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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。環境・エネルギー領域の大平准教授の研究グループの講演がPVSEC-27においてBest Paper Awardを受賞
環境・エネルギー領域の大平圭介准教授のグループと、産業技術総合研究所太陽光発電研究センターの増田淳副研究センター長(兼本学客員教授)のグループとの共同研究の成果をまとめた講演が、27th Photovoltaic Science and Engineering Conference (PVSEC-27)において、Best Paper Awardを受賞しました。
PVSECは、アジア・太平洋地域で開催される太陽光発電に関する最大級の国際学会で、今回が27回目の開催です。各種太陽電池材料やデバイス、評価技術、信頼性、市場・政策など広範囲のトピックスを対象としており、今回は10のエリアに分かれて発表が行われました。Best Paper Awardは、総発表件数750件超の中から、全エリアを通して数件程度に授与されるものです。
■受賞年月日
平成29年11月17日
■タイトル
Jsc and Voc reductions in silicon heterojunction photovoltaic modules by potential-induced degradation tests
■著者
Keisuke Ohdaira (JAIST), Seira Yamaguchi (JAIST), Chizuko Yamamoto (AIST), and Atsushi Masuda (AIST)
■発表概要
大規模太陽光発電所において、太陽電池モジュールのフレームと発電素子(セル)の間の電位差が原因で発電性能が低下する、電圧誘起劣化(potential-induced degradation: PID)の問題が顕在化しています。結晶シリコンと非晶質シリコンとのヘテロ接合からなるシリコンヘテロ接合(silicon heterojunction: SHJ)太陽電池は、高効率太陽電池としてすでに市販されており、大規模太陽光発電所への導入も進んでいますが、そのPID現象や発現機構は未解明でした。今回の研究では、SHJ太陽電池モジュールに対してPID試験を行い、1) 電流の低下に特徴づけられるPIDがまず発現すること、2) 透明導電膜の還元による光学損失がこの電流低下の原因であること、3) さらに長時間のPID試験を行うと電圧の低下も起こること、4) モジュールに用いる封止材を変更することでPIDを抑止できること、を明らかにしました。
■受賞にあたって一言
太陽光発電分野の権威ある国際学会であるPVSECでのBest Paper Awardを受賞でき、大変光栄に感じております。実験データの多くが産業技術総合研究所で取得されたものであり、共著者の皆様にも感謝いたしております。今後も引き続き、SHJ太陽電池モジュールをはじめ、n型結晶Si太陽電池モジュールのPIDの現象解明と抑止技術開発に、精力的に取り組んでいきたいと思います。本研究は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により行っているものであり、関係各位に感謝いたします。
平成29年11月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2017/11/22-1.html新しいプロセス技術を駆使してシリコン系次世代太陽電池を開発しよう


新しいプロセス技術を駆使して
シリコン系次世代太陽電池を開発しよう
次世代シリコン太陽電池研究室
Laboratory on Next-Generation Silicon Photovoltaics
教授:大平 圭介(OHDAIRA Keisuke)
E-mail:
[研究分野]
太陽電池、半導体工学、薄膜形成
[キーワード]
結晶化、パッシベーション、モジュール耐久性
研究を始めるのに必要な知識・能力
学部もしくは高専で習う固体物理、半導体の基礎知識がある方が望ましい。
地球環境問題、エネルギー問題への関心は研究を進める原動力となる。
この研究で身につく能力
各学生の研究テーマを遂行することで、真空装置の取扱いの他、薄膜形成およびその物性評価技術、デバイス作製・評価技術が身につきます。また、データの解析や日々のディスカッション、ゼミ活動などを通じて、特に半導体や太陽電池に関する基礎学力を習得できます。さらに、学生の自主性を重んじる研究室の方針から、いわゆる「指示待ち人間」にならない、問題解決能力の高い人間に成長できます。国内・国際学会での発表や、展示会でのブース展示などを通して、プレゼンテーション能力や、英語も含めたコミュニケーション能力も鍛えられます。
【就職先企業・職種】 大学研究教育職、企業研究職(電機、精密機器メーカー)など
研究内容
地球上に豊富に存在するシリコンを用いた太陽電池は、現在でも市場の大部分を占めており、また今後も、太陽光発電技術の主役であり続けることが期待されています。一方で、さらなる低コスト化、高効率化、長寿命化が求められており、より一層の技術的なブレークスルーが必要です。当研究室では、以下の新技術に着目し、シリコン系高性能太陽電池実現のための基盤技術の確立を目指します。
1.瞬間熱処理による太陽電池用多結晶シリコン薄膜形成
キセノンランプにおけるミリ秒台の瞬間放電を利用したフラッシュランプアニール(FLA)は、数十J/㎠という、瞬間的には地上における太陽光の数万倍の強度のパルス光を照射できます。当研究室では、この手法を、安価なガラス基板上への多結晶シリコン薄膜の形成に応用する検討を行っています。非晶質シリコン膜をガラス基板上に形成し、一度のFLA光照射を行うだけで、膜厚4µm以上の多結晶シリコン膜が形成できます。水素を含有した非晶質シリコン膜を前駆体に用いると、結晶化後も膜内に多量の水素原子が残留し、シリコンの未結合手が終端されるため、低欠陥の多結晶シリコン膜が形成でき、高効率薄膜太陽電池用材料としての利用が期待されます。このFLAによる非晶質シリコン膜の結晶化の現象解明および制御と、形成される多結晶シリコン薄膜の太陽電池応用について研究を行っています。

