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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。環境・エネルギー領域の桶葭准教授の研究課題がJST「創発的研究支援事業」に採択
環境・エネルギー領域の桶葭 興資准教授が提案した研究課題が、科学技術振興機構(JST)の2020年度「創発的研究支援事業」に採択されました。
「創発的研究支援事業」は、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す「創発的研究」を推進するため、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的・融合的な多様な研究を、研究者が研究に専念できる環境を確保しつつ原則7年間(途中ステージゲート審査を挟む、最大10年間)にわたり長期的に支援するものです。
採択後は研究者の裁量を最大限に確保し、各研究者が所属する大学等の研究機関支援の下で、創発的研究の遂行にふさわしい適切な研究環境が確保されることを目指します。また、創発的研究を促進するため、個人研究者のメンタリング等を行うプログラムオフィサーの下、個人研究者の能力や発想を組み合わせる「創発の場」を設けることで、創造的・融合的な成果に結びつける取組を推進します。
*詳しくは、JSTホームページをご覧ください。
【研究者名】
環境・エネルギー領域 桶葭 興資 准教授
■研究課題名
DRY & WET:界面分割法による多糖の再組織化技術
■研究概要
本研究では多糖の再組織化技術の確立を目指し、独自に見出した「界面分割法」によって物質拡散やエネルギーの方向制御材料を創製します。特に、水との歴史が長い生体高分子「多糖」に着目し、乾燥環境下で形成する幾何学パターンについて系統的に探求するとともに、階層的な秩序化法則を解明します。21世紀のネイチャーテクノロジーを創発するためにも、材料工学、物理、化学、および数理の観点から挑戦します。
令和3年2月3日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/02/04-1.html環境・エネルギー領域の大平教授の研究課題がNEDO「太陽光発電主力電源化推進技術開発」に採択
環境・エネルギー領域の大平 圭介教授の研究課題が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「太陽光発電主力電源化推進技術開発」の研究開発項目(I)太陽光発電の新市場創造技術開発/(ⅱ)壁面設置太陽光発電システム技術開発に採択されました。
太陽光発電の主力電源化に向けて、需要地に近接しているが従来の技術では太陽光発電の導入が進んでいなかった場所を利用可能にするための太陽光発電システム開発や、長期安定的な事業運営確保として現在顕在化している課題解決のための技術開発が求められています。
NEDOではこれらの開発を推進するため、「太陽光発電主力電源化推進技術開発」において(i)フィルム型超軽量太陽電池の開発、(ii)壁面設置太陽光発電システム技術開発、(iii)移動体用太陽電池の研究開発での公募を実施し、今回、33テーマを採択しました。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100292.html
■研究課題名
多機能・高品質薄膜の利用による壁面太陽電池モジュールの長寿命化
■研究期間
2020年7月~2023年3月(継続の可能性あり)
■研究概要
建造物の壁面に設置するタンデム型太陽電池モジュールの発電性能および意匠性に関し、建造物と同等の寿命を達成するための要素技術開発を行う。本学で長年研究を行っている、触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法で形成する窒化Si膜は、100℃程度の低温製膜でも高い膜密度が得られ、膜自体の長期安定性と、高いガスバリア性能を発揮する。この窒化Si膜をタンデムセル上に形成し、タンデムセルの色調安定化と水蒸気浸入による発電性能低下の抑止を達成するための基盤技術確立を目指す。また、再委託先である岐阜大学では、酸化Si膜を塗布法によりモジュールのカバーガラス上に形成し、防汚性能、反射低減性能等を付与する検討を行う。
■採択にあたって一言
建造物の壁面に設置する太陽電池モジュールの開発は、いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を実現するために、大変重要な研究です。今回、同時に採択された新潟大学、青山学院大学、再委託先である岐阜大学とも連携の上、本学の技術の強みを生かしつつ研究開発を進め、太陽光発電の普及拡大に貢献していきたいと思います。
