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「我らのブントは菩薩と呼ばれる」または霊的ボルシェヴィズム

ときどきふと、あの人はどうなったのかなと思い出すことがある。常弘成(とわひろなり)氏とは新秩序研究会主催のイベントで会った。会ったのはその一度きりだが、不思議な魅力を放つ人物だった。日本新秩序運動の経緯については、桂 桂『戦争機械』に書かれている。これを読んで懐かしく感じた。武田洋一氏と常氏が主軸となって、そこに武邑氏が加わるという妙なアンサンブルだった。われわれを彼らと引き合わせたのは、その当時 Fool’s Mate で編集の仕事をしていた知人だったと思う。申し訳ないことに彼の名前を忘れた。たぶん1983年の出来事で我々は大学生だったし、彼も20代半ばだったはずだ。

http://www.asyura2.com/sora/bd12/msg/67.html に、

「常は七〇年代には黒色戦線系のアナキストだったが、八〇年に鈴木邦男率いる新右翼、一水会に加盟。当時、その名ばかりが喧伝された国家社会主義者同盟(ファシスト・ブント)の牛嶋大輝との交流を経て、八三年、「霊的ボルシェヴィズム」をキーコンセプトに、このころよりファーストネームを“崇元”と改めた武田とともに新秩序研究会(日本新秩序運動)を発足させている。そのあたりの事情については、翌八四年、ブリュッセルのインディペンデント・レーベル「クレブスキュール」所属アーティストの来日を記念して出された大型パンフ『MUSIQUE EPAVE』での武田へのインタヴュー「エソテリック・シティ東京」がよく伝えている。その頭の部分を少し引いておこう。」

とあるが、大型パンフ『MUSIQUE EPAVE』を作成したのが彼だと思う。なぜ Fool’s Mate と八幡書房がくっつくのか解せなかったが、彼の個人的な活動だったと理解する。Fool’s Mate は関係ない。

武田氏は業界の顔だったし、武邑氏は徐々に売れ出していた頃だったから、我々は彼らに興味があってイベントに参加した。そのイベントは新秩序研究会の決起集会になるはずだったらしいのだが、会場に来たのは我々だけ、という寂しい状況で、Fool’s Mate の彼が動員力のなさを武田氏に怒られていた。彼らが話したことはよく覚えていないが、

「わたしが、昨年、日本民族主義運動の最良の部分とともに、出口王仁三郎の未完の世界革命を継承するものとして日本新秩序運動(JAPAN NEW ORDER=NO!)を組織した」

と武田氏が言ったようだから、大本教の思想を再興するものだったようだ。一方で「ボルシェビキ」といった革命用語も使うので、ロシア革命がなぜ右翼と共闘するのか訳が分からなかったが、一緒に鼎談を聞いていた共同通信社のSさんが「これは俺がやりたかったことなんだ!先を越された」とわめいていて困惑した。確か、ポスターに「我らのブントは菩薩と呼ばれる」と大書されていて、この意味はいまだにわからない。

菩薩の像が大勢並んだ光景が背景になっていた(新秩序研のポスター)。写真は無関係

菩薩の像が大勢並んだ光景が背景になっていた(新秩序研のポスター)。写真は無関係

全体、よくわからない集会だったが、常氏が不思議な魅力を湛えており、我々の注意を惹いた。ほかの二人はともかくとして常氏だけはまともだね、というのが我々の一致した意見だった。若者の勝手な思い込みと思って聞き流していただきたい。黒色戦線系のアナキストがなぜ大本教と共鳴するのかわからなかったが、リーダーに相応しい人物と感じた。とはいえ結局、我々は新秩序研とは結託しなかった。「オカルト業界の懲りない駄々っ子たち」によれば、武田氏とは1984年にお金のトラブルで手を切ったらしい。世評は知らないが、武田氏も力のある人物だし、武邑氏の優秀さはその後の活躍が物語っている。この三人が活動を続けていたら面白いことになっただろうに(残念)という気持ちが最近、生じた。