FLA装置の発光の様子(左)と
Cat-CVD装置の触媒体(右)
2.触媒化学気相堆積(Cat-CVD)の太陽電池応用
加熱触媒体線での接触分解反応により原料ガスを分解して薄膜を形成するCat-CVD法は、膜堆積時の基板材料への損傷を低減でき、結晶シリコン表面でのキャリアの再結合を大幅に抑制可能な高品質パッシベーション膜を形成できます。触媒分解により生成するラジカルを用いたCatドーピングとともに、高効率バルク結晶シリコン太陽電池への応用を目指しています。
3.結晶シリコン太陽電池モジュールの耐久性と新構造開発
多数のモジュールが直列に接続される大規模太陽光発電所などで、モジュールのフレームとセルの間にかかる高電圧が原因で発電特性が低下する、いわゆる電圧誘起劣化(PID) の問題が顕在化しています。当研究室では、結晶シリコン太陽電池モジュールのPIDの機構を解明し、抑止技術を開発する研究を行っています。また、現行の太陽電池モジュールは、各部材が封止材で固められています。そのため、封止材由来の各種劣化が発生し、モジュールを廃棄する際の部材分別やリサイクルも困難です。この問題を解決するため、封止材を用いない新概念モジュールの開発にも取り組んでいます。
主な研究業績
- K. Ohdaira, M. Akitomi, Y. Chiba, and A. Masuda, Potential-induced degradation of n-type front-emitter crystalline silicon photovoltaic modules — comparison between indoor and outdoor test results, Sol. Energy Mater. Sol. Cells 249, 112038 (2023).
- R. Ohashi, K. Kutsukake, H. T. C. Tu, K. Higashimine, and K. Ohdaira, High passivation performance of Cat-CVD i‑a-Si:H derived from bayesian optimization with practical constraints, ACS Appl. Mater. Interf. 16, 9428 (2024).
- Z. Wang, H. T. C. Tu, and K. Ohdaira, Formation of n-type polycrystalline silicon with controlled doping concentration by flash lamp annealing of catalytic CVD amorphous silicon films, Jpn. J. Appl. Phys. 63, 105501 (2024).
使用装置
フラッシュランプアニール装置
触媒化学気相堆積(Cat-CVD)装置
太陽電池特性評価装置
太陽電池モジュール作製および信頼性評価装置
各種薄膜物性評価装置
研究室の指導方針
研究活動は自主性を重んじる方針で、学生自身の発想が研究に活かせます。毎朝一度、研究室メンバー全員が集まるミーティングを行い、その日の各自の活動を報告します。ミーティングでは、簡単な研究の相談もでき、メンバー間のコミュニケーションも十分行えるシステムです。当番の学生が文献紹介を行う勉強会では、細部にわたる質問への回答が求められ、しっかりとした基礎学力が身につきます。学術会議などでの外部発表は、積極的に行います。また、博士前期課程期間中に、英語の論文を執筆し投稿できるよう指導します。
[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ms/labs/ohdaira/
学生の永原さんが第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞

学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が、第6回フロンティア太陽電池セミナーにおいて優秀ポスター賞を受賞しました。
フロンティア太陽電池セミナーは、産官学の様々な分野で太陽電池研究に取り組む研究者が集まり、シリコンや化合物など無機系、有機薄膜系、ペロブスカイト型、さらには量子ドット型など新しい太陽電池も含み、広く太陽電池の開発研究および関連する基盤技術を題材に取り上げ、様々な視点から徹底的に議論し、研究者間での連携を深めることで、本研究分野の飛躍的な発展の促進を図るものです。
第6回フロンティア太陽電池セミナーは令和6年12月12日~13日にかけて、愛媛県(松山市)にて開催されました。
※参考:第6回フロンティア太陽電池セミナー
■受賞年月日
令和6年12月13日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度および浸水試験
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。また、ベースの端部にOリングをはめ込み、ポリカーボネート製カバーとフレーム状のクランプで押さえることにより水分浸入の抑止を試みた。この構造を持つ小型モジュールに対し浸水試験を行った結果、水分浸入がみられなかったことから、OリングとAlフレームは水分浸入を防ぐ構造であるということが示された。
■受賞にあたって一言
優秀ポスター賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平圭介教授をはじめ多くのサポートと貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和7年1月31日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2025/01/31-2.html学生の永原さんが第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞
学生の永原光倫さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第21回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第4回⽇本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞しました。
日本太陽光発電学会は、太陽光発電に関連する学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、将来の脱炭素社会の実現とその発展に寄与することを目的としています。
同シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として開催されています。
Innovative PV奨励賞は、同シンポジウムにおいて、太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同会若手会員に対し授与されるものです。
※参考:日本太陽光発電学会
■受賞年月日
令和6年8月28日
■研究題目、論文タイトル等
封止材とカバーガラスを使用しない曲面結晶Si太陽電池モジュールの機械的強度評価
■研究者、著者
永原光倫、Huynh Thi Cam Tu、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
封止材とカバーガラスを使用しない曲面・大面積結晶Si太陽電池モジュールに対し、JIS規格に基づく砂袋式荷重試験と降雹試験の2種類の機械的強度試験を行った。結果として、砂袋式荷重試験では、切削加工により作製したポリカーボネート(PC)ベースが破壊されないことや、フロントカバーであるPC板と太陽電池セルの接触による破損がないことが分かった。降雹試験では、降雹によるフロントカバーに傷が確認されないことや、衝撃による太陽電池セルの破損が見られないことを確認した。以上のことから、従来型太陽電池モジュールの評価基準を満たす機械的強度を有することが分かった。
■受賞にあたって一言
奨励賞を受賞でき、とてもうれしく思います。研究を進める中で、大平教授をはじめ多くの方からサポートや貴重な助言をいただいたことが、今回の受賞につながったと感じています。これからも一層研究活動に取り組んでいきたいです。
令和6年9月24日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/09/24-2.html機械学習を用いた太陽電池用シリコン薄膜堆積条件の新たな最適化手法を開発

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国立大学法人 国立研究開発法人理化学研究所 |
機械学習を用いた太陽電池用シリコン薄膜堆積条件の
新たな最適化手法を開発
ポイント
- 実用で頻出する制約(膜厚制限や実現不可能な実験条件排除)を考慮した「制約付きベイズ最適化」を開発
- 制約内の実験条件範囲でキャリア再結合抑止能力が最良となる薄膜堆積を少ない実験回数で実現
- 太陽電池製造や薄膜堆積に限らず広く応用可能な手法として期待
北陸先端科学技術大学院大学 (JAIST)(学長・寺野稔、石川県能美市)の大橋亮太大学院生(博士前期課程)、Huynh, Thi Cam Tu特任助教(サスティナブルイノベーション研究領域)、東嶺孝一技術専門員(ナノマテリアルテクノロジーセンター)、大平圭介教授(サスティナブルイノベーション研究領域)と、理化学研究所革新知能統合研究センターの沓掛健太朗研究員は、結晶シリコン太陽電池に用いられる薄膜のシリコン堆積条件を最適化する新たな手法を開発した。 |
本研究グループではこれまで、触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法*1を用いた太陽電池用薄膜形成に取り組んできた。特に、非晶質シリコン膜と結晶シリコン基板との接合からなるシリコンヘテロ接合太陽電池*2は、低損傷での膜堆積が可能なCat-CVDの優位性が生かせることから、有用な応用先として注力している。この製膜においては、多数の製膜パラメータが存在するため、太陽電池出力を最大化する最適製膜条件の発見には、一般に膨大な実験回数(試行錯誤)を要する。
このような実験条件の最適化問題に対して、「ベイズ最適化」*3と呼ばれる、機械学習を応用した逐次最適化法が、最近よく使用されている。しかし、太陽電池出力の最大化のみを目的とした単純なベイズ最適化では、次の実験条件で得られる膜の厚さを規定する機能は無く、デバイス動作上問題が生じるような厚膜が形成されうる。また、ベイズ最適化によって提示される実験条件が、実現不可能な組み合わせ(例えばガス流量と製膜装置のポンプの排気能力の不整合)となる可能性がある。
本研究では、これらのベイズ最適化における実践的な問題を解決するための、「制約付きベイズ最適化」を開発した。この手法では、未実施の実験条件のうち、製膜装置の仕様上実現が困難な実験条件を機械学習による予測に基づいてあらかじめ排除し、残りの条件の中からキャリア再結合抑止性能を最良化する可能性のある実験条件を提示させるよう工夫した。さらに、一定の製膜時間における予測膜厚を提示させる機能を持たせ、所望の膜厚を得るための製膜時間を逆算できるよう設計した。これらの制約を組み込むことで、製膜装置が実現可能な条件の範囲内でかつ一定の膜厚を有し、キャリア再結合抑止性能を最良化するベイズ最適化の手順を進行させることが可能となった。開発した「制約付きベイズ最適化」を用いることで、わずか8回のサイクルにより最適な製膜条件に到達し、20回のサイクルでベイズ最適化工程が完了した。また、本ベイズ最適化の提示に従って複数の製膜パラメータを広い範囲で変化させた結果、高いキャリア再結合抑止性能の実現には、製膜時の基板温度と原料ガスであるSiH4の流量の組み合わせが重要であることも見出した。
本研究で得られた手法は、太陽電池製造や薄膜堆積に限らず、幅広い分野や試料作製に適用可能な手法として期待される。
「制限付きベイズ最適化」の流れ
