研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。物質化学フロンティア研究領域の青木助教の講演が第85回応用物理学会秋季学術講演会の注目講演に選出されました
2024年第85回応用物理学会秋季学術講演会が9月16日(月)~9月20日(金)に朱鷺メッセほかで開催されます。
物質化学フロンティア研究領域の青木健太郎助教の講演が当該講演会の注目講演17件のうちの1つとして選出され、応用物理学会からプレスリリースが発表されました。
講演情報
スルホン化ポリイミド薄膜のLiイオン電池用有機溶媒滴下による組織構造形成とリチウムイオン伝導度の向上
〇青木健太郎、Athchaya Suwansoontorn、原光生、山本勝宏、是津信行、永野修作、長尾祐樹
応用物理学会のプレスリリースはこちら
令和6年9月18日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/09/19-1.html「大学見本市2024~イノベーション・ジャパン」に出展
8月22日(木)、23日(金)の2日間、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で国内最大規模の産学マッチングイベントである「大学見本市2024~イノベーション・ジャパン」が開催され、本学からは以下の2件が出展しました。
【大学等シーズ展示】
・融合科学共同専攻 松見 紀佳 教授
(展示タイトル)高容量な急速充電用電池を実現する負極活物質
【JST採択課題出展ブース(A-STEP)】
・物質化学フロンティア研究領域 栗澤 元一 教授
(展示タイトル)安全ながん治療を実現する緑茶カテキン・ナノ粒子・薬物送達システム
初日には、尾身 朝子 衆議院議員が松見教授の出展ブースに来訪し、松見教授の説明に熱心に耳を傾けられ、研究内容に大きな関心を寄せられた様子でした。その他、本学ブースには企業関係者をはじめ大学や公的機関の関係者等、2日間で延べ191名もの方々が来訪され、研究シーズの実用化に向けた検討等、活発な情報交換の場となりました。


本学出展ブースの様子
令和6年9月6日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2024/09/06-1.html大学見本市2024~イノベーション・ジャパンに本学が出展
8月22日(木)・23日(金)の2日間、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で国内最大規模の産学マッチングイベントである「大学見本市2024~イノベーション・ジャパン」が開催されます。
本学からは大学等シーズ展示に松見教授、JST採択課題出展ブースに栗澤教授が出展します。
ご来場の際にはぜひお立ち寄りください。
日 時 | 8月22日(木) 10時00分~17時00分 8月23日(金) 10時00分~17時00分 |
会 場 | 東京ビッグサイト 南展示棟 南1ホール(東京都江東区有明3丁目11番1) |
大学等 シーズ展示 |
先端科学技術研究科 融合科学共同専攻 松見 紀佳 教授 【小間番号】 C-024 |
JST採択課題 出展ブース (A-STEP) |
先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域 栗澤 元一 教授 【小間番号】J-019 |
詳細はこちらをご覧ください。
・大学見本市2024~イノベーション・ジャパン公式サイト
https://innovationjapan.jst.go.jp/
非対称な二次元シートを利用したナノサイズの巻物構造の実現 〜高性能な触媒や発電デバイスへの応用に期待〜

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東京都公立大学法人 国立大学法人筑波大学 国立大学法人東北大学 国立大学法人東海国立大学機構 国立大学法人金沢大学 国立大学法人 |
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東京都公立大学法人 国立大学法人筑波大学 国立大学法人東北大学 国立大学法人東海国立大学機構 国立大学法人金沢大学 国立大学法人 |
非対称な二次元シートを利用したナノサイズの巻物構造の実現
~高性能な触媒や発電デバイスへの応用に期待~
【概要】
東京都立大学、産業技術総合研究所、筑波大学、東北大学、名古屋大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学らの研究チーム(構成員及びその所属は以下「研究チーム構成員」のとおり)は、次世代の半導体材料として注目されている遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)(注1)の単層シートを利用し、最小内径5 nm程度のナノサイズの巻物(スクロール)状構造の作製に成功しました。TMDは遷移金属原子がカルコゲン原子に挟まれた3原子厚のシート状物質であり、その機能や応用が近年注目を集めています。一般に、TMDは平坦な構造が安定であり、円筒などの曲がった構造は不安定な状態となります。本研究では、上部と下部のカルコゲン原子の種類を変えたヤヌス構造と呼ばれるTMDを作製し、この非対称な構造がスクロール化を促進することを見出しました。理論計算との比較より、最小内径が5 nm程度まで安定な構造となることを確認しました。また、スクロール構造に由来して軸に平行な偏光を持つ光を照射したときに発光や光散乱の強度が増大すること、表面の電気的な特性がセレン側と硫黄側で異なること、及びスクロール構造が水素発生特性を有するなどの基礎的性質を明らかにしました。
今回得られた研究成果は、平坦な二次元シート材料を円筒状の巻物構造に変形する新たな手法を提案するものであり、ナノ構造と物性の相関関係の解明、そしてTMDの触媒特性や光電変換特性などの機能の高性能化に向けた基盤技術となることが期待されます。
本研究成果は、2024年1月17日(米国東部時間)付けでアメリカ化学会が発行する英文誌『ACS Nano』にて発表されました。
【研究チーム構成員】
【ポイント】
- 遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)のシートを安定した構造で巻物(スクロール)にする新たな手法を開発。
- TMDの上部と下部の組成を変えた「ヤヌス構造」が、スクロール化を促進することを発見。
- TMDの曲率や結晶の対称性などの制御を通じた触媒や光電変換機能の高性能化が期待。
【研究の背景】
近年、ナノチューブと呼ばれるナノサイズの円筒状物質は、その特徴的な構造に由来する物性、そして触媒や太陽電池等の光電変換デバイス等への応用について世界中で盛んに研究が行われています。一般に、ナノチューブは、厚みが1原子から数原子程度の極薄の二次元的なシート構造を円筒状に丸めた構造を持つナノ物質であり、代表的な物質として、炭素の単原子層であるグラフェンを丸めたカーボンナノチューブが知られています。また、遷移金属原子がカルコゲン原子に挟まれた構造を持つ遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)についても、二次元シートやナノチューブ構造が存在します。最近では、TMDのナノチューブが同軸状に重なった多層TMDナノチューブにおいて、その巻き方に起因する超伝導や光起電力効果を示すことが報告されました。一方、このような多層TMDナノチューブは、様々な直径や巻き方などを持つナノチューブが同軸状に重なっているため、その結晶構造の同定は困難となります。その電気的・光学的性質と構造の相関を明らかにするには、ナノチューブの巻き方を制御することが重要な課題となっていました。
