研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。サスティナブルイノベーション研究領域の高田助教の研究課題が三谷研究開発支援財団の研究助成に採択
公益財団法人三谷研究開発支援財団の研究助成にサスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
三谷研究開発支援財団は、石川県地域の大学、大学院において、研究開発に取組むグループおよび個人を対象に、今後の研究開発と産業の発展に寄与する研究を支援することを目的とし、助成を行っています。
*詳しくは、三谷研究開発支援財団ホームページをご覧ください。
- 採択期間:令和4年4月~令和5年3月
- 研究課題名:「桂皮酸をベースとした光誘起機能化バイオプラスチックの創製」
- 研究概要:本研究では、光(紫外線)によって性状を変化させるバイオ分子「桂皮酸」に着目して、光によって性能を変化させるバイオプラスチックの開発を目的としています。桂皮酸は、光に対して様々な変化をする性質を有していますが、その様々な性質変化が材料設計においてはしばしば問題として挙げられ、光応答材料としての利用は広く行われていませんでした。当研究グループでは、これまでに桂皮酸系高分子の光応答性を厳密に評価し、桂皮酸が光応答材料に有望であることを示しました。本研究課題の達成によってバイオ分子である桂皮酸をベースとした材料が光応答材料として広く普及することが期待できます。
- 採択にあたって一言:本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。また、三谷研究開発支援財団および本助成の選考委員の皆様に深く感謝申し上げます。本研究成果により得られる材料および現象が、新たな研究分野を開拓できるように邁進してまいります。また、本研究に関して多くのディスカッションとアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、本研究提案のインスピレーションを与えていただいた研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和4年6月8日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/06/08-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の金子研究室の論文がLangmuir誌の表紙に採択
サスティナブルイノベーション研究領域の金子 達雄教授、高田 健司助教、学生の舟橋 靖芳さん(博士後期課程3年、金子研究室)らの論文が、米国化学会(American Chemical Society :ACS)刊行のLangmuir誌の表紙(Supplementary Cover)に採択されました。
■掲載誌
Langmuir 2022, 38, 17, 5128-5134
掲載日2022年5月3日
■著者
Yasuyoshi Funahashi, Yohei Yoshinaka, Kenji Takada*, and Tatsuo Kaneko*
■論文タイトル
Self-Standing Nanomembranes of Super-Tough Plastics
■論文概要
本研究では、高いタフネスを有するバイオベースプラスチックを用いて自己支持性ナノ薄膜の作製に成功しました。
ナノ薄膜は材料の表面保護からナノデバイスなど幅広い応用が期待されている機能性材料の一つです。特にこれらナノ薄膜を膜として単離するには、タフネス(強度、伸び率の関係)に優れた材料特性が要求されます。本研究では、著者らが従来から研究を進めてきた、高強度、高耐熱バイオベースポリアミドがこれらナノ薄膜作製に適した材料であると着目して、高分子構造の設計と強度の評価、そしてナノ薄膜の作製を試みました。その結果、当該バイオポリアミドは脂肪族ジカルボン酸と共重合化させることで、耐熱性を維持したまま非常に高いタフネスを発揮し、その数値は高強度バイオ繊維として知られるクモの糸にも匹敵するものでした。さらにこの高タフネス性によって、自己支持性のナノ薄膜を単離することができ、これらがナノデバイスやナノロボットへの応用の可能性を広げるものであることが提案されました。
本論文の表紙では、本研究によって得られたポリアミド薄膜の写真が採択され、光の干渉により虹色に見えるほどの薄膜が得られていることが分かります。
論文詳細:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.langmuir.1c02193
表紙詳細:https://pubs.acs.org/toc/langd5/38/17
令和4年5月13日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/05/13-2.html本学のリカレント教育の取組が経済産業省 「令和3年度産業経済研究委託事業(「イノベーション創出」のためのリカレント教育に関する調査)」においてベストプラクティスとして紹介
