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学長メッセージ

エルゼビアとのMoU締結

 本年6月25日付の学長だよりで報告しましたように、エルゼビア社のYoungsuk 'YS' Chi会長と面談し、AI時代における大学の社会における役割について意見をかわしました。
 今回それを受けて、同社との間で「AIによる研究マネジメントと社会変革の推進、および大学の新たな役割」に関する連携・協力に向けた覚書(MoU)を日本における同社初めてのケースとして8月26日に締結しました。
 これには、エルゼビア社が進めている、より進んだ科学技術系生成AIである「AI for Researchers」の開発への協力も含まれています。
 以下に、当日の締結式の際に公表した内容を示します。エルゼビア社との連携において本学が進める取組みにつきまして、ご理解を賜り、ご支援・ご協力いただければ幸いです。

Elsevierとの覚書締結によせて
地域と共創するAI駆動型の未来社会創造のための大学の役割

 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、大学が地域社会のエコシステムに初期段階から参画し、多様なステークホルダーと連携して価値を共創していくという「4th Generation University(4GU)」の理念に深く共鳴しています。私たちは、大学が単なる知の供給者にとどまらず、地域や社会の変革をともに担う主体であるべきだと考えています。
 特に日本では、欧州のような大企業主導型の産業構造とは異なり、中小企業が地域経済の基盤を支えています。各地の中小企業は、高度で独自性のある技術やノウハウを有しており、大企業との連携だけでは捉えきれない、多様で繊細な地域産業のエコシステムが存在しています。JAISTは、こうした日本特有の地域・産業構造を深く理解した上で、地域社会、産業界、行政、市民との密接な連携を重視しながら、「Matching HUB Hokuriku」などの取組を通じて、持続可能で多様性に富んだ連携モデルの構築に取り組んでいます。
 また、大学と他のステークホルダーとの直接的な利害関係にとどまらず、より広い視野で地域内外の多様な主体と連携し、クラスターを形成しながら、社会全体のエコシステムの質を高めていくことが重要であると認識しています。これは、日本における地域社会の特性や、共存共栄を重んじる価値観を踏まえた産学官共創エコシステムの構築に向けた実践でもあります。
 このような視点のもと、JAISTは生成AIをはじめとする先端科学技術を積極的に活用し、地域社会、産業界、行政、市民とともに、新たな社会価値の創出に挑戦しています。生成AIは、知の創出や流通のあり方を根本から変革し、社会課題の解決に資する新たな知的基盤を築く可能性を秘めています。JAISTは、この変革を牽引する知的拠点として、AI駆動型の未来社会を創造してまいります。
 このたびのエルゼビア社との覚書締結は、こうしたJAISTの取り組みを中核に据えながら、AI駆動型社会変革における大学の役割に関する白書を共同で策定し、世界に向けた知的発信のさらなる強化を目指すものです。
 JAISTは、地域に根ざしつつ、グローバルな知の潮流にも応答する大学として、欧州における4GUの議論にも積極的に参画、日本において新たな産学官共創エコシステムを構築し、未来社会の共創に貢献してまいります。

令和7年8月26日

北陸先端科学技術大学院大学長
寺野 稔

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