研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。学生の永原さんが第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞
学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞しました。
日本太陽光発電学会は、太陽光発電に関連する学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、将来の脱炭素社会の実現とその発展に寄与することを目的としています。
同シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として開催されています。
Innovative PV奨励賞は、同シンポジウムにおいて、太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同会若手会員に対し授与されるものです。
※参考:日本太陽光発電学会
■受賞年月日
令和6年8月28日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度評価
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。
■受賞にあたって一言
奨励賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平教授をはじめ多くの方からサポートや貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和6年9月24日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/09/24-2.html第7回研究科セミナー(サスティナブルイノベーション研究領域)「双晶粒界操作による周期分極反転結晶の作製」
日 時 | 令和6年8月22日(木)15:00~16:00 |
場 所 | 知識科学講義棟 2階 中講義室 |
講演題目 | 双晶粒界操作による周期分極反転結晶の作製 |
講演者 | 東北大学 金属材料研究所 助教 前田 健作 氏 |
使用言語 | 日本語 |
お問合せ先 | 北陸先端科学技術大学院大学 サスティナブルイノベーション研究領域 教授 大平 圭介(E-mail:ohdaira ![]() |
● 参加申込・予約は不要です。直接会場にお越しください。
出典:JAIST イベント情報https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/event/2024/08/13-1.html金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第3回共同シンポジウムを開催

令和6年7月29日(月)、本学小ホールにおいて、金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第3回共同シンポジウムを開催しました。
金沢大学と本学は、平成30年度より融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、昨年度より、融合科学共同専攻の活動にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目的に共同シンポジウムを開催しており、今回で第3回目の開催となります。
「AI」をテーマに開催した今回は、寺野 稔学長による開会挨拶後、本学 人間情報学研究領域 池 勇勳准教授、金沢大学 融合研究域 融合科学系 米陀 佳祐准教授、金沢大学 融合研究域 融合科学系 藤生 慎准教授、本学 人間情報学研究領域 岡田 将吾准教授にそれぞれAI技術に関する先進的な研究開発についてご講演いただき、金沢大学 和田 隆志学長の挨拶をもって閉会となりました。
本シンポジウムが、今後の両大学間の共同研究の発展と促進を目的としていることから、各講師の先生方は、自身の研究内容の説明に加えて、「どのような研究分野との共同研究が可能か」という点も併せて講演されました。
また、共同研究のきっかけは研究者同士の雑談からというケースが多いことから、シンポジウム終了後に研究者同士が自由に歓談できる時間を設けました。講演後のリラックスした空間の中、多くの研究者が活発に情報交換を行い、お互いの研究内容について理解を深めました。
オンライン配信とのハイフレックス形式にて開催した本シンポジウムには、両大学から多くの方が参加され、質疑応答の時間にも研究者間による活発な意見交換が行われました。本シンポジウムが今後両大学間の共同研究発展の端緒となるよう推進して参ります。

開会の挨拶をする寺野学長

講演①「無人移動ロボットによる過酷な環境への挑戦」
池 勇勳 准教授
(本学 人間情報学研究領域)

講演②「市街地自動運転の認識技術と実証実験の取り組みについて」
米陀 佳祐 准教授
(金沢大学 融合研究域 融合科学系)

講演③「AIを用いた戦略的次世代型橋梁点検支援システムの開発」
藤生 慎 准教授
(金沢大学 融合研究域 融合科学系)

講演④「マルチモーダルインタラクション研究の展開と課題」
岡田 将吾 准教授
(本学 人間情報学研究領域)

閉会の挨拶をする金沢大学 和田学長

歓談時間の様子
令和6年8月1日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/08/01-2.html大聖寺高等学校の生徒さんが来学
7月25日(木)、加賀市にある大聖寺高等学校の1年生36名の皆さんが来学し、3つの講義を受講しました。
1つ目は、サスティナブルイノベーション研究領域の小矢野幹夫教授による「『熱から発電、電気で熱を操る』近未来のテクノロジー『熱電変換技術』とは?」について、温度差によって電圧が発生する原理「ゼーベック効果」に関する説明があり、その後、生徒たちはこの原理を利用して動く熱電ミニカーを作り、より速く走らせることに熱心に取り組んでいました。
2つ目は、人間情報学研究領域の長谷川忍教授が「AIと人間の学習の違いを学ぼう」と題して、AIと人間の学習プロセスの共通点と違いについて解説し、生徒たちは長谷川研究室が作成したコンピュータゲームを通して、AIを学習させる方法を学びました。
3つ目は、創造社会デザイン研究領域の謝浩然准教授が「生成AIの仕組み」について、生徒たちからのリクエストに応じて画像を生成するなど実演を交えて説明しました。グループワークにおいて、生徒たちは「2050年の世界」をイメージして画像を生成し、その創作意図を発表しました。
続く施設見学では、ナノマテリアルテクノロジーセンターの透過電子顕微鏡や情報社会基盤研究センターの大規模並列計算機「KAGAYAKI」を興味深く見ていました。
今回の訪問が科学技術に興味を持つきっかけになれば幸いです。

