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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。物質化学フロンティア研究領域の都教授らの論文がAdvanced Science誌の最も閲覧された論文の上位10%にランクインされました

物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎教授らの「阿吽の呼吸で癌を倒す! -灯台下暗し:最強の薬は腫瘍の中に隠されていた-」に係る論文が、生物・化学系トップジャーナルAdvanced Science誌の最も閲覧された論文の上位10%にランクインしました。なお、本研究は、文部科学省科研費 基盤研究(A)(23H00551)、文部科学省科研費 挑戦的研究(開拓)(22K18440)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP)(JPMJTR22U1)、公益財団法人発酵研究所、公益財団法人上原記念生命科学財団、ならびに本学超越バイオメディカルDX研究拠点、本学生体機能・感覚研究センターの支援のもと行われたものです。
■掲載誌
Advanced Science
■著者
Yamato Goto, Seigo Iwata, Mikako Miyahara, Eijiro Miyako*
■論文タイトル
Discovery of intratumoral oncolytic bacteria toward targeted anticancer theranostics
■論文概要
本研究では、マウス生体内の大腸癌由来腫瘍組織から主に3種類の細菌の単離・同定に成功し、これらの細菌にA-gyo(阿形;Proteus mirabilis)、UN-gyo(吽形;Rhodopseudomonas palustris)、そしてAUN(阿吽;A-gyoとUN-gyoから成る複合細菌)とそれぞれ命名しました。これらの細菌を、大腸癌を皮下移植した担癌モデルマウスの尾静脈に投与したところ、低酸素状態の腫瘍環境内で高選択的に集積・生育・増殖が可能で、かつ高い抗腫瘍効果を示すことを発見しました。とりわけ、AUNは、単回投与にも関わらず、A-gyoとUN-gyoの協奏作用により細胞障害性の免疫細胞を効果的に賦活化し、大腸癌、肉腫(サルコーマ)、転移性肺癌、薬物耐性乳腺癌といった様々な癌種に対して強力な抗腫瘍活性を示すことが明らかとなりました。また、AUNは、生体透過性の高い近赤外光によって標的とする腫瘍内で近赤外蛍光を発現することが分かりました。さらに、マウスを用いた生体適合性試験(血液学的検査、組織学的検査、細菌コロニーアッセイなど)を行った結果、いずれの検査からもAUNそのものが生体に与える影響は極めて少ないことが分かりました。これらの成果は、今回発見した細菌を用いた癌の診断・治療法の基礎に成り得るだけでなく、細菌学や腫瘍微生物学などの研究領域への新しい概念の創出として貢献することを期待させるものだと考えられます。
論文詳細:https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202301679
プレスリリース詳細:https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/05/08-1.html
令和7年4月17日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2025/04/17-2.html二次元格子をひねって重ねると一次元超格子が出現 ――二次元原子層物質が一次元物性研究の新しいプラットフォームに――