令和2年7月31日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/07/31-1.html環境・エネルギー領域の金子研究室学生のKulisara Budpudさんらの論文がSmall誌 (WILEY) の表紙に採択
環境・エネルギー領域の金子研究室博士後期課程学生ブッドプッド クリサラさん、桶葭 興資准教授、岡島 麻衣子研究員、金子 達雄教授らの「多糖膜が超らせん構造によって湿度変化に瞬間応答-ナノスケールから再組織化-」に係る論文がSmall誌 (WILEY) の表紙に採択されました。
■掲載誌
Small, volume 16, issue 29 (2020) 掲載日:2020年7月23日
■著者
Kulisara Budpud, Kosuke Okeyoshi*, Maiko K Okajima, Tatsuo Kaneko*
■論文タイトル
Vapor‐Sensitive Materials from Polysaccharide Fibers with Self‐Assembling Twisted Microstructures
■論文概要
本研究では、シアノバクテリア由来の多糖サクランを用いて、水中で自ら形成するマイクロファイバーが乾燥時に2次元蛇行構造、3次元らせん構造など高秩序化することを見出すとともに、さらにこの構造を利用して、水蒸気をミリ秒レベルで瞬間感知して屈曲運動を示すフィルムの作製に成功しました。天然由来の代表物質でもある多糖をナノメートルスケールから再組織化材料としたこととしても意義深く、光合成産物の多糖を先端材料化する試みは、持続可能な社会の構築のための重要なステップとなります。
論文詳細:
https://doi.org/10.1002/smll.202001993
https://doi.org/10.1002/smll.202070159
プレスリリース本文:
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2020/06/11-1.html
令和2年7月29日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/07/29_5.html環境・エネルギー領域の桶葭講師が公益財団法人高分子学会2018年度高分子研究奨励賞を受賞

環境・エネルギー領域の桶葭 興資講師が公益財団法人高分子学会2018年度高分子研究奨励賞を受賞しました。
高分子研究奨励賞は、公益財団法人高分子学会が、高分子学会年次大会等において活発に発表あるいは活動している若手会員を対象に、将来、高分子科学の発展のために貢献する人材を育成することを目的に制定しているものです。
*参考
高分子学会ホームページ
■受賞年月日
令和元年5月30日
■研究題目
界面制御による多糖の自己組織化と機能性材料の設計
■受賞概要
桶葭興資氏は、多糖水溶液が乾燥界面で起こす散逸構造の研究を行ってきた。特に、自然界にある乾燥環境が多糖に与える影響に着目し、自己組織化によるユニークなパターン形成を見出している。多糖は光合成によってつくられた重要な天然由来物質の一つで持続可能社会の構築に必須でありながらも、その多様な潜在能力を活かした先端材料として普及が進んでいない。本研究では、自己集合性多糖水溶液の界面制御下、マクロ空間を分割する現象を見出すと同時に、三次元的な配向化技術の構築に成功した。高分子科学、コロイド科学、界面化学など多方面にわたる学問分野において意義深い。また、ゲルや液晶を主とした機能性ソフトマテリアルの開発に重要な一手となり、産学面への貢献も期待される。これらの研究成果は、高分子の自己組織化の解明に貢献するとともに、機能性材料設計に重要な指針を与えるものであり、高分子研究奨励賞に値するものと認められた。
■受賞にあたっての一言
大変名誉ある賞を頂き大変嬉しく存じます。高分子学会、選考委員会、および北陸支部の皆様に深く感謝申し上げます。また、本学金子達雄教授はじめ共同研究者の皆様、ご助言頂いた研究室の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。科学技術の発展に貢献すべく誠心誠意励んで参ります。
令和元年6月4日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2019/06/04-01.html高分子の相転移を利用した人工光合成に成功-可視光エネルギーによる高効率な水素生成を達成-

高分子の相転移を利用した人工光合成に成功
-可視光エネルギーによる高効率な水素生成を達成-
ポイント
- 実際の光合成に習った光エネルギー変換システムの構築
- 高分子の可逆的相転移挙動を利用して高効率な水素生成に成功