このような課題の解決に向け、これまで主に二つのアプローチが報告されてきました。一つは、多層TMDナノチューブとは別に、構造の同定が容易な単層TMDナノチューブに着目したものです。特に、カーボンナノチューブ等をテンプレートに用いた同軸成長により、単層TMDナノチューブを成長させることができます。本研究チームの中西勇介助教、宮田耕充准教授らは、これまで絶縁体のBNナノチューブの外壁をテンプレートに用いたMoS2(二硫化モリブデン)の単層ナノチューブ(https://www.tmu.ac.jp/news/topics/35021.html)や、様々な組成のTMDナノチューブ(https://www.tmu.ac.jp/news/topics/36072.html)の合成に成功してきました。しかし、同軸成長法では、得られるTMDナノチューブの長さが多くの場合は100 nm以下と短く、物性や応用研究には更なる合成法の改善が必要となっています。もう一つのアプローチとして、単結晶性の単層のTMDシートを巻き取り、各層の結晶方位が揃ったスクロール構造にする手法も知られていました。一般にマイクロメートルサイズの長尺な構造が得られますが、TMDシートを曲げた場合、遷移金属原子を挟むカルコゲン原子の距離が伸び縮みするため、構造的には不安定となります。そのため、得られるスクロール構造も内径が大きくなり、また円筒構造ではなく平坦な構造になりやすいなどの課題がありました。
【研究の詳細】
本研究では、長尺かつ微小な内径を持つスクロール構造の作製に向け、上部と下部のカルコゲン原子の種類を変えたヤヌス構造と呼ばれるTMDに着目しました。このヤヌスTMDでは、上下のカルコゲン原子と遷移金属原子の距離が変わることで、曲がった構造が安定化することが期待できます。このようなヤヌスTMDを作製するために、研究チームは、最初に化学気相成長法(CVD法)(注2)を利用し、二セレン化モリブデン(MoSe2)および二セレン化タングステン(WSe2)の単結晶性の単層シートをシリコン基板上に合成しました。この単層シートに対し、水素雰囲気でのプラズマ処理により、単層TMDの上部のセレン原子を硫黄原子に置換し、単層ヤヌスTMDを作製できます。次に、有機溶媒をこの単層ヤヌスTMDに滴下することで、シートの端が基板から剥がれ、マイクロメートル長のスクロール構造を形成しました(図1)。
図1 単層ヤヌスMoSSeを利用したナノスクロールの作製手法。(a)単層MoSe2の構造モデル。(b)熱CVDシステムの概略図。(c)単層ヤヌスMoSSeの構造モデル。(d)水素プラズマによる硫化プロセスの概略図。(e)ヤヌスナノスクロールの構造モデル。(f)有機溶媒の滴下によるナノスクロールの作製方法の概略図。 ※原論文「Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides」の図を引用・改変したものを使用しています。 |
この試料を電子顕微鏡で詳細に観察し、実際にスクロール構造を形成したこと(図2)、全ての層が同一の方位を持つこと、そして最小内径で5 nm程度まで細くなることなどを確認しました。観察された内径に関しては、ヤヌスTMDのナノチューブでは最小で直径が5 nm程度までは、フラットなシート構造よりも安定化するという理論計算とも一致します。また、このスクロール構造に由来し、軸に平行な偏光を持つ光を照射したときに発光や光散乱の強度が増大すること、表面の電気的な特性がセレン原子側と硫黄原子側で異なること、およびスクロール構造が水素発生特性を有することも明らかにしました。
図2 ナノスクロールの電子顕微鏡写真。
※原論文「Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides」の図を引用・改変したものを使用しています。 |
【研究の意義と波及効果】
今回得られた研究成果は、平坦な二次元シート材料を円筒状のスクロール構造に変形する新たな手法を提案するものです。特に、非対称なヤヌス構造の利用は、様々な二次元シート材料のスクロール化に適用することができます。また、単結晶のTMDを原料に利用することで、スクロール内部の層の結晶方位を光学顕微鏡による観察で容易に同定すること、そして様々な巻き方を持つスクロールの作製が可能になりました。今後、本研究成果より、様々な組成や構造を持つスクロールの実現、電気伝導や光学応答と巻き方の関係の解明、触媒やデバイス応用など、幅広い分野での研究の展開が期待されます。
【用語解説】
タングステンやモリブデンなどの遷移金属原子と、硫黄やセレンなどのカルコゲン原子で構成される層状物質。遷移金属とカルコゲンが1:2の比率で含まれ、組成はMX2と表される。単層は図1aのように遷移金属とカルコゲン原子が共有結合で結ばれ、3原子厚のシート構造を持つ。近年、TMDが持つ優れた半導体特性により大きな注目を集めている。
原料となる材料を気化させて基板上に供給することにより、薄膜や細線を成長させる合成技術。
【発表論文】
タイトル | Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides |
著者名 | Masahiko Kaneda, Wenjin Zhang, Zheng Liu, Yanlin Gao, Mina Maruyama, Yusuke Nakanishi, Hiroshi Nakajo, Soma Aoki, Kota Honda, Tomoya Ogawa, Kazuki Hashimoto, Takahiko Endo, Kohei Aso, Tongmin Chen, Yoshifumi Oshima, Yukiko Yamada-Takamura, Yasufumi Takahashi, Susumu Okada, Toshiaki Kato*, and Yasumitsu Miyata* *Corresponding author |
雑誌名 | ACS Nano |
DOI | https://doi.org/10.1021/acsnano.3c05681 |
本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費助成事業「JP21H05232, JP21H05233, JP21H05234, JP21H05236, JP21H05237, JP22H00283, JP22H00280, JP22H04957, JP21K14484, JP20K22323, JP20H00316, JP20H02080, JP20K05253, JP20H05664, JP21K14498, JP21K04826, JP21H02037, JP22H05459, JP22KJ2561, JP22H05445, JP23K13635, JP22H05441, JP23H00097, JP23K17756, JP23H01087」、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業「JPMXP1222JI0015」、創発的研究支援事業FOREST「JPMJFR213X and JPMJFR223H」、戦略的創造研究推進事業さきがけ「JPMJPR23H5」、矢崎科学技術振興記念財団、三菱財団、村田学術振興財団および東北大学電気通信研究所共同プロジェクト研究の支援を受けて行われました。
