情報社会基盤研究センターは、2024年11月17日から22日まで米国ジョージア州アトランタ(会場: Georgia World Congress Center)で開催されたハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野における世界最大規模の国際会議・展示会「SC24」に参加・出展しました。今年は、来場者数が1万8千人を越え、出展ブースが約500(初出展ブース136)となり、コロナ禍前を凌ぐ盛況ぶりでした。
本センターからは、井口教授、宇多准教授、中尾技術職員、執筆者(本郷)が参加し、HPC関連研究に興味を持つ本学スパコン・ユーザー学生2名(井口研M2の小俣君、本郷研D2の伊藤君)が同行しました。ブースでは、本学概要、本センター概要、MPC概要、及び、研究室(井口研/宇多研/本郷研)からの研究概要についての展示を行いました。SCのブース展示では、HPC関連分野のベンダーに加え、当該分野で活躍する第一線の研究機関が一堂に会しており、最新技術・次世代技術や実際の導入システムに関する情報を幅広く収集することができました。本学ブースへの来場者数は期間中およそ200名で、国内外の高等研究・教育機関の研究者や大学院生、センター系の技術職員、ベンダーの研究者・技術者・営業など、多様な層の方々が訪れました。来場者の目的も多岐にわたり、単なるHPC技術情報の収集にとどまらず、本学との共同研究の可能性や留学受入の検討、さらには産学連携や学生リクルート活動の契機にもなりました。
次期システム更新を見据え、最新のCPU/GPU技術、インターコネクト、ストレージシステムの開発動向に関する貴重な情報を得ることができました。計算機自体の先端技術動向に加え、今年のSC24では、昨年にも増して、データセンターでのGPU利用拡大に伴い、冷却装置の性能向上が求められており、冷却装置のみならず、効率的なシステム運用を支援するAIソフトウェアに関する展示が目立ちました。
SC24では、スパコン性能ランキング「Top500」の最新結果が発表されました。米国ローレンス・リバモア国立研究所と米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の「El Capiton (HPE Cray EX255a)」が、1位として登場しました。昨年1位の「Frontier」は2位に後退したものの、4位までを米国勢が占めていました。日本勢トップの「富岳」は、LINPACK性能では上位に及ばず、6位に後退したものの、実応用に即したベンチマークであるHPCCGでは連続10期で、1位を達成し、その高い評価を維持しています。国別のスパコン保有台数では、昨年に比べて米国と中国のシェアは落ちていますが、依然として優勢で、全体の半数弱を占めています。一方で、国別の性能シェアでは、米国一強が続き、日本は若干の減少はあるものの8%と中国やドイツを上回る2位に位置しており、HPC分野における我が国のプレゼンスを強く示しました。
SC24への参加を通じ、先端技術の動向把握に加え、学術・産業界との交流やネットワーク構築が進展し、今後の研究活動や教育のさらなる発展に繋がる有意義な成果を得ることができました。