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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。学生のSana AhmedさんとPunnida Nonsuwanさんが9th International Conference on Fiber and Polymer Biotechnology (IFPB2016)においてBest Poster Awardを受賞
学生のSana Ahmedさん(博士後期課程3年)とPunnida Nonsuwanさん(博士後期課程1年)(物質化学領域・松村研究室)が、9th International Conference on Fiber and Polymer Biotechnology (IFPB2016)においてBest Poster Awardを受賞しました。
■受賞年月日
平成28年9月9日
【Sana Ahmedさん】
■論文タイトル
「Accelerated Gene delivery using Self-Assembled Polyampholyte Nanoparticles based on Freeze Concentration Mechanism(凍結濃縮メカニズムによる自己組織化両性電解質高分子ナノ粒子をもちいた遺伝子導入の効率化)」
■論文概要
両性電解質高分子ナノ粒子に複合化させた遺伝子を、細胞とともに凍結することで、凍結濃縮作用により細胞周囲に濃縮させ、細胞内への遺伝子導入効率の向上に成功した。
■受賞にあたって一言
I am deeply honored and appreciative for receiving this poster award in "9th International Conference on Fiber and Polymer Biotechnology" held in Osaka, Japan. I am very grateful to my supervisor Prof. Kazuaki Matsumura for all his support and guidance. This award encourages and motivates me to contribute more in development of society and research field. Lastly, I would like to acknowledge my institute JAIST for supporting my research.
【Punnid Nonsuwanさん】
■論文タイトル
「Degradation control of multiple crosslinked dextran based hydrogel(複合架橋デキストランハイドロゲルの分解制御)」
■論文概要
アルデヒドとメタクリル基を導入したデキストランに、ヂチオスレイトールを添加することでマイケル付加反応によりハイドロゲルを形成した。このハイドロゲルはアミノ酸を添加することで分解させることが可能で有り、ドラッグデリバリーシステムや細胞治療用途への応用が期待できる。
■受賞にあたって一言
It is my honor to get the IFPB2016 Poster Award. I am really grateful to Prof. Kazuaki Matsumura for this opportunity and the valuable advice for my work. I would like to express my appreciation to JAIST for the support in studying and researching. Attendance in international conference is the good chance to distribute our knowledge and gain the new knowledge to boost up ourselves as well.
左:Sana Ahmedさん、右:Punnida Nonsuwanさん
平成28年9月21日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2016/09/21-1.htmlシリコン負極表面を高度に安定化するポリ(ボロシロキサン)型人工SEIの開発に成功

シリコン負極表面を高度に安定化する
ポリ(ボロシロキサン)型人工SEIの開発に成功
ポイント
- リチウムイオン2次電池のシリコン負極表面の劣化を抑制する人工SEIの開発に成功した。
- 350回の充放電サイクル時点で、ポリ(ボロシロキサン)をコーティングしたシリコン負極型セルは、PVDFコーティング系と比較して約2倍の放電容量を示した。
- 本人工SEIの好ましい特性の一つは自己修復能にあることがSEM測定から明らかになった。
- 充放電サイクル後に、本人工SEIを用いた電池系ではPVDF系と比較して大幅に低い内部抵抗が観測された。
- LiNMCを正極としたフルセルにおいても、ポリ(ボロシロキサン)コーティング系電池セルはPVDF系と比較して大幅に優れた性能を発現した。
- 低いLUMOによりポリ(ボロシロキサン)のコーティング層は初期サイクルで一部還元され、同時にリチウムイオンを含有した好ましいSEIを形成する。
- ヘキサンなどの低極性溶媒にも可溶であり、多様な系におけるコンポジット化、成膜に対応性を有している。