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東京大学 北陸先端科学技術大学院大学 大阪大学 科学技術振興機構(JST) |
二次元格子をひねって重ねると一次元超格子が出現
―― 二次元原子層物質が一次元物性研究の新しいプラットフォームに ――
【ポイント】
- シート状の原子層二枚を、特定の角度に向きをずらして重ねると、一方向に縞模様を持つ一次元モアレ超格子構造が形成できることを発見しました。
- 従来のモアレ超格子は原子層の構造と類似の二次元の周期性を持ちますが、本研究では、一次元の周期性しか持たない新しいコンセプトのモアレ超格子を提案・実証しました。
- モアレ超格子による原子層の性質の人工制御物性変調や、一次元性ならではの異方性の高い新奇物性研究の新しいプラットフォームになることが期待されます。また、素子応用に向けた研究の発展にも寄与することが期待されます。
二次元原子層WTe2のツイスト積層による一次元モアレ超格子の形成
東京大学 生産技術研究所の張 奕勁 助教と町田 友樹 教授らの研究グループは、北陸先端科学技術大学院大学 ナノマテリアル・デバイス研究領域の大島 義文 教授および高村 由起子 教授の研究グループ、大阪大学大学院 理学研究科の越野 幹人 教授の研究グループと共同で、原子層物質(注1)の人工ツイスト二層構造(注2)において一次元の周期性を持つモアレ超格子(注3)が実現できることを明らかにしました。 本研究では、二テルル化タングステン(WTe2)の原子層二枚を使用し、それぞれの結晶方位に角度差(ツイスト角)を付けた状態で人工的に重ね合わせた構造(ツイスト二層構造)を作製し、透過型電子線顕微鏡(TEM)を用いて原子の配列パターンを直接観察しました。一般的にツイスト二層構造で出現するモアレ超格子内の原子配列パターンは二次元の周期性を持って変化しますが、本研究では特定のツイスト角において配列パターンの変化が一次元的になる、すなわち周期性が一方向のみになることを世界で初めて示しました(図1)。また、本モアレ超格子が従来のモアレ超格子とは異なる原理で形成されていることを理論的に突き止めました。一次元性による母物質の物性変調に伴う新奇物性探索の新しい舞台になることが期待されます。 |
図1:透過型電子線顕微鏡を用いたツイスト二層WTe2の原子像観察。
(a)WTe2原子層の模式図。a軸方向とb軸方向で周期性が異なる。(b,c)WTe2原子層二枚をツイスト角62度(b)および58度(c)でツイスト積層させた構造。単独の原子層が持つ周期性と異なる一次元的な周期性が出現する。(d) 試料構造および実験の模式図。h-BNは試料の保護層。(e,f)ツイスト角62度(e)および58度(f)で作成したツイスト二層WTe2試料の原子像。白いスケールバーは10 nm(ナノメートル)。(g,h)62度(g)および58度(f)ツイスト試料の電子回折像。緑と茶色の点がそれぞれの原子層の構造の周期性を示す回折スポット。赤枠(e)と青枠(f)で示された回折スポットのペアがモアレ超格子の周期性を表す。どちらの場合も回折スポットのペアが平行に並んでいることから、モアレ超格子が一方向のみに周期性を持っていることがわかる。青いスケールバーは2 nm-1(ナノメートルインバース)。 |
【発表者コメント:張 奕勁助教の「もしかする未来」】
本研究は偶然の発見から始まりました。パワーポイントの上で結晶構造を二つ重ね、片方をぐるぐる回転させていたところ一瞬縞模様が見えたのがきっかけです。モアレ超格子の原子配列を実際に観察し、また、理論的にその起源と一次元性を示すことができました。カーボンナノチューブなどの一次元物質は低次元特有の現象を示しますが、その特性を残したまま大面積化することは困難でした。今回、ナノチューブよりも面積の大きい原子層物質を用いて一次元構造が作製できたので、今後は一次元性を反映した物性の探索を進めていきたいと思います。
【発表内容】
原子層物質の人工ツイスト積層構造技術は、現在の原子層物質を用いた基礎物性研究の中心的な技術の一つです。異なる原子層物質を積層する場合だけでなく、同一の原子層物質を積層する場合であっても、それぞれの結晶方位をずらして積層(ツイスト積層)すると、元の物質の持つ周期性よりも大きな周期性を持つモアレ超格子が出現します。モアレ超格子が出現することで、元の原子層物質の物性を大きく変調し、新奇物性を誘起することが可能になります。例えば、単層グラフェンをツイスト角1.05度でツイスト積層すると、低温で超伝導転移を誘起できることが知られています。一般的に、モアレ超格子の大きさはツイスト角の増加とともに小さくなるため、これまでの研究は低ツイスト角領域(0度付近)を中心に行われてきました。
この度、本研究チームは、原子層物質二テルル化タングステン(WTe2)を用いた研究から、高ツイスト角でもモアレ超格子が出現し、さらに、特定の角度(62度と58度付近の二点)では一次元的なモアレ構造が出現することを発見しました。WTe2の特徴は、結晶構造が異方的、すなわち、結晶方位によって周期の大きさが異なることです(図1a)。代表的な原子層物質であるグラフェンや二セレン化タングステン(WSe2)は等方的(物理的な性質が方向によって異ならないこと)な結晶構造を持っており、高ツイスト角ではモアレ超格子は出現しません。本研究では、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてツイスト二層WTe2の原子配列パターンを直接観察することで高ツイスト角領域における一次元モアレ超格子を実験的に示しました(図1c,d)。また、構造の周期性を示す電子回折パターン(注4)において、モアレ超格子の周期を示す回折スポットのペアが全て平行になるという特徴を観測しました(図1e,f)。
モアレ超格子の周期性は元の原子層の持つ周期性から説明できますが、従来のモデルでは高ツイスト角領域におけるモアレ超格子を説明できません。本研究では従来のモデルを拡張することで、高ツイスト角領域においてモアレ超格子が出現し、さらに、62度と58度付近でモアレ超格子が一次元になる、すなわち、周期性が一方向のみになることを理論的に示すことに成功しました(図2)。加えて、電子回折パターンのシミュレーションから、実験的に観測された回折スポットペアの特徴(図1e,f参照)が一次元性を示す証拠になっていることを理論的に示すことにも成功しました(図3)。また、一次元モアレ超格子の出現はWTe2に特異な現象ではなく、異方的な結晶構造を持つすべての原子層物質で起こりうる普遍的な現象であることも明らかになりました。
一次元的なモアレ超格子を形成することで、従来の二次元的なモアレ超格子で誘起された物性変調とは異なる変調効果が期待されます。従来、カーボンナノチューブなど一次元物質の持つ物性の研究や素子応用には、無数のチューブを配向させた膜の形成という技術的な障壁がありましたが、人工ツイスト積層構造の一次元モアレ超格子ではマイクロメートルスケールで一次元構造が広がるため、基礎研究のみならず素子応用に向けた研究の発展にも寄与することが期待されます。
図2:近似三角格子モデルを用いた一次元モアレ超格子の再現。
(a)WTe2原子層の結晶構造。格子ベクトルa1、a2で囲われた長方形がユニットセル(周期一つ分の構造)。W原子とTe原子を区別せず原子位置に多少の動きを許容すると、格子ベクトルl1、l2で定義された三角格子(灰色点線)で近似できる。近似された格子は正三角形ではなく二等辺三角形になっている。(b)近似三角格子をツイスト積層した場合のモアレ超格子。一次元構造が再現されている。 |
図3:人工ツイスト二層WTe2の電子回折パターンのシミュレーション。
従来の低ツイスト角の場合と本研究における高ツイスト角の場合の比較。ベクトルb1、b2はそれぞれ格子ベクトルa1、a2(図2a参照)の周期を示す逆格子ベクトル。黒点と赤点がそれぞれの原子層に由来する原子回折スポット。黒矢印で示された解析スポットのペアがモアレ超格子の周期性(大きさおよび方向)を決定する。低ツイスト角の場合モアレ超格子の周期は様々な方向を向くため、二次元の超格子となる。一方62度と58度付近ではすべて平行になり一方向にしか周期性が存在しないため、一次元の超格子となる。 |
【発表者・研究者等情報】
張 奕勁 助教
町田 友樹 教授
大島 義文 教授
高村 由起子 教授
越野 幹人 教授
【論文情報】
雑誌名 | ACS Nano |
題名 | Intrinsic One-Dimensional Moiré Superlattice in Large-Angle Twisted Bilayer WTe2 |
著者名 | Xiaohan Yang, Yijin Zhang*, Limi Chen, Kohei Aso, Wataru Yamamori, Rai Moriya, Kenji Watanabe, Takashi Taniguchi, Takao Sasagawa, Naoto Nakatsuji, Mikito Koshino, Yukiko Yamada-Takamura, Yoshifumi Oshima & Tomoki Machida* |
DOI | 10.1021/acsnano.4c17317 |
URL | https://doi.org/10.1021/acsnano.4c17317 |
【研究助成】
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「トポロジカル材料科学と革新的機能創出(研究総括:村上 修一)」研究領域における「極性二次元物質とそのヘテロ構造におけるバルク光起電力効果(JPMJPR20L5)」、さきがけ「新原理デバイス創成のためのナノマテリアル(研究総括:岩佐 義宏)」研究領域における「顕微分光による二次元物質デバイスの物性開拓(JPMJPR24H8)」、同 戦略的創造研究推進事業 CREST「原子・分子の自在配列・配向技術と分子システム機能(研究総括:君塚 信夫)」研究領域における「原子層のファンデルワールス自在配列とツイスト角度制御による物性の創発(JPMJCR20B4)」、日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域(A)「2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト」(課題番号:JP21H05232, JP21H05233, JP21H05234, JP21H05235, JP21H05236)、および文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ事業(課題番号:JPMXP1223JI0033)の支援により実施されました。
【用語解説】
原子層物質とは、原子1個または数個分の厚みしかない層状の物質。原子間力で層間が弱く結合しており、二次元物質とも呼ばれる。層状構造を持つ単結晶から、スコッチテープなどの粘着性のテープを貼り付けて剥がすことで得られる(テープに付着している)、数ナノメートル以下まで薄くした二次元シート状の薄膜として作製する。代表例としてグラフェン、二硫化モリブデンなどが挙げられる。
原子層を二つ用意し、それぞれの結晶方位の間に相対的な角度差をつけて人工的に重ねた構造。
複数の原子層物質を重ねた際に出現する新たな周期構造。元の原子層物質の構造が持つ周期とは異なる周期性を持つ。
物質に電子線を照射した際に観察される干渉パターン。物質の構造の持つ対称性や周期性を反映したパターンが出現する。
令和7年3月28日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2025/03/28-1.html超分子ポリマーの新しい構造解析法の発明

