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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。第1回 金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 共同シンポジウム
開催日時 | 令和5年6月26日(月)13:30~17:00 |
会 場 | マテリアルサイエンス系講義棟1階 小ホール ※Webexにて同時配信(ハイフレックスにて開催) |
対 象 | 両大学の教職員・学生 |
テーマ | エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開 |
プログラム | 13:30~ オープニング(共同シンポジウムの趣旨説明等) 13:40~ 開会挨拶 北陸先端科学技術大学院大学 寺野学長 13:45~14:25 ≪講演1≫ 講演者:大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域) 講演タイトル:シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発 14:30~15:10 ≪講演2≫ 講演者:辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系) 講演タイトル:ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発 15:10~15:30 休憩 15:30~16:10 ≪講演3≫ 講演者:當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所) 講演タイトル:軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化 16:15~16:55 ≪講演4≫ 講演者:松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長) 講演タイトル:次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発 16:55~17:00 閉会挨拶 金沢大学 和田学長 |
参加申込 | 下記申込み用フォームからお申込みください https://forms.gle/eUG4xNHfKwfutWNq8 ※会場での参加、オンライン参加ともに申込みが必要です ※オンライン参加の方には、アクセス用のURLをご連絡いただいたメールアドレス宛に後日送付いたします。 【本件問合せ先】 研究推進課 学術研究推進係 内線:1907/1912 E-mail:suishin@ml.jaist.ac.jp |
物質化学フロンティア研究領域の後藤教授の論文がCarbon誌の表紙に採択

ナノマテリアルテクノロジーセンターの後藤和馬教授(物質化学フロンティア研究領域)の論文が、米国炭素学会機関紙「Carbon」の表紙(front cover)に採択されました。
本研究は、後藤研究室および京都大学、岡山大学による共同研究の成果です。
■掲載誌
Carbon, Vol. 206, Page 84-93.
掲載日:2023年3月25日
■著者
Hideka Ando(特別研究学生、後藤研究室), Katsuaki Suzuki, Hironori Kaji, Takashi Kambe, Yuta Nishina, Chiyu Nakano, Kazuma Gotoh
■論文タイトル
Dynamic nuclear polarization - nuclear magnetic resonance for analyzing surface functional groups on carbonaceous materials
■論文概要
炭素材料は、化学反応の触媒や燃料電池・二次電池の電極、バイオマテリアルなど多種多様な分野での応用が期待されている。本研究ではNMR(核磁気共鳴分光法)による炭素材料の表面構造分析の感度を改善するため、信号強度増幅剤を用いた動的核偏極NMRを用いた。これまで不可能と考えられていた炭素表面上の微量のメチル基、水酸基などの表面官能基の検出に成功し、炭素材料の性質に大きな影響を及ぼす表面構造の微細な違いが検出可能となった。
表紙詳細:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008622323001549
論文詳細:https://doi.org/10.1016/j.carbon.2023.02.010
令和5年3月31日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/03/31-1.html令和4年度地域連携事業 宮竹小学校の児童が来学-附属図書館・JAISTギャラリー見学&理科特別授業-

2月17日(金)、能美市立宮竹小学校の4年生20名が、理科の特別授業を受けました。特別授業では、ナノマテリアルテクノロジーセンターの赤堀准教授及び木村技術専門職員が講師となり、液体窒素や液体酸素を用いた様々な科学実験を行いました。
子供たちは、酸素や窒素、空気などの気体が入った風船を液体窒素で冷やしたときの反応の違いや、液体窒素や液体酸素によって、花や電池、線香などの身近な物が化学反応を起こす様子を観察しました。
今回の特別授業は科学技術の世界に触れることのできる貴重な機会となりました。
2月28日(火)には、同校の3年生16名が附属図書館の見学やJAISTギャラリーでのパズル体験を行いました。本棚に並ぶ多くの図書や、貴重図書室の『解体新書』(杉田玄白著)や『アトランティコ手稿』(レオナルド・ダ・ヴィンチ著)を目にし、本学職員の解説を熱心に聞き入っていました。
また、実際に触って解いて遊ぶことができるパズルに興味津々な様子で、本学の学生が解説しながらパズルを解く実演では、多くの児童が積極的に質問する様子が見られました。

風船を用いた科学実験を行う4年生

液体窒素を観察する4年生

貴重図書室を見学する3年生(附属図書館)

JAISTギャラリーでのパズル実演を見る3年生
令和5年3月7日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/03/07-1.htmlリチウムイオン2次電池の急速充放電を実現する新しいナノシート系負極活物質の開発