本学におけるリカレント教育の取組が、経済産業省の「令和3年度産業経済研究委託事業(「イノベーション創出」のためのリカレント教育に関する調査)」の調査において、ベストプラクティスとして抽出され、事例集で紹介されました。
同調査は、大学等が提供するリカレント教育に対する産業界のニーズ及び大学等に期待される取組等を把握することなどを目的に実施されたものです。 その結果、本学のリカレント教育は、「研究成果実装」、「地域貢献」、「教育+産学連携」、「オンライン」、「外部化」のすべての点で特徴ある取組を行っているとして事例集で紹介されました。(令和4年5月11日公表) 詳細は、経済産業省HPを参照ください。 |
本学のリカレント教育は、働きながら学位の取得を目指す東京社会人コースの開設など、長い歴史を有しています。加えて令和4年4月には、これまでの経験を生かし、学位の取得を目的としない、特定分野の専門知識や専門スキルの修得を目指す社会人向けのリカレント教育を行う「リスキル・リカレント教育センター」を新設しました。
本学は、先端科学技術の広い分野で世界トップレベルの研究成果を誇る大学院大学として、首都圏と地元北陸を対象としたリカレント教育を通じて、社会に貢献してまいります。
令和4年5月13日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/05/13-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の高田助教らの研究がPolymer Journal誌の表紙に採択
サスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教、金子 達雄教授および物質化学フロンティア研究領域の松村 和明教授の共同研究に関する論文が、Springer Nature社刊行のPolymer Journal誌の表紙に採択されました。
■掲載誌
Polymer Journal 2022, 54 (4), 581−589.
掲載日2022年1月14日
■著者
Kenji Takada, Asuka Komuro, Mohammad Asif Ali, Maninder Singh, Maiko Okajima, Kazuaki Matsumura, Tatsuo Kaneko*
■論文タイトル
Cell-adhesive gels made of sacran/collagen complexes
■論文概要
本研究では、超高分子量多糖であるサクランとたんぱく質の一種であるコラーゲンを複合化させることで細胞接着性に優れたゲルを開発しました。
多糖サクランは化粧品分野の他にも医療用材料としての利用が期待されており、その汎用性の拡大が期待されています。中でもバイオマテリアルである細胞足場材料として利用するためには、分子配向性を有すること並びに、細胞との接着性を発揮するたんぱく質配列の存在が重要です。本研究では、サクランの配向性とコラーゲンの細胞接着性に着目してこれらコンポジット化による機能化を試みました。複合化条件を検討した結果、一様な配向性を有したサクラン/コラーゲン複合ゲルが形成される条件を見出しました。サクラン/コラーゲンゲルを用いて細胞培養を行った結果、コントロールとしての培養dishと同様の細胞接着・伸展が確認され、本複合ゲルが細胞足場材料への応用の可能性を広げるものであることが提案されました。
表紙詳細:https://www.nature.com/pj/volumes/54/issues/4
論文詳細:https://doi.org/10.1038/s41428-021-00593-w
令和4年4月27日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/04/27-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の高田助教の研究課題が旭硝子財団の研究助成に採択
公益財団法人 旭硝子財団の研究助成「研究奨励」プログラムにサスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
旭硝子財団は、次世代社会の基盤を構築するような独創的な研究への助成事業を通じて、人類が真の豊かさを享受できる社会および文明の創造に寄与することを目的とし、4つのプログラムにおいて研究助成を行っています。
「研究奨励」プログラムでは、若手研究者による基礎的・萌芽的な研究を支援します。
*詳しくは、旭硝子財団ホームページをご覧ください。
- 採択期間:令和4年4月~令和6年3月
- 研究課題名:「コーヒー酸をベースとした高タフネスポリアミド抗菌性接着剤の開発」
- 研究概要:カテコールを有した高分子は、接着材料や、ポリフェノール由来の抗酸化作用、抗菌、抗ウイルス性などの多彩な機能を発揮するため機能材料の官能基として有望です。しかしながら、これらカテコールを多量に有し、かつ強靭性に優れた材料は未だ開発されていません。本研究では、カテコールを有したバイオベース物質である「コーヒー酸」に着目し、その光反応性を精密に制御することで、高強度材料の代表であるポリアミドの新規モノマーの開発に挑戦します。本研究ではコーヒー酸を二量化させジカルボン酸とし、各種ジアミンとの重合により、抗菌・抗ウイルス性を有した接着性の強靭な(高タフネス)ポリアミドを開発することを目的としています。