こんなことを思い出すのは、内田樹氏が最近、天皇制について発言するからである。(「天皇制についてのインタビュー (内田樹の研究室)」)。内田氏の言わんとすることはよく理解できるが、最後のところでしっくり来ない。その原因を考えていて、アナーキストの方に親近感があるからではないかと思うようになった。アナーキストの原型は私にとって常弘成氏である。「我らのブントは菩薩と呼ばれる」のスローガンも自分に少し近づいた。内田氏は天皇制を支持するが、私は大本教の方を支持する。アナーキストだから。私に影響を与えた人達はアナーキストか神父だった。カトリックにもアナーキストはいる。南米あたりに。結局、そのあたりの考え方に共感するものらしい。ということに最近気づいた。

ところで、アナーキストは「左翼」と違う。そこの違いが本当にはよくわからないのだが。新秩序研と関わったせいで、我々のサークル(W大で学生だった頃)は右翼系列と見なされたらしく、革マル派の人が我々が校内に貼ったメンバー募集のポスターを片っ端から破いたり、捨てたりした。浅羽さんが率いていた幻想文学会も同様の目に遭ったみたいだから、見境がない。言論封殺をする、ろくでもない奴らというのが革マル派に対する私の見解である。思想は関係ない。その系統の左翼団体は皆嫌いである。明言しておきたい。それから、アナーキストはそこに含まれない。

Visionを持つ

「さて弱音を吐いてみるかな。。。『もうダメだ』」というギャグを思い出したですが出典がわかりません。今年4月から職場においてマネジャーの役割を与えられまして、もともと器用ではないのであっという間に課題が積み上がり、それらを処理することに没頭するあまり、病院の予約は飛ばす(二ヶ月後に気づいて再予約)、歯医者の予約を忘れる、痛風の発作で三ヶ月苦しむなどなど、ろくな目に遭いませんでした。存在を忘れる課題が多いのでToDoリストを作ったところ8月末時点でA4用紙4枚になり、160くらいタスクがあったら忘れるものがあっても仕方ないと自分を慰めたものの、その後それらを更新する暇もなく、ようやく10月末に160ほど溜まっていた未処理のメールを片付けたところ、ToDoリストも6枚になり、240のタスクがあったとして、一つに5分かけるとした場合、すべてを終わらせるのに何分かかるのか、考えたくもありません。私の返事を待っている人達は大勢いて、皆5分で返答できるはずなのになぜ返事がないのか不満に思っているだろうなと思うと気が重いです。ある程度タスクの数が多いとリストを見る気がなくなり、余計に仕事が溜まるのですが、1週間分の予定をみればその日やるべきことは無理矢理でも頭に入ってくることに今日気づきました。降りてくる課題で仕事の流れが乱されるのは、長考してもきちんとした解決策がみえてこないものが多いからなのですが、上部の方で方針が決まっていないからでは。老練な重鎮に何気なく相談したところ、腑に落ちる助言を頂きましてそんな風に感じました。来年4月から金沢大学との共同コースが始まりますが、最初の卒業生が出る二年後に吸収されるかもねと言われ(敢えて主語と目的語を省略します)、百戦錬磨の戦士はものの見方が違うと感銘を受けました。先行きが不透明なのはそのせいなのかと納得しました。確かに記録をみると北陸地区国立大学連合というコンセプトが打ち出されており、冷静に読めば富山大学、富山医科薬科大学、高岡短期大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学、福井大学、福井医科大学が統合されることが明記されています。遠い未来の話と思っていましたが、その一部は二年後に現実になるとの予言に目が覚めました。そういうことなら真剣に考えるのは(目的語は敢えて省略します)時間の無駄だとわかり、気が楽になりました。240ほどタスクはありますが、その半分は1分もかけずに処理できそうです。ようやく周りの人達の仕事ぶりの背景がわかりました。我ながら純朴だな、、と(自分に)呆れました。

重心の動かし方

Halfbikeが届いて2週間ほど過ぎた。新しい乗り物は面白く、土日は晴れていれば昼間、週日は夜寝る前、30分くらい近所を走っている。慣れるまで時間がかかるものと覚悟していたが、組み立てた翌日、家の前の道路を走ったとき、何の問題もなく直進できたので拍子抜けした。まだ二度目だったのだが。いつのまにかバランスをとることを覚えたらしい。右折・左折はたどたどしかったが、これも三日目くらいには曲がれるようになった。さらに遠乗りして(といっても5kmくらいだけど)、一般道では車を避けて歩道を走ってみたのだが、多少の段差や悪路にも対処できた。ただ、車両出入口になっていて傾斜がきついところではさすがに直進できず、地面の傾きに影響されて車体を流されてしまう(車道側に突き進んでしまう)。自転車だと傾斜があるからといってずり落ちたりはしないのだが、Halfbikeは後輪が2つあるので傾斜に合わせて車体が傾くと理解した。

