課題を同時に解決しました。タンパク質構造予測AI「AlphaFold(注6)」を活用して設計した人工タンパク質「IDP1」をナノ粒子にコーティングすることで腫瘍への集積性を高めるとともに、注射針に挿入可能な極細硬性内視鏡を用いた接触型レーザ照射システムを開発し、低出力で高い加熱効果を実現しました。マウス大腸がんモデルでは、1回の治療で腫瘍の消失と長期的な再発抑制を確認しました。 本研究成果は、ナノサイエンス・材料科学分野の専門誌Small Scienceに、2026年7月14日付で掲載されました。 |
【詳細な説明】
研究の背景
光熱療法はがん細胞を近赤外線レーザで選択的に加熱・破壊する治療法で、低侵襲性・繰り返し治療の可能性・免疫活性化効果などから次世代がん治療として世界中で研究が進んでいます。治療薬はナノ粒子に封入して静脈投与されますが、体内の免疫細胞(主にマクロファージ)がナノ粒子を異物として認識し、肝臓や脾臓で回収してしまうため、腫瘍への到達効率が低下するという課題があります。
これを防ぐためにPEGというプラスチック由来の分子でナノ粒子を覆うことが広く行われてきましたが、繰り返し投与によって体がPEGへの抗体を産生し2回目以降の投与では薬剤が急速に排除される「加速血中消失現象(注7)」が起こること、またPEGが体内で分解されず長期的な安全性に懸念が残ることが問題でした。
レーザ照射については、体の外から照射する従来法では皮膚・皮下組織・筋肉などがレーザを吸収・散乱するため、深部の腫瘍に十分な熱を届けるには1 W以上の高出力が必要となり、皮膚熱傷などの副作用リスクが高まります。光ファイバを腫瘍内に挿入する方法も存在しますが、これまでのシステムはファイバが太く、小動物実験への適用や最小侵襲性の観点で課題がありました。
今回の取り組み
研究グループはこれらの課題を以下の2つの独自技術で解決しました。
1つ目は、コンピュータ設計による人工ステルスタンパク質「IDP1」の開発です。血液中に豊富に存在する「ヒト血清アルブミン(HSA)(注8)」は表面に親水性アミノ酸を多く持ち、ナノ粒子への非特異的タンパク吸着を防ぐ性質を持っています。研究グループはまずHSAの立体構造データを解析して水との接触面積が大きいアミノ酸だけを選び出し、得られた改変HSAの立体構造をノーベル賞受賞技術にも貢献したタンパク質構造予測AI「AlphaFold」で予測することで、固有の立体構造を持たない柔軟な領域(固有無秩序領域)を特定しました。この候補配列の中から最も高い親水性と適切な電荷バランスを持つ配列をIDP1として選定しました。AlphaFoldの高精度な構造予測能力があってこそ、従来は困難だった「無秩序な領域の同定」が可能になりました。これらを評価した結果、弱いマイナス電荷を持ち最も高い親水性を示す候補をIDP1として選定しました。IDP1は大腸菌を使って生産でき、マウスへの投与実験では血中滞留時間がPEGの4倍以上(半減期150.5分対17.8分)を達成しました。
2つ目は、エア・ウォーター株式会社との共同研究による注射針サイズの極細硬性内視鏡です。エア・ウォーター株式会社が培ってきたグレーデッドインデックス型プラスチック光ファイバ(GI-POF)のレンズ応用技術を医療応用に展開し、直径0.5 mmのレンズを持つ極細硬性内視鏡を実現しました。この内視鏡は標準的な16ゲージ注射針の内腔に収まり、腫瘍内に直接挿入して808 nmのレーザを照射できます。レーザが皮膚や周囲組織を通過しないため光の減衰がなく、腫瘍全体に均一に熱を届けられます。実験では従来の外部照射(700 mW、ΔT≈40°C)と比べて28%低い出力(500 mW)で同等の温度上昇(ΔT=36.3°C)を達成しました。さらに励起波長785 nm・検出波長810〜860 nmの蛍光観察モジュールを搭載し、薬剤集積のリアルタイム確認と最適照射位置の決定を同一デバイスで行えるシステムを実現しました。
実験結果
細胞実験では、IDP1でコーティングしたナノ粒子(IDP1-CNH/ICG)は免疫細胞であるRAW264.7マクロファージへの取り込みが従来のコーティングなし粒子と比べて大幅に抑制されました。がん細胞(Colon26)に対しては接触型レーザ照射によって濃度依存的な細胞死が誘導され、正常細胞(MRC5)への影響は最小限に留まりました。
マウスを使ったin vivo実験では、投与24時間後に腫瘍部位への強い蛍光集積が確認されました。蛍光解析では腫瘍への集積量が肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺を大幅に上回り、正常臓器への分布が少ないことが定量的に示されました。