- 採択にあたって一言:本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。また、旭硝子財団および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。本研究成果により得られる材料が、抗菌&抗ウイルス性の材料として、Withコロナの世の中に貢献できればと考えております。また、本研究に関して多くのディスカッションとアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和4年4月14日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/04/14-1.html物質化学フロンティア研究領域の木田助教とサスティナブルイノベーション研究領域の高田助教の研究課題が池谷科学技術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 池谷科学技術振興財団の研究助成に物質化学フロンティア研究領域の木田 拓充助教とサスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
池谷科学技術振興財団は、先端材料関連の研究に対する助成によって科学技術の発展を図り、社会経済の発展に貢献することを設立の理念としており、この理念を具体化するため、先端材料や関連する科学技術分野の研究者や研究機関に対して、毎年支援を行っています。
*詳しくは、池谷科学技術振興財団ホームページをご覧ください。
- 採択期間:令和4年4月~令和5年3月
- 研究課題名:分子分光法を用いた延伸過程における重水素化分子鎖の直接観察による分子量分布と力学物性の関係解明への挑戦
- 研究概要:高分子材料において、分子量分布(分子鎖長分布)は材料物性を決定する最も重要な分子パラメータの一つです。従来の研究においても、分子量分布の形状と力学物性の関係についてはさまざまな報告が行われてきましたが、特定の分子量成分の変形挙動のみを観察する手法がなく、未だに分子量分布と力学物性の関係は十分に理解されていませんでした。本研究では、特定の分子量成分のみを重水素化させ、材料の延伸過程におけるin situラマン分光測定を実施することにより、特定の分子量成分の変形挙動を直接観察し、分子量分布と力学物性の関係解明に挑みます。
- 採択期間:令和4年4月~令和5年3月
- 研究課題名:イタコン酸をベースとした光変形・刺激分解性材料の開発
- 研究概要:本研究では、天然に広く存在する桂皮酸と、微生物が生産するイタコン酸に着目して、光によって同時に(協奏的に)変化する部位を有した、新規な光変形材料となるバイオプラスチックの開発を目的としています。光変形材料は外部刺激応答材料として注目されますが、本研究ではこれに加え、光刺激によって自然環境雰囲気下での分解の促進を試みます。これにより、バイオ原料の使用、材料の光機能の面からの環境寄与、そして自然環境下での刺激応答分解性による廃棄材料の消失などの機能を兼ねそろえた、将来的なゼロエミッション型の材料へと展開します。
- 採択にあたって一言:本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。また、池谷科学技術振興財団および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。本研究成果をベースとして世の中のサスティナビリティに貢献できればと考えております。また、本研究に関して多くのディスカッションとアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和4年4月7日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/04/08-2.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の高田助教の研究課題が藤森科学技術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 藤森科学技術振興財団の研究助成にサスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
藤森科学技術振興財団は、「より快適な社会の実現」に向けて社会の重要課題の解決に指針を与えるような先進的、萌芽的な機能(はたらき・しくみ)創造につながる科学技術研究へ幅広い助成を行っています。
*詳しくは、藤森科学技術振興財団ホームページをご覧ください。
- 採択期間:令和4年4月~令和5年3月
- 研究課題名:「バイオ由来ヒドロキシ酸とイタコン酸をベースとした環境分解型光変形材料の開発」