令和6年1月18日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2024/01/18-1.html精密な高分子設計による能動的電子輸送が終始可能に -高分子が触手のように電子を授受-

精密な高分子設計による能動的電子輸送が終始可能に
-高分子が触手のように電子を授受-
ポイント
- 精密に合成された高分子が能動的に電子を輸送するナノシステムを設計
- 実際の葉緑体に倣った光エネルギー変換システムの構築が期待
北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)、サスティナブルイノベーション研究領域の、博士前期課程大学院生 萩原礼奈、桶葭興資准教授、物質化学フロンティア研究領域の西村俊准教授らは、「電子を輸送する」高分子-金属ナノ粒子の複合組織を設計した。ここでは、三元系のヘテロ高分子が触媒ナノ粒子表面に結合しており、能動的な電子輸送システムとして機能する。従来の研究では、電子伝達には2 nm以内で著しく効率的になることが分かっていたが、この距離を制御する能動的なシステムは無かった。本研究の高分子は電子の授受に伴って相転移を起こし、能動的に触媒粒子との距離を変化させる。このようなナノシステムは、可視光エネルギーによる水の分解や水素生成の触媒作用のみならず、電池など電気化学反応を伴う系や人工酵素の系に展開することで、様々なエネルギー変換システムに有用と期待される。 |
桶葭准教授らの研究グループはこれまでに、持続可能社会の実現に向けて人工光合成[用語解説1]の高分子によるシステム構築に挑戦してきた。実際の光合成を行う葉緑体が持つ電子伝達組織、および電子移動に関するマーカス理論[用語解説2]に学び、今回、2 nm以内の電子輸送を能動的に起こす系を高分子の精密な合成を通して構築した。まず、三元系のヘテロ高分子を精密に合成し、これが結合した触媒ナノ粒子を作製した(図)。この高分子は、相転移[用語解説3]を起こす部位、ナノ粒子と結合する部位、そして電子を授受する部位から構成される。ここで、高分子中のビオロゲン分子[用語解説4]が電子を得ると、触媒の白金ナノ粒子まで迅速に運び水素生成する仕組みである。プロセスとしては、I) 電子を得たビオロゲン分子近傍の高分子が収縮する。II) この高分子の一部はナノ粒子表面に固定されているため、電子を得たビオロゲンをナノ粒子表面へ触手のように引き寄せられる。III) ビオロゲンが電子をナノ粒子に渡した後、この高分子は伸長して元に戻る。他方、このナノ粒子は水素生成の触媒として働く。このI~IIIがサイクリックに進む。従来の研究では、拡散律速に依存した受動的な電子移動が介在してしまっていたが、今回のシステムでは、高分子がナノ粒子表面に固定されたことでその能動的な電子輸送が終始可能となった。2 nm以内での電子移動において、著しく高い有効性が認められることは、理論だけでなく実証実験でも報告されていたが、この距離を制御する能動系はこれまで無かった。今回、高分子が触手の様に電子を捉えて触媒が電子を食べるような、アクティブなナノシステムが提案された。
上図:三元系のヘテロ高分子Poly(NIPAAm-co-AAm-co-Viologen) (PNAV)。相転移を起こす部位N、ナノ粒子と結合する部位A、そして電子を授受する部位Vから構成される。 下図:高分子PNAVが結合した白金ナノ粒子。光捕集分子などから電子を得たPNAV (PNAV+)は収縮し白金ナノ粒子に近づき電子を渡す。その際、PNAV2+となると伸長してナノ粒子表面から離れる。この能動的な電子の授受を繰り返す。 |
本成果は、2023年12月13日(英国時間)に科学雑誌「Chemical Communications」誌(RSC社)のオンライン版で公開された。なお、本研究は、文部科学省科研費 挑戦的研究(萌芽)(JP21K18998)の支援のもと行われた。
【論文情報】
掲載誌 | Chemical Communications (The Royal Society of Chemistry) |
論文題目 | Precise design of copolymer-conjugated nanocatalysts for active electron transfer |
著者 | Reina Hagiwara, Shun Nishimura, Kosuke Okeyoshi |
DOI | 10.1039/d3cc05242g |
掲載日 | 2023年12月13日付、オンライン版 |
【今後の展開】
高分子の相転移を用いた電子の能動輸送は、エネルギー変換系(光エネルギーから水素生成等)だけでなく、次世代バッテリーなど様々な先端材料にとって有用なナノシステムと期待される。
【用語解説】
令和5年12月13日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/12/14-1.htmlナノマテリアル・デバイス研究領域・物質化学フロンティア研究領域セミナー
日 時 | 令和5年12月5日(火)15:30~17:00 |
場 所 | 知識科学講義棟2階 中講義室 |
講演題目 | リチウムイオン電池電極の界面構造と機能開拓、全固体化 |
講演者 | 東京工業大学 物質理工学院 教授 平山 雅章 氏 |
言 語 | 日本語 |
お問合せ先 | 北陸先端科学技術大学院大学 共通事務管理課共通事務第三係 (E-mail:ms-secr@ml.jaist.ac.jp) |
学生のMISHRAさんが高分子学会第72回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞
学生のMISHRA, Sameer Nirupamさん(博士後期課程3年、物質化学フロンティア研究領域、松見研究室)が公益社団法人高分子学会の第72回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会は、高分子科学と技術およびこれらに関連する諸分野の情報を交換・吸収する、さまざまな場を提供しています。会員はこれらの場を通じ、学術的向上や研究の新展開のみならず会員相互の人間的な触れ合いや国際的な交流を深めています。
優秀ポスター賞は、高分子学会年次大会および高分子討論会において、優れたポスター発表を行った発表者に授与されるもので、もって発表を奨励し、高分子科学ならびに同会の発展に資することを目的としています。
第72回高分子討論会は、9月26日~28日にかけて香川大学幸町キャンパスにて開催されました。
※第72回高分子討論会
■受賞年月日
令和5年9月28日
■研究題目
BIAN含有高分子/ポリ(アクリル酸リチウム)バインダーを用いたSi系負極の安定化
(Stabilization of Si-based Anode for LIB Using BIAN Type Conjugated Polymer/Poly (lithium acrylate) Binder)
■研究者、著者