がんの治療実験では、IDP1-CNH/ICG投与+接触型レーザ照射群において14日以内に全マウスで腫瘍が消失しました。40日以上の観察期間中に再発は認められませんでした。体重に変化はなく血液検査でも異常は見られず、安全性が示唆されました。腫瘍組織の病理解析ではアポトーシス(細胞の自然死)とネクローシス(壊死)の強い誘導が確認されました。なお薬剤投与なしで接触型レーザのみを照射した群、および薬剤投与+従来の外部レーザ照射群ではいずれも腫瘍の消失には至らず、IDP1-CNH/ICGと接触型照射の組み合わせが治療成功に重要な要素であることが示されました。
今後の展開
IDP1の設計手法はがん治療薬の運搬だけでなく、さまざまなバイオ医薬品の体内での安定性向上(半減期延長)にも広く応用できると期待されます。また接触型光ファイバ内視鏡システムについては、エア・ウォーター株式会社と連携しながら内視鏡が届くさまざまながん種(頭頚部がん、食道がん・乳がん・大腸がんなど)への展開を進める予定です。今後は非臨床安全性試験の実施と早期臨床応用に向けた研究開発を推進します。

| 図1. 本研究の概要。ヒト血清アルブミンからコンピュータで設計した人工タンパク質IDP1でコーティングした光熱変換ナノ粒子(IDP1-CNH/ICG)を静脈投与し、注射針サイズの極細硬性内視鏡を腫瘍内に挿入して直接レーザを照射することで、効率的な光熱がん治療を実現した。 |

| 図2. IDP1の優れたステルス性能。(左)静脈投与後の血中濃度の変化。IDP1(赤線)は従来のPEG(水色線)と比べて4倍以上長く血液中に留まることが示された。(右)がん細胞(Colon26)および免疫細胞(RAW264.7マクロファージ)へのナノ粒子の取り込み量の比較。IDP1でコーティングしたナノ粒子(薄紫)は、コーティングなし(濃紺)と比べて取り込みが大幅に抑制された。 |

| 図3. マウスを用いた光熱療法の治療効果。(左)近赤外線サーモグラフィによる腫瘍部位の温度分布。注射針サイズの極細硬性内視鏡を用いた接触型レーザ照射(右下)では、照射開始から5分後に腫瘍内温度が約67.7°Cに達した。体外からの従来照射(右上)では温度上昇が限定的であった。(右)各治療群における腫瘍体積の経時変化。IDP1-CNH/ICGの投与と接触型レーザ照射を組み合わせた群(黒丸)でのみ、マウスの腫瘍がレーザ照射の14日以内に消失した。他の治療群では腫瘍の増大が確認された。データはマウス5匹の平均値±標準偏差を示す。 |
【謝辞】
本研究は、科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(JPMJSF2318)、JSPS科研費(JP23K17209、JP23H00551、JP25K21827)同 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(JPJS00420230006)、文部科学省先端研究基盤共用促進事業(JPMXS0440200021)の支援を受けて実施されました。また、極細硬性内視鏡の開発にあたってはエア・ウォーター株式会社、帝京大学先端総合研究機構から実験的・技術的サポートをいただきました。
【用語説明】
石油由来の水溶性ポリマーで、ナノ粒子を免疫細胞から守るため医薬品分野で広く使われてきた材料です。しかし繰り返し投与によって体が抗体を産生し薬剤が急速に排除される問題や、体内で分解されないという長期安全性の課題が知られています。(ポリエチレングリコール)
体内の酵素や化学反応によって自然に分解される性質のことです。IDP1はアミノ酸から構成されており、体内のタンパク質分解酵素によって最終的に無害なアミノ酸に分解されます。プラスチック由来のPEGが体内で分解されないことと対照的な特長です。
本研究で新たに開発した人工タンパク質です。通常のタンパク質は決まった立体構造を持ちますが、IDP1(内在性無秩序ポリペプチド1)は形が決まらず水の中で柔軟に揺らめく「無秩序な」構造を持ちます。この柔軟性と水との強い親和性が、免疫細胞から認識されにくいステルス効果の源となっています。約100個のアミノ酸から構成される比較的小さなタンパク質で、大腸菌による大量生産も可能です。
本研究で開発したナノ粒子の正式名称です。直径約200 nmの脂質ナノ粒子の内部にカーボンナノホーン(CNH、炭素製の光熱変換材料)とインドシアニングリーン(ICG、FDA承認の蛍光色素)を封入し、表面をIDP1でコーティングしたものです。近赤外線レーザを照射すると効率よく熱に変換され、がん細胞を破壊します。(IDP1-CNH/ICG)