リチウムイオン2次電池の急速充放電を実現する新しいナノシート系負極活物質の開発
ポイント
- リチウムイオン2次電池開発において、急速充放電技術の確立は急を有する課題となっている。
- TiB2(二ホウ化チタン)粉末のH2O2による酸化処理、遠心分離、凍結乾燥により簡便に得られる二ホウ化チタンナノシートをリチウムイオン2次電池の負極活物質として適用した。
- 二ホウ化チタンナノシートを負極活物質としたアノード型ハーフセルで充放電挙動を評価した結果、比較的低い充放電レートの0.025 Ag-1では約380 mAhg-1の放電容量を示した。
- 当該アノード型ハーフセルにおいて、1 Ag-1 (充電時間約10分)の電流密度では、174 mAhg-1の放電容量を1000サイクル維持した(容量維持率89.4 %)。さらに超急速充放電条件(15~20 Ag-1)を適用すると、9秒~14秒の充電で50~60 mAhg-1の放電容量を10000サイクル維持するに至り(容量維持率80%以上)、高い安定性が確認された。
- 急速放充電技術の普及を通して社会の低炭素化に寄与する技術への展開が期待される。
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)(学長・寺野稔、石川県能美市)の先端科学技術研究科 松見紀佳教授(物質化学フロンティア研究領域)、ラージャシェーカル バダム元講師(物質化学フロンティア領域)、アカーシュ ヴァルマ元大学院生(博士前期課程修了)、東嶺孝一技術専門員らの研究グループとインド工科大学ガンディナガール校カビール ジャスジャ准教授、アシャ リザ ジェームス大学院生は、リチウムイオン2次電池*1において二ホウ化チタンナノシートの負極活物質への適用が急速充放電能の発現に有効であることを見出した。 |
【研究の内容と背景】
リチウムイオン2次電池開発において、急速充放電技術の確立は急を有する課題となっている。しかしながら、その実現には固体中のリチウムイオンの拡散速度の向上や電極―電解質界面の特性、活物質の多孔性などの諸ファクターの検討を要している。これまで急速充放電用途のナノ材料系負極活物質としては、チタン酸リチウムのナノシートや酸化チタン/炭素繊維コンポジットなどが検討されてきたほか、新しい2次元(2D)材料*2への関心が広がりつつあり、グラフェン誘導体や金属カーバイド系材料にも検討が及んでいる。
本研究においては、TiB2(二ホウ化チタン)のH2O2による酸化処理、遠心分離、凍結乾燥による簡便なプロセスで作製可能なTiB2ナノシートをリチウムイオン2次電池負極活物質として適用し、アノード型ハーフセルを構築して急速充放電能について検討した。
合成は、共同研究者であるインド工科大学准教授カビール氏らが報告している手法*3に従い、TiB2粉末を過酸化水素水と脱イオン水との混合溶液に懸濁させ、24時間の攪拌後に遠心分離し、上澄みを-35oCで24時間凍結させた後に72時間凍結乾燥することにより粉末状のTiB2ナノシートを得た(図1)。得られた材料のキャラクタリゼーションは前述の手法に従い、XRD、HRTEM、FT-IR、XPS等の各測定により行った。
電池セルの作製において、負極の組成としてはTiB2ナノシートを55 wt%、アセチレンブラックを35 wt%、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10 wt%を用い、NMP(N-メチルピロリドン)を溶媒とした懸濁液から銅箔集電体にコーティングした。電解液としては 1.0 M LiPF6 のEC/DEC (1:1 v/v)溶液を用い、対極にはリチウム箔を用いた。
TiB2ナノシートを負極活物質としたアノード型ハーフセル*4のサイクリックボルタモグラム(図2)においては、第一サイクルにおいてのみ0.65 V (vs Li/Li+)に電解液の分解ピークが現れたが、それ以降は消失した。リチウム脱離に相当するピークは2つ観測され、0.28 Vにおけるピークはリチウムが複数インターカレートしたTiB2からの脱リチウムピーク、0.45VにおけるピークはTiB2の再生に至る脱リチウムピークにそれぞれ相当する。約1.5 Vからの比較的高いリチウム挿入電位は、チタン酸リチウムやホウ素ドープTiO2とほぼ同様であった。
また、このアノード型ハーフセルの充放電挙動では、比較的低い充放電レートの0.025 Ag-1では約380 mAhg-1の放電容量を示した(図3)。
アノード型ハーフセルにおいて、1 Ag-1(充電時間約10分)の電流密度では、174 mAhg-1の放電容量を1000サイクル維持し、容量維持率は89.4 %を示した(図3)。さらに超急速充放電条件である15-20 Ag-1を適用すると、9秒~14秒の充電で50-60 mAhg-1の放電容量を10000サイクル維持するに至り、容量維持率は80%以上であった。
本成果は、ACS Applied Nano Materials (米国化学会)のオンライン版に9月19日に掲載された。なお、本研究は、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」採択プログラムに基づいた北陸先端科学技術大学院大学とインド工科大学ガンディナガール校(JAIST-IITGN)の協働教育プログラム(ダブルディグリープログラム)のもとで実施した。
【今後の展開】
TiB2ナノシートの積極的活用により、急速充放電能を有する次世代型リチウムイオン2次電池の発展に向けた多くの新たな取り組みにつながり、関連研究が活性化するものと期待される。
さらに活物質の面積あたりの担持量を向上させつつ電池セル系のスケールアップを図り、産業的応用への橋渡し的条件においても検討を継続する。
既に日本国内及びインドにおいて特許出願済みであり、今後は、企業との共同研究(開発パートナー募集中、サンプル提供応相談)を通して将来的な社会実装を目指す。急速充放電技術の普及を通して社会の低炭素化に寄与する技術への展開が期待される。
【論文情報】
雑誌名 | ACS Applied Nano Materials(米国化学会) |
題目 | Titanium Diboride-Based Hierarchical Nanosheets as Anode Material for Li-ion Batteries |
著者 | Akash Varma, Rajashekar Badam, Asha Liza James, Koichi Higashimine, Kabeer Jasuja * and Noriyoshi Matsumi* |
WEB掲載日 | 2022年9月19日 |
DOI | 10.1021/acsanm.2c03054 |
図1.TiB2ナノシートの合成とキャラクタリゼーション (a)バルクのTiB2粉末 (b)過酸化水素水(H2O2) (3% v/v)にTiB2を分散した黒色の分散液 (c) 24時間攪拌後のTiB2の溶解と遠心分離後の上澄みの使用 (d)凍結乾燥後の粉末のナノ構造 (e) FESEM像 (f) TiB2 粉末及び TiB2ナノシートのFTIRスペクトル (g)ホウ素のハニカム状平面にチタンがサンドイッチされた結晶構造 (h) Si/SiO2 ウエハに担持させたTiB2ナノシートの光学像 (i) TiB2ナノシートのHRTEM像。ポーラスなシート状構造を示す。 |
図2.TiB2ナノシートを負極活物質としたアノード型ハーフセルのサイクリックボルタモグラム (a) 電圧範囲0.01-2.5V ;掃引速度 0.1 mV/s (b) 電圧範囲0.5-2.5V ;掃引速度 0.1, 0.3, 0.5, 0.7, and 1 mV/s. |
図3.TiB2ナノシートを負極活物質としたアノード型ハーフセルの充放電挙動 (a)レート特性の検討結果 (b)充放電曲線 (c)長期サイクル特性 |
【用語説明】
電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う2次電池。従来型のニッケル水素型2次電池と比較して高電圧、高密度であり、各種ポータブルデバイスや環境対応自動車に適用されている。
グラフェンや遷移金属ジカルコゲニドなどの2次元(2D)層状無機ナノ材料は、その優れた物理的および化学的特性のために最近注目されている化合物で、光触媒や太陽電池、ガスセンター、リチウムイオン電池、電界効果トランジスタ、スピントロニクスなどへの応用が期待されている。
James, Asha Liza; Lenka, Manis; Pandey, Nidhi; Ojha, Abhijeet; Kumar, Ashish; Saraswat, Rohit; Thareja, Prachi; Krishnan, Venkata; Jasuja, Kabeer
Nanoscale (2020), 12 (32), 17121-17131CODEN: NANOHL; ISSN:2040-3372. (Royal Society of Chemistry)
リチウムイオン2次電池の場合には、アノード極/電解質/Liの構成からなる半電池を意味する。
令和4年9月30日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2022/09/30-1.html学生の新保さんが第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムにおいてInnovative PV 奨励賞を受賞
学生の新保 俊大朗さん(博士前期課程2年、サスティナブルイノベーション研究領域、大平研究室)が第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム(第2回日本太陽光発電学会学術講演会)においてInnovative PV 奨励賞を受賞しました。
「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムは、国内の太陽光発電にかかわる研究者や技術者が一堂に会し、分野の垣根なく議論する場として、平成16年の第1回から毎年1回開催されており、昨年からは令和2年10月に発足した日本太陽光発電学会が主催しています。
Innovative PV 奨励賞は、同シンポジウムにおいて発表された太陽光発電ならびにその関連分野の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した35歳以下の同学会若手会員に対して、理事会での審議を経て授与されます。
今回、第19回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウムは、令和4年6月28日~29日にかけて金沢市文化ホールおよびオンラインにてハイブリッド開催されました。
■受賞年月日
令和4年8月30日
■論文タイトル
封止材無しp型結晶Si太陽電池モジュールの電圧誘起劣化におけるセルとガラスの接触の影響
■研究者、著者
新保俊大朗, Huynh Thi Cam Tu, 大平圭介
■受賞対象となった研究の内容
現在ほとんどの太陽電池(PV)モジュールでは封止材を使用しているが、部材同士が強固に接着さ れており、分別してのリサイクルが困難である。また、封止材が電荷やNaイオンの移動経路となり電圧誘起劣化(PID)が発生する、汎用の封止材であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)とバックシートより浸入する水との反応で生成される酢酸により電極が腐食される、などの問題もある。これらの問題を解決するために、封止材を使用しない結晶 Si (c-Si) PVモジュールの開発に取り組んでいる。
今回の講演では、ポリカーボネート製ベースを用いた封止材無しp型結晶Si PVモジュールのPID加速試験におけるセルとガラスの接触の影響について調査した結果を発表した。PID加速試験においてセルとカバーガラスの接触を防ぐことで、PID耐性が向上することを明らかにした。
■受賞にあたって一言
この度、日本太陽光発電学会よりInnovative PV 奨励賞を賜りまして大変光栄に思います。今回の受賞に恥じない研究成果を残すため、今後も精進致します。本研究の推進にあたり、ご指導、ご協力いただいた大平先生、Huynh先生をはじめとした大平研究室メンバーの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
令和4年9月8日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2022/09/08-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の宮田助教が第19回日本熱電学会学術講演会において優秀講演賞を受賞
サスティナブルイノベーション研究領域の宮田 全展助教が第19回日本熱電学会学術講演会において優秀講演賞を受賞しました。
日本熱電学会学術講演会は、熱電科学 · 技術、アルカリ温度差電池(AMTEC)、熱光電池(TPV)などに関する材料、素子、デバイス、モジュール、アセスメント等について幅広く議論するものです。優秀講演賞は、熱電科学、工学と技術の発展に貢献しうる優秀な講演論文を発表した者に授与されます。
今回、第19回日本熱電学会学術講演会は令和4年8月8日から10日にかけて新潟県長岡市のアオーレ長岡にて開催されました。
■受賞年月日
令和4年8月10日
■講演題目
二元系リン化物 AgP2 の電子・フォノン物性と Ag 原子の大きな非調和フォノン散乱
■受賞対象となった研究の内容
蒸気タービンによるエネルギー回収が困難な低温排熱から、エネルギー回収をおこなえる熱電変換材料が注目を集めています。中でも、リンPを主成分としたリン化物が候補物質として近年注目を集めつつありますが、格子熱伝導率が高いことが問題の一つとなっています。
本研究では、合成したリン化物AgP2が高いHall移動度と低い格子熱伝導率を両立することを発見し、その起源がキャリアの長い緩和時間、軽い有効質量、およびAg-Pの異方的結合・質量差によって引き起こされるAg原子の大きな非調和フォノン振動であることを、実験と第一原理電子・フォノン計算の両面から明らかにしました。これにより、「Ag原子が異方的結合をもつAg-P化物は、Agの非調和振動により低い格子熱伝導率を示す」という新たな材料設計指針を確立することに成功しました。
■受賞にあたって一言
この度、日本熱電学会より優秀講演賞を賜りまして大変光栄に思います。今回の受賞を励みに、当該研究分野の発展により貢献できるよう邁進してまいります。本研究の推進にあたり数多くのディスカッション・ご助言をいただきました小矢野幹夫教授をはじめ、研究室の学生の皆様、熱電学会関係各所の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また。本研究は日本学術振興会(JSPS)科研費 JP20K15021の助成を受けて実施されました。感謝御礼申し上げます。