- 研究概要:本研究では、バイオ由来材料である桂皮酸系ポリエステルを強靭化させるために、イタコン酸系ポリアミドとの共重合手法を新たに開発し、環境低負荷な高機能材料の開発を目的としています。バイオ由来ヒドロキシ酸である桂皮酸をポリエステルとした材料は紫外線に対して物性を変化させる性質を有するため、古くから機能性バイオベースポリマーとして注目されてきました。この機能性材料であるポリ桂皮酸に同じくバイオベース原料として知られるイタコン酸を分子構造中に組み込み、環境分解性に優れた機能材料を開発します。
- 採択にあたって一言:本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。また、藤森科学技術振興財団および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。本研究成果が、近年のプラスチックごみ問題等に資するものになるよう精進してまいります。また、本研究に関して多大なアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、様々な知見を頂いた研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和4年4月8日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/04/08-1.htmlサイエンスヒルズこまつで子ども向け科学教室 「JAISTサイエンス&テクノロジー教室」を開催
3月6日(日)、サイエンスヒルズこまつにおいて、「JAISTサイエンス&テクノロジー教室」を開催しました。同教室は、小松市との包括連携協定に基づく青少年の理科離れ解消に向けた取組のひとつであり、サイエンスヒルズこまつがJR小松駅前に開館して以来、毎年実施しているものです。
今年度の第2回目「お湯と氷で車が走る!?熱電ミニカーを作ろう!」には、10名の子どもが参加しました。はじめに先端科学技術研究科(環境・エネルギー領域)の小矢野 幹夫教授から、温度差によって電圧が発生する原理についての説明がありました。その後、子どもたちはこの原理を利用して動く熱電ミニカーを作り、より速く走らせることに熱心に取り組んでいました。




令和4年3月8日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/03/08-1.html学生のZHOUさんが第29回日本ポリイミド・芳香族系高分子会議において優秀ポスター賞を受賞
学生のZHOU, Jiabeiさん(博士前期課程2年、環境・エネルギー領域、金子研究室)が第29回日本ポリイミド・芳香族系高分子会議において優秀ポスター賞を受賞しました。
日本ポリイミド・芳香族系高分子系会議では、芳香族系高分子を中心に幅広い分野における合成、材料分野を基軸として研究を展開する研究者・学生らの学術交流として、毎年、研究発表会を開催しています。今年はコロナ禍の影響で対面&オンラインのハイブリッド型で、令和3年12月10日に開催されました。
優秀ポスター賞は、発表会ポスターセッションにおいて優秀な研究発表を行った学生に授与されます。
*参考:第29回日本ポリイミド・芳香族系高分子会議
■受賞年月日
令和3年12月10日
■発表者名
Zhou Jiabei、Zhong Xianzhu、Nag Aniruddha、高田健司、金子達雄
■発表題目
Toughening of Ultrahigh Thermoresistant Biopolybenzimidazoles by Forming Porous Structure
■研究概要
本研究では、スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも特に高レベルの力学的・熱的安定性を有するポリベンズイミダゾールの多孔質化による高タフネス化に成功しました。シリカ粒子の分散・除去によるハードテンプレート法で多孔質ポリベンズイミダゾールフィルムを作製したところ、フィルムの力学物性が大きく向上する性質を見出しました。走査型プローブ顕微鏡によりポリベンズイミダゾール表面の力学強度を観測したところ、シリカ分散により生じた空孔周辺の靭性が著しく向上し、その空孔率が増えるごとに高靭性を示すことが分かりました。従来、ポリベンズイミダゾールは高い化学的安定性から物性の改質は困難でしたが、本研究で確立した方法を用いれば複雑な工程無しで、成型物の物性を改良することができ、材料開発における重要な手法となることが期待されます。
■受賞にあたって一言
この度は、第29回日本ポリイミド・芳香族系高分子会議におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導をいただいている金子達雄教授、高田健司助教にこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。さらに、VISTECのNag Aniruddha様、株式会社島津製作所の長野浩一様、および多くのご助言をいただきました研究室のメンバーに深く感謝いたします。