Sameer Nirupam Mishra,Saibrata Punyasloka, Anusha Pradhan and Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池分野においてはシリコン系負極を用いた高容量化への展開に注目が集まっている。本研究においては、側鎖にフェノール基を有するBIAN(ビスイミノアセナフテン)型共役系高分子バインダーを新たに合成し、ポリ(アクリル酸リチウム)とのコンポジットバインダーとしてシリコン系負極に適用した。本系では100サイクルまで1173 mAg-1の放電容量を維持すると同時に、高いリチウムイオン拡散係数が観測され、シリコン系負極で課題とされている初期クーロン効率の改善につながった。これらの結果はコンポジットバインダーが示す自己修復能や高いリチウムイオン濃度に起因していると考えられる。
■受賞にあたって一言
I would like to thank the 72nd Symposium on Macromolecules Excellent Poster Award Selection Committee and SPSJ Chairman Kazunori Matsuura for considering me for the award. I also would like to take this opportunity to extend my sincere and heartfelt gratitude to Prof. Noriyoshi Matsumi for his constant guidance. Further, I would also like to thank all the members of the Matsumi Lab, friends, and family for their continual support. I see this award as a motivation and encouragement that will push me forward in my research career and help me achieve greater heights. Thank you.


令和5年11月6日
学生の中島さんが日本太陽光発電学会第20回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムにおいてInnovative PV奨励賞を受賞
学生の中島寛記さん(博士後期課程3年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第20回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第3回日本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞しました。
日本太陽光発電学会は、太陽光発電に関連する学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、将来の脱炭素社会の実現とその発展に寄与することを目的としています。
同シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として開催されています。
Innovative PV奨励賞は、同シンポジウムにおいて発表された、太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同会若手会員に対し授与されるものです。
※参考:日本太陽光発電学会ホームページ
■受賞年月日
令和5年8月31日
■論文タイトル
硝酸アルミニウム酸化処理により形成した p+反転層のピラミッドテクスチャ n 型結晶 Si 表面での有効性
■研究者、著者
中島 寛記、Huynh Thi Cam Tu、大平 圭介
■受賞対象となった研究の内容
n型結晶Si太陽電池のp+エミッタ層に利用されているB拡散層の形成には、1000 °C程度の高温加熱処理が必要となり、これが太陽電池製造のスループットを低下させている。さらに、Si中に拡散したBは、欠陥準位を形成し、太陽電池特性の劣化を引き起こす。そこで、本研究では、Si基板を硝酸アルミニウムの水溶液に浸漬するだけという非常に簡便なプロセスで、Si基板表面に超極薄のAlドープSiOx膜を形成し、その膜によって誘起されるp+反転層が、n型結晶Si太陽電池のエミッタ層として機能することを実証した。本公演では、AlドープSiOx膜に誘起された負の固定電荷がピラミッドテクスチャ形状を有するSi表面で増強され、良好な表面パッシベーション性能と太陽電池セル特性が得られたことについて報告し、簡便な湿式処理だけで、高効率・低コストの結晶Si太陽電池を製造できる可能性を示した。
■受賞にあたって一言
この度は、日本太陽光発電学会Innovative PV奨励賞に選定いただきましたこと大変光栄なことと感じております。今後も本技術の実用化を目指し、研究に邁進する所存です。日頃よりご指導いただいております大平圭介教授、HUYNH, Tu Thi Cam特任助教をはじめとした大平研究室の皆様に心より感謝申し上げます。なお、本研究は、JST次世代研究者挑戦的研究プログラムの助成を受けて実施されたものです。この場をお借りして御礼申し上げます。
令和5年9月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2023/09/22-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の大平教授の研究課題が「NEDO先導研究プログラム」に採択
サスティナブルイノベーション研究領域の大平 圭介教授の研究課題が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「NEDO先導研究プログラム」のエネルギー・環境新技術先導研究プログラムに採択されました。
NEDO先導研究プログラムは脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、〔1〕エネルギー・環境分野(エネルギー・環境新技術先導研究プログラム)、〔2〕新産業創出に結びつく産業技術分野(新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム)において、2040年以降(先導研究開始から15年以上先)の実用化・社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘・育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目的として、先導研究を実施するものです。
NEDOは〔1〕および〔2〕について公募を実施し、応募件数139件中25件のテーマを採択しました。
*参考:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
■研究課題名
次世代型超高効率太陽光パネルの実現に向けた要素技術の研究開発
■研究テーマ名
リサイクル容易な曲面・超軽量結晶Si太陽電池モジュールの開発
■研究期間
2023年5月~2026年3月
■研究概要