令和4年8月18日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2022/08/18-2.html物質化学フロンティア研究領域の松見教授の論文がACS Applied Energy Materials誌の表紙に採択
物質化学フロンティア研究領域の松見 紀佳教授の論文が、米国化学会(American Chemical Society :ACS)刊行のACS Applied Energy Materials誌の表紙(Front Cover)に採択されました。
■掲載誌
ACS Applied Energy Materials 2022, 5, 7, 7977-7987 (Highlighted as Front Cover)
表紙掲載日2022年7月25日
■著者
Agman Gupta, Rajashekar Badam, Noriyoshi Matsumi*
■論文タイトル
Heavy-Duty Performance from Silicon Anodes Using Poly(BIAN)/Poly(acrylic acid)-Based Self-Healing Composite Binder in Lithium-Ion Secondary Batteries
■論文概要
本論文では、BIAN(ビスイミノアセナフテキノン)構造を有する共役系高分子とポリアクリル酸を組み合わせた自己修復性コンポジットバインダーをリチウムイオン二次電池用シリコン負極に適用することにより、シリコン負極の大幅な安定化を観測するに至った。600サイクル後にも2100 mAhg-1の放電容量を維持することに成功した。
表紙詳細:https://pubs.acs.org/toc/aaemcq/5/7
論文詳細:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsaem.2c00278
令和4年8月3日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2022/08/03-1.html最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功 -襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待-