課題は U-turn である。自転車のように前輪の向きをハンドルで変えられないので、重心移動だけで車体をコントロールしなければならない。いろいろなやり方を実験し、なんとか道幅が5メートルくらいあればターンできるところまで持ち込んだ。もっと狭い幅、たとえば2メートルくらいの幅でU-turnしたいのだが思うようにいかない。その原因は後輪にあるようだ。似たような乗り物の動画を調べて、一番近いのはスケートボードだと考えた。ハンドルでカーブが切れないところが似ている。どちらも重心移動で曲がる場合、車輪の動きに制約を受け、弧を描くようにしか回れない。Halfbike に乗っている動画をいくつかみて、車輪の制約から自由になるにはジャンプするのがよいのではと考えるようになった。一旦、地面から離れ、空中で回転して向きを変え、着地する。スケートボードではよくやっている技だが、これをHalfbikeでやればいいだろうと考えた。ひとりだけHalfbikeでジャンプ+回転に挑戦している人を見つけた(動画では4分40秒くらいのところで見られる)。成功している人はいないようだ。

Halfbike でジャンプしながら180度回転する

Halfbike でジャンプしながら180度回転する

とりあえず目標は宙での回転としたが、いきなりそんな技は繰り出せないので、重心のコントロールの仕方を冷静に検討してみた。ターンの仕方を観察すると、慣れている人(開発グループの一人)は体の軸を保ったまま方向を変えている

軸を保ちながら全身を傾けてのターン

軸を保ちながら全身を傾けてのターン

しかしこの姿勢、とるのが結構難しい。倒れ込むような感覚なので、できるという確信がないと怖くてこの姿勢がとれない。ある程度のスピードも必要だ。緩いと倒れてしまう。すぐにはできないと思い、別の方法として、自転車に乗るような感覚で腰を落とし、腰で重心を動かすという方法をとってみた。自転車で重心移動のみで曲がるときと同じ感覚なので、割と安心してやれる。同じように自転車に乗っているような姿勢でターンしている人をみつけた。

自転車に乗る姿勢でターン

自転車に乗る姿勢でターン

悪くないのだが、エレガントではないし、中腰姿勢を取り続けるのでかなり疲れる。それが難点とわかった。なかなかポイントがわからない。ほかに、曲がり方を考察してくれている人がいて、彼の説によればlean in する(曲がる方向に向かって内側に傾く)のがよい

体を内側に傾けるターン

体を内側に傾けるターン

ということで再度、lean in に挑戦してみた。スケートボードの人達もそうしているみたいだったので。しかしなかなかきれいに lean in できない。どうしても体の軸がぶれ、安定しない。工夫しているうちに、ふとポイントをみつけた(ような気がする)。首の向きでコントロールできる。もう少し詳しくいうと、第7頸椎のあたり、肩からの骨とつながるところが動きの中心と感じた。

赤丸あたりで動きを制御するとうまくいった

赤丸あたりで動きを制御するとうまくいった

ここを起点にして向きを変えると、体の軸が保たれ、調子がよい。ふらつかなくなった。こういった現象についてどのような知見があるのか調べてみたところ、第7頸椎直下の動きと重心の安定性の間に相関があるとの報告を見つけた(立位バランスに寄与する要素の一考察)。というのが今日の発見。(と思ったら間違いだったので訂正:論文で指摘していたのは胸骨だった。頸椎ではなかった。やりなおし。)

第7頸椎を中心とした運動を緻密に制御するには、「どこを見るか」を意識するとよい。実のところ、Halfbikeの乗り方アドバイスに「遠くをみるように」とある。「遠くを見る」ことは首の位置を正常に保ち、重心を安定させる効果がある。太極拳だと力を出すときにその方向をしっかり「見る」ようにと指導されるのだが、そのことが重心を動かすことにつながっているのかもしれないと思い至った。ばらばらになっていた知識が統合されたようでうれしかった。