本研究では、封止材を用いない、あるいは剥離可能な封止材を用いた新概念結晶Si太陽電池のモジュールの開発に取り組みます。モジュールに使用する各部材が接着されていないため、廃棄の際の分解・分別や、部材リサイクルが容易となります。さらに、耐荷重や形状の問題で設置が難しかった建材への太陽光発電導入につながるよう、軽量化と曲面加工が可能となるモジュールの実現も目指します。本研究は、京セラ、新潟大学、青山学院大学、岐阜大学と共同で実施します。
■採択にあたって一言
近未来に予測されている太陽電池モジュールの大量廃棄時代に備え、廃棄や部材リサイクルの問題への対応が急務となっています。しかし、廃棄・リサイクルに適した太陽電池モジュールの開発は、あまり活発に行われていません。本研究を通して、太陽電池モジュールの構造を根本から見直し、新たなスタンダードとなるようなモジュールを実現したいと思います。
令和5年5月18日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/05/17-1.html動的核偏極磁気共鳴法による炭素材料表面の微細構造の解析に世界で初めて成功 -次世代の炭素材料の開発と利用促進に貢献-

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国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 国立大学法人京都大学 国立大学法人岡山大学 |
動的核偏極磁気共鳴法による炭素材料表面の微細構造の解析に世界で初めて成功
-次世代の炭素材料の開発と利用促進に貢献-
ポイント
- 次世代の炭素材料として、グラフェンや薄膜炭素といった材料が注目されている。炭素材料は、化学反応の触媒や燃料電池等の電極触媒としてだけでなく、ドラッグデリバリーシステムなどのバイオマテリアル分野を含め、多種多様な分野での応用が期待されている。
- NMR(核磁気共鳴分光法)による炭素材料の表面構造分析の感度を改善するため、信号強度増幅剤を用いた動的核偏極磁気共鳴法により、これまで同手法では不可能と考えられていた炭素表面の微量なメチル基、水酸基などの表面官能基の検出に成功した。
- これにより、炭素材料の性質に大きな影響を及ぼす表面構造の微細な違いが検出可能となった。
- 今後の炭素材料の表面構造制御ならびに様々な用途に応じた炭素材料の開発とその炭素材料の利用促進に貢献できる。
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)(学長・寺野稔、石川県能美市)ナノマテリアルテクノロジーセンターの後藤和馬教授、岡山大学大学院自然科学研究科の安東映香大学院生は、京都大学化学研究所の梶弘典教授、鈴木克明助教ならびに岡山大学学術研究院自然科学学域の神戸高志准教授、異分野融合先端研究コアの仁科勇太研究教授らと共同で、動的核偏極磁気共鳴法(DNP-NMR)による炭素材料の微細表面構造解析に成功した。これまで不可能とされていたDNP-NMR法による炭素表面のメチル基や水酸基などの表面官能基の信号の大幅な増幅に成功し、炭素材料の性質に大きな影響をおよぼす微量のメチル基、水酸基の観測に成功した。今後の炭素材料の表面構造制御ならびに様々な用途に応じた炭素材料の開発とその炭素材料の利用促進に貢献できる。 |
【研究の背景】
次世代炭素材料の一つとしてグラフェンや薄膜炭素が注目されており、その応用に関して数多くの研究が行われています。グラフェンや薄膜炭素材料の作製にはいくつかの方法があり、黒鉛を化学的に酸化して炭素層を剥離することで、酸化グラフェンを得る方法などが知られています。この酸化グラフェンは触媒となる金属ナノ粒子を担持する[用語解説]ことや、ポリマーやカーボンナノチューブなどと複合化ができるため、化学反応の触媒、燃料電池等の電極触媒としてだけでなく、ドラッグデリバリーシステムなどのバイオマテリアル分野を含め、多種多様な分野での応用が期待されています。
このような炭素材料の表面には数多くの欠陥構造があり、そこには水酸基やカルボキシル基、エポキシ基、メチル基などの表面官能基が存在していることが知られています。炭素材料の性質はこの表面官能基の種類や結合量により、大きく変わることも知られています。よって、この表面官能基の状態を把握し、制御することが材料開発において重要となります。従来、炭素材料の表面官能基についてはX線光電子分光法(XPS)や昇温脱離法(TPD)といった分析手段により解析されてきましたが、これらの方法では分析の感度は良いものの、精度に課題がありました。一方、本研究で用いた核磁気共鳴分光法(NMR)[用語解説]では、官能基の種類の分析は高精度で行えるものの、従来の方法では検出感度が低いという問題があり、高精度かつ高感度な炭素材料の表面構造の分析手段が望まれていました。
【研究の内容】
本研究では、NMR による分析の感度を改善するために、近年溶液中の分子の水素(1H)原子や炭素(13C)原子を高感度で観測する技術として注目されている、動的核偏極(DNP)[用語解説]という手法を用いた分析を試みました。NMRは、磁場中に置かれた原子核が特定の周波数の電磁波(ラジオ波)を吸収する現象を利用することによって、対象原子の状態を観測する分析手段で、化学物質の同定や病院のMRI検査などに広く用いられています。DNP-NMRは、測定したい試料にマイクロ波(MW)を同時に照射することで、試料中に含まれる信号強度増幅に用いるラジカル分子[用語解説]の磁化を原子核に移し、NMRの信号強度を最大で200倍以上に増幅させる画期的手法です。しかし、炭素材料はマイクロ波を吸収し効率的な磁化移動を阻害する上に、マイクロ波吸収による温度上昇も生じることからDNP効果が減少するという問題があるため、これまでDNP-NMRを用いた炭素材料の信号強度増幅は不可能とされてきました。
これに対し、本研究では、DNPによる信号強度増幅を可能にするため、DNP測定で用いられる信号強度増幅用のラジカルと溶媒の組み合わせを、従来のTEKPol/有機溶媒系からAMUPol/水系に変更し、水酸基やカルボキシル基の存在により親水性が増していると考えられる炭素表面へラジカル分子の接近を可能とすることで、DNPによる信号強度増幅を実現しました。また、炭素材料自体がその欠陥構造内に所有している内在ラジカルを用いたDNP信号強度増幅現象を発現することも観測しました。この手法により、従来の一般的NMR測定ではほとんど観測できなかった酸化グラフェン末端のメチル基を、1H-13C CP/MAS 固体NMR法[用語解説]にて明確に観測することに成功しました。このとき、信号強度増幅は10倍以上となります。また、スクロースを焼成して作製した無定形炭素材料[用語解説] においても、水酸基の信号強度の10倍以上の増幅を達成しました。
本研究により、今後DNP-NMRを用いて炭素材料の微細表面構造の解析が進むことが期待されます。DNP-NMRを用い、炭素材料の表面構造に残存する微少量の表面官能基の存在を明らかにすることで、それぞれの炭素材料の表面状態の違いを解明することができ、これにより、各種触媒元素の担持への適合性などを知ることができるようになると期待されます。適合性が判明することによって、多種多様な分野の各種用途に最適化した薄膜炭素材料の開発に大きく貢献できることが期待されます。
本研究成果は、2月14日にElsevier社が発行する学術雑誌「Carbon」のオンライン版に掲載されました。また、3月25日に出版予定の当該誌206号において、表紙(front cover)に採択されることになりました。