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北陸先端科学技術大学院大学 音羽電機工業株式会社 東京工業大学 |
最先端ナノ材料グラフェンを用いた電界センサ素子で、雷雲が生み出す電界の検出に成功
- 襲雷予測に向けた「広域雷雲監視ネットワーク」実現に期待 -
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域のアフサル カリクンナン研究員、マノハラン ムルガナタン講師、水田 博教授の研究チームは、音羽電機工業株式会社、東京工業大学と共同で、グラフェン(炭素原子シート)を用いた超小型電界センサ素子を開発し、雷雲が生み出す大気電界(最小検出電界~67V/m)を、センサにグラフェンを使用して検出することに世界で初めて成功しました。
本研究成果に関し、11月26日に、北陸先端科学技術大学院大学において記者発表を行いました。
<記者発表出席者>
・北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域
水田 博 教授
マノハラン ムルガナタン 講師
アフサル カリクンナン 研究員
・音羽電機工業株式会社 技術本部
圓山 武志 取締役 本部長
工藤 剛史 部長
・東京工業大学 地球インクルーシブセンシング研究機構
堀 敦 URA(リサーチ・アドミニストレーター)
<ポイント>
- 超小型グラフェン電界センサで、雷雲が生み出す大気電界の検出に世界で初めて成功。
- 雷雲内の電荷の分布を反映した大気電界のプラス・マイナス極性判定にも成功。
複雑な雷現象のメカニズム解明と襲雷予測の精度向上に期待。 - 既存技術に比べて大幅な小型化と低消費電力化を実現。
<研究背景と内容>
雷の事故による世界の死者数は年間6千~2万4千人と推定され、日本では毎年数名が亡くなっています。また、雷サージ(雷による異常電圧・電流)は情報システムや生産ラインなどに甚大な影響を与えます。こうした被害を軽減するには、早期に襲雷/避難情報を提供する予測システムを開発し、人々に行動変容を促す必要があります。高精度な襲雷予測には広域かつ高密度な雷雲監視ネットワーク作りが重要ですが、そのためには電界センサの小型化と省電力化が大きな課題となっています。
これに対して研究チームは、ナノ炭素材料のグラフェン(炭素原子が蜂の巣状の六角形結晶格子構造に配列した単原子シート)膜を検出用チャネルとした微細センサ素子を開発しました(図1参照)。このグラフェン電界センサを用いて、雷雲が生み出す大気電界の時間変化を電気的に検出することに世界で初めて成功しました。最小検出電界は約67V/mで、これは晴天時の地表付近における大気電界レベルです。さらにこの電界センサでは、大気電界の極性の判別も可能です(図2参照)。これにより、雷雲内部の電荷分布の推定が容易になり、複雑な雷現象のメカニズム解明に大きく寄与するものと予想されます。
このグラフェンセンサをモジュール化して、屋外で雷雨時に動作試験を行ったところ(図3参照)、20km以上離れた地点での落雷を電界ピーク信号として検出することに成功しました。信号検出のタイミングは、既存のフィールドミル型電界検出装置(重量~1kg, 要外部電源)と精度よく一致しています。今回の電界センサは、従来のフィールドミル装置と比べて、電界検出部の寸法で約2万分の1の小型化(ミルの直径:170mm ⇒ グラフェンチャネル寸法:10mm)と、低消費電力化(太陽電池駆動)を実現しています。さらに、測定された電界の時間発展データを特異スペクトル変換法で解析することで、5km圏内の落雷を32分前に予測できることも見出しています。これらの新技術を統合すれば、既存技術では困難だった多数のセンサ素子を広域に配置した落雷検出ネットワークの構築が容易となり、高精度な襲雷予測の実現に向けた大きな前進が期待できます。
本成果は、第82回応用物理学会秋季学術講演会で発表されました。
・題名:Enhancing Electric Field Sensitivity in Graphene Devices by hBN Encapsulation(11a-N306-9)
・題名:雷予測精度向上のための特異スペクトル変換法を用いた電界波形解析(9p-Z22-10)
本成果は、科学技術振興機構(JST)による以下の研究助成によって得られました。
・事業名:センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム
研究課題名:「『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点」
研究代表者:サテライト拠点代表 水田 博(北陸先端科学技術大学院大学 教授)
研究開発期間:平成29年度~令和3年度
・事業名:研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト JPMJTM20DS
研究課題名:「襲雷予測システムのためのグラフェン超高感度電界センサの開発」
研究代表者:マノハラン ムルガナタン(北陸先端科学技術大学院大学 講師)
研究開発期間:令和2年度~令和3年度
図1 グラフェン雷センサイメージ図
図2 (a)開発したセンサの構造, (b)電界検出感度特性, (c)電界極性判定
図3 (a)フィールドテストの様子, (b)グラフェン電界センサの検出信号と既存のフィールドミル電界計の検出信号の比較,
(c)検出地点から10km以内での雷発生状況
令和3年11月26日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/11/26-1.html高分子薄膜における水素イオンの界面輸送で新知見