北陸先端科学技術大学院大学 (JAIST) (学長・寺野稔、石川県能美市)の先端科学技術研究科 物質化学領域の松見 紀佳教授、博士後期課程学生(当時)のサイゴウラン パトナイク、テジキラン ピンディジャヤクマールらは、リチウムイオン2次電池*1 におけるシリコン負極の耐久性を大幅に向上させる人工SEI材料の開発に成功した(図1)。 リチウムイオン2次電池負極としては多年にわたりグラファイトなどが主要な材料として採用されてきたが、次世代用負極として理論容量が極めて高いシリコンの活用が活発に研究されている。しかし、一般的な問題点としては、充放電に伴うシリコンの大幅な体積膨張・収縮によりシリコン粒子や表面被膜の破壊が起こり、さらに新たなシリコン表面から電解液の分解が起き、厚みを有する被膜が形成して電池の内部抵抗を低減させ放電容量の大幅な低下につながっていた。本研究では、自己修復型高分子ポリ(ボロシロキサン)をコーティングすることにより、シリコン表面が大幅に安定化することを見出した。 コーティングを行っていないシリコン負極、PVDFコーティングしたシリコン負極、ポリ(ボロシロキサン)コーティングしたシリコン負極をそれぞれ用いたコインセルのサイクリックボルタンメトリー測定*2 を比較すると、ポリ(ボロシロキサン)コーティングを行った系においてリチウム脱挿入ピークの可逆性が大幅に改善された。これは、ポリ(ボロシロキサン)の低いLUMOレベル*3 により初期の電気化学サイクルにおいてコーティング膜が一部還元されることにより、リチウムイオンを含有した好ましいSEIを形成した結果と考えられる。ポリ(ボロシロキサン)コーティングを行ったシリコン表面に傷をつけた後、45℃におけるモルフォロジーの経過をSEM観察したところ、30分以内に傷が修復される様子が確認された(図2)。 このようなポリ(ボロシロキサン)の自己修復能力の結果、アノード型ハーフセルの充放電試験においてポリ(ボロシロキサン)コーティング系はPVDFコーティング系と比較して350サイクル時点で約2倍程度の放電容量を示した(図3)。また、充放電サイクル後のインピーダンス測定より、好ましい界面挙動*4 によるポリ(ボロシロキサン)コーティング系の内部抵抗の低下が示された。 また、LiNMCを正極としたフルセルについても検討したところ、ポリ(ボロシロキサン)コーティング系はPVDFコーティング系と比較して大幅に優れた性能を示した。例えば、30サイクル終了時点でのポリ(ボロシロキサン)コーティング系の放電容量はPVDFコーティング系の約3倍に達した。 本研究は、科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の支援を受けて行われた。 |
本成果は、「ACS Applied Energy Materials」(米国化学会)オンライン版に1月19日に掲載された。
題目 | Defined Poly(borosiloxane) as an Artificial Solid Electrolyte Interphase Layer for Thin-Film Silicon Anodes |
著者 | Sai Gourang Patnaik, Tejkiran Pindi Jayakumar, Noriyoshi Matsumi |
DOI | 10.1021/acsaem.0c02749 |
【今後の展開】
自己修復能以外の他のメカニズムによりシリコンを安定化する他系との組み合わせにより相乗効果が大いに期待される。
更なる改良に向けた分子レベルでの構造改変により高性能化を図る。
電極―電解質界面抵抗を大幅に低減できる各種電極用高分子コーティング剤として、リチウムイオン2次電池のみならず広範な蓄電デバイスへの応用が見込まれる。
【用語解説】
*1 リチウムイオン2次電池:
電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う2次電池。従来型のニッケル水素型2次電池と比較して高電圧、高密度であり、各種ポータブルデバイスや環境対応自動車に適用されている。
*2 サイクリックボルタンメトリー(サイクリックボルタモグラム):
電極電位を直線的に掃引し、系内における酸化・還元による応答電流を測定する手法である。電気化学分野における汎用的な測定手法である。また、測定により得られるプロファイルをサイクリックボルタモグラムと呼ぶ。
*3 LUMO:
電子が占有していない分子軌道の中でエネルギー準位が最も低い軌道を最低空軌道(LUMO; Lowest Unoccupied Molecular Orbital)と呼ぶ。
*4 電極―電解質界面抵抗:
エネルギーデバイスにおいては一般的に個々の電極の特性や個々の電解質の特性に加えて電極―電解質界面の電荷移動抵抗がデバイスのパフォーマンスにとって重要である。交流インピーダンス測定を行うことによって個々の材料自身の特性、電極―電解質界面の特性等を分離した成分としてそれぞれ観測し、解析することが可能である。
令和3年1月26日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/01/26-1.html学生のMISHRAさんが高分子学会第72回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞
学生のMISHRA, Sameer Nirupamさん(博士後期課程3年、物質化学フロンティア研究領域、松見研究室)が公益社団法人高分子学会の第72回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会は、高分子科学と技術およびこれらに関連する諸分野の情報を交換・吸収する、さまざまな場を提供しています。会員はこれらの場を通じ、学術的向上や研究の新展開のみならず会員相互の人間的な触れ合いや国際的な交流を深めています。
優秀ポスター賞は、高分子学会年次大会および高分子討論会において、優れたポスター発表を行った発表者に授与されるもので、もって発表を奨励し、高分子科学ならびに同会の発展に資することを目的としています。
第72回高分子討論会は、9月26日~28日にかけて香川大学幸町キャンパスにて開催されました。
※第72回高分子討論会
■受賞年月日
令和5年9月28日
■研究題目
BIAN含有高分子/ポリ(アクリル酸リチウム)バインダーを用いたSi系負極の安定化
(Stabilization of Si-based Anode for LIB Using BIAN Type Conjugated Polymer/Poly (lithium acrylate) Binder)