エア・ウォーター株式会社と共同開発した極細の硬性内視鏡です。グレーデッドインデックス型プラスチック光ファイバ(GI-POF)という、光を効率よく伝える特殊な素材を活用したレンズを使用しています。レンズ径わずか0.5 mm、標準的な注射針(16ゲージ)の内腔に挿入して腫瘍内に刺し込むことができ、腫瘍内部から直接レーザを照射できます。同時に腫瘍内の蛍光画像をリアルタイムで観察できる機能も搭載可能なデバイスです。
英国のDeepMind社(現Google DeepMind)が開発したタンパク質の立体構造を予測する人工知能(AI)プログラムです。アミノ酸の配列情報だけから、タンパク質がどのような三次元構造を取るかを高精度で予測できます。この技術は生命科学に革命をもたらしたとして、2024年のノーベル化学賞の受賞対象となった研究に深く関連しており、世界中の研究者が無償で利用できます。本研究では、ヒト血清アルブミンの改変配列がどのような構造を取るかを予測し、形が決まらない「無秩序な」領域を特定するために使用しました。(アルファフォールド)
PEGでコーティングしたナノ粒子を繰り返し投与した際に、免疫系がPEGに対する抗体を産生することで2回目以降の投与では薬剤が急速に排除される現象です。がん治療では複数回投与が必要な場合が多く、PEGベースの薬剤送達システムの重大な課題として広く認識されています。IDP1はタンパク質由来であるため、この問題が起きにくいと考えられます。(ABC現象)
血液中に最も多く含まれる主要タンパク質で、体重60 kgの成人では血液中に約200 gが存在します。脂肪酸・ホルモン・薬物を全身に運ぶ輸送役を担うほか、表面に親水性アミノ酸を多数持ち免疫細胞からの認識を受けにくい性質があります。本研究ではHSA全体ではなく、そのステルス性に寄与する部分の配列だけをコンピュータで特定・抽出しました。
【論文情報】
| タイトル | Intrinsically Disordered Polypeptides-Based Stealth Materials Enable Enhanced Photothermal Cancer Therapy Using an In Situ Fiber-Based Penetrating Laser System |
| 著者 | Kei Nishida, Hiromasa Yamashita, Akira Takahashi, and Eijiro Miyako* *責任著者:東北大学多元物質科学研究所 教授 都 英次郎 |
| 掲載誌 | Small Science |
| DOI | 10.1002/smsc.70342 |
| URL | https://doi.org/10.1002/smsc.70342 |
令和8年7月21日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2026/07/21-1.html学生の加藤さんがCVG2025において経済産業大臣賞・ビジネス大賞を受賞
学生の加藤裕介さん(博士後期課程3年、メディカルサイエンス研究領域、松村和明研究室)が、第22回キャンパスベンチャーグランプリ全国大会(CVG2025)において、経済産業大臣賞・ビジネス大賞を受賞しました。
学生ビジネスプランコンテスト「CVG2025」は、令和8年2月24日に東京・霞が関の霞山会館にて開催され、全国8地域の地方大会を勝ち抜いた12組の学生がプレゼンテーションを行い、ビジネスプランを競い合いました。
同大会は会場での開催に加え、YouTubeによるライブ配信も行われました。
※参考:CVG
受賞者インタビュー
■受賞年月日
令和8年2月24日
■プラン名
豚凍結精液の販売ビジネス
■提案者
加藤裕介
■受賞対象となったビジネスプランの内容
養豚事業者向けに、豚の精子を凍結する技術を開発・提供する事業を提案した。まずは豚精子用の凍結保護剤販売ビジネスとして開始し、その後凍結精液を販売するビジネスへと移行する。育種改良に携わるブリーダー・ブランド豚を扱う会社へのサービス、海外展開の可能性など、多様なニーズの存在をアピールした。
■受賞にあたって一言
このたびは経済産業大臣賞・ビジネス大賞を頂き、大変光栄に存じます。本事業の共同研究者であり、指導教員である松村和明教授に、この場を借りて心より御礼申し上げます。また、本事業における研究開発およびビジネス可能性の評価には、TeSH GAPファンドプログラムよりご支援をいただいております。内田史彦特任教授をはじめTeSHプログラムに携わられている皆様と、日頃より多くのご助言をいただいている北陸RDXの水野惠介様に、深く感謝申し上げます。