北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野哲夫、石川県能美市)、先端科学技術研究科環境・エネルギー領域の桶葭興資講師らは東京大学大学院の吉田亮教授と共同で、電子伝達分子を持つ刺激応答性高分子を合成し、高分子の相転移によって電子伝達を加速させる人工光合成システムを構築した。
石油ショック以来、持続可能社会の実現に向けて人工光合成*1が注目を浴び、様々なシステムが考案されてきた。しかし、実際の葉緑体が持つ光合成システムにあるような、水分子との連動的な電子伝達組織の構築が未だ提案されてこなかった。これに対し本研究では、機能分子間の電子伝達に駆動力が生じるよう、高分子の相転移を利用した人工光合成システムを設計した。 まず、刺激応答性高分子*2のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(poly(NIPAAm))*3に電子伝達分子ビオロゲン*4を導入すると、その酸化/還元*5状態によって高分子の相転移*6温度が異なることを見出した。この高分子poly(NIPAAm-co-Viologen) は一定温度下で酸化/還元変化により可逆的なコイル - グロビュール転移*7を伴い、加速的に電子伝達して水素を生成する。光エネルギーが与えられた際、光励起電子をビオロゲン分子が受けると、その周辺の高分子は疎水的となる。これが、界面活性剤で分散された触媒ナノ粒子近傍の疎水的な空間に潜り込み、電子を渡して水素生成する。実際、可視光エネルギーを用いた水素生成は、相転移温度付近で10%を超え、高い量子効率が達成された。 従来の溶液システムによる人工光合成では、液相中で機能性分子や触媒ナノ粒子が乱雑な分散状態のため電子伝達も乱雑となり、反応が進むにつれて分子凝集による機能低下が問題であった。これとは大きく異なり、粒子間に高分子が介在することで粒子凝集を抑制すると同時に、高分子の相転移によって電子伝達の加速が得られた。 高分子相転移現象は、ソフトアクチュエータ*8やドラッグデリバリーシステム*9の開発に広く利用されてきたが、今回の光エネルギー変換への利用は画期的である。本成果により、可視光エネルギーによる人工光合成システム「人工葉緑体」の構築が期待される。 ![]() 本成果は、4月25日付WILEY発行Angewandte Chemie International Edition (オンライン版) に掲載された。なお、本研究は科学研究費補助金などの支援を受けて行われた。 |
<今後の展開>
可視光エネルギーにより水を完全分解 (2H2O + hν → 2H2 + O2) する反応場として、高分子網目中に機能分子を配置した光エネルギー変換システムを構築することが期待される。
<論文情報>
掲載誌 | Angewandte Chemie International Edition (WILEY) |
論文題目 | Polymeric Design for Electron Transfer in Photoinduced Hydrogen Generation through a Coil-Globule Transition |
著者 | Kosuke Okeyoshi, Ryo Yoshida |
掲載日 | 2019年4月25日付、オンライン版 |
DOI | 10.1002/anie.201901666 |
<用語解説>
*1. 人工光合成
光合成を人為的に行う技術のこと。自然界での光合成は、水・二酸化炭素と、太陽光などの光エネルギーから化学エネルギーとして炭水化物などを合成するものであるが、広義の人工光合成には太陽電池を含むことがある。自然界での光合成を完全に模倣することは実現していないが、部分的には技術が確立している。
*2. 刺激応答性高分子
温度やpHなど外部刺激に応答して可逆的に親・疎水性など物理化学的性質を変化させる高分子のこと。
*3. ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)
この高分子水溶液は、32度付近で下限臨界温度型の相転移挙動を示す。最も広く研究されている刺激応答性高分子。
*4. ビオロゲン
4,4'-ビピリジンの窒素原子上をアルキル化したピリジニウム塩のこと。農薬の他、生物学や光触媒反応、エレクトロクロミック材料などの研究で使用されている。
*5. 酸化/還元
酸化還元反応とは化学反応のうち、反応物から生成物が生ずる過程において、原子やイオンあるいは化合物間で電子の授受がある反応のこと。
*6. 相転移
ある系の相が別の相へ変わることを指す。熱力学または統計力学的において、相はある特徴を持った系の安定な状態の集合として定義される。
*7. コイル - グロビュール転移
分子鎖が広がったランダムコイル状態から凝集したグロビュール状態をとること。またその逆の状態変化のこと。今回の場合、高分子がランダムコイル状態で親水的、グロビュール状態で疎水的な性質を持つ。