■研究者、著者
Sameer Nirupam Mishra,Saibrata Punyasloka, Anusha Pradhan and Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池分野においてはシリコン系負極を用いた高容量化への展開に注目が集まっている。本研究においては、側鎖にフェノール基を有するBIAN(ビスイミノアセナフテン)型共役系高分子バインダーを新たに合成し、ポリ(アクリル酸リチウム)とのコンポジットバインダーとしてシリコン系負極に適用した。本系では100サイクルまで1173 mAg-1の放電容量を維持すると同時に、高いリチウムイオン拡散係数が観測され、シリコン系負極で課題とされている初期クーロン効率の改善につながった。これらの結果はコンポジットバインダーが示す自己修復能や高いリチウムイオン濃度に起因していると考えられる。
■受賞にあたって一言
I would like to thank the 72nd Symposium on Macromolecules Excellent Poster Award Selection Committee and SPSJ Chairman Kazunori Matsuura for considering me for the award. I also would like to take this opportunity to extend my sincere and heartfelt gratitude to Prof. Noriyoshi Matsumi for his constant guidance. Further, I would also like to thank all the members of the Matsumi Lab, friends, and family for their continual support. I see this award as a motivation and encouragement that will push me forward in my research career and help me achieve greater heights. Thank you.


令和5年11月6日
物質化学フロンティア研究領域の松見教授の論文がACS Applied Energy Materials誌の表紙に採択
物質化学フロンティア研究領域の松見 紀佳教授の論文が、米国化学会(American Chemical Society :ACS)刊行のACS Applied Energy Materials誌の表紙(Front Cover)に採択されました。
■掲載誌
ACS Applied Energy Materials 2022, 5, 7, 7977-7987 (Highlighted as Front Cover)
表紙掲載日2022年7月25日
■著者
Agman Gupta, Rajashekar Badam, Noriyoshi Matsumi*
■論文タイトル
Heavy-Duty Performance from Silicon Anodes Using Poly(BIAN)/Poly(acrylic acid)-Based Self-Healing Composite Binder in Lithium-Ion Secondary Batteries
■論文概要
本論文では、BIAN(ビスイミノアセナフテキノン)構造を有する共役系高分子とポリアクリル酸を組み合わせた自己修復性コンポジットバインダーをリチウムイオン二次電池用シリコン負極に適用することにより、シリコン負極の大幅な安定化を観測するに至った。600サイクル後にも2100 mAhg-1の放電容量を維持することに成功した。
表紙詳細:https://pubs.acs.org/toc/aaemcq/5/7
論文詳細:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsaem.2c00278
令和4年8月3日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/08/03-1.html修了生のKulisara Budpudさんらの論文がWILEY社刊行Macromolecular Rapid Communications誌の表紙に採択
修了生のKulisara Budpudさん(令和3年9月博士後期課程修了、サスティナブルイノベーション研究領域、金子研究室)らの論文がWILEY社刊行のMacromolecular Rapid Communications誌の表紙に採択されました。
■掲載誌
Macromolecular Rapid Communications, Volume 43, Issue 11 (2022)
掲載日2022年6月7日
■論文タイトル
Super-Moisturizing Materials from Morphological Deformation of Suprapolysaccharides
■著者
Kulisara Budpud, Kosuke Okeyoshi*, Shoko Kobayashi, Maiko K Okajima, Tatsuo Kaneko*
■論文概要
サスティナブルイノベーション研究領域、金子研究室の修了生ブッドプッド クリサラさん、桶葭興資准教授、金子達雄教授らは、多糖の形態不安定性、特に、水中環境の変化に応じたミクロンファイバー状と微粒子状の可逆的な自己集合/分解を発見した。また、内部に架橋点が導入された微粒子は、空気中で超保湿マテリアルとして振る舞う。天然由来の多糖をナノメートルスケールから再組織化させたことも意義深い。持続可能な社会の構築に向け、光合成産物の多糖を先端材料化することは重要である。
参考
論文詳細:https://doi.org/10.1002/marc.202200163