小矢野教授の講義
「『熱から発電、電気で熱を操る』近未来の
テクノロジー『熱電変換技術』とは?」

長谷川教授の講義
「AIと人間の学習の違いを学ぼう」

謝准教授の講義
「生成AIの仕組み」

透過電子顕微鏡の見学
令和6年7月30日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/07/30-1.html学生のLIUさんがICT/ECT 2024においてThe ICT2024 Outstanding Poster Prizeを受賞
学生のLIU, Ruianさん(博士後期課程3年、サスティナブルイノベーション研究領域、小矢野研究室)が40th International & 20th European Conference on Thermoelectrics (ICT/ECT 2024)においてThe ICT2024 Outstanding Poster Prizeを受賞しました。
国際熱電学会とヨーロッパ熱電学会が後援するICT/ECT 2024は、第40回国際熱電会議と第20回ヨーロッパ熱電会議の合同会議で、AGHクラクフ大学が主催し、ポーランド(クラクフ)にて令和6年6月30日~7月4日にかけて5日間にわたり開催されました。
国際熱電会議(ICT)は、理論とモデリング、物理現象、新素材、測定技術、熱電デバイス、システム、アプリケーションなどあらゆる側面を網羅するトピックを取り扱う、熱電変換技術に関する最も主要な国際会議であり、化学、物理学、材料科学の分野における新しいアイデアや発見、また熱電変換の進歩に寄与する産業およびエネルギー分野における実用的な応用について議論する場を提供しています。
ICT/ECT 2024では約300件のポスター発表があり、その中から優れた発表を行った8件の発表者に対してThe ICT2024 Outstanding Poster Prizeが授与されました。
参考:ICT/ECT2024
ICT/ECT2024参加レポート
■受賞年月日
令和6年7月3日
■研究題目、論文タイトル等
Investigation of lattice anharmonicity in Se-doped Bi2Te3 based on temperature-dependent Raman spectroscopy
■研究者、著者
劉鋭安(LIU, Ruian)、宮田全展、小矢野幹夫
■受賞対象となった研究の内容
SeドープのBi2Te3は、高性能なn型熱電材料としてインターネット光通信レーザーの温度制御などに広く応用されており、その熱電物性はよく調べられている。しかしながらこの機能性材料の低熱伝導率の原因であるフォノン散乱過程に関する実験はほとんど行われていない。私は、Seのドープ量を系統的に変化させたBi2Te3-xSex材料を合成し、ラマン散乱ピークの半値幅の温度依存性の解析から、結晶歪みやSe置換量による格子の非調和振動の変化を詳細に調べた。その結果、3次の非調和項の寄与が支配的である一方、4次以上の非線形的な非調和振動項はほとんど寄与しないことを明らかにした。いままでこの物質の低い熱伝導率は高次の非調和格子振動によるものと考えられていたが、私の実験結果はその考え方に修正をもたらすものであり、より現実的な低熱伝導率の原因の解明につながる重要な成果である。
■受賞にあたって一言
この度は、国際熱電会議よりThe ICT2024 Outstanding Poster Prizeを拝受しましたこと、誠に光栄に存じます。この表彰は私個人の力だけではなく、日々ご指導を賜りました小矢野幹夫教授、宮田全展講師(現産業技術総合研究所)をはじめ、研究室の皆様のお陰です。この場をお借りして心より深く感謝を申し上げます。また、渡航諸費用にご支援を頂いた丸文財団にも厚く御礼申し上げます。


令和6年7月26日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/07/26-1.html第3回 金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 共同シンポジウム
開催日時 | 令和6年7月29日(月)13:30~17:25 |
会 場 | 本学 マテリアルサイエンス系講義棟1階 小ホール ※オンラインにて同時配信(ハイフレックス開催) |
対 象 | 両大学の教職員・学生 |
テーマ | AI |
プログラム | 13:30~ オープニング(本シンポジウムの趣旨説明等) 13:35~ 開会挨拶 北陸先端科学技術大学院大学 寺野 稔 学長 13:40~14:25 ≪講演1≫ *講演:40分、質疑応答:5分 講演者: 池 勇勳 准教授 (本学 人間情報学研究領域) 講演タイトル:無人移動ロボットによる過酷な環境への挑戦 14:30~15:15 ≪講演2≫ *講演:40分、質疑応答:5分 講演者: 米陀 佳祐 准教授 (金沢大学 融合研究域 融合科学系) 講演タイトル:市街地自動運転の認識技術と実証実験の取り組みについて 15:15~15:45 休憩 15:45~16:30 ≪講演3≫ *講演:40分、質疑応答:5分 講演者: 藤生 慎 准教授 (金沢大学 融合研究域 融合科学系) 講演タイトル:AIを用いた戦略的次世代型橋梁点検支援システムの開発 16:35~17:20 ≪講演4≫ *講演:40分、質疑応答:5分 講演者: 岡田 将吾 准教授 (本学 人間情報学研究領域) 講演タイトル:マルチモーダルインタラクション研究の展開と課題 17:20~17:25 閉会挨拶 金沢大学 和田 隆志 学長 <*終了後~18:00位まで 研究者間の歓談時間> |
参加申込 | 下記申込み用フォームからお申込みください https://forms.office.com/r/Jt332kgkih ※会場での参加、オンライン参加ともに事前申込みが必要です。 ※オンライン参加の方には、アクセス用URLをご連絡いただいたメールアドレスに後日送信いたします。 |
問合せ先 | 研究推進課 学術研究推進係 内線:1907/1912 E-mail:suishin@ml.jaist.ac.jp |
学生のLEさんがSII2024にてBest Student Paper Awardを受賞