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国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 国立大学法人 名古屋工業大学 学校法人立教学院 立教大学 国立大学法人 山形大学 |
高分子薄膜における水素イオンの界面輸送で新知見
ポイント
- カルボン酸基の濃度を制御した弱酸性高分子を合成し、水素イオンの輸送を薄膜状で評価
- カルボン酸基は、少なくとも二種類の状態で存在
- カルボン酸基が低濃度になると、カルボン酸基が薄膜界面により多く存在
- カルボン酸基の濃度の低下に伴い水素イオンの輸送経路は内部輸送から界面輸送が支配的
北陸先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科 物質化学領域の長尾 祐樹 准教授、スワンスントン アトチャヤ氏(大学院博士後期課程在籍)は、名古屋工業大学・大学院工学研究科 生命・応用化学専攻の山本 勝宏 准教授、立教大学・理学部の永野 修作 教授、山形大学・学術研究院(理学部主担当)の松井 淳 教授との共同研究で、燃料電池や生体活動等で重要となる水素イオンの輸送において、モデル高分子薄膜のカルボン酸基の濃度を制御することで、水素イオンの輸送経路が薄膜内部と界面で切り替わる現象を発見しました。本成果により、エネルギー変換システムの高度化やイオンを能動的に制御するための界面分子設計に関する研究の加速が期待されます。 本研究成果は、2021年5月21日(英国時間)に電気化学会刊行のElectrochemistry誌のオンライン版で公開されました。なお、本研究は日本学術振興会(JSPS)科研費基盤研究(C)、科研費基盤研究(B)、科研費 新学術領域研究「ハイドロジェノミクス」の支援を受けて行われました。 |
【研究背景と内容】
生体系ではタンパク質等の高次構造が、イオン輸送チャネルの制御を行い、イオン輸送の外場刺激応答を実現しています。また、生体材料界面でのイオン輸送は1960年代から議論が続いています。この機能を人工的に設計・構築することは未だ容易ではありません。長尾准教授らは、イオンの中でも水素イオンに着目し、水素イオンを人工的かつ能動的に制御するための要素技術に関して研究を推進してきました。
酸の素である水素イオンは、材料中を輸送されることで燃料電池や生体活動等のエネルギー変換システムで重要な役割を果たします。この水素イオンは、材料内部の非常に小さなスケールの通り道に沿って輸送されると考えられてきました。近年、エネルギー変換システムの高度化に伴い、高性能化のために材料の内部だけでなく端(エッジ)である界面の分子設計も重要視されています。しかし、材料界面における水素イオンの輸送に関する基礎研究は十分に行われていません。今回長尾准教授らは、生体材料ではなく、酸の素の一種であるカルボン酸基の濃度を制御した合成高分子を用いて、薄膜中の水素イオンの通り道について研究を実施しました。その結果、水素イオンが薄膜内部を通る道が不足すると、水素イオンは薄膜の表側と裏側に相当する薄膜界面に沿って輸送されることを明らかにしました。
本研究では、ポリスチレンと呼ばれる高分子の側鎖にカルボン酸基が化学修飾された高分子を合成しました(図1)。比較のためにカルボン酸基の濃度を高いものから低いものまで四種類合成しました。高分子を薄膜化し、赤外線を用いて分子構造を調べた結果、酸の素となるカルボン酸基の状態が少なくとも二種類あることがわかりました。一つはカルボン酸基が単体で存在する状態(フリーな状態)、もう一つは二つのカルボン酸基がお互いに向き合った二量体で存在する状態(ダイマー状態)でした。ダイマー状態は、二つの水素イオンが二つのカルボン酸基に挟まれた状態となり、水素結合と呼ばれる結合で安定化されています。研究グループは、カルボン酸基の濃度を高くすると、フリーな状態のカルボン酸基の量が相対的に増加し、ダイマー状態のカルボン酸基の量が減少する傾向を見出しました。さらに、カルボン酸基の濃度が低い場合には、フリーなカルボン酸基が薄膜の内部ではなく界面により多く存在することも明らかにしました。高分子薄膜中ではカルボン酸基は均一に存在しておらず、その濃度によって存在状態が異なることもわかりました。
この結果から研究グループは、カルボン酸基の濃度を低くすると、薄膜界面にフリーなカルボン酸基が集合し、水素イオンが薄膜内部ではなく界面に沿って輸送される仮説を検討しました。具体的には、水素イオン輸送の性能指標の一つにあたる水素イオン伝導度の評価を、インピーダンス法と呼ばれる手法を用いて実施しました。結果は仮説を裏付けるものであり、カルボン酸基の濃度が高い薄膜では、水素イオンが薄膜内部で輸送されることが支配的であるのに対して、カルボン酸基の濃度が低い薄膜では、水素イオンは薄膜内部ではなく薄膜界面に沿って輸送されることがわかりました(図2)。これはフリーなカルボン酸基が薄膜の内部ではなく界面により多く存在することと、薄膜内部には水素イオンの輸送にあまり寄与しないと思われるダイマー状態のカルボン酸基が多いためであると考えられます。この結果から、水素イオンは材料内部を必ずしも通らずに、通りやすい道があれば材料の端である界面に沿って輸送されることもあることが示されました。
図1 本研究に用いた高分子材料
図2 高分子薄膜における水素イオンが輸送されるイメージ。内部輸送(上)と界面輸送(下)
【今後の展開】
高分子材料中の水素イオンの輸送は、材料内部の通り道に沿って輸送されると考えられてきました。しかし本研究では、酸の素や構造の状況によっては、水素イオンは材料内部ではなく界面に沿った輸送が支配的になることがわかりました。このイオンの界面輸送は無機材料では既に知られていましたが、高分子材料においても界面輸送が可能であることから、界面の分子設計に活かせる可能性があります。また、これまで説明できなかった水素イオンの輸送現象の理解にアプローチすることもできるかもしれません。特にカルボン酸基は生体活動で重要な役割を担っています。今後長尾准教授らは、エネルギー変換システムの高度化に加え、イオン輸送の人工的かつ能動的な制御を目指して、得られた知見を活かしていきます。
【研究資金】
・日本学術振興会(JSPS)科研費 基盤研究(C)(JP18K05257)
・日本学術振興会(JSPS)科研費 基盤研究(B)(JP21H01997)
・日本学術振興会(JSPS)科研費 新学術領域研究「ハイドロジェノミクス」(JP21H00020)
【論文情報】
雑誌名 | Electrochemistry |
題名 | "Interfacial and Internal Proton Conduction of Weak-acid Functionalized Styrene-based Copolymer with Various Carboxylic Acid Concentrations" |
著者名 | Athchaya Suwansoontorn, Katsuhiro Yamamoto, Shusaku Nagano, Jun Matsui, Yuki Nagao* |
掲載日 | 2021年5月21日(英国時間)に著者原稿版がオンラインで掲載 |
DOI | 10.5796/electrochemistry.21-00042 |
令和3年5月28日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/05/28-1.html物質化学領域のBADAM講師が田中貴金属記念財団 萌芽賞を受賞