超分子ポリマーの新しい構造解析法の発明
【ポイント】
- 従来不可能であった超分子ポリマーの構造と機能を同時に観察する新たな構造解析法の発明
- 環状分子のシクロデキストリンが包接したポリエチレングリコール鎖の構造解析に成功
- 高速原子間力顕微鏡による超分子ポリマーの両端がエンドキャッピングされた構造の解明
北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)物質化学フロンティア研究領域の堀諒雅大学院生(博士後期課程)、篠原健一准教授は、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いた固液界面における一分子イメージングにより、従来不可能であった超分子1ポリマー2の構造解析に成功しました。この成果は、超分子材料のさらなる機能解明に繋がるものであり、将来の分子マシンの開発に一石投じる発見です。 |
【研究背景と内容】
ポリマー分子の構造解析法は、ポリマー材料のさらなる機能化のため必要な技術です。中でも超分子ポリマーは単一分子内に動きを伴うため、そのダイナミクスを解明することが重要となります。
従来の超分子ポリマーの構造解析には、核磁気共鳴分析(NMR)による分光法や顕微鏡法が主に用いられてきました。しかし、これらの手法では構造あるいは機能のいずれかしか確認できず、それらを同時に観察することは困難でした。特に今回観察した分子ネックレス構造3は水中で不安定であり、さらに溶解性が低いことが問題となり、その詳細な構造と機能を観察することが難しいとされてきました。
今回、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いたことにより、従来不可能であった超分子ポリマーの構造と機能を同時観察する新たな手法を発明することができました。本手法では、1ミリリットル当たり1マイクログラム未満という低濃度の溶液を用いて超分子ポリマーを基板に固定することで、これまでの問題点を解決しました。
具体的には、シクロデキストリンという環状分子がポリエチレングリコールという長鎖分子に包接した、いわゆる分子ネックレス構造を高速AFMを用いて直接観察し、その分子の構造とダイナミクスを確認することに成功しました(図1)。なお、この分子の構造とダイナミクスは、全原子動力学(全原子MD)シミュレーションによって再現され、実験結果とも整合性が確認されています。本研究成果は、超分子材料の構造特性や機能解明に大きく貢献するものであり、特に分子レベルでの精密な構造制御が求められている次世代の分子マシンの開発に一石を投じる発見です。今後、本手法を応用することで、超分子ポリマーの新たな設計の可能性を拓かれることが期待されます。
図 1 高速AFMで観察された分子ネックレスの構造とそのダイナミクス、および全原子MDシミュレーションを用いたダイナミクスの再現。 |
本研究成果は、高分子化学のトップジャーナルであるアメリカ化学会のMacromolecules誌に掲載されました。なお、本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業基盤研究(C)「23K04520」、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム「JPMJSP2102」の支援を受けたものです。
【論文情報】
掲載誌 | Macromolecules |
論文題目 | Direct Observation of "End-Capping Effect" of a PEG@α-CD Polypseudorotaxane in Aqueous Media |
著者 | Ryoga Hori, and Ken-ichi Shinohara |
掲載日 | 2025年3月4日 |
DOI | https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.macromol.4c02491 |
【用語説明】
令和7年3月11日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2025/03/11-1.html金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第4回共同シンポジウム with 第16回ライフサイエンス研究交流セミナーを開催
令和7年2月3日(月)、金沢大学自然科学系図書館棟1階大会議室において、金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第4回共同シンポジウム with 第16回ライフサイエンス研究交流セミナーを開催しました。
金沢大学と本学は、平成30年度より融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、昨年度より、融合科学共同専攻の活動にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目的に共同シンポジウムを開催しており、今回は4回目の開催となりました。また今回は、金沢大学内で平成27年度から定期的に開催してきたライフサイエンス研究交流セミナーとの合同開催とし、ポスターセッションを開催しました。
「健康長寿」をテーマに開催した今回の共同シンポジウムは、金沢大学 和田隆志 学長による開会挨拶後、がん治療や老化細胞の解析等に係る先進的な研究開発および両学間での共同研究の成果等について、本学 物質化学フロンティア研究領域 栗澤元一 教授、金沢大学 がん進展制御研究所長 鈴木健之 教授、本学 物質化学フロンティア研究領域 都英次郎 教授、金沢大学 がん進展制御研究所 城村由和 教授にそれぞれご講演いただき、本学 寺野稔 学長の挨拶をもって閉会となりました。
また、共同シンポジウム終了後、ライフサイエンス研究交流セミナーとして、両大学の若手研究者・学生によるポスターセッションが開催され、ライフサイエンス分野に係る自身の研究成果の発表を通じ、他研究者との活発な意見交換が行われました。リラックスした空間の中、多くの研究者が積極的に情報交換を行い、異分野の研究者との研究交流も促進される大変有意義な機会となりました。
今後とも本シンポジウムが両大学間の共同研究発展の端緒となるよう推進して参ります。

開会の挨拶をする和田学長

シンポジウムの様子

講演①「難治性疾患治療を変える薬効増幅型緑茶カテキン・ナノ粒子の開発」栗澤 元一 教授(本学 物質化学フロンティア研究領域、 超越バイオメディカルDX研究拠点)