【論文情報】
雑誌名 | ACS Applied Materials and Interfaces(米国化学会) |
題目 | High Passivation Performance of Cat-CVD i‑a-Si:H Derived from Bayesian Optimization with Practical Constraints |
著者 | Ryota Ohashi, Kentaro Kutsukake, Huynh Thi Cam Tu, Koichi Higashimine, and Keisuke Ohdaira |
掲載日 | 2024年2月8日 |
DOI | 10.1021/acsami.3c16202 |
【用語説明】
加熱触媒体線により原料ガスを分解し、薄膜を堆積する手法。原料ガスの分解時にイオンが生成されないため、イオンの衝突による結晶シリコン表面への損傷が起こらず、良好な薄膜/基板界面が得られる。
結晶シリコンウェハと非晶質シリコン膜の接合を基本構造とする太陽電池。非晶質シリコン膜により、結晶シリコン表面に存在する結晶欠陥が有効に不活性化され、キャリア再結合が抑えられる結果、汎用の結晶シリコン太陽電池と比べて高い電圧が得られる特長がある。
形状が不明な関数の最大値や最小値を得るための手法の一種。既知である実験条件(入力)とその結果(出力)のデータセットから、未実施の実験条件における結果の予測値を、不確かさ(標準偏差)とともに推定し、不確かさも含めて予測値が最良となる条件で次の実験を行う。その実験で得られた結果を含めて予測値を推定し直す。これを繰り返し、少ない実験回数で最適な実験条件を得る。
令和6年2月19日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2024/02/19-1.html学生の大橋さんが第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて最優秀口頭発表賞を受賞

学生の大橋亮太さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて最優秀口頭発表賞を受賞しました。
第14回半導体材料・デバイスフォーラムは、熊本高等専門学校が主催し、令和5年12月9日、九州工業大学にてハイブリッド開催されました。同フォーラムは半導体材料・関連デバイス研究分野に重点を置き、研究発表や討論を通じて、高専学生と大学(院)生との学生間交流を図り、高専学生の教育・研究力向上への貢献を目指しています。
最優秀口頭発表賞は、同フォーラムにおいて、半導体デバイスの発展に貢献しうる最も優秀な口頭発表をした筆頭著者に贈られるものです。
※参考:第14回半導体材料・デバイスフォーラム
■受賞年月日
令和5年12月9日
■研究題目
ベイズ最適化を適⽤したCat-CVD i-a-Si およびn-a-Siの堆積条件探索
■研究者、著者
大橋亮太、Huynh Thi Cam Tu、東嶺孝一、沓掛健太朗、大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
現在、太陽電池市場の大部分を占めているSi系太陽電池において、特に高効率なSiヘテロ接合(SHJ)太陽電池に着目し、高効率化を目指し研究を行っている。SHJ太陽電池の作製にあたり、我々は触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法を用いて結晶Siウエハ上に非晶質Si(a-Si)を堆積している。しかし、堆積時のパラメータが多いため、高性能なSHJ太陽電池の作製条件の探索に膨大な時間がかかる。そこで、ベイズ最適化を用いて効率よく高い性能を示す条件探索を行っている。
本講演では、ベイズ最適化を用いて真性非晶質Si(i-a-Si)層とn型非晶質Si(n-a-Si)層の堆積条件探索について発表した。i-a-Si層及びn-a-Si層の探索を、それぞれ20回、21回とかなり少ない回数で完了することができ、高いパッシベーション性能と十分な導電性を兼ね備えるa-Si膜の堆積条件を確立した。
■受賞にあたって一言
この度、第14回半導体材料・デバイスフォーラムにおいて、最優秀口頭発表賞を賜り、大変光栄に思います。高専生が多い会議でしたので、自分の研究の面白さやJAISTの良さが少しでも伝わっていれば嬉しいです。本研究の推進にあたり、ご指導、ご協力いただいた大平圭介教授、HUYNH, Tu Thi Cam特任助教をはじめとした大平研究室メンバーの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、ベイズ最適化のご指導をいただいた沓掛健太朗研究員(理化学研究所)、透過型電子顕微鏡にて試料の観察をご担当いただいた技術専門員の東嶺孝一様にも、心より感謝申し上げます。
令和6年1月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2024/01/22-1.html学生の中島さんが日本太陽光発電学会第20回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムにおいてInnovative PV奨励賞を受賞
学生の中島寛記さん(博士後期課程3年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第20回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第3回日本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV奨励賞を受賞しました。
日本太陽光発電学会は、太陽光発電に関連する学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、将来の脱炭素社会の実現とその発展に寄与することを目的としています。
同シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として開催されています。