本受賞にあたり、審査において養豚業界に対する解像度を高く評価していただけました。市場調査やヒアリングにご協力いただいた皆様のお力添えに、この場を借りて深く感謝申し上げます。特に、令和7年9月の家畜改良センターでの研修経験は、養豚業界への理解をより具体的で鮮明なものにしてくれました。当時お世話になりました皆様に厚く御礼申し上げます。
関連記事:学生の加藤さんがCVG中部2025において大賞を受賞
令和8年7月13日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2026/07/13-1.html令和8年度 第2回 超越バイオメディカルDX研究拠点 ネオ・エクセレントコアセミナー
下記のとおりセミナーを開催しますので、ご案内します。
| 日時 | 令和8年7月22日(水) 16:30~17:30 |
| 場所 | JAISTイノベーションプラザ 2F シェアードオープンイノベーションルーム |
| 講演者 | 北陸先端科学技術大学院大学 社会システムマネジメント研究領域 奥山 亮 教授 |
| 講演題目 | 創薬スタートアップとそのエコシステム:世界の潮流と日本の現在地 |
| 使用言語 | 日本語 |
| 参加申込 | ・参加費無料 ・要予約(定員30名) 下記の担当へ前日までにメールにてお申し込みください。 【本件担当・予約申込先】 北陸先端科学技術大学院大学 超越バイオメディカルDX研究拠点 教授 栗澤 元一 (kurisawa |
第2回研究科セミナー(メディカルサイエンス研究領域) 「マイクロ流体単一細胞カプセル化による間葉系幹細胞の運命制御および免疫回避型細胞治療」
| 日 時 | 令和8年7月8日(水)13:00~15:00 |
| 場 所 | マテリアルサイエンス研究棟4棟8階 中セミナー室 |
| 講演題目 | マイクロ流体単一細胞カプセル化による間葉系幹細胞の運命制御および免疫回避型細胞治療 |
| 講演者 | 九州大学 先導物質化学研究所 助教 Ik Sung Cho 氏 |
| 使用言語 | 英語 |
| お問合せ先 | 北陸先端科学技術大学院大学 メディカルサイエンス研究領域 教授 松村 和明(E-mail:mkazuaki |
● 参加申込・予約は不要です。直接会場にお越しください。
出典:JAIST イベント情報https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/event/2026/06/30-1.html学生の加藤さんがNEDOディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)開拓コースに採択
学生の加藤 裕介さん(博士後期課程3年、メディカルサイエンス研究領域、松村研究室)が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「2026年度ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)/開拓コース」に採択されました。
NEP 開拓コースは、NEDOが実施する起業家候補人材の発掘・育成を目的とした支援プログラムです。 ディープテック分野の技術シーズを有する、またはその技術シーズを活用した事業アイデアを有する人材を対象に、事業化支援人材(Supervisor、カタライザー、Accompany-Runner)が伴走し、研究開発型スタートアップの創出に向けた育成を進めます。
■研究課題名
細胞製剤コールドチェーンを変革する凍結保護剤の開発
事業の詳細は、NEDOホームページをご覧ください。
https://nep.nedo.go.jp/kaitaku
令和8年6月17日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2026/06/17-1.html令和8年度 第1回 超越バイオメディカルDX研究拠点 ネオ・エクセレントコアセミナー
下記のとおりセミナーを開催しますので、ご案内します。
| 日時 | 令和8年5月28日(木) 16:00~17:00 |
| 場所 | JAISTイノベーションプラザ 2F シェアードオープンイノベーションルーム |
| 講演者 | Xenolis Pte. Ltd. Chief Scientific Officer 平尾 一郎 博士 Chief Operating Officer, R&D Director 木本 路子 博士 |
| 講演題目 | 人工塩基対による遺伝子アルファベット拡張技術の創出とその応用 |
| 使用言語 | 日本語 |