*8. ソフトアクチュエータ
軽量で柔軟な材料が変形することによりアクチュエータとして機能する材料、素子、デバイスのこと。
*9. ドラッグデリバリーシステム
体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムのこと。
令和元年5月15日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2019/05/15-1.html環境・エネルギー領域の高田特任助教が公益財団法人京都技術科学センターの研究開発助成に採択
環境・エネルギー領域の高田 健司特任助教が公益財団法人京都技術科学センターの研究開発助成に採択されました。
公益財団法人京都技術科学センターでは、近畿地方及び周辺地域 (北陸3県、中・四国地方) の理工学系学部あるいは大学院研究科を有する大学 (付置研究所を含む) 及び工業高等専門学校並びに公的試験研究機関に所属し、科学技術分野において将来の発展を期待される優秀な研究開発を行う若手研究者に対して、研究開発費の助成を行っています。
■採択期間
平成30年度より1年間
■研究課題
「リビング重合を利用した桂皮酸由来多官能性高分子の合成」
■研究概要
近年、急速に発展している天然物由来高分子をより高機能なものにするため、本研究では多数の官能基を有した桂皮酸系高分子の分子量及び構造を制御して合成することを目的としています。桂皮酸は木材にも多く含まれる多官能性分子であり、これを高分子化することで上記目標の達成および新規材料の開発を目指しています。
■採択にあたって一言
本研究課題を採択頂き大変嬉しく存じます。天然物のリビング重合は学生のころから興味があった分野でしたので、本研究に助成していただく京都技術科学センター、および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。また、本研究に関して多大なアドバイスをいただいた金子達雄教授はじめ、様々な知見を頂いた研究室の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。これを励みに研究を加速できればと思います。
平成30年9月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2018/09/12-1.html第63回J-BEANSセミナー「里山資源を活かした資源・エネルギー循環」
開催日時 | 平成30年9月10日(月) 12:40~13:20 |
会 場 | ラーニング・コモンズ「J-BEANS」(大学会館1階) |
講演題目 | 里山資源を活かした資源・エネルギー循環 |
講 演 者 | 物質化学領域 西村 俊 講師 |
言 語 | 日本語(スライド:英語) |
● J-BEANSセミナーの趣旨・概要等については、こちらのページをご覧ください。
出典:JAIST イベント情報https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/event/2018/08/16-1.html環境・エネルギー領域の水田・マノハラン研究室の研究成果が王立化学会(Royal Society of Chemistry)の国際学術誌 Nanoscale (IF: 7.233)のinside front coverに採択

環境・エネルギー領域の水田・マノハラン研究室の研究成果が王立化学会(Royal Society of Chemistry)の国際学術誌 Nanoscale (IF: 7.233)のinside front coverに採択されました。
■掲載誌
Nanoscale 10(26), 12349-12355, 2018
■著者
Ngoc Huynh Van(博士研究員), Manoharan Muruganathan, Jothiramalingam Kulothungan(博士研究員)and Hiroshi Mizuta
■論文タイトル
Fabrication of a three-terminal graphene nanoelectromechanical switch using two-dimensional materials
■論文概要
異種2次元材料をヘテロ積層したスタック構造を用いて、オフ状態では物理的に切り離されたチャネル構造を有する3端子型のグラフェンナノ電子機械(3T-GNEM)スイッチを初めて開発しました。六方晶窒化ホウ素(h-BN)を誘電層として用い、最上部の可動グラフェン両持ち梁をドレインに、また固定グラフェン膜をソースおよびゲートとして設けました。これらを縦に積層化することで小さな素子面積を実現しています。スイッチのオフ状態では、ドレイン‐ソース間に空隙が存在しますが、最下部のグラフェンゲートに電圧を印加することで、オン状態では、最上部の両持ち梁グラフェンドレインが機械的に変位してグラフェンソースに電気的にコンタクトします。この3端子型GNEMスイッチにより、室温で、従来のMOSFETによるサブスレッショルド係数(SS)の理論限界値〜 60 mV / decを遙かに下回るSS=10.4 mV / decを達成することに成功しました。