学生のLE, Nhat Dinh Minhさん(博士後期課程3年、人間情報学研究領域、ホ研究室)がThe 2024 16th IEEE/SICE International Symposium on System Integration(SII2024)においてBest Student Paper Awardを受賞しました。
SII2024は、VNU工科大学が主催し、1月8日~11日にかけてベトナム(ハロン)にて開催された国際会議です。IEEE/SICE SIIはシステムインテグレーションに関する最先端技術と将来の展望を提示する主要な会議で、産業界の専門家、研究者、学者がフロンティア技術、画期的で革新的なソリューション、アプリケーションに関するアイデアや経験を共有することを目的としています。システムインテグレーションはキーテクノロジーのひとつであり、新世紀における産業システムや社会システムの問題を解決するためには、ハードウェアとソフトウェアの統合が特に重要になります。SII2024では、システムインテグレーションの新しい研究と産業応用に焦点を当て、その有効性を向上させるためのアプローチと方法論について議論が交わされました。
Best Student Paper Awardは、同会議において最も優れた研究成果を発表した学生に授与されるものです。
※参考:SII2024
■受賞年月日
令和6年1月10日
■研究題目
Distributed Cascade Force Control of Soft-Tactile-Based Multi-Robot System for Object Transportation
■研究者、著者
Duy Anh Nguyen(University of Prince Edward Island)、Nhat Minh Dinh Le、Nhan Huu Nguyen、Pham Duy Hung(University of Engineering and Technology (VNU-UET))、Van Anh Ho、Trung Dung Ngo(University of Prince Edward Island)
■受賞対象となった研究の内容
In this paper, we present a distributed cascade force control system (DCFC) for multiple robots with the aim of pushing a rigid object towards a desired moving target without their inter-robot communication. These mobile robots are equipped with 360-degree vision-based soft tactile sensors utilized to determine contact location and resultant impact force. By investigating the dynamics of moving rigid objects on the flat, we proposed a distributed cascade control. The inner loop control incorporates contact force and positioning, ensuring the robots' pushing contact and applying the desired force to the object. The outer loop control coordinates the robots to push the object in a desired direction without inter-robot communication, regardless of unknown object mass and friction uncertainty. The stability and convergence of the control system are verified using the Lyapunov stability theory. We also conducted simulation and real-world experiments to validate the performance of the proposed control method, and the experimental results showcase the successful coordination of multiple robots in pushing an object towards a moving desired direction.
■受賞にあたって一言
I am incredibly grateful to every author who contributed to this project especially Lecturer Pham Duy Hung, Assistant Professor Nguyen Huu Nhan, Professor Trung Dung Ngo and Associate Professor Ho Anh Van. Without your dedication, expertise, and unwavering support, receiving this best student paper award at SII2024 would not have been possible. Besides, I extend my huge thanks to Nguyen Anh Duy for going above and beyond! His hard work led to incredible results, and his presentation at SII2024 was simply amazing. I'm particularly thankful to the JAIST Off-Campus Research Grant Program for providing me with the invaluable opportunity to conduct research in Canada. This experience significantly enhanced my abilities and boosted more productive collaboration within our team. Together, we were able to achieve remarkable progress, and this award serves as a powerful proof of our efforts. Looking ahead, I'm excited to continue building upon this momentum and explore new research avenues alongside my talented colleagues and greatest professors.
令和6年2月27日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/02/27-1.html機械学習を用いた太陽電池用シリコン薄膜堆積条件の新たな最適化手法を開発