| 参加申込 | ・参加費無料 ・要予約(定員30名) 下記の担当へ前日までにメールにてお申し込みください。 【本件担当・予約申込先】 北陸先端科学技術大学院大学 超越バイオメディカルDX研究拠点 教授 栗澤 元一 (kurisawa |
多剤耐性がんを克服する新たなナノ粒子薬物送達システムの開発に成功 ―アミノ酸由来のナノ粒子による逐次的薬物放出と光熱療法の融合ー
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国立大学法人東北大学 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 |
多剤耐性がんを克服する新たなナノ粒子薬物送達システムの開発に成功
―アミノ酸由来のナノ粒子による逐次的薬物放出と光熱療法の融合―
【発表のポイント】
- アミノ酸を原料とした超微小粒子(ナノ粒子(注1))を独自の製法で作製し、抗がん剤をより多く効率よく詰め込むことに成功しました。
- 粒子の表面加工により、がん細胞が抗がん剤を細胞の外へ追い出す前に、その「排出ポンプ」の働きをあらかじめ止めてから抗がん剤を届ける仕組みを実現しました。
- 薬による治療とレーザー光を使った熱治療を組み合わせることで、治療が難しい多剤耐性がんのマウス実験において、40日間すべてのマウスが生存するという顕著な効果を達成しました。
- 開発したナノ粒子は正常な組織への毒性がなく、がん細胞を狙い撃ちにする機能も確認されました。
【概要】
| がん細胞が、複数の抗がん剤に対して同時に抵抗性を持つようになる現象「多剤耐性」は、がんに対する化学療法において大きな課題となっています。 東北大学 多元物質科学研究所の都英次郎教授(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 客員教授)らの研究グループは、多剤耐性(注2)がんの治療に向けた革新的なナノ粒子薬物送達システムの開発に成功しました(図1)。本研究グループは、アミノ酸を原料とした超微小粒子(ナノ粒子)を独自の製法で作製し、その表面をイカやタコの墨に含まれる色素に似た物質(ポリドーパミン(注3))で層状にコーティングしました。この加工により、多剤耐性がん細胞が抗がん剤を排出する前に細胞内に蓄積させることが可能となりました。さらに、腫瘍部位を局所的に加熱する光熱療法との組み合わせにより、マウス実験で治療開始からわずか7日で腫瘍が完全に消失し、40日間すべてのマウスが副作用なく生存しました。 本成果は多剤耐性がんに対する化学療法と光熱療法を融合した新しい治療戦略として、高い臨床応用可能性を持ち、今後、様々な種類の多剤耐性腫瘍への応用拡大が期待されます。 本研究成果は、薬物送達分野の国際的権威ある学術誌「Journal of Controlled Release」に、2026年5月6日付けで掲載されました。 なお、本研究はフランス国立科学研究センター(CNRS)ストラスブール大学のAlberto Bianco博士、Cécilia Ménard-Moyon博士らの研究グループとの共同研究によるものです。 |
【詳細な説明】
研究の背景
がん化学療法における最大の障壁の一つが多剤耐性(MDR)の発現です。MDRを獲得したがん細胞は、細胞膜上にP糖タンパク質(P-gp)(注4)と呼ばれる薬物排出ポンプを過剰発現させ、投与された抗がん剤を細胞外へ積極的に排出してしまいます。その結果、薬剤の細胞内濃度が著しく低下し、治療効果が大幅に損なわれます。この問題を解決するため、P-gp阻害剤と抗がん剤を同時に投与する手法が検討されてきましたが、両薬剤が同時に放出されると、P-gpの阻害が完了する前に抗がん剤が排出されてしまうという課題がありました。
今回の取り組み
本研究グループは、チロシンおよびトリプトファンのアミノ酸誘導体を自己集合・紫外線架橋させたナノ粒子を出発材料として、独自の自己鋳型エッチング法によって多孔質アミノ酸ナノ粒子(CPP)を作製しました。この多孔質構造により、抗がん剤ドキソルビシン(Dox)(注5)を従来の非多孔質ナノ粒子(積載効率~15%、封入効率~57%)と比べて大幅に高効率で担持することが可能となりました。
次に、ナノ粒子表面にポリドーパミン(PDA)を層ごとに積層コーティングし、さらにP-gp阻害剤であるキニジン(注6)をpH感受性のイミン結合を介して表面に結合させました。この設計により、以下の3つの革新的な機能が実現されました。
1つは、逐次的薬物放出(注7)です。酸性・グルタチオン(GSH)豊富な腫瘍細胞内環境に応答して、キニジンがDoxより先に放出されます。PDAコーティング層数を3層とすることで、キニジンがP-gpを阻害した後にDoxが放出される最適な逐次放出プロファイルを実現しました。