本研究成果は、以下の研究助成によって得られました。
- 事業名:科学研究費補助金・基盤研究(S)
- 研究科題名:「集積グラフェンNEMS複合機能素子によるオートノマス・超高感度センサーの開発」(課題番号25220904,代表:水田 博)
- 研究開発期間:平成25~29年度
平成30年7月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2018/07/12-1.html環境・エネルギー領域の桶葭講師が旭硝子財団の研究助成に採択
環境・エネルギー領域の桶葭 興資講師が旭硝子財団の研究助成に採択されました。
旭硝子財団は次世代社会の基盤を構築するような独創的な研究への助成事業を通して、人類が真の豊かさを享受できる社会および文明の創造に寄与します。当財団には4つの国内研究助成プログラムがあります。自然科学系の「研究奨励」プログラムは、若手研究者による基礎的・萌芽的な研究を支援するとともに、助成期間終了後には継続型グラントへの応募機会を提供します。
■採択期間
平成30年度より2年間
■研究課題
「天然多糖の非平衡環境下におけるマクロ空間認識」
■研究概要
天然多糖の水溶液を乾燥させる空間を工夫すると高分子の膜を組織的に形成することを見出している。ここで析出と水和の非平衡状態の制御を行うことによって新たな材料設計の構築を目指す。
■採択にあたって一言
本研究課題について採択頂き大変嬉しく存じます。旭硝子財団、および本助成の選考委員会の皆様に深く感謝申し上げます。また、金子達雄教授はじめ、共同研究者の皆様、ご助言頂いた研究室の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。科学と技術の発展に貢献できる様誠心誠意励んで参ります。
平成30年4月26日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2018/04/26-1.html環境・エネルギー領域の水田教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞受賞(研究部門)を浅野学長に報告
環境・エネルギー領域の水田教授が平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞受賞(研究部門)を浅野学長に報告しました。
文部科学大臣表彰とは、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃え贈られるものです。
表彰式が4月17日(火)に文部科学省で開催され、出席した水田教授から浅野学長に報告がありました。
■受賞にあたって一言
NEMS(ナノ電子機械システム)の研究は企業から大学に異動した2003年頃に開始したものですが、15年にわたり東工大、サウサンプトン大、本学と職場を移しながら継続してきた仕事でこのような名誉ある賞をいただけたことを大変嬉しく光栄に思います。その間、学内外の多くの方々にご支援を賜り、また研究室では素晴らしい同僚・学生の皆さんと一緒に楽しく研究をさせていただきました。この場をお借りして心より御礼を申し上げます。これを励みに、今後も先端NEMSの物理とデバイス応用を追求しながら、新たな環境・エネルギー技術開拓に微力ながら貢献していきたいと思います。

表彰式会場の様子

松澤理事、浅野学長、水田教授、寺野理事
平成30年4月19日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2018/04/19-1.html環境・エネルギー領域の金子教授が平成29年度和歌山県文化表彰において文化奨励賞を受賞
環境・エネルギー領域の金子 達雄教授が平成29年度和歌山県文化表彰において文化奨励賞を受賞しました。
和歌山県では、昭和39年から毎年、文化の向上発展に特に顕著な功績のある方々に、文化表彰を授与しています。文化表彰のうち、文化奨励賞はすぐれた文化の創造と普及活動を続け、将来一層の活躍ができる方に授与しており、理系の大学研究者に与えられることは極めて稀です。平成29年度の受賞者にはゴルゴ13で有名なさいとう・たかを(本名 齊藤 隆夫)さんが文化賞を受けるなど注目度の高い表彰となっており、1月19日に和歌山県庁にて表彰式が行われました。
■受賞年月日
平成29年12月20日
■受賞にあたって一言