![]() ![]() |
国立大学法人 国立研究開発法人理化学研究所 |
機械学習を用いた太陽電池用シリコン薄膜堆積条件の
新たな最適化手法を開発
ポイント
- 実用で頻出する制約(膜厚制限や実現不可能な実験条件排除)を考慮した「制約付きベイズ最適化」を開発
- 制約内の実験条件範囲でキャリア再結合抑止能力が最良となる薄膜堆積を少ない実験回数で実現
- 太陽電池製造や薄膜堆積に限らず広く応用可能な手法として期待
北陸先端科学技術大学院大学 (JAIST)(学長・寺野稔、石川県能美市)の大橋亮太大学院生(博士前期課程)、Huynh, Thi Cam Tu特任助教(サスティナブルイノベーション研究領域)、東嶺孝一技術専門員(ナノマテリアルテクノロジーセンター)、大平圭介教授(サスティナブルイノベーション研究領域)と、理化学研究所革新知能統合研究センターの沓掛健太朗研究員は、結晶シリコン太陽電池に用いられる薄膜のシリコン堆積条件を最適化する新たな手法を開発した。 |
本研究グループではこれまで、触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法*1を用いた太陽電池用薄膜形成に取り組んできた。特に、非晶質シリコン膜と結晶シリコン基板との接合からなるシリコンヘテロ接合太陽電池*2は、低損傷での膜堆積が可能なCat-CVDの優位性が生かせることから、有用な応用先として注力している。この製膜においては、多数の製膜パラメータが存在するため、太陽電池出力を最大化する最適製膜条件の発見には、一般に膨大な実験回数(試行錯誤)を要する。
このような実験条件の最適化問題に対して、「ベイズ最適化」*3と呼ばれる、機械学習を応用した逐次最適化法が、最近よく使用されている。しかし、太陽電池出力の最大化のみを目的とした単純なベイズ最適化では、次の実験条件で得られる膜の厚さを規定する機能は無く、デバイス動作上問題が生じるような厚膜が形成されうる。また、ベイズ最適化によって提示される実験条件が、実現不可能な組み合わせ(例えばガス流量と製膜装置のポンプの排気能力の不整合)となる可能性がある。
本研究では、これらのベイズ最適化における実践的な問題を解決するための、「制約付きベイズ最適化」を開発した。この手法では、未実施の実験条件のうち、製膜装置の仕様上実現が困難な実験条件を機械学習による予測に基づいてあらかじめ排除し、残りの条件の中からキャリア再結合抑止性能を最良化する可能性のある実験条件を提示させるよう工夫した。さらに、一定の製膜時間における予測膜厚を提示させる機能を持たせ、所望の膜厚を得るための製膜時間を逆算できるよう設計した。これらの制約を組み込むことで、製膜装置が実現可能な条件の範囲内でかつ一定の膜厚を有し、キャリア再結合抑止性能を最良化するベイズ最適化の手順を進行させることが可能となった。開発した「制約付きベイズ最適化」を用いることで、わずか8回のサイクルにより最適な製膜条件に到達し、20回のサイクルでベイズ最適化工程が完了した。また、本ベイズ最適化の提示に従って複数の製膜パラメータを広い範囲で変化させた結果、高いキャリア再結合抑止性能の実現には、製膜時の基板温度と原料ガスであるSiH4の流量の組み合わせが重要であることも見出した。
本研究で得られた手法は、太陽電池製造や薄膜堆積に限らず、幅広い分野や試料作製に適用可能な手法として期待される。
「制限付きベイズ最適化」の流れ
【論文情報】
雑誌名 | ACS Applied Materials and Interfaces(米国化学会) |
題目 | High Passivation Performance of Cat-CVD i‑a-Si:H Derived from Bayesian Optimization with Practical Constraints |
著者 | Ryota Ohashi, Kentaro Kutsukake, Huynh Thi Cam Tu, Koichi Higashimine, and Keisuke Ohdaira |
掲載日 | 2024年2月8日 |
DOI | 10.1021/acsami.3c16202 |
【用語説明】
加熱触媒体線により原料ガスを分解し、薄膜を堆積する手法。原料ガスの分解時にイオンが生成されないため、イオンの衝突による結晶シリコン表面への損傷が起こらず、良好な薄膜/基板界面が得られる。
結晶シリコンウェハと非晶質シリコン膜の接合を基本構造とする太陽電池。非晶質シリコン膜により、結晶シリコン表面に存在する結晶欠陥が有効に不活性化され、キャリア再結合が抑えられる結果、汎用の結晶シリコン太陽電池と比べて高い電圧が得られる特長がある。
形状が不明な関数の最大値や最小値を得るための手法の一種。既知である実験条件(入力)とその結果(出力)のデータセットから、未実施の実験条件における結果の予測値を、不確かさ(標準偏差)とともに推定し、不確かさも含めて予測値が最良となる条件で次の実験を行う。その実験で得られた結果を含めて予測値を推定し直す。これを繰り返し、少ない実験回数で最適な実験条件を得る。
令和6年2月19日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2024/02/19-1.html令和5年度第3回全学FDを開催
1月19日(金)、「研究連携のすゝめ」というテーマで、Web会議にて令和5年度第3回全学FDを開催し、100名余の教職員が参加しました。
神田 陽治研究科長の挨拶に続き、村田 英幸教授(ナノマテリアル・デバイス研究領域)の進行で学内外における研究連携の推進に関する講演が4名の本学教員によって行われました。
講演者と講演タイトルは次の通りです。
- 前園 涼教授(サスティナブルイノベーション研究領域):
「External collaboration triggered by unexpected sources(瓢箪から駒の対外連携)」 - Dam Hieu Chi教授(共創インテリジェンス研究領域):
「Interdisciplinary Research Adventure: Naivety, Fidelity, Curiosity, and the Joy of Integrating Diverse Fields」 - 谷池 俊明教授(物質化学フロンティア研究領域):
「What we think of when conducting research collaboration(共同研究を行う際に考慮すること)」 - Sakti Sakriani准教授(人間情報学研究領域):
「Beyond Boundaries: Opportunities and Challenges in Global Collaboration」
閉会挨拶では、村田教授から、「共同研究における研究チームの人数が少なく、物理的距離が近い場合に、革新的な研究成果が生まれやすい」という研究報告があることが紹介されました。
事後アンケートでは、74名からの回答のうち95%の参加者から今回のFD参加によって新たな学びがあったという回答があり、「広い切り口のテーマに対し、各教員の視点・実績から、うまくまとめた発表だった」、「それぞれに特色があり、異なる気付きを得られた」、「実体験に基づいた講演は、今後の活動において参考になる」、「もっと国際的な研究連携に積極的になりたいと思った」、「JAISTの教員が協力し、国際的研究連携に積極的な雰囲気を作ることで、より良い大学になると思った」などの感想が寄せられました。
世界トップレベルの研究を目指す大学として、本FDが学内外との共同研究に対する前向きな雰囲気を醸成するきっかけとなり、具体的な共同研究の実施へと結び付くことが期待されます。
令和6年1月26日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/01/26-1.html学生の大橋さんが第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて最優秀口頭発表賞を受賞