Innovative PV奨励賞は、同シンポジウムにおいて発表された、太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同会若手会員に対し授与されるものです。
※参考:日本太陽光発電学会ホームページ
■受賞年月日
令和5年8月31日
■論文タイトル
硝酸アルミニウム酸化処理により形成した p+反転層のピラミッドテクスチャ n 型結晶 Si 表面での有効性
■研究者、著者
中島 寛記、Huynh Thi Cam Tu、大平 圭介
■受賞対象となった研究の内容
n型結晶Si太陽電池のp+エミッタ層に利用されているB拡散層の形成には、1000 °C程度の高温加熱処理が必要となり、これが太陽電池製造のスループットを低下させている。さらに、Si中に拡散したBは、欠陥準位を形成し、太陽電池特性の劣化を引き起こす。そこで、本研究では、Si基板を硝酸アルミニウムの水溶液に浸漬するだけという非常に簡便なプロセスで、Si基板表面に超極薄のAlドープSiOx膜を形成し、その膜によって誘起されるp+反転層が、n型結晶Si太陽電池のエミッタ層として機能することを実証した。本公演では、AlドープSiOx膜に誘起された負の固定電荷がピラミッドテクスチャ形状を有するSi表面で増強され、良好な表面パッシベーション性能と太陽電池セル特性が得られたことについて報告し、簡便な湿式処理だけで、高効率・低コストの結晶Si太陽電池を製造できる可能性を示した。
■受賞にあたって一言
この度は、日本太陽光発電学会Innovative PV奨励賞に選定いただきましたこと大変光栄なことと感じております。今後も本技術の実用化を目指し、研究に邁進する所存です。日頃よりご指導いただいております大平圭介教授、HUYNH, Tu Thi Cam特任助教をはじめとした大平研究室の皆様に心より感謝申し上げます。なお、本研究は、JST次世代研究者挑戦的研究プログラムの助成を受けて実施されたものです。この場をお借りして御礼申し上げます。
令和5年9月22日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2023/09/22-1.html金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催
令和5年6月26日(月)、本学小ホールにおいて、金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催しました。
金沢大学と本学は、融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、本年度より、融合科学共同専攻にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目指し、共同シンポジウムを開催することといたしました。
第1回である今回は、「エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開」をテーマに開催し、寺野 稔学長による開会挨拶後、本学 サスティナブルイノベーション研究領域 大平圭介教授、金沢大学 理工研究域 機械工学系 辻口拓也准教授、金沢大学 ナノマテリアル研究所 當摩哲也教授、本学 融合科学共同専攻長 松見紀佳教授にそれぞれエネルギー関連の最新研究についてご講演いただき、金沢大学 和田隆志学長の挨拶をもって閉会となりました。
本シンポジウムが、今後の両大学間の共同研究の発展と促進を目的としていることから、各講演者は、自身の研究内容の説明に加えて、「どのような研究分野との共同研究が可能か」という点も併せて講演されました。
オンライン配信とのハイフレックス形式にて開催しました本シンポジウムには、両大学より多くの方が参加され、質疑応答の時間には研究者間による活発な意見交換が行われました。次回は金沢大学を会場として開催される予定であり、本シンポジウムが今後両大学間の共同研究発展の端緒となるよう推進して参ります。

開会の挨拶をする寺野学長

講演① 「シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発」
大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域)

講演② 「ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発」
辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系)

講演③ 「軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化」
當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所)

講演④ 「次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発」
松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長)

閉会の挨拶をする金沢大学 和田学長
令和5年6月28日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/06/28-1.html第1回 金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 共同シンポジウム
開催日時 | 令和5年6月26日(月)13:30~17:00 |
会 場 | マテリアルサイエンス系講義棟1階 小ホール ※Webexにて同時配信(ハイフレックスにて開催) |
対 象 | 両大学の教職員・学生 |
テーマ | エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開 |