物質化学領域のBADAM, Rajashekar講師(松見研究室)が一般財団法人田中貴金属記念財団 萌芽賞を受賞しました。
田中貴金属記念財団は、貴金属に関する研究への助成を行い、貴金属の新分野を開拓醸成し、学術、技術ならびに社会経済の発展に寄与することを目的としています。
本助成金制度は、「貴金属が拓く新しい世界」へのさまざまなチャレンジを支援するため、1999年度から毎年実施されています。第22回目となる今回は、貴金属が貢献できる新しい技術や研究・開発に対して、あらゆる分野から研究を募集し、その結果、合計171件の応募があり、この中から合計26件の研究に対し、総額1,610万円の研究助成金を授与しています。
■受賞年月日
令和3年3月31日
■研究題目
水分解に適した効率的酸素発生触媒活性を有する強い金属―基盤相互作用を伴うIrO2系有機・無機ハイブリッド触媒
■受賞対象となった研究の内容
Dr Rajashekar Badam, has been working on various energy materials especially electrocatalysts for oxygen redox reactions for fuel cell and electrolyser applications to name a few. His passion to mitigate environmental issues lead to the research in green hydrogen production using water electrolysis. Water electrolysis is one of the cleanest ways to produce hydrogen. Oxygen evolution reaction (OER) at anode being kinetically and thermodynamically more demanding, need an efficient catalyst. IrO2 is the best-known catalyst which is stable in acidic medium but with high overpotential (~330 mV). Changing the morphology and electronic structure of IrO2 by alloying with other metals was found to reduce the overpotential but poor stability due to agglomeration of nanoparticles and leaching of alloying metal are the key problems to be answered. In this regard, they are working on a novel strategy of anchoring IrO2 nanopartlcles to electrochemically stable conducting polymer with coordination sites. The strong metal substrate interaction between IrO2 nanoparticles and high heteroatom content in the polymer lead to high durability and reduced overpotential making water electrolyser a viable method for green hydrogen production.
ラージャシェーカル バダム博士は様々なエネルギー関連材料、とりわけ電気化学触媒(燃料電池用の酸素還元触媒や水分解反応触媒)に注力した研究を行っています。グリーンな水分解反応など、環境問題の解決を指向した研究を進めています。水分解反応は水素を得るための最もクリーンな反応であり、アノード電極側での酸素発生反応が速度論的にも熱力学的にも技術課題になっています。IrO2は酸性条件でも安定ですが、高い過電圧を有しています。IrO2を他の金属と組み合わせることでモルフォロジーや電子構造を改変でき、過電圧を低下させることができますが、同時にナノ粒子の凝集や、合金触媒からの脱離が問題となります。この点に関して、彼らはIrO2を電気化学的に安定な導電性高分子中の配位子に配位させることに取り組んでいます。強い金属―基板相互作用がIrO2と高ヘテロ元素濃度を有するポリマー間で起こることは高い触媒の安定性と過電圧の低下につながり、水分解反応をグリーンな水素製造法として実現可能なものにすることにつながると期待しています。
■受賞にあたって一言
I would like to thank Tanaka Kikinzoku Memorial Foundation and the selection committee for bestowing me with this prestigious award. I would like to thank Professor Matsumi for all the guidance, Matsumi lab members and my family for the support. I take this opportunity to dedicate this award to the almighty God.
令和3年5月25日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2021/05/25-1.html宮竹小学校の児童が来学 -本学がより身近になりました-
2月12日(金)、能美市立宮竹小学校の3年生15名が附属図書館の見学やJAISTギャラリーでのパズル体験を行いました。本棚に並ぶ多くの図書、貴重図書室の『解体新書』(杉田玄白著)や『アトランティコ手稿』(レオナルド・ダ・ヴィンチ著)を目にし、本学職員の解説に熱心に聞き入っていました。また、実際に触って解いて遊ぶことができるパズルの数々に興味津々な様子で、一生懸命にパズルを解いていました。
また、2月24日(水)に同校の4年生23名が理科特別授業を受けました。
特別授業では、ナノマテリアルテクノロジーセンターの赤堀准教授(応用物理学領域)及び木村技術専門職員が講師となり、十分な新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、液体窒素を用いた様々な科学実験を行いました。
液体窒素によって、花やスーパーボール、乾電池などの身近な物が化学反応を起こす光景に、子供たちは目を輝かせて見入っていました。
今回の企画は、科学技術の世界に触れることのできるまたとない機会となりました。

3年生が貴重図書室を見学(附属図書館)