学生の大橋亮太さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて最優秀口頭発表賞を受賞しました。
第14回半導体材料・デバイスフォーラムは、熊本高等専門学校が主催し、令和5年12月9日、九州工業大学にてハイブリッド開催されました。同フォーラムは半導体材料・関連デバイス研究分野に重点を置き、研究発表や討論を通じて、高専学生と大学(院)生との学生間交流を図り、高専学生の教育・研究力向上への貢献を目指しています。
最優秀口頭発表賞は、同フォーラムにおいて、半導体デバイスの発展に貢献しうる最も優秀な口頭発表をした筆頭著者に贈られるものです。
※参考:第14回半導体材料・デバイスフォーラム
■受賞年月日
令和5年12月9日
■研究題目
ベイズ最適化を適⽤したCat-CVD i-a-Si およびn-a-Siの堆積条件探索
■研究者、著者
大橋亮太、Huynh Thi Cam Tu、東嶺孝一、沓掛健太朗、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
現在、太陽電池市場の大部分を占めているSi系太陽電池において、特に高効率なSiヘテロ接合(SHJ)太陽電池に着目し、高効率化を目指し研究を行っている。SHJ太陽電池の作製にあたり、我々は触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法を用いて結晶Siウエハ上に非晶質Si(a-Si)を堆積している。しかし、堆積時のパラメータが多いため、高性能なSHJ太陽電池の作製条件の探索に膨大な時間がかかる。そこで、ベイズ最適化を用いて効率よく高い性能を示す条件探索を行っている。
本講演では、ベイズ最適化を用いて真性非晶質Si(i-a-Si)層とn型非晶質Si(n-a-Si)層の堆積条件探索について発表した。i-a-Si層及びn-a-Si層の探索を、それぞれ20回、21回とかなり少ない回数で完了することができ、高いパッシベーション性能と十分な導電性を兼ね備えるa-Si膜の堆積条件を確立した。
■受賞にあたって一言
この度、第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて、最優秀口頭発表賞を賜り、大変光栄に思います。高専生が多い会議でしたので、自分の研究の面白さやJAISTの良さが少しでも伝わっていれば嬉しいです。本研究の推進にあたり、ご指導、ご協力いただいた大平圭介教授、HUYNH, Tu Thi Cam特任助教をはじめとした大平研究室メンバーの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、ベイズ最適化のご指導をいただいた沓掛健太朗研究員(理化学研究所)、透過型電子顕微鏡にて試料の観察をご担当いただいた技術専門員の東嶺孝一様にも、心より感謝申し上げます。
令和6年1月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/01/22-1.html精密な高分子設計による能動的電子輸送が終始可能に -高分子が触手のように電子を授受-