表紙詳細:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/marc.202270029
令和4年6月14日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/06/14-1.html物質化学領域の長尾准教授の研究課題が村田学術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 村田学術振興財団の研究助成に物質化学領域 長尾 祐樹准教授の研究課題が採択されました。
村田学術振興財団では、エレクトロニクスを中心とする自然科学の研究及び国際化にともなう法律、経済、社会、文化等に係る諸問題に関する人文・社会科学の研究に対して研究助成が行われています。
*詳しくは、村田学術振興財団ホームページをご覧ください。
■研究者名
物質化学領域 長尾 祐樹准教授
■採択期間
令和3年7月~令和4年6月
■研究課題名
分子配向制御による全固体電池の界面デザイン
■研究概要
高分子は柔軟さや自己修復性が付与可能なため、将来的には、折り曲げ可能な固体電池の開発が期待されています。この実現には、電解質に対する電極および活物質の界面設計が不可欠です。界面の特徴の1つに、高分子特有の主鎖や官能基の分子配向等の構造変化がイオン伝導性に強い影響を与えるケースが報告され始めています。長尾准教授の研究グループでは、燃料電池に応用可能なプロトン伝導性高分子薄膜の界面におけるプロトン伝導性と分子配向の相関について研究を行ってきました。例えば、高プロトン伝導性高分子であるNafionは、界面の影響を受けた薄膜では配向構造を示すことが明らかにされています。さらに、酸化物界面と金属界面ではその配向構造が異なります。その構造の違いによってプロトン伝導度も異なります。これらの研究はまだ体系的に実施されておらず、特にデバイスや電池において重要な知見となる金属系材料や炭素系材料などの導電性表面における、高プロトン伝導性高分子界面のプロトン伝導性は十分に明かにされていない状況です。
本研究では、全固体蓄電界面のイオン伝導性や分子配向を同定することで、全固体電池の性能向上と共に課題となるイオンの拡散律速を抑制する次世代蓄電池の界面をデザインすることを目指します。
令和3年7月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/07/12-1.html学生のGUPTAさんがJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞
学生のGUPTA, Agmanさん(博士後期課程3年、物質化学領域、松見研究室)がJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞しました。
JAIST World Conference 2020は、本学のエクセレントコア「サスティナブルマテリアル国際研究拠点」による国際シンポジウムです。シンポジウムでは、国内外からの招待講演者や本学教員による持続可能な低炭素社会の実現に向けたポリマー材料等に関する最先端の研究発表等が行われました。
■受賞年月日
令和2年11月10日
■発表題目
Lithium Ion Secondary Batteries with Silicon Based Anode Highly Stabilized with Self-healing Polymer Binder Matrices
シリコン系負極を自己修復型高分子マインダーマトリクスで高度に安定化したリチウムイオン二次電池
■発表者
Agman Gupta、Rajashekar Badam、Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池開発においては理論容量が極めて高いシリコン負極の活用が期待されている。一方、充放電過程におけるシリコンの大きな膨張・収縮により安定的な充放電挙動の発現が課題となっている。本研究ではn型共役系高分子をポリ(アクリル酸)と組み合わせた水素結合性ネットワークを有する自己修復型バインダーマトリクスを用いることにより約2000 mAhg-1(Si)以上の放電容量を300サイクル以上にわたって維持できる系を見出すに至った。
■受賞にあたって一言
I would like to express my gratitude towards my research supervisor Prof. Noriyoshi Matsumi who has always supported, encouraged, and guided me ably throughout my studies. Also, I would like to thank Dr. Rajashekar Badam for motivating me to do good work. I am thankful to MEXT and JST-Mirai (Grant number: JP18077239) for providing financial support. I am thankful to all JAIST staff (teaching and non-teaching) for providing a wonderful research environment with world-class facilities to conduct good research work. I am motivated to work on the development of next-generation energy storage devices with higher energy density and affordable prices. Research is my passion as it provides me an opportunity to be of service to society and contribute to making life more comfortable.