講演②「がん悪性進展におけるエピゲノム・エピトランスクリプトーム制御の解明に向けて」鈴木 健之 教授(金沢大学 がん進展制御研究所 所長)

講演③「光細菌を利用したがん診断・治療技術」都 英次郎 教授(本学 物質化学フロンティア研究領域、 超越バイオメディカルDX研究拠点)

講演④「革新的な健康寿命延伸法創出に向けた老化細胞多様性の包括的解明」城村 由和 教授(金沢大学 がん進展制御研究所)

閉会のあいさつをする寺野学長

ポスターセッションの様子①

ポスターセッションの様子②
令和7年2月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2025/02/12-1.html学生の永原さんが第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞

学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が、第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞しました。
フロンティア太陽電池セミナーは、産官学の様々な分野で太陽電池研究に取り組む研究者が集まり、シリコンや化合物など無機系、有機薄膜系、ペロブスカイト型、さらには量子ドット型など新しい太陽電池も含み、広く太陽電池の開発研究および関連する基盤技術を題材に取り上げ、様々な視点から徹底的に議論し、研究者間での連携を深めることで、本研究分野の飛躍的な発展の促進を図るものです。
第6回フロンティア太陽電池セミナーは令和6年12月12日~13日にかけて、愛媛県(松山市)にて開催されました。
※参考:第6回フロンティア太陽電池セミナー
■受賞年月日
令和6年12月13日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度および浸水試験
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。また、ベースの端部にOリングをはめ込み、ポリカーボネート製カバーとフレーム状のクランプで押さえることにより水分浸入の抑止を試みた。この構造を持つ小型モジュールに対し浸水試験を行った結果、水分浸入がみられなかったことから、OリングとAlフレームは水分浸入を防ぐ構造であるということが示された。
■受賞にあたって一言
優秀ポスター賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平圭介教授をはじめ多くのサポートと貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和7年1月31日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/31-2.htmlナノマテリアル・デバイス研究領域の村田教授が応用物理学会第14回(2024年度)北陸・信越支部貢献賞を受賞
ナノマテリアル・デバイス研究領域の村田英幸教授が公益社団法人応用物理学会第14回(2024年度)北陸・信越支部貢献賞を受賞しました。
応用物理学会は、応用物理学および関連学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、もって社会の発展に寄与することを目的として設立されました。
応用物理学会北陸・信越支部では、北陸・信越支部活動を通じて応用物理学の発展に顕著な貢献をなした会員に対して、その功績を称え、応用物理学会北陸・信越支部貢献賞を授与しています。
村田教授は、北陸・信越支部の運営と活性化、および有機電子デバイスに関する研究による応用物理学の発展に対する顕著な貢献が評価され、この度の受賞となりました。
※参考:応用物理学会北陸・信越支部
■受賞年月日
令和6年12月7日
■受賞にあたって一言
この度、北陸・信越支部貢献賞を授与していただいたことを大変光栄に存じます。ご推挙いただいた北陸・信越支部幹事の皆様に心から厚くお礼を申し上げます。応用物理学会北陸・信越支部は、新潟、長野、富山、石川、福井の地区幹事から構成され、応用物理学会の地方支部の中で独自に国際学会(EM-NANO)を主催している唯一の支部です。2013年に金沢で開催したEM-NANO2013で組織委員長を務めさせていただいたことは大変貴重な経験となりました。
支部主催の学術講演会では、電気・電子、システム、材料、半導体、光、計測、生物、情報工学など様々な学際分野に関連した発表が活発に行われています。学生の発表に対して教育的な観点からコメントや質問をしていただけるので、応用物理分野で学び始めた学生にとっては最適な発表の場と思います。支部の運営に携わってこられた先生方のご尽力に対して敬意を表すると共に、今後益々の支部のご発展を祈念いたします。
令和7年1月23日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/23-2.html学生の友水さんが第2回石川テックプラングランプリにおいてリアルテックファンド賞を受賞