プログラム | 13:30~ オープニング(共同シンポジウムの趣旨説明等) 13:40~ 開会挨拶 北陸先端科学技術大学院大学 寺野学長 13:45~14:25 ≪講演1≫ 講演者:大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域) 講演タイトル:シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発 14:30~15:10 ≪講演2≫ 講演者:辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系) 講演タイトル:ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発 15:10~15:30 休憩 15:30~16:10 ≪講演3≫ 講演者:當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所) 講演タイトル:軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化 16:15~16:55 ≪講演4≫ 講演者:松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長) 講演タイトル:次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発 16:55~17:00 閉会挨拶 金沢大学 和田学長 |
参加申込 | 下記申込み用フォームからお申込みください https://forms.gle/eUG4xNHfKwfutWNq8 ※会場での参加、オンライン参加ともに申込みが必要です ※オンライン参加の方には、アクセス用のURLをご連絡いただいたメールアドレス宛に後日送付いたします。 【本件問合せ先】 研究推進課 学術研究推進係 内線:1907/1912 E-mail:suishin@ml.jaist.ac.jp |
サスティナブルイノベーション研究領域の大平教授の研究課題が「NEDO先導研究プログラム」に採択
サスティナブルイノベーション研究領域の大平 圭介教授の研究課題が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「NEDO先導研究プログラム」のエネルギー・環境新技術先導研究プログラムに採択されました。
NEDO先導研究プログラムは脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、〔1〕エネルギー・環境分野(エネルギー・環境新技術先導研究プログラム)、〔2〕新産業創出に結びつく産業技術分野(新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム)において、2040年以降(先導研究開始から15年以上先)の実用化・社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘・育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目的として、先導研究を実施するものです。
NEDOは〔1〕および〔2〕について公募を実施し、応募件数139件中25件のテーマを採択しました。
*参考:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
■研究課題名
次世代型超高効率太陽光パネルの実現に向けた要素技術の研究開発
■研究テーマ名
リサイクル容易な曲面・超軽量結晶Si太陽電池モジュールの開発
■研究期間
2023年5月~2026年3月
■研究概要
本研究では、封止材を用いない、あるいは剥離可能な封止材を用いた新概念結晶Si太陽電池のモジュールの開発に取り組みます。モジュールに使用する各部材が接着されていないため、廃棄の際の分解・分別や、部材リサイクルが容易となります。さらに、耐荷重や形状の問題で設置が難しかった建材への太陽光発電導入につながるよう、軽量化と曲面加工が可能となるモジュールの実現も目指します。本研究は、京セラ、新潟大学、青山学院大学、岐阜大学と共同で実施します。
■採択にあたって一言
近未来に予測されている太陽電池モジュールの大量廃棄時代に備え、廃棄や部材リサイクルの問題への対応が急務となっています。しかし、廃棄・リサイクルに適した太陽電池モジュールの開発は、あまり活発に行われていません。本研究を通して、太陽電池モジュールの構造を根本から見直し、新たなスタンダードとなるようなモジュールを実現したいと思います。
令和5年5月18日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/05/17-1.html学生の新保さんが第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムにおいてInnovative PV 奨励賞を受賞
学生の新保 俊大朗さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第2回日本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV 奨励賞を受賞しました。
「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として、平成16年の第1回から毎年1回開催されており、昨年からは令和2年10月に発足した日本太陽光発電学会が主催しています。
Innovative PV 奨励賞は、同シンポジウムにおいて発表された太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同学会若手会員に対して、理事会での審議を経て授与されます。
今回、第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムは、令和4年6月28日~29日にかけて金沢市文化ホールおよびオンラインにてハイブリッド開催されました。
■受賞年月日
令和4年8月30日
■論文タイトル
封止材無しp型結晶Si太陽電池モジュールの電圧誘起劣化におけるセルとガラスの接触の影響
■研究者、著者
新保俊大朗, Huynh Thi Cam Tu, 大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