令和3年12月28日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2021/12/28-1.html環境・エネルギー領域の高田助教の研究課題が松籟科学技術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 松籟科学技術振興財団の研究助成に環境・エネルギー領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
松籟科学技術振興財団では、科学技術の振興に貢献するため、科学技術、特に天然物の有効利用、生理活性物質、有機新素材及び電子材料等、同財団の指定する課題分野にて優れた研究に携わる研究者への助成を行っています。
*詳しくは、松籟科学技術振興財団ホームページをご覧ください。
■研究者名
環境・エネルギー領域 高田 健司助教
■採択期間
令和4年4月~令和5年3月まで
■研究課題名
バイオマス由来ヒドロキシ酸を基盤としたフォトメカニカル材料の開発
■研究概要
フォトメカニカル材料は光によって材料の形状・形態を大きく変化させることが可能であり、古くからスマートマテリアルとしての利用が注目されていました。また、エネルギー効率の良い光を用いるという点からサスティナブルマテリアルとしても注目されており、その物性の精密制御や機能化法の確立が急務の課題となっています。本研究では、主鎖に桂皮酸を有するポリエステルの特徴的な構造に対して、リビング重合によるブロック/グラフトポリマー化による柔軟性の精密コントロールを達成し、多様な刺激応答性能を有するバイオベースプラスチックの提案を目的としています。
■採択にあたって一言
本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。また、松籟科学技術振興財団、および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。本研究が、地球の環境・エネルギー問題に資するものになるよう邁進してまいります。また、本研究に関して多大なアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、様々な知見を頂いた研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和3年12月28日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/12/28-1.html学生の柿﨑さんが第70回高分子学会北陸支部研究発表会において優秀研究賞を受賞
学生の柿﨑 翔さん(博士前期課程1年、環境・エネルギー領域、金子研究室)が第70回高分子学会北陸支部研究発表会において高分子学会北陸支部優秀研究賞を受賞しました。
高分子学会北陸支部では、北陸地域を中心に幅広い分野における高分子科学を基軸として研究を展開する研究者・学生らの学術交流として、毎年、研究発表会を開催しています。今年はコロナ禍の影響で11月27日~28日にかけてオンラインにて開催されました。
優秀研究賞は、北陸支部研究発表会の「高分子化学部門」「高分子構造・高分子物理部門」「高分子機能部門」において、それぞれ優秀な研究発表を行った学生に授与されます。
■受賞年月日
令和3年11月28日
■研究題目、論文タイトル等
Syntheses of Polymer Composites of Itaconic Acid-derived Biobased Polyamide and Nylon 11
■研究者、著者
柿﨑翔、高田健司、金子達雄
■受賞対象となった研究の内容
本研究では、ヒマシ油から抽出される11-アミノウンデカン酸をベースとしたバイオナイロンに、同じくバイオ由来で得られるイタコン酸ベースバイオナイロンをコンポジット化することに成功しました。得られたバイオナイロンコンポジットにおける11-アミノウンデカン酸の組成が増えるごとに、成型物の伸び率が向上したことから、柔軟性に優れたバイオナイロンを得ることができました。さらに当該バイオナイロン成型物をタンパク質分解酵素であるペプシンにより処理したところ、樹脂が軟化し崩壊していく挙動を示しました。これは、生体内に入ったとしても臓器を傷つけずに排出されるなど、海洋プラごみ問題である海洋生物の誤飲事故などの防止につながる成果であり、特定の条件下でのみ分解する新しいバイオベースポリマー開発に大きく寄与する研究になります。
■受賞にあたって一言
この度は、第70回高分子学会北陸支部研究発表会におきまして、このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導をいただいている金子達雄教授、高田健司助教にこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。さらに、多くのご助言をいただきました研究室のメンバーに深く感謝いたします。