学生の友水豪志さん(博士後期課程2年、ナノマテリアル・デバイス研究領域、HO研究室)が第2回石川テックプラングランプリにおいてリアルテックファンド賞(企業賞)を受賞しました。
石川テックプラングランプリは、情熱をもって石川県から科学技術で世界を変えようとするチームを発掘・育成するための支援プログラム「石川テックプランター」の取組の一つで、県内の大学等から発掘した世界を変えるような研究開発と、県内に拠点を持つ企業等とのマッチングの機会を提供し、各機関が連携して支援することにより新産業創出を図ることを目的として開催されています。
第2回石川テックプラングランプリは、令和6年11月30日に石川ハイテク交流センターにて開催されました。書類選考を通過した9チームのファイナリストによるプレゼンテーションが行われ、審査の結果、最優秀賞および企業賞が決定しました。
※参考:第2回石川テックプラングランプリ
■受賞年月日
令和6年11月30日
■研究題目、論文タイトル等
視覚触覚センサを応用したTactile Bedの開発
■チーム名
SofRobo
■研究者、著者
友水豪志、Van Anh HO
■受賞対象となった研究の内容
近年、人間とロボットのインタラクションを確立するために触覚センサに関する研究、特にVision Based Tactile Sensor(VBTS)の研究開発が多方面で進められている。本研究は、VBTSの原理を応用した新しい高解像度なTactile Bed を実現することであり、その有用性と実現可能性について審査員より評価され受賞に至った。
■受賞にあたって一言
このたび、第2回テックプラングランプリにおいてリアルテックファンド賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。本発表内容は、本学の副テーマ研究に基づくものでございます。発表にあたり、日頃よりご指導を賜りましたHO, Anh Van教授、佐藤俊樹准教授、また発表資料作成に際し多大なご協力をいただきました株式会社リバネス様に、心より感謝申し上げます。今後も、副テーマ研究に一層注力し、研究の深化に努めてまいります。引き続きご指導ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
令和7年1月23日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/23-1.html学生の萩原さんがGel Symposium 2024においてSmart Molecules Best Poster Awardを受賞
学生の萩原礼奈さん(博士後期課程1年、サスティナブルイノベーション研究領域、桶葭研究室)が14th International Gel Symposium(Gel Symposium 2024)において、Wiley社発行のジャーナルSmart MoleculesよりBest Poster Awardを受賞しました。
Gel Symposiumは、高分子ゲルおよび関連する材料科学・工学の基礎研究と実用的応用における最新の課題に焦点を当てた国際会議です。
Gel Symposium 2024は、令和6年11月17日~21日にかけて沖縄県にて開催され、高分子ゲルだけでなく、無溶媒エラストマー、ゴム、その他のポリマーネットワーク、およびアクティブソフトマターに関する研究についても議論が行われました。
※参考:Gel Symposium 2024
■受賞年月日
令和6年11月21日
■研究題目、論文タイトル等
Design of Open Systems Using Aqueous Polymer Solutions Causing Meniscus Splitting
■研究者、著者
萩原礼奈、桶葭興資
■受賞対象となった研究の内容
高分子溶液の乾燥過程で界面の変形が生じる界面分割現象は非平衡現象の一つとして注目されている。多糖類のみで確認されていたこの現象を合成高分子でも実証した本研究は、開口部のデザインにより湿度を調整することで界面変形パターンの制御に成功した。
■受賞にあたって一言
この度はGel Symposium 2024にてSmart Molecules Best Poster Awardを頂戴し、誠に光栄に思います。本研究の遂行にあたり、丁寧なご指導を賜りました桶葭興資准教授及び研究室のメンバーにこの場を借りて心より御礼申し上げます。今後も界面変形の普遍性を明らかにするため、研究を進めていきます。
令和7年1月21日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/21-1.html学生の福田さんと北畠さんがプラスチック成形加工学会第32回秋季大会成形加工シンポジア'24においてポスター賞を受賞
学生の福田雄太さん(博士後期課程1年、物質化学フロンティア研究領域、山口政之研究室)と北畠志温さん(博士前期課程2年、物質化学フロンティア研究領域、山口政之研究室)が一般社団法人プラスチック成形加工学会第32回秋季大会成形加工シンポジア'24においてポスター賞を受賞しました。
プラスチック成形加工学会は、プラスチック材料・成形条件・ベストな製品に至る全工程にわたって科学と技術のメスを入れ、プラスチックの新しい可能性を切り開くため、会員相互の情報交換や議論を行う場を提供しています。
第32回秋季大会成形加工シンポジア'24は、「美ら海に響け!成形加工の新たなハーモニー」をスローガンに、令和6年11月27日~28日にかけて、沖縄県にて開催されました。
※参考:プラスチック成形加工学会第32回秋季大会成形加工シンポジア'24
■受賞年月日
令和6年11月27日
【福田雄太さん】
■研究題目、論文タイトル等
水素化ジシクロペンタジエンの添加によるポリプロピレンのモルフォロジー制御
■研究者、著者
福田雄太、山口政之
■受賞対象となった研究の内容
食品包装フィルムなどに用いられているポリプロピレン(PP)の剛性を高める新しい手法として、PPと相溶する水素化ジシクロペンタジエンとの混合を提案した。この物質を添加すると、PPは結晶と非晶の中間状態であるメゾ相を経由して結晶化する。それによってPPの結晶構造を制御可能となり剛性が向上する。PPフィルムの薄膜化に繋がる技術である。
■受賞にあたって一言
この度はプラスチック成形加工学会第32回秋季大会成形加工シンポジア'24 においてポスター賞を受賞できたことを大変うれしく思っています。受賞にあたって日頃から熱心に指導してくださる山口政之教授および研究室のメンバーに深くお礼申し上げます。
【北畠志温さん】
■研究題目、論文タイトル等
ポリメタクリル酸メチルの添加によるポリプロピレンの流動誘起結晶化挙動の変化
■研究者、著者
北畠志温、山口政之
■受賞対象となった研究の内容
結晶性高分子であるポリプロピレン(PP)の流動誘起結晶化を飛躍的に促進する技術として、低分子量のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を混合する手法を提案した。溶融状態においてPMMAは低粘度でありPP中で大きく変形するが、冷却過程で急激に増粘し、剛体粒子として作用する。その結果、結晶化温度近傍ではPPのみが変形を受け、流動誘起結晶化が進み成形体の剛性が高くなる。高剛性化を単純な方法で達成可能な新技術となる。
■受賞にあたって一言
この度は、プラスチック成形加工学会第32回秋季大会成形加工シンポジア'24におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導をいただいている山口政之教授、研究室の皆さんにこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。今後もよりいっそう研究活動に邁進していきたいと思います。
令和7年1月17日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/17-1.htmlInternational Symposium on Exponential Biomedical DX 2024を開催
2024年12月19日から20日にかけて、本学 超越バイオメディカルDX研究拠点主催の第1回国際シンポジウム「International Symposium on Exponential Biomedical DX 2024(eMEDX-24)」を石川ハイテク交流センターにて開催しました。本シンポジウムでは、「ウェルビーイングの実現」をテーマに、バイオメディカルサイエンス・テクノロジーの最前線で活躍する国内外の研究者・科学者が一堂に会し、多岐にわたるテーマについて自由闊達な議論が展開されました。参加者は総勢148名に上り、基調講演4件、特別講演9件、招待講演32件が行われました。
本学の寺野 稔 学長および大会長である超越バイオメディカルDX研究拠点長の松村 和明 教授による開会挨拶の後、東京女子医科大学 岡野 光夫 名誉教授と亜洲大学校 キ・ドン・パク 教授による基調講演が行われました。岡野名誉教授は温度応答性高分子材料の研究、パク教授は生理活性ヒドロゲルの研究について、それぞれ医療分野への応用を含めた最先端の成果を発表し、参加者の大きな関心を引きました。続いて、バイオメディカル分野で活躍するトップランナーの研究者による特別講演や招待講演が行われ、参加者同士の活発な意見交換が展開されました。また、北陸三県のバイオメディカル研究室に所属するJST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)に採択された博士後期課程の学生が主催する特別セッションでは、博士号取得後のキャリアプランについて熱心な議論が交わされました。
二日目には、京都大学 秋吉 一成 名誉教授と韓国科学技術研究院 クァン・リョル・リー 博士による基調講演が行われました。秋吉名誉教授はバイオインスパイアードナノマテリアルを活用したドラッグデリバリーシステムの開発について、また、リー博士はマテリアルズR&Dデータにおけるスキーマおよび語彙の標準化に関する研究成果について講演されました。その後、バイオメディカル分野を牽引する第一線の研究者による特別講演や招待講演が続き、参加者間では熱心な議論や意見交換が行われました。また、国内外の学生による最新の研究に関するポスター発表(49件)が行われ、活発なディスカッションが繰り広げられました。その結果、4名の学生が最優秀学生ポスター賞を、8名の学生が優秀学生ポスター賞を受賞し、授賞式が執り行われました。その後、本学超越バイオメディカルDX研究拠点の栗澤 元一 教授および都 英次郎 教授による挨拶で締めくくられ、盛況のうちに終了しました。
本シンポジウムの開催を契機に、ウェルビーイングの実現に向けて、超越バイオメディカルDX研究のさらなる加速を目指して邁進してまいります。