令和2年11月20日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2020/11/20-1.html学生の熊倉さんが2019年度第68回高分子学会北陸支部研究発表会において優秀研究賞を受賞
学生の熊倉 拓哉さん (博士前期課程 2 年、環境・エネルギー領域、金子達雄研究室) が2019年度第68回高分子学会北陸支部研究発表会において優秀研究賞を受賞しました。
高分子学会北陸支部では、北陸地域を中心に幅広い分野における高分子科学を基軸として研究を展開する研究者・学生らの学術交流として、毎年、研究発表会を開催しています。
優秀研究賞は、高分子学会北陸支部研究発表会の「高分子化学部門」と「高分子構造・高分子物理部門」、「高分子機能部門」のそれぞれにおいて、優秀な研究発表を行った学生に授与されます。
今回、第68回高分子学会北陸支部研究発表会は、11月30日~12月1日にかけて石川県金沢市で開催されました。
■受賞年月日
令和元年11月30日
■発表者名
熊倉拓哉、高田健司、金子達雄
■発表題目
2,5-ビス(アミノメチル)フランを用いたバイオベースポリウレアの合成と熱応答性の評価
■研究概要
本研究では、実際に微生物生産されたバイオ由来 2,5-ビス(アミノメチル)フランを原料として、熱により自己修復性を示すポリウレアゲルの合成法を確立した。主鎖に反応性を有するフランが配置されたポリウレアは、ビスマレイミド類と共存させることで Diels-Alder 反応を起こしゲル化する。このゲルは加熱することで溶融し、冷却することで固化する熱可塑的な挙動を示すことを明らかにした。さらに、ゲルを切断した後、切断面を張り合わせ加温することで接着するという自己修復能力も見出した。以上の成果は、新たなバイオベースポリマー材料を開発しただけでなく、高機能樹脂への展開も可能であるなど、バイオベースポリマーの汎用性を拡大するものである。
■受賞にあたって一言
この度は、第68回高分子学会北陸支部研究発表会におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導をいただいている金子達雄教授、桶葭興資講師、高田健司特任助教、Kumar Amit特任助教にこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。さらに、多くのご助言をいただきました研究室のメンバー、およびバイオモノマー原料を提供していただいた株式会社日本触媒さまに深く感謝いたします。
令和元年12月13日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2019/12/13-1.html学生の熊倉さんが第68回高分子討論会にて優秀ポスター賞を受賞
学生の熊倉 拓哉さん (博士前期課程2年、環境・エネルギー領域、金子研究室) が第68回高分子討論会にて優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会では、幅広い分野における高分子科学を基軸として研究を展開する研究者らの学術交流として、毎年、5月に年次大会、9月に討論会を全国にて開催しており、今年は福井大学にて開催されました。近年の高分子学会では、大学のみならず企業の参加者も増加し、様々な分野における口頭発表、ポスター発表、展示会、共同研究のディスカッションなどの交流が行われています。このうち、ポスター発表では、特に優れた発表を行った学生に対しポスター賞が授与されます。
■受賞年月日
令和元年10月9日
■発表者名
熊倉拓哉、Kumar Amit、高田健司、金子達雄
■発表題目
バイオマス由来2,5-ビス(アミノメチル)フランをベースとしたポリウレアの合成
■研究概要
本研究では微生物の糖代謝により得られるバイオベース 2,5-ビス(アミノメチル)フラン (AMF) を原料としたポリウレアの合成手法の確立および物性評価、機能化を目的とした。本研究により主鎖にフランを有したポリウレアの合成に成功し、フランの反応性を利用した可逆性ゾル-ゲル反応に基づく、自己修復性を示すゲルを開発した。これにより、バイオ由来AMFから新規ポリマーの合成法を確立するだけでなく、材料の機能化の幅を拡大することが可能となった。
■採択にあたって一言
この度は、第68回高分子討論会におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、厳格かつ熱心にご指導を頂きました金子達雄教授、桶葭興資講師、高田健司特任助教、Kumar Amit特任助教にこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。さらに、多くのご助言をいただきました研究室のメンバー、およびバイオモノマー原料を提供していただいた株式会社日本触媒に深く感謝いたします。
令和元年10月23日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2019/10/23-3.html環境・エネルギー領域の桶葭助教らの開発した技術が米国ビデオ誌JoVEにて紹介

環境・エネルギー領域の桶葭興資助教らの開発した技術が米国ビデオ誌JoVEにて紹介されました。
■掲載誌
Journal of Visualized Experiments (JoVE) 2017, 122, e55274.