令和3年12月16日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2021/12/16-1.html最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功 -襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待-

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北陸先端科学技術大学院大学 音羽電機工業株式会社 東京工業大学 |
最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功
- 襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待 -
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域のアフサル カリクンナン研究員、マノハラン ムルガナタン講師、水田 博教授の研究チームは、音羽電機工業株式会社、東京工業大学と共同で、グラフェン(炭素原子シート)を用いた超小型電界センサ素子を開発し、雷雲が生み出す大気電界(最小検出電界~67V/m)を、センサにグラフェンを使用して検出することに世界で初めて成功しました。
本研究成果に関し、11月26日に、北陸先端科学技術大学院大学において記者発表を行いました。
<記者発表出席者>
・北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域
水田 博 教授
マノハラン ムルガナタン 講師
アフサル カリクンナン 研究員
・音羽電機工業株式会社 技術本部
圓山 武志 取締役 本部長
工藤 剛史 部長
・東京工業大学 地球インクルーシブセンシング研究機構
堀 敦 URA(リサーチ・アドミニストレーター)
<ポイント>
- 超小型グラフェン電界センサで、雷雲が生み出す大気電界の検出に世界で初めて成功。
- 雷雲内の電荷の分布を反映した大気電界のプラス・マイナス極性判定にも成功。
複雑な雷現象のメカニズム解明と襲雷予測の精度向上に期待。 - 既存技術に比べて大幅な小型化と低消費電力化を実現。
<研究背景と内容>
雷の事故による世界の死者数は年間6千~2万4千人と推定され、日本では毎年数名が亡くなっています。また、雷サージ(雷による異常電圧・電流)は情報システムや生産ラインなどに甚大な影響を与えます。こうした被害を軽減するには、早期に襲雷/避難情報を提供する予測システムを開発し、人々に行動変容を促す必要があります。高精度な襲雷予測には広域かつ高密度な雷雲監視ネットワーク作りが重要ですが、そのためには電界センサの小型化と省電力化が大きな課題となっています。
これに対して研究チームは、ナノ炭素材料のグラフェン(炭素原子が蜂の巣状の六角形結晶格子構造に配列した単原子シート)膜を検出用チャネルとした微細センサ素子を開発しました(図1参照)。このグラフェン電界センサを用いて、雷雲が生み出す大気電界の時間変化を電気的に検出することに世界で初めて成功しました。最小検出電界は約67V/mで、これは晴天時の地表付近における大気電界レベルです。さらにこの電界センサでは、大気電界の極性の判別も可能です(図2参照)。これにより、雷雲内部の電荷分布の推定が容易になり、複雑な雷現象のメカニズム解明に大きく寄与するものと予想されます。
このグラフェンセンサをモジュール化して、屋外で雷雨時に動作試験を行ったところ(図3参照)、20km以上離れた地点での落雷を電界ピーク信号として検出することに成功しました。信号検出のタイミングは、既存のフィールドミル型電界検出装置(重量~1kg, 要外部電源)と精度よく一致しています。今回の電界センサは、従来のフィールドミル装置と比べて、電界検出部の寸法で約2万分の1の小型化(ミルの直径:170mm ⇒ グラフェンチャネル寸法:10mm)と、低消費電力化(太陽電池駆動)を実現しています。さらに、測定された電界の時間発展データを特異スペクトル変換法で解析することで、5km圏内の落雷を32分前に予測できることも見出しています。これらの新技術を統合すれば、既存技術では困難だった多数のセンサ素子を広域に配置した落雷検出ネットワークの構築が容易となり、高精度な襲雷予測の実現に向けた大きな前進が期待できます。
本成果は、第82回応用物理学会秋季学術講演会で発表されました。
・題名:Enhancing Electric Field Sensitivity in Graphene Devices by hBN Encapsulation(11a-N306-9)
・題名:雷予測精度向上のための特異スペクトル変換法を用いた電界波形解析(9p-Z22-10)
本成果は、科学技術振興機構(JST)による以下の研究助成によって得られました。
・事業名:センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム
研究課題名:「『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点」