この度は図らずもこの素晴らしい賞を頂戴することとなり心は驚きと歓喜に満ちております。推薦者および関係者の方々に心より御礼申し上げます。小生は材料化学者の立場から環境保全にどのような形で貢献出来るのかを考え抜いた結果、この高性能植物性プラスチックの研究を行うことに致しました。社会実装に向けた前進のため、本賞を通じて化学系企業の方々にサポートして頂ければ幸甚です。これにより、子供たちのために未来の地球を美しく安全に保ってあげられればと思います。最後に、本研究に携わって下さりました共同研究者の先生方、学生の皆さんに心より感謝の意を表します。どうも有難うございました。
平成30年2月28日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2018/02/28-1.html環境・エネルギー領域の桶葭講師、金子教授らの論文がAdvanced Materials InterfacesのBack Coverに採択
環境・エネルギー領域の桶葭 興資講師、金子 達雄教授らの論文がAdvanced Materials Interfaces (WILEY) のBack Coverに採択されました。
■掲載誌
WILEY, Advanced Materials Interfaces 2018, 5 (3)
■著者
Kosuke Okeyoshi, Gargi Joshi, Maiko K. Okajima, Tatsuo Kaneko
■論文タイトル
Formation of polysaccharide membranes by splitting of evaporative air-LC interface
■論文概要
筆者らは多糖水溶液を乾燥する空間を制御すると、自らセンチメートルスケールのパーティションを形成する現象を見出している。本論文では界面曲線の長さの実験結果と理論計算結果から、界面分割してパーティションを形成する場合の方が形成しない場合よりも、蒸発面が約2倍となることが分かった。この現象には気液界面における析出と蒸発を両立する条件が重要で、本研究の成果は自然界で多糖がマクロ空間を如何に認識するのか知る手がかりになると期待される。
参考URL : http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/admi.201701219/full
環境・エネルギー領域の小矢野教授の研究室が高性能多孔質熱電材料の創製に寄与
環境・エネルギー領域の小矢野幹夫教授の研究グループは、NEDOの「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」プロジェクトにおいて株式会社白山(本社:金沢市)、石川県工業試験場(金沢市)と共同研究を行い、従来のn型熱電材料に対し6割以上の出力因子の性能を有する多孔質p型マグネシウムシリサイド系熱電材料の創製に世界で初めて成功しました。
この研究過程で、同研究室の宮田全展助教は、密度汎関数理論・最適化擬原子基底関数に基づく第一原理ソフトウェアパッケージOpenMXと電子輸送計算コードBoltzTraPを用いて、詳細な電子構造計算に基づく物性予測を行い、当該高性能材料の性能最適化への重要な指針を与えました。またJAISTの恵まれた計算環境と評価装置群を活用し、計算機シミュレーションによる熱流解析や多孔質構造の分析も行いました。
今回開発された新規熱電材料は、今後、自動車エンジンの排熱や産業分野における300~400℃の未利用熱エネルギーを電力に変換する低コスト・高耐久性熱電変換モジュールへ応用されることが期待されています。
「熱電変換技術」はゼーペック効果やペルチェ効果を用いて、熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する技術です。小矢野研究室では熱電変換技術のキーテクノロジーとなる、新しい熱電材料の開発、熱電現象の計測、およびプリンティング熱電モジュール開発などの研究を行っています。今般は、地殻埋蔵量の多い元素で構成された環境に優しい新材料「多孔質Mg-Sn-Si」の開発に、研究室の資産を活用することができたことを喜んでいます。これからも熱電変換技術を中心として、省エネルギー・持続可能な社会の構築へ寄与していきたいと考えています。
NEDO プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100876.html
平成29年11月22日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/11/22-2.html環境・エネルギー領域の大平准教授の研究グループの講演がPVSEC-27においてBest Paper Awardを受賞