開会の挨拶をする寺野 稔 学長(左)と
松村 和明 超越バイオメディカルDX研究拠点長

基調講演①
岡野 光夫 名誉教授
(東京女子医科大学)

基調講演②
キ・ドン・パク 教授
(亜州大学校)

基調講演③
秋吉 一成 名誉教授
(京都大学)

基調講演④
クァン・リョル・リー 博士
(韓国科学技術研究院)

SPRING主催特別セッション

ポスター発表

優秀学生ポスター賞受賞式


閉会の挨拶をする栗澤 元一 教授(左)と
都 英次郎 教授(右)

シンポジウムの様子
令和6年12月27日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/12/27-1.html第4回 金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 共同シンポジウム with 第16回ライフサイエンス研究交流セミナー
本学と金沢大学は、平成30年度より融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、昨年度からは融合科学共同専攻にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目指すことを目的に、共同シンポジウムを開催しています。
第4回である今回のテーマは『健康長寿』です。また当日は、金沢大学のライフサイエンス研究交流セミナーとの合同開催によるポスターセッションと懇談会も開催します。多数のご参加をお待ちしています。
開催日時 | 令和7年2月3日(月)13:30~18:00 |
会 場 | 金沢大学自然科学系図書館棟1階大会議室(金沢市角間町) ※第1部(共同シンポジウム)のみWebexにて同時配信 |
テーマ | 健康長寿 |
プログラム | ≪第1部:共同シンポジウム≫ 13:30~ オープニング(本シンポジウムの趣旨説明等) 13:35~ 開会挨拶 金沢大学 和田 隆志 学長 13:40~14:20 ≪講演1≫ *講演:30分、質疑応答:10分 講演者:栗澤 元一 教授 (本学 物質化学フロンティア研究領域、超越バイオメディカルDX研究拠点) 講演タイトル:難治性疾患治療を変える薬効増幅型緑茶カテキン・ナノ粒子の開発 14:25~15:05 ≪講演2≫ *講演:30分、質疑応答:10分 講演者:鈴木 健之 教授(金沢大学 がん進展制御研究所長) 講演タイトル:がん悪性進展におけるエピゲノム・エピトランスクリプトーム制御の解明に向けて 15:25~16:05 ≪講演3≫ *講演:30分、質疑応答:10分 講演者:都 英次郎 教授 (本学 物質化学フロンティア研究領域、超越バイオメディカルDX研究拠点) 講演タイトル:光細菌を利用したがん診断・治療技術 16:10~16:50 ≪講演4≫ *講演:30分、質疑応答:10分 講演者: 城村 由和 教授(金沢大学 がん進展制御研究所) 講演タイトル:革新的な健康寿命延伸法創出に向けた老化細胞多様性の包括的解明 16:50~16:55 閉会挨拶 北陸先端科学技術大学院大学 寺野 稔 学長 ≪第2部:ライフサイエンス研究交流セミナー≫ ※対面限定 17:00~18:00 ポスターセッション・懇談会 ※ポスターセッションの詳細は追ってお知らせします(1月以降公開) |
参加申込 | 下記申込用フォームからお申込みください。≪事前登録必須≫ https://forms.office.com/pages/responsepage.aspx?id=0g6hxA4YVkSXJwaXjM06YImL-UB_gg5Hr98loCM5w1pURTQ1S0tXVFFLMlZXNTVGRkdJOVQxQUExUC4u&route=shorturl ※〆切:2025年2月2日(日)まで |
備 考 | ・会場での参加、オンライン参加ともに事前申込みが必要です。 ・オンライン参加の方には、登録されたメールアドレスへ後日Webexの接続情報をお送りします。 ・来客用駐車スペースの利用可。 |
本件 問合せ先 |
研究推進課 学術研究推進係 TEL:0761-51-1907 E-mail:suishin@ml.jaist.ac.jp |
第25回研究科セミナー(ナノマテリアル・デバイス研究領域)「HfO2系強誘電体薄膜の特性とその考え方」
日 時 | 令和6年12月19日(木)15:30~17:00 |
場 所 | マテリアルサイエンス研究棟Ⅳ棟8階 中セミナー室 |
講演題目 | HfO2系強誘電体薄膜の特性とその考え方 |
講演者 | 東京大学 名誉教授 鳥海 明 氏 |
使用言語 | 日本語 |
お問合せ先 | 北陸先端科学技術大学院大学 ナノマテリアル・デバイス研究領域 教授 徳光 永輔 (E-mail:e-toku ![]() |
● 参加申込・予約は不要です。直接会場にお越しください。
出典:JAIST イベント情報https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/event/2024/11/22-1.html学生のZHOUさんがICAMT 2024にてBest Poster Awardを受賞
学生のZHOU, Jiabeiさん (博士後期課程3年、物質化学フロンティア研究領域、山口政之研究室) がInternational Conference on Advanced Materials and Technology (ICAMT 2024)にてBest Poster Awardを受賞しました。
ICAMT2024は、令和6年10月9日~12日にかけて、ベトナム(ハノイ)にて、ハノイ工科大学の材料工学部設立を記念して開催された国際会議です。同会議では、さまざまな先端材料分野の専門家が集まり、材料科学・工学に関する最新の研究成果について議論が行われました。
■受賞年月日
令和6年10月10日
■研究者、著者
Jiabei Zhou(周 佳貝), Kenji Takada, Tatsuo Kaneko and Masayuki Yamaguchi
■研究題目、論文タイトル等
Enhanced mechanical performance of high thermoresistance polybenzimidazole film by pore-construction
■受賞対象となった研究の内容
スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも特に高性能材料に位置づけられるポリベンズイミダゾール(以下、PBI)は、優れた耐熱性と耐薬品性を備えているため、様々な分野で関心を持たれている。金属と比して遥かに軽量であるPBIはバイオベースプロセスでも合成できるため、省・再生エネルギーの目標の実現や、軽量化社会構築に大きく貢献すると期待されている。ただし、キャスト法で得られたPBIフィルムは、特徴的なパターンの形成による不均質化が生じ応用範囲が限られていた。本研究では、PBIフィルムの不均質化の改善に着目し、ナノ粒子分散かつポア形成という手法で改善することに成功した。
■受賞にあたって一言
この度は、ICAMT 2024国際会議におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導をいただいている山口政之教授、研究室の皆さんにこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。さらに、多くのご助言をいただきました研究室のメンバーに深く感謝いたします。