精密な高分子設計による能動的電子輸送が終始可能に
-高分子が触手のように電子を授受-
ポイント
- 精密に合成された高分子が能動的に電子を輸送するナノシステムを設計
- 実際の葉緑体に倣った光エネルギー変換システムの構築が期待
北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)、サスティナブルイノベーション研究領域の、博士前期課程大学院生 萩原礼奈、桶葭興資准教授、物質化学フロンティア研究領域の西村俊准教授らは、「電子を輸送する」高分子-金属ナノ粒子の複合組織を設計した。ここでは、三元系のヘテロ高分子が触媒ナノ粒子表面に結合しており、能動的な電子輸送システムとして機能する。従来の研究では、電子伝達には2 nm以内で著しく効率的になることが分かっていたが、この距離を制御する能動的なシステムは無かった。本研究の高分子は電子の授受に伴って相転移を起こし、能動的に触媒粒子との距離を変化させる。このようなナノシステムは、可視光エネルギーによる水の分解や水素生成の触媒作用のみならず、電池など電気化学反応を伴う系や人工酵素の系に展開することで、様々なエネルギー変換システムに有用と期待される。 |
桶葭准教授らの研究グループはこれまでに、持続可能社会の実現に向けて人工光合成[用語解説1]の高分子によるシステム構築に挑戦してきた。実際の光合成を行う葉緑体が持つ電子伝達組織、および電子移動に関するマーカス理論[用語解説2]に学び、今回、2 nm以内の電子輸送を能動的に起こす系を高分子の精密な合成を通して構築した。まず、三元系のヘテロ高分子を精密に合成し、これが結合した触媒ナノ粒子を作製した(図)。この高分子は、相転移[用語解説3]を起こす部位、ナノ粒子と結合する部位、そして電子を授受する部位から構成される。ここで、高分子中のビオロゲン分子[用語解説4]が電子を得ると、触媒の白金ナノ粒子まで迅速に運び水素生成する仕組みである。プロセスとしては、I) 電子を得たビオロゲン分子近傍の高分子が収縮する。II) この高分子の一部はナノ粒子表面に固定されているため、電子を得たビオロゲンをナノ粒子表面へ触手のように引き寄せられる。III) ビオロゲンが電子をナノ粒子に渡した後、この高分子は伸長して元に戻る。他方、このナノ粒子は水素生成の触媒として働く。このI~IIIがサイクリックに進む。従来の研究では、拡散律速に依存した受動的な電子移動が介在してしまっていたが、今回のシステムでは、高分子がナノ粒子表面に固定されたことでその能動的な電子輸送が終始可能となった。2 nm以内での電子移動において、著しく高い有効性が認められることは、理論だけでなく実証実験でも報告されていたが、この距離を制御する能動系はこれまで無かった。今回、高分子が触手の様に電子を捉えて触媒が電子を食べるような、アクティブなナノシステムが提案された。
上図:三元系のヘテロ高分子Poly(NIPAAm-co-AAm-co-Viologen) (PNAV)。相転移を起こす部位N、ナノ粒子と結合する部位A、そして電子を授受する部位Vから構成される。 下図:高分子PNAVが結合した白金ナノ粒子。光捕集分子などから電子を得たPNAV (PNAV+)は収縮し白金ナノ粒子に近づき電子を渡す。その際、PNAV2+となると伸長してナノ粒子表面から離れる。この能動的な電子の授受を繰り返す。 |
本成果は、2023年12月13日(英国時間)に科学雑誌「Chemical Communications」誌(RSC社)のオンライン版で公開された。なお、本研究は、文部科学省科研費 挑戦的研究(萌芽)(JP21K18998)の支援のもと行われた。
【論文情報】
掲載誌 | Chemical Communications (The Royal Society of Chemistry) |
論文題目 | Precise design of copolymer-conjugated nanocatalysts for active electron transfer |
著者 | Reina Hagiwara, Shun Nishimura, Kosuke Okeyoshi |
DOI | 10.1039/d3cc05242g |
掲載日 | 2023年12月13日付、オンライン版 |
【今後の展開】
高分子の相転移を用いた電子の能動輸送は、エネルギー変換系(光エネルギーから水素生成等)だけでなく、次世代バッテリーなど様々な先端材料にとって有用なナノシステムと期待される。
【用語解説】
令和5年12月13日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/12/14-1.html【1/11(木)~12(金)開催】JAIST International Symposium on Nano-Materials for Novel Devices 2023(JAIST-NMND2023)
開催日時 | 2024年1月11日(木)13:00 - 21:00 2024年1月12日(金)10:00 - 12:00 |
会 場 | 金沢商工会議所 ホール |
参加費 | 一般 5,000円、学生 3,000円 |
講演者 | 基調講演者
Prof. Jana Vejpravova(カレル大学) 吾郷 浩樹 教授(九州大学 グローバルイノベーションセンター) 高村由起子 教授(ナノマテリアル・デバイス研究領域) |
ポスター セッション |
主に、院生や若手研究者を対象にしています(50件)。 研究内容をアピールする良い機会ですので、積極的にご応募ください。 優れた発表に対し、若手優秀賞(副賞)が贈呈されます。 なお、このセッションは、1月11日(木)午後6時から9時まで行います。 |
言 語 | 英語 |
詳 細 | 詳細は下記ホームページをご覧ください。 https://www.jaist-nmnd2023.com/ |
参加申込み | ホームページの登録フォームより、12月8日(金)までにお申し込みください。 |
【12/8(金)開催】International Symposium on Materials Informatics 2023
開催日時 | 令和5年12月8日(金)13:00~20:00 |
場 所 | JAISTイノベーションプラザ2F シェアードオープンイノベーションルーム (要予約:定員30名程度) |
講師・ 講演題目 |
Prof. BUSICO, Vincenzo Full Professor of University of Naples Federico II 「Integrated experimental and computational studies in polyolefin science and technology at the Federico II University of Naples (Italy): an account of the latest results」 Dr. CHAMMINGKWAN, Patchanee Senior Lecturer of Japan Advanced Institute of Science and Technology (JAIST) 「Unleashing efficiency in heterogeneous olefin polymerization research through experimental design」 Dr. THAKUR, Ashutosh Scientist of CSIR-North East Institute of Science and Technology 「Realizing multifaceted roles of functional polymers from polyolefin catalysts development to electrochemical energy applications」 Prof. HONGO Kenta Associate Professor of Japan Advanced Institute of Science and Technology (JAIST) 「Data-driven materials search combined with materials simulations」 Dr. ANTINUCCI, Giuseppe Researcher of University of Naples Federico II 「MgCl2-supported Ziegler-Natta Catalysts: "And yet it moves"」 Dr. TAKASAO, Gentoku Postdoctral Fellow of King Abdullah University of Science and Technology Mr. DA SILVEIRA , Joao Marcos Master's student of Japan Advanced Institute of Science and Technology (JAIST) 「Computational and data-driven approaches in catalyst design」 Prof. WADA, Toru Assistant Professor of Japan Advanced Institute of Science and Technology (JAIST) 「X-ray total scattering on the molecular structure of methylaluminoxane」 |
言 語 | 英語 |
参加申込 | 下記の担当へ11/27までにお申し込みください。 (懇親会会費5,000円) 【申込・お問合せ】 北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルズインフォマティクス国際研究拠点長 谷池 俊明(taniike@jaist.ac.jp) |
学生の坪原さんが世界農業遺産国際スタディ・プログラムに参加
学生の坪原真旺さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、小矢野・宮田研究室)が石川県主催の世界農業遺産国際スタディ・プログラムに参加しました。
令和5年度より、石川県内の大学生を対象に、県と国連大学が共同で開始した同プログラムは、「能登の里山里海」が世界農業遺産(GIAHS)に認定され、その認定効果が地域活性化に結び付いており、「石川モデル」として国内外から高い評価を受ける同県の特徴を活かし、世界農業遺産をテーマに国際的な視点で学習し、学生それぞれが自身の専攻分野の知識を活かして石川県の地域活性化等についての提案を検討し、成果発表としてプレゼンテーションするという研修プログラムです。これにより、国際的な視点を持って地域に貢献する若者を輩出するとともに、県内で学ぶことの魅力向上を図るもので、坪原さんは書類および面接選考を通過し、プログラムのメンバーに選ばれました。
同プログラムは7月~10月にかけて実施され、国連大学職員による、世界農業遺産や能登の里山里海に関する講義の受講や、能登地域の方々から、さまざまな取り組みや現状の課題などについてお話を伺う能登視察研修に参加し、その後、イタリアにある世界農業遺産の認定機関である国連食糧農業機関(FAO)の本部を訪問、能登についての紹介や、学生が考案した能登地域の活性化策などについて、英語でプレゼンテーションを行ったほか、関連機関である国連世界食糧計画(WFP)、国際農業開発基金(IFAD)の本部や、イタリアの世界農業遺産認定地を訪問し、さらに学習を深めました。また、プログラムの最後には成果発表会が開かれ、これまでの学習成果や、それをもとに考えた能登地域の活性化についての提案を発表し、世界農業遺産を活用した地域活性化策などについて意見交換を行いました。
■坪原さんより一言
普段、入ることができない国連の敷地や職員さんと話すことによって、環境問題やSDGsなどを肌で感じ、考えるきっかけができました。また、英語を実践的に使うことによって、プレゼンの能力向上や実力を試すことができたので、今後の研究に活かしたいと思います。
※詳しくは、石川県ホームページ「世界農業遺産国際スタディ・プログラム」をご覧ください。