【論文情報】
論文題目 | Dynamic nuclear polarization - nuclear magnetic resonance for analyzing surface functional groups on carbonaceous materials |
雑誌名 | Carbon |
著者 | Hideka Ando, Katsuaki Suzuki, Hironori Kaji, Takashi Kambe, Yuta Nishina, Chiyu Nakano, Kazuma Gotoh |
WEB掲載日 | 2023年2月14日 |
出版予定日 | 2023年3月25日 |
DOI | 10.1016/j.carbon.2023.02.010 |
図 DNP-NMRによる観測(信号強度増幅は10倍以上となる。)
【用語説明】
担持:他の物質を固定する土台となる物質のことを担体といい、担持は、その土台に金属などの物質を付着させること。金属をグラフェン上に担持した触媒は、水酸化触媒や酸化触媒として工業的にも利用されている。
NMR (Nuclear Magnetic Resonance) :核磁気共鳴分光法。試料を磁場中に置き、電磁波を照射すると、元素ごとに特定の周波数を吸収する「共鳴」現象が生じる。周波数を観測することで水酸基、カルボキシル基、メチル基などを分別して検出が可能なため、有機化合物の分析などに広く用いられている。
DNP (Dynamic Nuclear Polarization):動的核偏極。NMR測定時にマイクロ波を照射することで測定核近傍のラジカルの磁化を測定対象原子核に移動させる手法。NMRでの共鳴信号検出の際のエネルギー準位間の電子の占有数差を大きく変化させることにより、通常のNMR信号に比べて数倍から最大で200倍以上の信号強度を得ることができる。
ラジカル:不対電子を持つ原子や分子。共有電子対を形成していないため、極めて不安定かつ反応性が高い状態である。
1H-13C CP/MAS 固体NMR:体交差分極(CP)マジック角回転(MAS)NMR法。1H元素の磁化を13C元素に特定条件下で移動させ、さらに試料全体を数kHz以上の超高速回転で回転させることにより、炭素のNMR信号を高感度、高精度で検出する実験手法。
無定形炭素材料:黒鉛やダイヤモンド、カーボンナノチューブなどのような規則的構造をもつ炭素材料とは異なり、結晶構造を持たない非結晶性炭素。但し、非結晶性ではあるが完全に規則構造が無い訳ではなく、ある程度炭素の層状構造や内部細孔などが存在することが知られている。無定形炭素の一種である難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)はリチウムイオン電池・ナトリウムイオン電池の負極として用いられている。
令和5年3月7日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/03/07-1.htmlナノマテリアル・デバイス研究領域の麻生助教の研究課題が澁谷学術文化スポーツ振興財団の研究助成に採択
ナノマテリアル・デバイス研究領域の麻生 浩平助教の研究課題が公益財団法人 澁谷学術文化スポーツ振興財団の研究助成「大学の新技術、研究活動への奨励金」に採択されました。
澁谷学術文化スポーツ振興財団は、大学における学術研究の充実を図ること等により、地域社会の発展の寄与することを目的としています。「大学の新技術、研究活動への奨励金」は、石川県地域の大学・大学院等の研究機関において、研究活動を行い、その研究成果が期待されるグループおよび個人を対象に贈呈されるものです。
*詳しくは、公益財団法人 澁谷学術文化スポーツ振興財団をご覧ください。
- 研究期間:令和4年11月~令和5年10月
- 研究課題名:「全固体電池内での局所イオン伝導を可視化するデータ駆動その場観察手法の開発」
- 研究概要:全固体リチウム (Li) イオン電池の実用化に向けて盛んな研究が進められています。例えば、充電がより早く完了する電池の開発が挙げられます。充電とともに、電池内部ではLiイオンが動くので、どういった条件だと動きが速まるのか理解することが大切です。ここで、結晶構造の乱れがLiイオンの動きに変化をもたらすと指摘されています。結晶構造の乱れはナノ(10億分の1)メートルスケールなので、そのスケールでLiイオンの動きを観察することが求められます。そこで本研究では、ナノスケールでLiイオンの動きを可視化する手法を開発します。電池を動作させながらナノスケールで動画を取得できる、オペランド電子顕微鏡法を用います。そして、データ科学の助けを借りることで、数千枚の動画からLiイオンの分布や速度を自動的に解析する手法を開発します。本研究によって、電池開発に新たなアイデアをもたらすことを期待しています。
- 採択にあたって一言:澁谷学術文化スポーツ振興財団、ならびに選考委員の皆様に心から感謝いたします。本研究を進めるにあたりいつも多大なご協力を頂いております大島義文教授、共同研究者の皆様、各研究室の皆様、ナノマテリアルテクノロジーセンターの皆様に厚く御礼を申し上げます。学術や社会に貢献しうる研究成果を挙げられるよう引き続き尽力してまいります。
令和4年12月5日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/12/05-1.html【12/20(火)開催】JAIST 物質化学フロンティアシンポジウム 2022
開催日時 | 令和4年12月20日(火)8:50~16:00 |
実施方法 | 現地開催、ネット配信(ハイブリッド開催) |
会 場 | 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系講義棟 2F 中講義室(石川県能美市旭台1-1) 及び WebEx |
講演者 | 招待講演者 北浦 守 山形大学理学部 教授 小笠原 一禎 関西学院大学 理学部 化学科 教授 高垣 敦 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 准教授 鎌田 慶吾 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 准教授 四反田 功 東京理科大学理工学部先端化学科 准教授 本学講演者 上田 純平 准教授(物質化学フロンティア領域) 西村 俊 准教授(物質化学フロンティア領域) BHARDWAJ,Rahul 研究員(サイレントボイスセンシング国際研究拠点) 青木 健太郎 助教(物質化学フロンティア領域) |
言 語 | 日本語(英語使用可) |
申込み | 以下の申込フォームより、参加ご希望の方は12/19(月)までにお申し込みください。 https://forms.gle/fJDY6dHquNWDWcss5 |
ナノマテリアル・デバイス研究領域の麻生助教の研究課題が池谷科学技術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 池谷科学技術振興財団の研究助成にナノマテリアル・デバイス研究領域の麻生 浩平助教の研究課題が採択されました。
池谷科学技術振興財団は、先端材料関連の研究に対する助成によって科学技術の発展を図り、社会経済の発展に貢献することを設立の理念としており、この理念を具体化するため、先端材料や関連する科学技術分野の研究者や研究機関に対して、毎年支援を行っています。