令和6年11月19日
学生の加藤さんがSLTB2024においてPoster Awardを受賞

学生(JAIST-Spring研究員)の加藤裕介さん(博士後期課程2年、物質化学フロンティア研究領域、松村研究室)が、60th Anniversary Meeting of the Society for Low Temperature Biology (SLTB2024)において、Poster Awardを受賞しました。
本研究成果は、次世代研究者挑戦的研究プログラム(JAIST-SPRING)の支援のもと行われたものです。
SLTB2024は、令和6年9月11日~13日にかけてイギリスのマンチェスター大学にて開催された低温生物学に関する国際会議です。今回は低温生物学会(SLTB)60周年の記念会議となり、特に低温生物学会の歴史と持続可能なバイオバンクについて焦点が当てられ、生物、物理、化学など様々な分野からのアプローチによる低温環境での生物の生命現象に関する最新の研究成果について議論が行われました。
※参考:SLBT2024
■受賞年月日
令和6年9月12日
■研究題目、論文タイトル等
Cryopreservation with intracellularly introduced polymeric cryoprotectants and extracellular non-permeable small molecule cryoprotectants
■研究者、著者
加藤裕介、松村和明
■受賞対象となった研究の内容
細胞や組織の凍結保存を達成するためには、細胞内の氷晶形成を抑制することが重要と言われている。この研究では、その目的のために凍結保護高分子を細胞内に導入することにより、細胞外保護剤との相乗的保護効果を得ることに成功した。
■受賞にあたって一言
このたびはSLTB2024にてPoster Awardを戴き、大変光栄に存じます。本研究の遂行にあたり、丁寧なご指導を賜りました松村和明教授に、この場を借りて心より御礼申し上げます。また、多くのご助言をいただきました研究室の皆様に、深く感謝いたします。
令和6年10月31日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/10/31-1.html物質化学フロンティア研究領域の青木助教の講演が第85回応用物理学会秋季学術講演会の注目講演に選出されました
2024年第85回応用物理学会秋季学術講演会が9月16日(月)~9月20日(金)に朱鷺メッセほかで開催されます。
物質化学フロンティア研究領域の青木健太郎助教の講演が当該講演会の注目講演17件のうちの1つとして選出され、応用物理学会からプレスリリースが発表されました。
講演情報
スルホン化ポリイミド薄膜のLiイオン電池用有機溶媒滴下による組織構造形成とリチウムイオン伝導度の向上
〇青木健太郎、Athchaya Suwansoontorn、原光生、山本勝宏、是津信行、永野修作、長尾祐樹
応用物理学会のプレスリリースはこちら
令和6年9月18日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/09/19-1.html高密度なイオン液体構造を持つ新高分子材料の創出