環境・エネルギー領域の大平圭介准教授のグループと、産業技術総合研究所太陽光発電研究センターの増田淳副研究センター長(兼本学客員教授)のグループとの共同研究の成果をまとめた講演が、27th Photovoltaic Science and Engineering Conference (PVSEC-27)において、Best Paper Awardを受賞しました。
PVSECは、アジア・太平洋地域で開催される太陽光発電に関する最大級の国際学会で、今回が27回目の開催です。各種太陽電池材料やデバイス、評価技術、信頼性、市場・政策など広範囲のトピックスを対象としており、今回は10のエリアに分かれて発表が行われました。Best Paper Awardは、総発表件数750件超の中から、全エリアを通して数件程度に授与されるものです。
■受賞年月日
平成29年11月17日
■タイトル
Jsc and Voc reductions in silicon heterojunction photovoltaic modules by potential-induced degradation tests
■著者
Keisuke Ohdaira (JAIST), Seira Yamaguchi (JAIST), Chizuko Yamamoto (AIST), and Atsushi Masuda (AIST)
■発表概要
大規模太陽光発電所において、太陽電池モジュールのフレームと発電素子(セル)の間の電位差が原因で発電性能が低下する、電圧誘起劣化(potential-induced degradation: PID)の問題が顕在化しています。結晶シリコンと非晶質シリコンとのヘテロ接合からなるシリコンヘテロ接合(silicon heterojunction: SHJ)太陽電池は、高効率太陽電池としてすでに市販されており、大規模太陽光発電所への導入も進んでいますが、そのPID現象や発現機構は未解明でした。今回の研究では、SHJ太陽電池モジュールに対してPID試験を行い、1) 電流の低下に特徴づけられるPIDがまず発現すること、2) 透明導電膜の還元による光学損失がこの電流低下の原因であること、3) さらに長時間のPID試験を行うと電圧の低下も起こること、4) モジュールに用いる封止材を変更することでPIDを抑止できること、を明らかにしました。
■受賞にあたって一言
太陽光発電分野の権威ある国際学会であるPVSECでのBest Paper Awardを受賞でき、大変光栄に感じております。実験データの多くが産業技術総合研究所で取得されたものであり、共著者の皆様にも感謝いたしております。今後も引き続き、SHJ太陽電池モジュールをはじめ、n型結晶Si太陽電池モジュールのPIDの現象解明と抑止技術開発に、精力的に取り組んでいきたいと思います。本研究は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により行っているものであり、関係各位に感謝いたします。
平成29年11月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2017/11/22-1.html環境エネルギー領域の金子教授がドイツ・イノベーション・アワードにおいてゴットフリード・ワグネル賞を受賞
環境エネルギー領域の金子達雄教授がドイツ・イノベーション・アワードにおいてゴットフリード・ワグネル賞を受賞しました。
ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞」は、2008年、日本の若手研究者の支援と日独間の産学連携を進めることを目的として、技術革新を重視するドイツ企業と在日ドイツ商工会議所により創設されました。この賞は 1868年に来日し、日本の科学界と教育界に大きな足跡を残したドイツ人科学者、ゴットフリード・ワグネル(1831-1892)にちなんで始まりました。本賞は、スポンサーのドイツ企業と在日ドイツ商工会議所が共催し、日独の多くの研究 ・助成機関および政府機関による協力と後援に支えられています。また、ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ連邦教育研究省をはじめ、ドイツ科学・イノベーションフォーラム東京、ドイツ学術交流会、ドイツ研究振興協会、フラウンホーファー研究機構、国立研究開発法人科学技術振興機構、独立行政法人日本学術振興会からの支援を受けています。
本賞の受賞者は、共催企業の技術専門家による予備審査の後、大学学長レベルの常任委員と専門委員から構成される選考委員会において審査し、決定しています。 創設以来、8年間で36件の日本の大学・研究機関に所属する45歳以下の研究グループに授与されました。材料、デジタル化とモビリティ、エネルギー、ライフサイエンスの分野における革新的で創造的な解決策を提案する応用研究を対象としています。