*詳しくは、池谷科学技術振興財団ホームページをご覧ください。
- 採択期間:令和4年4月~令和5年3月
- 研究課題名:データ駆動電⼦顕微法による全固体電池内でのリチウムイオンのダイナミクス解明
- 研究概要:全固体リチウム(Li)イオン電池は、Liイオンの伝導現象を活用した次世代デバイスです。高速充放電や高耐久といった電池の高性能化に向けて、Liイオンが材料のなかでどのように伝導していくかの解明が求められてきました。そこで本研究では、材料内部でのLiイオンのダイナミクスを可視化することを目指します。実験手法として、電池を動作させて電気化学特性を測定しながら構造を観察する、オペランド電子顕微鏡法を用います。オペランド電子顕微鏡像は大量の画像からなる動画として得られるため、手作業での解析は困難です。そこで、データ科学の手法を活用して、イオン伝導が進行する重要な部分のみを抜き出し、イオンの分布や速度を自動的に解析します。本手法の開発によってLiイオンのダイナミクスが解明されれば、より高性能な電池の開発につながると期待しています。
- 採択にあたって一言:池谷科学技術振興財団、ならびに選考委員の皆様に心から感謝いたします。本研究を進めるにあたり数々のご協力を頂いております大島義文教授、共同研究者の皆様、両研究室の皆様、ナノマテリアルテクノロジーセンターの皆様に厚く御礼を申し上げます。学術や社会に貢献しうる成果を挙げられるよう、いっそう尽力してまいります。
*木田助教、高田助教の採択記事はこちらをご覧ください。
令和4年4月11日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/04/11-1.html物質化学領域の長尾准教授の研究課題が村田学術振興財団の研究助成に採択
公益財団法人 村田学術振興財団の研究助成に物質化学領域 長尾 祐樹准教授の研究課題が採択されました。
村田学術振興財団では、エレクトロニクスを中心とする自然科学の研究及び国際化にともなう法律、経済、社会、文化等に係る諸問題に関する人文・社会科学の研究に対して研究助成が行われています。
*詳しくは、村田学術振興財団ホームページをご覧ください。
■研究者名
物質化学領域 長尾 祐樹准教授
■採択期間
令和3年7月~令和4年6月
■研究課題名
分子配向制御による全固体電池の界面デザイン
■研究概要
高分子は柔軟さや自己修復性が付与可能なため、将来的には、折り曲げ可能な固体電池の開発が期待されています。この実現には、電解質に対する電極および活物質の界面設計が不可欠です。界面の特徴の1つに、高分子特有の主鎖や官能基の分子配向等の構造変化がイオン伝導性に強い影響を与えるケースが報告され始めています。長尾准教授の研究グループでは、燃料電池に応用可能なプロトン伝導性高分子薄膜の界面におけるプロトン伝導性と分子配向の相関について研究を行ってきました。例えば、高プロトン伝導性高分子であるNafionは、界面の影響を受けた薄膜では配向構造を示すことが明らかにされています。さらに、酸化物界面と金属界面ではその配向構造が異なります。その構造の違いによってプロトン伝導度も異なります。これらの研究はまだ体系的に実施されておらず、特にデバイスや電池において重要な知見となる金属系材料や炭素系材料などの導電性表面における、高プロトン伝導性高分子界面のプロトン伝導性は十分に明かにされていない状況です。
本研究では、全固体蓄電界面のイオン伝導性や分子配向を同定することで、全固体電池の性能向上と共に課題となるイオンの拡散律速を抑制する次世代蓄電池の界面をデザインすることを目指します。
令和3年7月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/07/12-1.html学生のGUPTAさんとPATNAIKさんが第70回高分子学会年次大会において優秀ポスター賞を受賞
学生のGUPTA, Agmanさん(博士後期課程3年、物質化学領域、松見研究室)とPATNAIK, Kottisa Sumalaさん(博士前期課程1年、物質化学領域、松見研究室)が第70回高分子学会年次大会において優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会は、高分子科学と技術及びこれらに関連する諸分野の情報を交換・吸収する、さまざまな場を提供しています。会員はこれらの場を通じ、学術的向上や研究の新展開のみならず会員相互の人間的な触れ合いや国際的な交流を深めています。
優秀ポスター賞は、高分子学会年次大会において、優れたポスター発表を行った発表者に授与されるもので、もって発表を奨励し、高分子科学ならびに同会の発展に資することを目的としています。
第70回高分子学会年次大会は、5月26日~28日にかけてオンラインで開催されました。
■受賞年月日
令和3年5月28日
【GUPTA, Agmanさん】
■発表題目
リチウムイオン二次電池のシリコン系アノードを安定化する架橋型BIAN系共役系高分子
Crosslinked BIAN Polymer Matrices to Stabilize Silicon Anode in Lithium Ion Secondary Batteries
■研究者、著者
〇Agman Gupta, Rajashekar Badam, and Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
従来型のグラファイトの約10倍の理論放電容量を有しているシリコンは次世代リチウムイオン二次電池用の負極として多大な注目を集めており、活発な研究が展開されている。一方、充放電におけるシリコン粒子の大幅な体積膨張・収縮により粒子の破壊や表面被膜の破壊、集電体からの剥離が問題となり、実用に適した系の創出には至っていない。本研究ではBIAN型共役系高分子を1,6-ジブロモヘキサンとの四級化反応により架橋した高分子材料を負極バインダーとして検討した。その結果、1000サイクル以上にわたって約2500 mAhg-1(Si)の放電容量を維持し、卓越した特性を発現した。
■受賞にあたって一言
I am full of gratitude towards my Prof. Noriyoshi Matsumi for providing me with his immense support, encouragement, and guidance throughout my studies. Also, I am thankful to Senior lecturer Dr. Rajashekar Badam for his motivation and worthy insights that always encouraged me to work hard. I would like to thank MEXT and JST-Mirai (Grant Number: JP18077239) for providing financial support. I am thankful to all JAIST staff (teaching and non-teaching) for providing a healthy scientific environment with good facilities so that students like me can comfortably conduct quality research work. I am deeply motivated from within to pursue my passion for science and contribute to society by using my scientific endeavors for public benefit. In this regard, I have been studying and conducting research that is aimed towards developing Li-ion batteries with high energy density for future applications in portable electronic devices, electric vehicles (EVs), hybrid electric vehicles (HEVs), etc.