■著者
Kosuke Okeyoshi*, Kensuke Osada, Maiko K. Okajima, Tatsuo Kaneko
■タイトル
Methods for the self-integration of megamolecular biopolymers on the drying air-LC interface
■概要
米国マサチューセッツ州のビデオ誌において、著者らが開発した偏光システム導入型の光学的観察法が取り上げられた。実験デモンストレーションとして、乾燥環境下にある生体高分子の水溶液が気液界面で自己配向・自己集積する様子が紹介されている。液晶性を示す生体高分子(天然多糖類、骨格タンパク質、DNAなど)水溶液の蒸発面と垂直な方向から光学的に観察する技術を構築することで、集積の経時変化を可視化することに成功している。この技術によって、生体高分子の乾燥環境下にあるユニークな振る舞いを理解できるだけでなく、人工的な材料の設計指針が得られると期待される。
参考: https://www.jove.com/video/55274/methods-for-self-integration-megamolecular-biopolymers-on-drying-air
平成29年5月25日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/05/25-2.html日本海イノベーション会議[北陸先端科学技術大学院大学プログラム] 開催
本学と北國新聞社が共同で、日本海イノベーション会議 [北陸先端科学技術大学院大学プログラム] を実施します。
「日本海イノベーション会議」とは、石川県内の大学の研究成果等を広く県民や企業に知ってもらうことを目的として、北國新聞社と石川県内の大学が共同で開催している講演会の総称です。
日 時 | 8月27日(土) 13:30~15:30 (開場13:00) | ||||
場 所 | 北國新聞20階ホール (金沢市南町2-1 北國新聞会館) | ||||
テーマ | 先端科学技術が拓く未来 | ||||
第1部 | 「未来を拓くプラスチック」
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第2部 | 「知性を備えたプラスチック」
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定 員 | 150名 [受講無料] | ||||
申込方法 | 聴講希望の方は ①郵便番号、②住所、③氏名、④電話番号をご記入の上、下記のいずれかでお申し込みください。 ・ハガキ 〒920-8588 (所番地不要) ・F A X 076-260-3403 ・E-mail koho@hokkoku.co.jp 受講券等は発送しませんので、直接会場へお越しください。定員に達した場合のみご連絡します。 ※個人情報は当会議の催し以外に使用することはありません。 日本海イノベーション会議事務局(北國新聞社広報部) 076-260-3402(平日10~18時) |
ブロック遊びのようにナノ構造を組み上げる技術で新しい知見

ブロック遊びのようにナノ構造を組み上げる技術で新しい知見
北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野 哲夫、石川県能美市)の先端科学技術研究科/物質化学領域の長尾 祐樹准教授らの研究グループは、材料表面を高分子で修飾する表面高機能化技術において新たな知見を得ることに成功しました。材料表面が有する濡れ性、帯電性、防汚性、自己修復性等の機能性表面は、我々の生活をより快適で安全なものにしてくれます。これまでに2種類の機能性分子を交互に組み上げる技術は、数例報告されていましたが、得られたナノ薄膜注1)の密度や構造周期性については明らかにされていませんでした。これに対して、本研究は、ナノ薄膜の密度や構造周期性が膜厚に応じて変化することや分布があることを実験的に明らかにしました。本研究は、アメリカ化学会の雑誌Langmuirに平成28年5月13日に公開されました。
1. 研究の成果 | ||
ブロック遊びのように分子を1種類ずつ材料表面に自在に組み上げる技術は、材料表面の濡れ性、帯電性、防汚性等の高性能化を目的としたコーティング技術等に応用できることから、新しい技術として注目されています。これまでに2種類の機能性分子を交互に積層することでナノ薄膜が得られることは数例報告されていましたが、組み上げた積層回数に応じてどのような高分子ネットワーク構造ができているかについては不明な点が数多くありました。 |
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![]() 分子の積層方法と得られたナノ薄膜の密度・構造周期性の分布 |
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なお、本成果は名古屋大学との共同開発成果であり、名古屋大学「分子・物質合成プラットフォーム」事業(文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業)の支援を受けました。 |
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2. 今後の展開 |
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今回の研究成果によって、材料表面を分子レベルで機能修飾するための新しい設計指針を得ることが出来ました。我々はグローバルな課題として認識されている水問題への取り組みに関心があります。今後、汚染水を浄化する多孔質フィルターの多孔質性を保持したまま表面の防汚性を向上させる技術開発のような応用展開が期待されます。 |
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3. 用語解説 |
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注1)ナノ薄膜:厚さが10億~1億分の1メートル程度の薄い膜。 |
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4. 論文情報 |
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掲載誌:Langmuir |
平成28年5月17日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2016/05/17-1.html