液体窒素を用いた科学実験を行う4年生
令和3年3月1日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2021/03/01-2.htmlNEDO「官民による若手研究者発掘支援事業」に2件の研究開発テーマが採択
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」に本学から以下の2件の研究開発テーマが採択されました。
「官民による若手研究者発掘支援事業」は、実用化に向けた目的指向型の創造的な基礎又は応用研究を行う大学等に所属する若手研究者を発掘し、若手研究者と企業との共同研究等の形成を促進するプロジェクトです。次世代のイノベーションを担う人材を育成するとともに、我が国における新産業の創出に貢献することを目的として実施します。
本事業のうち「共同研究フェーズ」は、研究者が企業と共同研究等の実施に係る合意書を締結し、企業から大学等に対して共同研究等費用が支払われることを条件として、実用化に向けた研究を助成するもので、事業期間は最大5年です。
また、「マッチングサポートフェーズ」は、企業との共同研究等の実施を希望する研究者が実施する、産業界が期待する研究を助成するもので、事業期間は最大2年です。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
「官民による若手研究者発掘支援事業 共同研究フェーズ」
- 研究開発テーマ名:イオン注入を用いた裏面電極型Siヘテロ接合太陽電池の製造技術開発
「官民による若手研究者発掘支援事業 マッチングサポートフェーズ」
- 研究開発テーマ名:全自動花粉交配マシンの創出
令和2年12月2日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/12/02-1.html学生のGUPTAさんがJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞
学生のGUPTA, Agmanさん(博士後期課程3年、物質化学領域、松見研究室)がJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞しました。
JAIST World Conference 2020は、本学のエクセレントコア「サスティナブルマテリアル国際研究拠点」による国際シンポジウムです。シンポジウムでは、国内外からの招待講演者や本学教員による持続可能な低炭素社会の実現に向けたポリマー材料等に関する最先端の研究発表等が行われました。
■受賞年月日
令和2年11月10日
■発表題目
Lithium Ion Secondary Batteries with Silicon Based Anode Highly Stabilized with Self-healing Polymer Binder Matrices
シリコン系負極を自己修復型高分子マインダーマトリクスで高度に安定化したリチウムイオン二次電池
■発表者
Agman Gupta、Rajashekar Badam、Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池開発においては理論容量が極めて高いシリコン負極の活用が期待されている。一方、充放電過程におけるシリコンの大きな膨張・収縮により安定的な充放電挙動の発現が課題となっている。本研究ではn型共役系高分子をポリ(アクリル酸)と組み合わせた水素結合性ネットワークを有する自己修復型バインダーマトリクスを用いることにより約2000 mAhg-1(Si)以上の放電容量を300サイクル以上にわたって維持できる系を見出すに至った。
■受賞にあたって一言
I would like to express my gratitude towards my research supervisor Prof. Noriyoshi Matsumi who has always supported, encouraged, and guided me ably throughout my studies. Also, I would like to thank Dr. Rajashekar Badam for motivating me to do good work. I am thankful to MEXT and JST-Mirai (Grant number: JP18077239) for providing financial support. I am thankful to all JAIST staff (teaching and non-teaching) for providing a wonderful research environment with world-class facilities to conduct good research work. I am motivated to work on the development of next-generation energy storage devices with higher energy density and affordable prices. Research is my passion as it provides me an opportunity to be of service to society and contribute to making life more comfortable.
令和2年11月20日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2020/11/20-1.html史上最高耐熱のプラスチックを植物原料から開発
東京大学大学院農学生命科学研究科大西康夫教授、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科金子達雄教授、神戸大学大学院工学研究科荻野千秋教授、筑波大学生命環境系高谷直樹教授らの研究チームは、史上最高耐熱のプラスチックを植物原料から開発し、10月12日に、東京大学においてオンラインによる記者会見を行いました。
記者会見には本学環境・エネルギー領域の金子 達雄教授が出席しました。
また、本成果は、「Advanced Sustainable Systems」オンライン版にて10月14日に掲載されました。
<記者会見出席者>
本学発表者:金子 達雄(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 環境・エネルギー領域 教授)
研究チーム代表者:大西 康夫(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻
東京大学微生物科学イノベーション連携研究機構 教授)
<ポイント>
- 紙パルプを原料にして超高耐熱性プラスチックであるポリベンズイミダゾールを生産する新規プロセスを開発しました。
- 新しいポリマーデザインにより、プラスチック史上、最高の耐熱性を達成しました。
- 開発した超高耐熱性バイオプラスチックは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めるため、脱石油化・低炭素化社会の構築に貢献できると期待されます。
<研究の概要>
循環型社会の構築にはバイオマス由来のプラスチックの利用が望まれますが、従来のバイオマス由来プラスチックは耐熱性が低いため、その用途が限られていました。この度、本学環境・エネルギー領域の金子達雄教授が所属する研究チーム(代表:大西康夫教授(東京大学大学院農学生命科学研究科))は、超高耐熱性プラスチックをバイオマスから作ることに成功しました(図1)。当該チームは高耐熱性のポリベンズイミダゾール(PBI)(注1)に着目し、その原料となる芳香族化合物を効率よく生産する遺伝子組換え微生物を創成しました。また、代表的な非可食バイオマスである紙パルプを効率的に酵素糖化し、高濃度のグルコースを含む糖化液を生産するシステムを開発しました。一方、化成品を用いた検討により、PBIフィルムの作製法を開発するとともに、PBI原料とアラミド繊維(注2)原料を共重合することで耐熱性が大きく向上することを見出し、史上最高耐熱のプラスチックフィルムの作製に成功しました。また、紙パルプ糖化液を使って発酵生産した芳香族化合物から同等の性質を有するPBIフィルムを作製できることを示しました(10%重量減少温度743℃、表1)。開発した超高耐熱性バイオPBIは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めるため、脱石油化・低炭素化社会への貢献が期待されます。
<研究の内容>
近年、国連が採択したSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)がますます注目を集めています。脱石油化、低炭素化のためには、バイオマス由来のプラスチックの普及が重要ですが、これまでに開発されてきたバイオマス由来のプラスチック(ポリアミド11、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ乳酸など)はいずれも脂肪族ポリマーであり、耐熱性が低いため、その用途が限られていました。芳香族系ポリマーは耐熱性が高いことで知られていますが、その原料はすべて石油由来の芳香族化合物です。天然に存在する芳香族ポリマーであるリグニン(注3)の利用も検討されていますが、リグニンは複雑な分子構造をしているため、リグニンを使って耐熱性の高いプラスチックを作るには、多くの困難があります。そのため、芳香族系ポリマーの原料となる芳香族化合物を再生可能資源から入手するというアプローチが重要であり、これには微生物を用いた発酵生産が有力です。しかしながら、実際に発酵生産させた芳香族化合物を用いて芳香族ポリマーを合成したのは、今回の研究チームのメンバーが以前に行った数例が知られているだけです(文献1、2)。また、これらの研究では、試薬として購入したグルコースを炭素源として微生物を増殖させていましたが、微生物による有用物質生産では、食料と競合する材料ではなく、非可食バイオマス(稲わら、とうもろこしの芯、サトウキビの絞りかす、紙パルプなど)の利用が求められています。
このような背景のもと、研究チームは、科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST)「二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出」において、「高性能イミダゾール系バイオプラスチックの一貫生産プロセスの開発(平成25年度から平成30年度)」に取り組み、超高耐熱性プラスチックをバイオマスから作ることに成功しました(図1)。