現在ほとんどの太陽電池(PV)モジュールでは封止材を使用しているが、部材同士が強固に接着さ れており、分別してのリサイクルが困難である。また、封止材が電荷やNaイオンの移動経路となり電圧誘起劣化(PID)が発生する、汎用の封止材であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)とバックシートより浸入する水との反応で生成される酢酸により電極が腐食される、などの問題もある。これらの問題を解決するために、封止材を使用しない結晶 Si (c-Si) PVモジュールの開発に取り組んでいる。
今回の講演では、ポリカーボネート製ベースを用いた封止材無しp型結晶Si PVモジュールのPID加速試験におけるセルとガラスの接触の影響について調査した結果を発表した。PID加速試験においてセルとカバーガラスの接触を防ぐことで、PID耐性が向上することを明らかにした。
■受賞にあたって一言
この度、日本太陽光発電学会よりInnovative PV 奨励賞を賜りまして大変光栄に思います。今回の受賞に恥じない研究成果を残すため、今後も精進致します。本研究の推進にあたり、ご指導、ご協力いただいた大平先生、Huynh先生をはじめとした大平研究室メンバーの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
令和4年9月8日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2022/09/08-1.html環境・エネルギー領域の大平教授の研究課題が「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」に採択
環境・エネルギー領域の大平 圭介教授が提案した研究課題が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム(エネルギー・環境新技術先導研究プログラム)」に採択されました。
「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」は、2030年頃以降の社会実装を見据えた革新的な技術・システムについて、原則、産学連携の体制で先導研究を実施し、革新性・独創性があり、将来的な波及効果が期待できる技術シーズの発掘及び国家プロジェクト化等への道筋をつけることを目標とします。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
■研究課題名
新概念結晶シリコン太陽電池モジュールの開発
■研究概要
2050年のカーボンニュートラルに向けて、主力電源の一翼を担うことが期待される太陽光発電において、太陽電池モジュールの劣化抑止と長寿命化は、最重要課題の一つです。また、寿命を迎えた太陽電池モジュールの大量廃棄時代に備え、部材の分別廃棄やリサイクルを容易にすることも、喫緊の課題です。本研究では、結晶シリコン太陽電池モジュールの革新的な構造として、封止材を用いないモジュールの開発に取り組みます。封止材を無くすことで、紫外光照射による封止材の黄変、封止材からの酸発生による電極の腐食、封止材を介したナトリウム移動にともなう電圧誘起劣化などに起因する発電性能低下を根本的に解決できます。さらに、太陽電池セルが封止材で接着されていないため、故障したモジュールの修理・再利用が可能となるばかりでなく、廃棄時の分解・分別や、部材リサイクルも容易となります。本研究は、新潟大学、青山学院大学、岐阜大学と共同で実施します。
令和3年5月14日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/05/14-4.html学生の中村さんが令和2年度応用物理学会 北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞

学生の中村 航大さん(博士前期課程1年、環境・エネルギー領域、大平研究室)が令和2年度応用物理学会 北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞しました。
応用物理学会は、半導体、光・量子エレクトロニクス、新素材など、工学と物理学の接点にある最先端課題、学際的なテーマに次々と取り組みながら活発な学術活動を続けています。
北陸・信越支部発表奨励賞は、応用物理学会北陸・信越支部が開催する学術講演会において、応用物理学の発展に貢献しうる優秀な一般講演論文を発表した若手支部会員に対し、その功績を称えることを目的として授与されるものです。
今回、令和2年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会は、11月28日にオンラインで開催されました。
■受賞年月日
令和2年11月28日
■発表題目
封止材無しn型フロントエミッタ型結晶Si太陽電池モジュールの電圧誘起劣化
■講演の概要
近年、太陽光発電システムの導入が急増しているが、そのほとんどは、モジュールに封止材を有している。封止材を有した結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールは、いくつか問題点があり、その一つである電圧誘起劣化(PID)は、太陽電池モジュールのアルミフレームとセル間の電位差に起因して性能が低下する現象である。PIDは、Na+侵入や電荷蓄積が封止材を経由して起きるため、封止材を無くせばこの問題は解決できると考えられる。本研究では、今後の普及が期待される、n型c-Siを基板に用い、光入射側にp型エミッタ層があるn型フロントエミッタ型c-Si太陽電池モジュールを作製し、封止材の有無がPIDにおよぼす影響を調査した。封止材の無いモジュールでは、SiNx膜からの電子移動やNa+の侵入の経路が存在しないため、性能低下が抑制できた。また、わずかに電荷蓄積型のPIDが見られたのは、リーク電流の経路を介してSiNx膜から電子が流出することにより正電荷が蓄積し、表面再結合が増大したためと考えられる。
■受賞にあたって一言
