Daily Archives: 2020年3月31日

年度末の安堵

夕暮れ時のJAIST

3年間評議員の仕事を務めて今日で最終日となった。あまり無事ではなかったが任務を全うできてよかった。最初の一年間は仕事の内容を理解するのに精一杯で余裕が無かった。どこで無理をしたのか職務に就いて数ヶ月後には痛風が悪化し、一ヶ月くらい階段を上がれなかった。最悪のときは自宅から400メートルほど離れた薬局へ往復一時間かけてロキソニンを買いに行った。這うのではなく、ゆっくりとだが歩いて行った。この仕事に就く前はToDoリストが3ページくらいになることもあって自分は忙しい方なんじゃないかと勝手に思っていたが、軽く10ページを超えるようになって、人間には限界があると考えるようになった。努力してもできないことがあると悟れたのはよかった。二年目は五十肩になり、腕が上がらなくなった。手書きでメモをたくさん取り過ぎた。記憶するには手書きが良いと思い、会議に出席したらメモを取るようにしていた。(一年目は病院の予約を忘れるほど目前の仕事で手一杯だった。大局的視点を持つには記録をとっておき細かいことはとりあえず忘れることが重要と考えた。)一月で100ページくらい書いていたのだが多すぎたようだ。物事には限度がある。今は書く量を3分の1くらいに抑えている。それから体調管理が重要と悟り、毎日、睡眠時間と体重を記録するようになった。これらとストレス(仕事量)は正しく相関することがわかった。三年目になり、仕事が理解できてきたように思われたので、年間の作業を線表にしてみた。A3用紙で6枚にまとめたが、これだけの仕事をしていることを意識している人はほかにいないだろうなと思った。何人かの人に見せたが、これを事前に知ったら引き受ける人はいませんよと言われた。そうだろうなと自分も思った。要するに大学という組織がどう運営されているのか、全体像を把握している人がいない。高々2000人弱の組織だが、ひどいものだ。上から降りてきた仕事を横か下へ流しているだけだ。しかし、これを良くしようとするととんでもない労力がかかる。結局の所、組織の善し悪しは上に立つ人の器量で決まる。

 仕事をどう分割するかも重要だと知った。10枚を超えるToDoリストを眺めていてもやる気は起きない。一項目を一枚の用紙に書き出し、優先順位をつけて並べ替え、上から順に取って、手元の一枚の仕事に集中することである。京大式カードを使ったが書いた物を重ねると厚さは3センチほどになったかな。今できないことは見ない方が仕事が捗るということを学んだ。

 引き継ぎのためにいろいろなタスクを遂行するためのノウハウをまとめたが20ページくらいになった。重要な点だけを選んでまとめたのだけれど。こういったものも未だかつて書かれたことがない。教員にとっては雑用だから時間をかけたくないのはわかる。しかし、知識を蓄積する習慣がないのは絶望的ではなかろうか。文書にして残すというのは基本中の基本のはずだ。

まぁいいや。とりあえず一週間は毎日ゆっくり眠って、嫌なことを全て忘れたい。研究室の学生らには気の毒なことをした。十分に指導・助言ができなかった。この3年間で三人、修論審査で不合格になり、留年した。一番の被害者は彼らだろう。こういう管理の仕事を片手間でやればいいと経営者が考えている限り、組織はよくならないだろうと思う。