【PATNAIK, Kottisa Sumalaさん】
■発表題目
高速充放電能と長期耐久性を併せ持つバイオベース型リチウムイオン二次電池負極活物質
Bio-derived Lithium-ion Battery Anode Material for Fast Charging and Long-cycle Life
■研究者、著者
〇Kottisa Sumala Patnaik, Yueying Peng, Rajashekar Badam, Tatsuo Kaneko, and Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池研究において急速充放電技術の開発は最も重要な側面の一つとなっています。ガソリンスタンドでの数分の停車で給油可能なガソリン車と比較して、EV車の充電に要する長い充電時間は消費者心理に多大に影響し、技術の広範な普及への足かせとなっています。本研究では耐熱性のバイオベースポリマーであるポリベンズイミダゾールを焼成することにより得られた高濃度窒素ドープハードカーボンをリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いることにより9分間での充電と1000サイクル以上のサイクル耐久性を同時に実現できることが見出されました。見出された知見を活かしつつさらなる系の発展が期待されます。
■受賞にあたって一言
At the outset, I want to express my heartfelt gratitude to Prof. Noriyoshi Matsumi for his invaluable guidance in my research work. I thank Prof. Tatsuo Kaneko for opportunity of collaboration under SIP project. I also want to thank Senior lecturer Dr. Rajashekar Badam for incessantly providing me with his suggestions at every step of my research work. I believe research has been very interesting for me especially because of extremely supportive lab mates. I am very grateful to every member of Matsumi Lab for helping me in many small and big ways to carry out my research work smoothly. Lithium ion batteries have brought a lot of convenience and comfort into our everyday life. Any research in this field adds a significant impact at large. I believe lithium-ion batteries have the potential to impact human life at even greater scale than they currently do. Fast charging batteries with long cycle life is one of the fields in maximum demand owing to their applicability in electric vehicles. The prospect of using a vehicle not powered by fossil fuel but delivering equivalent capability to a fossil fuel powered vehicle inspired me to carry out my research in this field of 'Fast Charging Lithium-ion Batteries". I intend to dedicate my future research endeavors in this field.


令和3年7月6日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2021/07/06-1.html物質化学領域の長尾准教授らの論文が国際学術誌ChemSusChem誌のThe Cover Featureに採択

物質化学領域の長尾 祐樹准教授、学生のWang, Fangfangさん(博士後期課程2年)、修了生のWang, Dongjinさん(令和2年9月博士前期課程修了)らの論文が国際学術誌ChemSusChemのThe Cover Featureに採択されました。
この論文は、令和3年5月7日に本学からプレスリリースしました、次世代燃料電池のアニオン交換薄膜において水酸化物イオン伝導度の評価法を確立した内容になります。
■掲載誌
ChemSusChem
■著者
Fangfang Wang, Dongjin Wang, Yuki Nagao
■論文タイトル
OH− Conductive Properties and Water Uptake of Anion Exchange Thin Films
■論文概要
本研究では、次世代燃料電池で注目されるアニオン交換薄膜において、空気中の二酸化炭素の影響を受けない状態で、水酸化物イオン伝導度と含有水分子量の評価法を確立することに成功しました。長年求められてきたこの評価法の確立は、当該分野において世界初の成果になります。本成果により、次世代燃料電池の性能向上に関する研究の加速が期待されます。
論文詳細:https://doi.org/10.1002/cssc.202100711
The Cover Feature詳細: https://doi.org/10.1002/cssc.202101142
令和3年6月22日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/06/22.html