国連でプレゼンテーションをしている様子
令和5年11月16日
科学技術振興機構のさくらサイエンスプログラムを実施
物質化学フロンティア研究領域の長尾祐樹教授のマレーシアとの交流計画が科学技術振興機構(JST)の「国際青少年サイエンス交流事業 さくらサイエンスプログラム」に採択されたことを受け、10月5日~10月14日の日程でマレーシア工科大学本校、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)、マレーシア工科大学マラッカ校及びマレーシアパハン大学から12名の教員・研究者・大学院生を本学に受け入れました。
「国際青少年サイエンス交流事業 さくらサイエンスプログラム」は、産学官の緊密な連携により、諸外国・地域の青少年を我が国に招へいし、我が国の青少年との科学技術分野の交流を行う事業です。これを通して、
①科学技術イノベーションに貢献しうる優秀な人材の養成・確保
②国際的頭脳循環の促進
③日本と諸外国・地域の教育研究機関間の継続的連携・協力・交流
④科学技術外交にも資する日本と諸外国・地域との友好関係の強化
に貢献し、ひいては、日本及び世界の科学技術・イノベーションの発展に寄与することを目的とします。
参考:https://ssp.jst.go.jp/outline/detail/
本学はアジア諸国の大学・研究機関との学術的交流を強く推進しているところであり、将来的に優秀な学生を受け入れるためにマレーシアにおける大学・研究機関においても交流を進めています。
本交流の趣旨はマレーシアの環境・エネルギーに関する技術交流を核に、国際共著論文成果に繋がる大学間連携を強化することができるように計画されました。本学教員による研究指導等を実施し、最終日には成果報告会が行われました。また、金沢のひがし茶屋街での金箔体験や、ゆのくにの森での蒔絵体験を通して日本的な文化や美にも触れ、さらに、東京の日本科学未来館を訪問して日本の多様な先端科学技術を紹介しました。
本交流プログラムはこれらの経験を通して招聘者の将来の日本への留学を促し、本学が招聘者の母国やアジアの科学技術の進歩や発展に貢献することを目指しています。
■実施期間
令和5年10月5日~令和5年10月14日
■研究テーマ
環境・エネルギーに関する技術交流
■本交流について一言
本計画をサポートいただきましたJSTに御礼申し上げます。また、本学受入教員の松見教授、前園教授、西村准教授、本郷准教授、実験や事務手続等をサポートして下さった安准教授をはじめとする10名以上の教職員や学生の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。引き続きマレーシアとの交流の発展にお力添えをお願い致します。