今回は、全国の大学・研究機関から、合計68件の応募がありました。企業及び大学関係の専門家による書面審査で7名の最終候補者の絞り込みが行われ、2017年5月17日に開催された最終審査会でインタビューによって、各研究領域から1人、合計4人の受賞者が決定されました。
■受賞年月日
平成29年6月19日
■研究テーマ
エキゾチックなアミノ酸を用いた高熱力学性能を持つ透明バイオプラスチックの開発
■研究概要
輸送機器インフラの部品軽量化に、軽くて強く、耐熱性も高い新素材が待望されている。持続可能な社会を構築するため、天然分子から作る安価なバイオプラスチックへの期待は大きいが、通常は軟らかくて分解しやすく、使い捨て製品など、用途は限られている。また、強化剤の添加などで白濁化が進み、透明にならない弱点もある。これらの課題を解決するため、受賞者らは天然分子の特徴を生かす新しい「バイオマス高分子科学」を展開した。堅い化学構造を持つ香辛料のシナモンに似たエキゾチック(風変わり)なアミノ酸の4-アミノ桂皮酸に注目して、高熱力学性能と透明性が両立するように分子設計をした。まず、このアミノ桂皮酸の合成遺伝子を大腸菌に組み込み、安価に大量生産できることを示した。それから光反応と重縮合で、シクロブタン環が2つのベンゼン環で挟まれたトルキシル酸という骨格を形成した。この骨格は、剛直性を保ちながらも、シクロブタン環のわずかな屈曲部位が「分子バネ」として働き、強度が飛躍的に向上した。この骨格からなる高分子のバイオプラスチックは透明で、ガラスの3倍の強度を示した。透明樹脂の中では最も高い強度と考えられる。さらに、熱分解温度もセ氏425度と高かった。これを用いた透明メモリー素子も作製した。
■受賞にあたって一言
若手中堅研究者の登竜門とも言えるGerman Innovation Awardの受賞に驚きと喜びが入り混じっています。これは生物学者である筑波大学の高谷教授のご支援無くしては成しえなかったことですのでこの場を借りて御礼申し上げます。また長年ご支援と叱咤激励いただきましたJST ALCAの関係者の皆様方にも感謝申し上げます。さらに、共に分子設計に取り組んできた連名受賞者の立山博士および本学の宮里技術職員に感謝申し上げます。バイオプラスチックの分野は社会的意義は既に認められていますし、ドイツをはじめ欧州では特に重要視されています。しかし、日本ではその価値は思いのほか低く見なされているのが現状です。今回の権威あるアワードを通じてバイオプラスチックがinnovativeな新機能物質を創出するための重要な概念であることが日本で再認識されればと思っております。さらに、世界中で安全なプラスチックが生産されつづけることを期待いたします。最後に常にサポートして下さった本学のスタッフの方々ならびに諸先生方、また研究室の学生・スタッフの皆様方に心より感謝申し上げます。


平成29年6月20日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2017/06/20-1.html環境・エネルギー領域の桶葭助教らの開発した技術が米国ビデオ誌JoVEにて紹介

環境・エネルギー領域の桶葭興資助教らの開発した技術が米国ビデオ誌JoVEにて紹介されました。
■掲載誌
Journal of Visualized Experiments (JoVE) 2017, 122, e55274.
■著者
Kosuke Okeyoshi*, Kensuke Osada, Maiko K. Okajima, Tatsuo Kaneko
■タイトル
Methods for the self-integration of megamolecular biopolymers on the drying air-LC interface
■概要
米国マサチューセッツ州のビデオ誌において、著者らが開発した偏光システム導入型の光学的観察法が取り上げられた。実験デモンストレーションとして、乾燥環境下にある生体高分子の水溶液が気液界面で自己配向・自己集積する様子が紹介されている。液晶性を示す生体高分子(天然多糖類、骨格タンパク質、DNAなど)水溶液の蒸発面と垂直な方向から光学的に観察する技術を構築することで、集積の経時変化を可視化することに成功している。この技術によって、生体高分子の乾燥環境下にあるユニークな振る舞いを理解できるだけでなく、人工的な材料の設計指針が得られると期待される。
参考: https://www.jove.com/video/55274/methods-for-self-integration-megamolecular-biopolymers-on-drying-air
平成29年5月25日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/05/25-2.html