2つ目は、光熱療法(PTT)(注8)です。PDAコーティングは近赤外線(808 nm)を吸収して熱に変換する優れた光熱変換能を示し、腫瘍部位における温度を51℃まで上昇させることが確認されました。
3つ目は、腫瘍ターゲティングです。PEGリンカーを介して表面に結合させた葉酸(FA)(注9)が、多くの腫瘍細胞で過剰発現している葉酸受容体を標的とし、ナノ粒子の腫瘍への選択的集積を促進しました。
多剤耐性EMT-6/AR1細胞を用いたin vitro実験において、本ナノ粒子(FA/C-Dox@PDA-Q)とレーザー照射を組み合わせた治療により、細胞生存率が5%未満にまで低下することが確認されました。これは化学療法単独やPTT単独の効果をはるかに超えるものです。
多剤耐性EMT-6/AR1腫瘍を移植したマウスモデルを用いたin vivo実験では、FA/C-Dox@PDA-Q+レーザー照射群において、治療開始7日後に腫瘍の完全消退が観察され、40日間の観察期間中に100%の生存率が達成されました(図2)。一方、薬剤を含まないナノ粒子(PTT単独)の群では一時的な腫瘍消退後に再発が認められ(40日生存率20%)、その他の対照群はすべて生存率0%でした。血液検査および体重モニタリングの結果から、本ナノ粒子の全身毒性がないことも確認されました。
今後の展開
本研究で開発したナノ粒子プラットフォームは、多剤耐性がんに対する化学療法と光熱療法を融合した新しい治療戦略として、高い臨床応用可能性を持ちます。今後は、様々な種類の多剤耐性腫瘍への応用拡大や、さらなる安全性・有効性の検討を進めていく予定です。

図1. 本研究の概念

| 図2. マウスを用いた抗腫瘍効果の検証 (a) 腫瘍の大きさの変化(治療開始からの日数)4種類の条件でマウスに投与し、腫瘍の大きさを継続的に観察しました。機能性ナノ粒子(FA/C-Dox@PDA-Q)と近赤外線レーザー照射を組み合わせた群では、わずか7日間で腫瘍が完全に消失しました。一方、薬剤を含まないナノ粒子+レーザー照射の群では一時的な腫瘍消失の後に再増殖が認められ、それ以外の対照群では腫瘍の抑制効果はほとんど見られませんでした。▲印はナノ粒子の投与日、↑印はレーザー照射日を示します。 (b) 生存率(治療開始から40日間)機能性ナノ粒子(FA/C-Dox@PDA-Q)+レーザー照射を受けたすべてのマウスが、観察期間の40日間を通じて生存しました(生存率100%)。一方、他の治療条件のマウスはいずれも40日以内に全例死亡しており、本治療法の顕著な生存延長効果が示されました。 |
【謝辞】
本研究は、フランス国立科学研究センター(CNRS)、フランス国立研究機構(ANR)LabExプロジェクト(ANR-10-LABX-0026_CSC)、Jean-Marie Lehn財団、JSPS科研費 基盤研究(A)(JP23H00551)、挑戦的研究(開拓)(JP22K18440、JP25K21827)、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(JPMJTR22U1)、JST共創の場形成支援プログラムJPMJSF2318の支援を受けて実施されました。
【用語説明】
【論文情報】
| タイトル | Multifunctional amino acid-based nanoparticles for sequential drug delivery to overcome multidrug resistant cancer |
| 著者 | Tengfei Wang, Nina Sang, Cécilia Ménard-Moyon,* Eijiro Miyako,* Alberto Bianco* *責任著者:東北大学多元物質科学研究所 教授 都英次郎 フランス国立科学研究センター(CNRS)ストラスブール大学 Alberto Bianco博士、Cécilia Ménard-Moyon博士 |
| 掲載誌 | Journal of Controlled Release |
| DOI | 10.1016/j.jconrel.2026.114954 |
| URL | https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2026.114954 |
令和8年5月8日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2026/05/08-1.html