この度、応用物理学会北陸・信越支部学術講演会におきまして、発表奨励賞を頂けたことを大変光栄に思います。ご指導いただいた、大平圭介教授、Huynh Thi Cam Tu特任助教ならびに研究室のメンバーには厚く御礼申し上げます。本受賞を励みに、今後もより一層精進して参りたいと思います。
令和2年12月7日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2020/12/7-2.htmlNEDO「官民による若手研究者発掘支援事業」に2件の研究開発テーマが採択
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」に本学から以下の2件の研究開発テーマが採択されました。
「官民による若手研究者発掘支援事業」は、実用化に向けた目的指向型の創造的な基礎又は応用研究を行う大学等に所属する若手研究者を発掘し、若手研究者と企業との共同研究等の形成を促進するプロジェクトです。次世代のイノベーションを担う人材を育成するとともに、我が国における新産業の創出に貢献することを目的として実施します。
本事業のうち「共同研究フェーズ」は、研究者が企業と共同研究等の実施に係る合意書を締結し、企業から大学等に対して共同研究等費用が支払われることを条件として、実用化に向けた研究を助成するもので、事業期間は最大5年です。
また、「マッチングサポートフェーズ」は、企業との共同研究等の実施を希望する研究者が実施する、産業界が期待する研究を助成するもので、事業期間は最大2年です。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
「官民による若手研究者発掘支援事業 共同研究フェーズ」
- 研究開発テーマ名:イオン注入を用いた裏面電極型Siヘテロ接合太陽電池の製造技術開発
「官民による若手研究者発掘支援事業 マッチングサポートフェーズ」
- 研究開発テーマ名:全自動花粉交配マシンの創出
令和2年12月2日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/12/02-1.htmlイノベーション・ジャパン2020~大学見本市Onlineに本学が出展
9月28日(月)~11月30日(月)の期間、国内最大規模の産学マッチングイベントである「イノベーション・ジャパン2020~大学見本市Online」がオンライン開催されます。
本学からは大学等シーズ展示に以下の3件を出展します。
一般公開期間 | 2020年9月28日(月) ~11月30日(月) |
公式サイト | https://ij2020online.jst.go.jp/ ※閲覧無料・参加登録あり |
大学等 シーズ展示 |
生命機能工学領域 藤本 健造 教授 「高速遺伝子解析に向けた光化学的DNA/RNA操作法の開発」 【番 号】176 【出展分野】ライフサイエンス |
知能ロボティクス領域 HO ANH VAN 准教授 「周辺環境との接触を許容するドローン用変形可能なプロペラ」 【番 号】340 【出展分野】装置・デバイス |
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環境・エネルギー領域 大平 圭介 教授 「シリコン系次世代薄膜形成技術および瞬間熱処理技術」 【番 号】381 【出展分野】低炭素・エネルギー |
詳細はこちらをご覧ください。
・イノベーション・ジャパン2020公式サイト
・イノベーション・ジャパン2020出展者一覧
環境・エネルギー領域の大平教授の研究課題がNEDO「太陽光発電主力電源化推進技術開発」に採択
環境・エネルギー領域の大平 圭介教授の研究課題が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「太陽光発電主力電源化推進技術開発」の研究開発項目(I)太陽光発電の新市場創造技術開発/(ⅱ)壁面設置太陽光発電システム技術開発に採択されました。
太陽光発電の主力電源化に向けて、需要地に近接しているが従来の技術では太陽光発電の導入が進んでいなかった場所を利用可能にするための太陽光発電システム開発や、長期安定的な事業運営確保として現在顕在化している課題解決のための技術開発が求められています。
NEDOではこれらの開発を推進するため、「太陽光発電主力電源化推進技術開発」において(i)フィルム型超軽量太陽電池の開発、(ii)壁面設置太陽光発電システム技術開発、(iii)移動体用太陽電池の研究開発での公募を実施し、今回、33テーマを採択しました。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100292.html
■研究課題名
多機能・高品質薄膜の利用による壁面太陽電池モジュールの長寿命化
■研究期間
2020年7月~2023年3月(継続の可能性あり)
■研究概要
建造物の壁面に設置するタンデム型太陽電池モジュールの発電性能および意匠性に関し、建造物と同等の寿命を達成するための要素技術開発を行う。本学で長年研究を行っている、触媒化学気相堆積(Cat-CVD)法で形成する窒化Si膜は、100℃程度の低温製膜でも高い膜密度が得られ、膜自体の長期安定性と、高いガスバリア性能を発揮する。この窒化Si膜をタンデムセル上に形成し、タンデムセルの色調安定化と水蒸気浸入による発電性能低下の抑止を達成するための基盤技術確立を目指す。また、再委託先である岐阜大学では、酸化Si膜を塗布法によりモジュールのカバーガラス上に形成し、防汚性能、反射低減性能等を付与する検討を行う。
■採択にあたって一言
建造物の壁面に設置する太陽電池モジュールの開発は、いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を実現するために、大変重要な研究です。今回、同時に採択された新潟大学、青山学院大学、再委託先である岐阜大学とも連携の上、本学の技術の強みを生かしつつ研究開発を進め、太陽光発電の普及拡大に貢献していきたいと思います。
令和2年7月31日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/07/31-1.html