当該研究チームでは、代表的な非可食バイオマスである紙パルプを効率的に酵素糖化し高濃度のグルコースを含む糖化液(最高で90 g/L)を生産するシステムを開発しました(神戸大)。また、高耐熱性のポリベンズイミダゾール(PBI)に着目し、その原料となる芳香族化合物(3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸:AHBA)を生産する遺伝子組換えコリネ菌を用いて、紙パルプ糖化液からAHBAを発酵生産し(3.3 g/L)、高純度に精製しました(神戸大、東大)。一方、共重合用の化合物として着目した4-アミノ安息香酸(ABA:アラミド繊維原料)を生産する遺伝子組換え大腸菌を構築し、同じく紙パルプ糖化液からABAを発酵生産し(1.6 g/L)、高純度に精製しました(筑波大)。一方、化成品を用いた検討により、まず、PBIの直接の原料となる3,4-ジアミノ安息香酸(DABA)をAHBAから簡便に合成する方法、DABAからPBIフィルムを作製する方法を開発しました(北陸先端大)。また、DABAとABAを共重合することで耐熱性が大きく向上することを見出し、これまでに存在するプラスチックの中で最高耐熱を達成しました(DABA:ABA=85:15のコポリマーの10%重量減少温度は740℃超、表1)(北陸先端大)。最終的に、紙パルプ糖化液を使って発酵生産した芳香族化合物から同等の性質を有するPBIフィルムを作製できることを示し、紙パルプから超高耐熱性PBIフィルムの一貫生産プロセスのプロトタイプを構築することに成功しました。
開発した超高耐熱性バイオPBIは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めます。まず、耐熱性が非常に高く、さまざまな軽量金属(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫など)の融点で分解が起こらないため、これらの軽量金属と溶融複合化することができ、軽量化社会で重要となる自動車ボディ、建築部材などの社会インフラ、軽量・高耐熱性が求められる駆動部位周辺具材(電線エナメル、高耐熱絶縁紙、マニホールド、オイルパン)への応用も考えられます。超難燃性の求められる航空・宇宙機器の部品などへの活用も想定されます。これらの輸送機器はグラム単位での軽量化が要求されており、バイオPBIによりエネルギー削減、脱石油化・低炭素化社会への貢献が期待されます。また、PBIをLiイオン化し、Liイオン電池の固体電解質として利用できることを既に明らかにしており、より高耐熱の固体電解質開発も可能と考えられ(文献3)、次世代電気自動車開発に貢献できると考えています。
なお、本研究チームメンバーは内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」に採択され、現在も引き続きバイオPBIの社会実装に向けた研究開発に取り組んでいます。
- Tomoya Fujita, Hieu Duc Nguyen, Takashi Ito, Shengmin Zhou, Lisa Osada, Seiji Tateyama, Tatsuo Kaneko, Naoki Takaya. Microbial monomers custom-synthesized to build true bio-derived aromatic polymers. Appl. Microbiol. Biotechnol. 97(20):8887-8894. (2013) doi: 10.1007/s00253-013-5078-4.
- Yukie Kawasaki, Nag Aniruddha, Hajime Minakawa, Shunsuke Masuo, Tatsuo Kaneko, Naoki Takaya. Novel polycondensed biopolyamide generated from biomass-derived 4-aminohydrocinnamic acid. Appl. Microbiol. Biotechnol. 102(2):631-639. (2018) doi: 10.1007/s00253-017-8617-6.
- Aniruddha Nag, Mohammad Asif Ali, Ankit Singh, Raman Vedarajan, Noriyoshi Matsumi, Tatsuo Kaneko. N-Boronated Polybenzimidazole for Composite Electrolyte Design of Highly Ion Conductive Pseudo Solid State Ion Gel Electrolytes with High Li Transference Number. J. Mater. Chem. A. 7(9): 4459-4468. (2019) doi: 10.1039/c8ta10476j.
<論文情報>
掲載雑誌名 | 「Advanced Sustainable Systems」(オンライン版:10月14日公開) |
Ultrahigh Thermoresistant Lightweight Bioplastics Developed from Fermentation Products of Cellulosic Feedstock | |
著者 | Aniruddha Nag, Mohammad Asif Ali, Hideo Kawaguchi, Shun Saito, Yukie Kawasaki, Shoko Miyazaki, Hirotoshi Kawamoto, Deddy Triyono Nugroho Adi, Kumiko Yoshihara, Shunsuke Masuo, Yohei Katsuyama, Akihiko Kondo, Chiaki Ogino, Naoki Takaya, Tatsuo Kaneko*, Yasuo Ohnishi* |
DOI番号 | 10.1002/adsu.202000193 |
<用語解説>
(注1)ポリベンズイミダゾール
高耐熱性ポリマーであるポリベンズアゾール類の一種であり、繰り返し単位中に「ベンズイミダゾール」を含んでいる高分子の総称。
(注2)アラミド繊維
芳香族ポリアミド系樹脂の総称。耐熱性や強度に優れた合成繊維であり、様々な用途で利用されている。
(注3)リグニン
セルロース、ヘミセルロースとともに木材を構成する主要成分であり、芳香環を有する不定形な高分子化合物。
表1 新規開発バイオPBIおよびアラミド含有バイオPBIの熱分解温度の比較表
プラスチック | 10% 熱分解温度 |
力学強度 | 弾性率 |
(℃) | (MPa) | (GPa) | |
Bio-PBIフィルム (100/0) |
716 | 68 | 3.3 |
Bio-Ami-PBI (85/15)フィルム |
743 | 66 | 3.2 |
代表的PBO (これまで最高耐熱) |
715 | 5800 | 180 |
代表的アラミド | 585 | 3000 | 112 |
代表的ポリイミド | 580 | 231 | 2.5 |
既存PBI | 570 | 100 | 5 |
ナイロン6 | 415 | 75 | 2.4 |
*Bio-Ami-PBIは、史上最高の熱分解温度で力学物性も十分に高い(ナイロンと同等)
図1 紙パルプから超高耐熱性プラスチックフィルムの一貫生産プロセス
令和2年10月14日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2020/10/14-1.html元研究員のLiさんらの論文がMaterials Chemistry FrontiersでHot Articleに選出
元日本学術振興会特別研究員のLI, Zhongpinさん(物質化学領域・長尾研究室)、学生のYAO, Yuzeさん(博士後期課程1年、物質化学領域・長尾研究室)、 WANG, Dongjinさん(博士前期課程2年、物質化学領域・長尾研究室)、HASAN, Md Mahmudulさん(博士後期課程2年、物質化学領域・、長尾研究室)、 SUWANSOONTORN, Athchayaさん(博士後期課程2年、物質化学領域・長尾研究室)、DU, Gangさん(博士前期課程2年、物質化学領域・長尾研究室)、LIU, Zhaohanさん(博士前期課程1年、物質化学領域・長尾研究室)らの論文が、英国王立化学会(RSC)刊行のMaterials Chemistry FrontiersでHot Articleに選出されました。
この研究は、中国科学院 大連化学物理学研究所のHe Li博士との共同研究です。
■選出年月日
令和2年6月3日
■研究題目、論文タイトル
Simple and universal synthesis of sulfonated porous organic polymers with high proton conductivity
■研究者、著者
Zhongping Li, Yuze Yao, Dongjin Wang, Md. Mahmudul Hasan, Athchaya Suwansoontorn, He Li, Gang Du, Zhaohan Liu, and Yuki Nagao(筆頭著者より3名の貢献度は同じです。)
■受賞対象となった研究の内容
世界的な経済統合と地域保全の急速な発展に伴い、グリーンで持続可能な資源の成長が大きな注目を集めています。固体高分子形燃料電池(PEFC)は、環境に配慮した、省資源かつ環境を保護するエネルギーのモデルです。我々は、ほとんどの芳香族フレームワークに適用できるシンプルでコスト効率の高い方法で、さまざまな多孔質有機ポリマー(POP)を合成しました。高密度スルホン酸基を有するスルホン化POPは、ポストスルホン化によって調製されました。得られた電解質は、10-2 to 10-1 S cm-1の優れたプロトン伝導性を示しました。この研究の結果で、スルホン化POPの構造が、高プロトン伝導性の材料の構造設計を進化させるための、シンプルで普遍的な合成方法を提供することを示すことができました。
■選出にあたって一言
It is a great honor for us to be selected as the Hot Article at Materials Chemistry Frontiers. I would like to gratitude to Prof. Yuki Nagao, Dr. He Li, and all our lab members for contributions and support to this work. I also appreciate the support by JSPS. We believe that this research is a step towards achieving our research goals and inspiring us to do better in the future.
令和2年7月7日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2020/07/07-1.html宮竹小学校の児童が来学 -本学がより身近になりました-

2月4日(火)、能美市立宮竹小学校の3年生24名がJAISTギャラリーや附属図書館の見学を行いました。実際に触って解いて遊ぶことができるパズルの数々や本棚に並ぶ多くの図書に興味津々な様子でした。
また、2月18日(火)に同校の4年生16名が理科特別授業を受けました。
特別授業では、ナノマテリアルテクノロジーセンターの赤堀准教授(応用物理学領域)及び木村技術専門職員が講師となり、液体窒素を用いた様々な科学実験を行いました。
液体窒素によって、花やスーパーボール、乾電池などの身近な物が化学反応を起こす光景に、子供たちは目を輝かせて見入っていました。
今回の企画は、科学技術の世界に触れるまたとない機会となりました。

3年生がパズルを体験(JAISTギャラリー)

液体窒素を用いた科学実験を行う4年生
令和2年2月20日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2020/02/20-1.html