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SC23に出展しました

公開

情報社会基盤研究センターは、2023年11月12日から17日まで米国コロラド州デンバー(会場:Colorado Convention Center)で開催されたハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野における世界最大規模の国際会議・展示会「SC23」に参加・出展しました。

本センターからは、井口教授、執筆者(本郷)が参加し、HPC関連研究に興味を持つ本学スパコン・ユーザー学生2名(井口研M2の村上君、本郷研D3のGhaffar君)が同行しました。ブースでは、本学概要、本センター概要、MPC概要、及び、研究室(井口研/本郷研)からの研究概要についての展示を行いました(上図)。
SCのブース展示には、HPC関連分野のベンダーのみならず、当該分野で活躍する第一線の研究機関が一堂に会しており、国内研究機関に着目すると、HPC分野に関連する国研と国内研究大学は全て出展しており、最新技術・次世代技術や実際の導入システムに関する情報を収集できました。本学ブースへの期間中来客者数は150名程度で、国内外の高等研究・教育機関の研究者や大学院生、センター系の技術職員、ベンダーの研究者・技術者・営業など様々でした。最新技術動向に関する情報交換がメインであるものの、本学ブースを訪れた参加者の中には本学との共同研究や留学受入先としての可能性を探るなど、目的も様々で、単なるHPC先端技術に関する情報収集目的に留まらず、産学連携や学生獲得にも繋がる活動の場という印象を受けました。米国以外からの参加者については、中国からの参加が減り、韓国・台湾が増えているという印象を強く感じました。国内研究機関に目を向けると、我が国からの参加者・展示規模は、昨年まではコロナ禍の余波で減少・縮小傾向にあったものの、今年はコロナ禍以前に戻ったという印象を受けました。

次々年度の次期システム更新を見据え、オールフラッシュストレージやCPU/GPUの開発状況に関する最新情報を入手できました。計算機自体の先端技術動向に関する情報もさることながら、今回のSC23で特筆すべき点として、量子計算、冷却装置、AIを活用したソフトウェアに関する展示が数多ありました。量子計算では、ゲート型量子計算チップのqビット数も増えてきており、今後益々進展していくことが期待されます。昨今のAIブームで、データセンターにおけるGPU計算機の利用が急激に増加し、それに伴って、冷却装置の性能向上が急務となっており、冷却装置の展示増加が特に印象に残っています。

SCではスパコン性能のランキングである「Top500」の発表も行われました。1位は前回同様(2023年6月版)米国オークリッジ国立研究所と米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の「Frontier」で、唯一の「エクサフロップス級のスパコン」です。続く2位(アルゴンヌ国研・HPE「Aurora」)と3位(マイクロソフト「Eagle」)にも米国がランクインしており、日本勢のトップは、前回の2位から下がったものの、4位の理化学研究所と富士通の「富岳」です。富岳は、LINPACK性能では劣るものの、HPCG(共役勾配法ベンチマーク)とGraph500(グラフ探索ベンチマーク)では8期連続で1位を維持しています。国別のスパコン保有台数においては、Top500のうち米国と中国が161台と104台で全体の半数以上を占め、ドイツ(36)や日本(32)を大きく上回っている状況となっており、米中2強時代を反映したランキングとなっています。しかしながら、国別の性能シェアに関しては、米国が53%とトップであるものの、日本は中国(5.8%)・ドイツ(3.5%)を抑えて9.5%と2位にランクインしており、HPC分野における我が国のプレゼンスを強く感じました。

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