高密度なイオン液体構造を持つ新高分子材料の創出
ポイント
- バイオベース化合物であるポリフマル酸の高分子反応により、高密度にイオン液体構造を有する高分子化イオン液体の合成に成功しました。
- 作製したアノード型ハーフセルは、リチウムイオン二次電池における1Cにおいて297 mAhg-1、ナトリウムイオン二次電池において60 mAg-1で250 mAhg-1の放電容量を示しました。
- いずれの電池系も高い耐久性を示し、リチウムイオン二次電池では750サイクル後に80%、ナトリウムイオン二次電池においては200サイクル後に96%の容量維持率を示しました。
- 高密度イオン液体構造を有するバインダーは、リチウムイオン二次電池系の急速充放電能において適性を示し、5CにおいてPVDF系の約2倍の85 mAhg-1を示しました。
- また、同バインダーは、ナトリウムイオン二次電池のハードカーボン負極バインダーとして、ナトリウムイオンの負極における拡散を改善しつつ、PVDF系の約2倍の放電容量を発現させました。
北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)物質化学フロンティア研究領域の松見紀佳教授、Amarshi Patra大学院生(博士後期課程)は、バイオベースポリマーであるポリフマル酸から高密度にイオン液体構造を有する新たな高分子化イオン液体を開発しました。開発した本高分子材料をリチウムイオン二次電池[*1]用グラファイト負極バインダーとして適用することにより、急速充放電能が促されました。また、ナトリウムイオン二次電池[*2]用ハードカーボン負極バインダーとして適用することにより、PVDFバインダー系の2倍の放電容量を観測しました。これらは、いずれも本バインダーが負極内における円滑な金属カチオンの拡散を促した結果です。また、構築した電池系はいずれも高い耐久性を示しました。 高分子化イオン液体は極めて多様な応用範囲を有する材料群であり、高密度なイオン液体構造を有する新材料の創出は、多様な分野における研究を活性化させる可能性を有しています。 |
【研究背景と内容】
今日、高分子化イオン液体は、各種エネルギーデバイス向けの材料や生医学用材料、センシング用材料、環境応答性材料、触媒の担持体等の広範な分野で、極めて活発に研究されている重要な機能性材料となっています。
本研究では、バイオベースポリマー[*4]であるポリフマル酸の高分子反応によって、高密度にイオン液体構造を有する新たな高分子化イオン液体を合成しました。また、得られた材料をリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池の負極バインダーとして適用しました。その結果、負極内の金属イオンの拡散が促進され、それぞれの電池系の特性の改善につながることを見出しました。
本高分子化イオン液体の合成においては(図1)、まずフマル酸[*3]エステルをAIBNを開始剤としてラジカル重合し、ポリフマル酸エステルを得ました。その後、ポリマーをKOH水溶液で100oCにおいて12時間処理し、透析を行うことでポリフマル酸を得ました。一方、アリルメチルイミダゾリウムクロリドをAmberlite樹脂によりイオン交換することで、アリルメチルイミダゾリウムヒドロキシドを調整し、これを常温でポリフマル酸と中和させることにより、高密度なイオン液体構造を有する高分子化イオン液体(PMAI)を合成しました。ポリマーの構造は、1H-、13C-NMR及びIR等により決定しました。
まず、本ポリマー(PMAI)のグラファイトとのコンポジット(PMAI/Gr)、ハードカーボンとのコンポジット(PMAI/HC)について、銅箔への接着性を引き剝がし試験により評価したところ、いずれの系もPVDFとのコンポジット系よりも大幅に改善された接着力を示しました。PMAI/Grは10.9 Nを要し、PMAI/HCは11.0 Nを要し、いずれもPVDF/Grの9.8 N、PVDF/HCの9.9 Nを上回りました。
次に、本ポリマー(PMAI)のリチウムイオン二次電池用負極バインダーとしての性能を評価しました。アノード型ハーフセル[*5]における電荷移動界面抵抗はPMAI/Grにおいて21.9Ωであり、PVDF/Gr系の125.9Ωを大幅に下回りました。これは、高密度なイオン液体構造が負極内におけるLiイオン拡散を促す結果と考えられます。また、PMAI/Gr系においてはSEI抵抗も11.08Ωと低く、PVDF/Gr系の29.97Ωよりも顕著に低いことがわかりました。(図2)。
さらにLi+拡散係数をインピーダンススペクトルにおける低周波数領域から解析したところ、PMAI/Gr系では1.03 x 10-10 cm2/s、PVDF/Grでは3.08 x 10-12 cm2/sとなり、前者において著しく低くなりました。結果として、作製したアノード型ハーフセル(図2)はリチウムイオン二次電池における1Cにおいて297 mAhg-1の放電容量を示し、750サイクル後に80%の容量維持率を示しました。また、本バインダー系は、急速充放電能において適性を示し、5CにおいてPVDF系の約2倍の85 mAhg-1を示しました。
本ポリマー(PMAI)のナトリウムイオン二次電池用負極バインダーとしての性能に関しても評価しました。アノード型ハーフセルにおける電荷移動界面抵抗はPMAI/HCにおいて31.38Ωであり、PVDF/HC系の83.09Ωを大幅に下回りました。さらにNa+拡散係数をインピーダンススペクトルにおける低周波数領域から解析したところ、PMAI/HC系では3.35 x 10-13 cm2/s、PVDF/HCでは1.01 x 10-13 cm2/sとなり、前者において3倍以上の拡散性を示しました。ナトリウムイオン二次電池の負極ハーフセルにおいて、60 mAg-1で250 mAhg-1の放電容量を示し、200サイクル後に96%の容量維持率を示しました。結果としてPVDF系の約2倍の放電容量を発現させました。
また、充放電後の負極をSEM観察したところ、PVDF系と比較して大幅に負極マトリックス上のクラックが少なく、安定化している様子が観察されました。(図3)
本成果は、Advanced Energy Materials(WILEY - VCH)(IF 24.4)のオンライン版に9月12日に掲載されました。
【今後の展開】
本高分子材料においては、種々なカチオン構造の改変が可能であり、さらなる高性能化につながると期待できます。
今後は、企業との共同研究(開発パートナー募集中、サンプル提供応相談)を通して、将来的な社会実装を目指します。(特許出願済み)。また、高耐久性リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池の普及を通して、社会の低炭素化に寄与する技術への展開が期待できます。
集電体への接着力が高く、高耐久性を促すバインダー材料として、広範な蓄電デバイスへの応用展開が期待されるほか、新たな高分子化イオン液体材料として、エネルギーデバイス以外の広範な分野における応用も期待できます。
図1.高密度高分子化イオン液体の合成法
図2.PMAI/Gr、PVDF/Gr系の充放電サイクル特性(リチウムイオン二次電池、負極型ハーフセル) (a) 1C(800サイクル)(b) 5C(1000 サイクル);SEI抵抗の電圧依存性(RSEI vs. V) (c)リチウム挿入反応中の電圧 (d)リチウム脱離反応中の電圧
図3.(a)(d) PMAI/HC、PVDF/HC 系の充放電前のSEM像;(b) PMAI/HC (e) PVDF/HC系の充放電後のTop View像;(c) PMAI/HC (f) PVDF/HCの充放電後の断面像
【論文情報】
雑誌名 | Advanced Energy Materials |
題目 | Densely Imidazolium Functionalized Water Soluble Poly(ionic liquid) Binder for Enhanced Performance of Carbon Anode in Lithium/Sodium-ion Batteries |
著者 | Amarshi Patra and Noriyoshi Matsumi* |
掲載日 | 2024年9月12日 |
DOI | 10.1002/aenm.202403071 |
【用語説明】
電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池。従来型のニッケル水素型二次電池と比較して高電圧、高密度であり、各種ポータブルデバイスや環境対応自動車に適用されている。
電解質中のナトリウムイオンが電気伝導を担う二次電池。従来型のリチウムイオン二次電池と比較して原料の調達の利便性やコスト性に優れることから、各種ポータブルデバイスや環境対応自動車への適用が期待されている。
フマル酸は無水マレイン酸(バイオベース無水マレイン酸を含む)を原料として工業的に生産されるが、糖類に糸状菌を作用させて製造することも可能である。さらに、最近ではCO2を原料とした人工光合成によりフマル酸を生産する技術も脚光を浴びている。CO2もしくは糖類、バイオベース無水マレイン酸から誘導可能なフマル酸を用いた高付加価値な化成品の製造は、カーボンニュートラルへの貢献において魅力あるアプローチといえる。
生物資源由来の原料から合成される高分子材料の総称。低炭素化技術として、その利用の拡充が期待されている。
例えば、ナトリウムイオン二次電池の場合には、アノード極/電解質/Naの構成からなる半電池を意味する。
令和6年9月17日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2024/09/17-1.html