研究代表者:サテライト拠点代表 水田 博(北陸先端科学技術大学院大学 教授)
研究開発期間:平成29年度~令和3年度
・事業名:研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト JPMJTM20DS
研究課題名:「襲雷予測システムのためのグラフェン超高感度電界センサの開発」
研究代表者:マノハラン ムルガナタン(北陸先端科学技術大学院大学 講師)
研究開発期間:令和2年度~令和3年度
図1 グラフェン雷センサイメージ図
図2 (a)開発したセンサの構造, (b)電界検出感度特性, (c)電界極性判定
図3 (a)フィールドテストの様子, (b)グラフェン電界センサの検出信号と既存のフィールドミル電界計の検出信号の比較,
(c)検出地点から10km以内での雷発生状況
令和3年11月26日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/11/26-1.html環境・エネルギー領域の高田助教がPolymer Journal誌のRising Stars 2021に選定
環境・エネルギー領域の高田 健司助教が、Springer Nature刊行のPolymer Journal誌の"Rising Stars in Polymer Science 2021"(世界中の新進気鋭の研究者による優れた研究をハイライトする特集号)に選ばれました。
*詳しくは、Polymer Journal誌ホームページをご覧ください。
また、この研究に関連した論文(環境・エネルギー領域 金子 達雄教授との共著)が同誌の表紙に掲載されました。
■掲載誌
Polymer Journal 2021, 53 (11), 1223−1230.
掲載日2021年11月8日
■著者
Kenji Takada*, Takumi Noda, Takuya Kobayashi, Toyohiro Harimoto, Maninder Singh, Tatsuo Kaneko* (*責任著者)
■論文タイトル
Synthesis of pH-responsive polyimide hydrogel from bioderived amino acid
■論文概要
本研究では、水溶性になる特殊なポリイミドを用いて、ポリイミドハイドロゲルを初めて合成しました。
バイオ生産が可能な4-アミノ桂皮酸をベースとしたバイオポリイミドは、分子鎖中にカルボン酸を有するため、水溶性ポリマーであるアクリル酸ナトリウムのように水溶化させることができます。溶媒に溶解させることができるということは、各種化学反応を行えるということであり、本研究では水溶性バイオポリイミドの側鎖を、同じくバイオ分子であるアミノ酸により架橋させることで、ハイドロゲル化させることに成功しました。さらに、このバイオポリイミドは側鎖のカルボン酸の効果によりpHの変化に応じてプロトン移動を引き起こし、親水性・疎水性のスイッチングが起きます。このことから、ポリイミドハイドロゲルはpHに応じて体積変化を引き起こし、pH応答性があることを見出しました。こうした性質から、本ポリイミドゲルは完全バイオ由来のpH応答ゲルとして生体内へのドラッグデリバリーとしての応用が期待されます。
論文詳細:https://www.nature.com/articles/s41428-021-00509-8
掲載誌詳細:https://www.nature.com/pj/volumes/53/issues/11
![]() ※上段右端が該当するCover Picture |
令和3年11月10日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/11/10-1.htmlサスティナブルマテリアル国際研究拠点エクセレントコアセミナー「ナノシートと水溶性高分子の複合化による機能材料の設計」Functional materials' design by the hybridization of nanosheets and water soluble polymers
セミナーを下記のとおり開催しますので、ご案内します。
新型コロナウイルス感染症対策のため、ネット配信方式にてご参加いただきます。カメラ付きパソコン、スマホ、タブレットなどからご参加いただけます。
開催日時 | 令和3年10月28日(木)10:00~12:00 |
実施方法 | ネット配信方式 |
講演題目 | 「ナノシートと水溶性高分子の複合化による機能材料の設計」 Functional materials' design by the hybridization of nanosheets and water soluble polymers |
講 師 | Vidyasirimedhi Institute of Science and Technology 教授 小川 誠 氏 |
参加申込 | 下記のお問い合わせ先へ前日までにご連絡ください。 (参加費無料) 【お問い合わせ】 北陸先端科学技術大学院大学 サスティナブルマテリアル国際研究拠点長 金子 達雄 (kaneko@jaist.ac.jp) |