金沢で金箔体験

ゆのくにの森での蒔絵体験

計算科学チュートリアル

日本科学未来館を訪問
令和5年10月17日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/10/17-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の宮田講師が日本熱電学会の進歩賞を受賞

サスティナブルイノベーション研究領域の宮田全展講師が一般社団法人日本熱電学会の進歩賞を受賞しました。
日本熱電学会では、熱電工学、熱電科学、及び熱電技術、並びに関連分野における発明、発見、研究と開発、並びに同学会の発展に顕著な功績があったと認められる同学会会員に対して、その功績を讃え表彰を行っています。
本研究では、実験とスーパーコンピューターを活用したシミュレーションを協奏的に行うことで、希少元素を含まない新しい硫化物・リン化物熱電材料の創製と、革新的な材料設計指針を確立することに成功しました。それら一連の研究成果が、同学会において、熱電工学、熱電科学、及び熱電技術、関連分野における発見、研究と開発、並びに同学会の発展に顕著な功績であったことが認められ、この度の受賞となりました。
※参考:日本熱電学会
■受賞年月日
令和5年9月25日
■研究題目
実験と第一原理計算による新奇硫化物・リン化物熱電材料のマテリアルデザイン
■研究者、著者
宮田全展
■受賞対象となった研究の内容
本研究では、実験とスーパーコンピューターを駆使したシミュレーション計算により、高い性能(出力因子)を示す新しい硫化物熱電材料を創製し、そのメカニズムを明らかにしました。さらに、JAIST生まれのシミュレーション計算コードOpenMXと、電子輸送計算コードBoltzTraPをつなぐ汎用インターフェースプログラムを開発し、世界に先駆けて800種類を超える硫化物熱電材料の大規模計算を行うことで、熱電性能を最大化する設計指針を確立しました。本研究で開発されたインターフェースプログラムはOpenMXの公式計算オプションとして実装されています。
(OpenMX Ver. 3.9 ユーザーマニュアル)
実験とスーパーコンピューターによる高精度なシミュレーション計算により、新しい高性能熱電材料の候補物質群として、リン化物が高いポテンシャルを持つことを詳細に明らかにし、中でもAg(銀)-P(リン)化合物中のAg原子が特殊な振動をすることで、熱伝導を大きく抑制し、極めて低い格子熱伝導率を示すメカニズムを明らかにしました。そして、リン化物のみならず、広く無機材料について、熱伝導において重要なフォノン(原子振動の伝搬を仮想の粒子の運動として取り扱う概念)において、比熱・音速・緩和時間に相関関係があることを発見し、フォノンの観点から熱電材料の新しい評価指針を確立しました。
株式会社白山、石川県工業試験場を中心とした産官学連携により、Mg(マグネシウム)とSi(シリコン)を主成分とした環境にやさしい熱電材料の高性能化の材料設計指針を、実験とスーパーコンピューターによるシミュレーションより確立し、材料の高性能化に貢献しました。
■受賞にあたって一言
この度は、日本熱電学会の優秀ポスター賞、優秀講演賞に続き、進歩賞を賜りまして誠に光栄でございます。これも本学の小矢野幹夫教授、東大物性研の尾崎泰助教授、石川県工業試験場の豊田丈紫氏、株式会社白山の内田健太郎氏をはじめとした、数えきれないほどの共同研究者の先生方との研究・ディスカッションのお陰でございます。また、本研究は科研費(若手研究JP20K15021)をはじめとした数々の研究助成、本学の大規模計算機KAGAYAKIによって実施されました。この場を借りて、深く感謝御礼申し上げます。今後も学術・社会により一層の貢献ができるよう、研究・教育活動に邁進いたします。
令和5年10月16日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2023/10/16-1.html