環境・エネルギー領域の高田助教の研究課題が泉科学技術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 泉科学技術振興財団の研究助成に環境・エネルギー領域の高田 健司助教の研究課題が採択されました。
泉科学技術振興財団では、科学技術の振興を図り、もって社会経済の発展に寄与することを目的として、高度機能性材料及びこれに関連する科学技術の基礎研究分野における真に独自の発想に基づく新しい研究に対して助成を行っています。
*詳しくは、泉科学技術振興財団ホームページをご覧ください。
■研究者名
環境・エネルギー領域 高田 健司助教
■採択期間
令和3年10月~令和4年9月
■研究課題名
高靭性バイオポリアミドを用いた自己支持性ナノ薄膜の作製と有機ELデバイスへの応用
■研究概要
眼鏡やディスプレイパネルに用いられるアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明樹脂は、有機ガラスと呼ばれ、様々な材料化の研究が行われています。一方で、材料の透明性の高さと力学物性(破壊強度、弾性率、靭性)はトレードオフの関係であり、高い透明性を維持しながらも高い力学強度を発揮する材料の開発は急務の課題でした。当研究課題では、これまでに開発したバイオ由来トルキシル酸という特殊な構造を持つポリアミドが透明な非晶性高分子でありながら極めて高い靭性を示すという研究成果を発展させ、これらの薄膜化の技術の確立とそれを用いたデバイス化の検討を行うことでバイオベース発光有機ELデバイスの試作検討を目的としています。
■採択にあたって一言
本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。泉科学技術振興財団、および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。近年、様々なバイオ由来材料が注目されている中で当研究が採択されたことは、それだけ重要な課題であるとご判断いただけたものと存じます。また、本研究に関して多大なアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、様々な知見を頂いた研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。これを励みに研究を加速できればと思います。
令和3年10月7日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/10/7-1.html環境・エネルギー領域の小矢野教授がSSH指定校の福島高校でオンライン講演会を実施
9月24日(金)、環境・エネルギー領域の小矢野 幹夫教授が、文部科学省「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」指定校である福島市の県立福島高等学校において、SS(スーパーサイエンス)部の1学年26名を対象に、オンラインによる講演会を行いました。
文部科学省のホームページはこちら
福島高校のSSHニュースはこちら
今回の講演は、「熱電変換の物理と最先端のエネルギー変換の研究」というテーマで行われました。
導入部分では、SDGsの観点から、熱電変換の研究がエネルギー問題にどのように貢献できるかについての説明がありました。続いて、物質の両端に温度差を与えると電位差が生じる「ゼーベック効果」を利用して、熱を電気エネルギーに変換する技術について、解説が行われました。
生徒の皆さんは、熱電材料の金属組成を変えることで、より高い変換効率を目指す研究開発が盛んに行われてきたことを学ぶとともに、有毒または希少な元素を含まない、環境に優しい次世代の熱電材料の開発の重要性についても理解を深めました。
また、身の周りにある熱を"収穫(ハーベスト)"して電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスティング」の考え方にも触れ、エネルギーの捉え方に新たな視点を持ったようでした。
最後に、小矢野教授から生徒の皆さんに向けて、「自身の知的好奇心と向き合い、ぜひ大学院進学というキャリアプランも考えてみてほしい」とメッセージを送りました。
講演後には質疑応答が活発に行われ、生徒の皆さんからは、「講義の中で化学物質がたくさん出てきたので、化学の分野ももっと勉強してみたい」、「効率を改善する方法がいくつも研究されており、自分の研究でも一つで満足しないようにしたい」、「学者の交友関係、進路の考え方、研究への向き合い方を学ぶことができた」といった前向きな感想があり、向学心の高さがうかがえる講演会となりました。
![]() 講演を行う小矢野教授 |
![]() 受講の様子(写真:福島高校提供) |
![]() 質疑応答の様子 |
令和3年9月29日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/09/29-2.html