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波は風が起こす

エーゲ海は穏やか、という印象があったが(文献などによる)、湾から出ると波が高い。そのうち収まるのかもしれないが、この波はどこから来るのだろうと考えてみた。

波が高いときは風が強い。この日も午後からかなり強い風が吹き出した。向きとしては南からの風で、Johnによれば熱いアフリカで暖められた空気が寒い北ヨーロッパへ吹いているんだという。サハラから砂を運んでくるので、車は泥で汚れてしまう。家の中にも細かい砂が入り込んでくる。

この風が波を起こしているのではないかと考えた。空気のような軽いものが、水みたいな重たいものを「動かす」とは直感的に納得しがたいが、波が立って風が起きるとは考えにくい。大気の変化が海洋をかき混ぜていると考えた方が道理に合う。

古代ギリシア人らがプネウマ(宇宙の呼吸みたいなもの)と言い出したのは、優れた船乗りでもあった彼らが波の立つ理由を考えた末にたどり着いた理屈なのかなぁと思った。湿気が無くて空気が乾燥しているから、余計にそう感じるのかもしれない。日本だと湿気を含んだ風が体にまとわりついて不快でしかないが、それとは違った感じがする。

夏になれば海が穏やかになるらしい。早くそんな海を見てみたいものである。とりあえず今日の荒れた海を動画で保存しておく。後日、比較するために。(「初夏の地中海」)

漁港へ

二日続けての遠出はためらわれたが、先週挑戦して不発だったのと、魚が欲しかったのと、食べたかったのと、お土産になりそうなハチミツで作ったハンドクリームが売られているとの情報があり、最古の漁港というところへ船旅。1時間程度で着くくらいの距離なので大したことはないのだが、先週その気になって船着き場に来るも、「今日は海が荒れているから出ない」との一言でふいに。今日は大丈夫だろうと思って出かけたら、今回はさすがにOKだった。とはいえ、最初通された40人乗りの船から90人乗りの大きなものへ、出港直前に乗り換えとなった。この意味は最後に明らかになる。

湾を出たところで波が荒れ出したが、それほどひどくない。船の二階部分に皆上って、景色を楽しみながらクルージング。下の写真に写っているのは監視塔。敵が襲来したら「のろし」を上げてとなりの塔の担当に知らせる。それを繰り返していって首都の司令部へ襲来を知らせるという仕組み。もちろん今は使われていませんが。。

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スズキを養殖してるとか。そして大部分は日本へ輸出しているとのこと。

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多少揺れたものの、まもなく到着。湾に入るなり、穏やかな海面となる。そろりそろりと中へ入っていく。

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色とりどりに塗られた漁船が売り物、らしい。

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あとはマーケット。手工芸品中心かと思ったら(アートクラフトみたいなものを想像していた)、町中の雑貨屋さんがそのまま露天になっただけという感じでそそられない。ハチミツのハンドリームを見つけたところで満足。(買わなかったけど)

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魚屋はそれなりに新鮮なものを並べている。しかし安くはない。よろこび勇んで買ったのは「ナガラミ」(という巻き貝の一種)だったはずが、帰ってからよくよくみるとエスカルゴだった(!!) こちらでは養殖しているらしい。八百屋でも売られていたので変だと思った。赤ワインとトマトで煮込んで食べたりするらしい。(保留中)

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焼き魚をランチに食べて、遅くなってしまったので時間ぎりぎりに船に戻った。なぜだか全員一階部分に座っている。眺めのいい屋上(二階)部分が閉鎖されていた。この理由は後ほど判明する。

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午後になって風が出たせいか、潮目に逆らって進んでいるのか、理由は不明だが、かなりの荒れ模様。大波に揺られてアミューズメントパークのアトラクション並の面白さ(?)。気持ちが悪くなって吐く人も。一方で一緒に最後尾に陣取って景色を楽しんでいたスペイン人らは嬌声を上げて大はしゃぎ。かなり揺れたときは海に放り出されそうになって、鉄の板にガン(!)とぶつかっていたが(主語はそのスペイン人グループの一人)怯むことなくはしゃぎ続けていた。一番揺れがひどいときは転覆するんじゃないかと(半分)本気で心配になった。しかし上手に、横波を受けないように、進んでおりました。さすがですね。船長さん。

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時間がなかったこともあって昼食を軽く済ませておいてよかったね、と安堵。吐くほどには至らなかったけど食後すぐに100メートルを全力で走ったのと同程度の胃の重さは感じていた。なのでいつものカフェによってコーヒータイム。カプチーノをゆっくり飲んだら胃が落ち着きました。

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海を渡ってゴゾ島へ

休日なので海を渡ることにしました。

ゴゾ島に向かいます。しかしここに来るまでが大変だった。アパート近くから乗ったバスが途中で石の塀に激突し、損壊。後ろから来た別のバスに乗り換えさせられました。パシンとかいって、ドアのガラスが割れたときは一瞬緊張が走りました。波止場に着いたらまたすごい行列で1時間くらい待たされた。そんな苦難の旅でありました。

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中心となる町、Victoria へ直行。高台に上って近辺の景色をみる。近辺どころか島の縁が見えます。とっても小さい島なので。

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城塞都市が売りなのですが、入ってすぐの大聖堂は天上のドームに特徴が。これは絵で描いてある。

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作っているうちにお金が無くなっちゃって、仕方がないからドームは諦めて絵を描いたという、、、南の人たちらしい現実的、前向き、楽観的な発想。最初は実際、気づかなかった。絵だとは。

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外に出て遠くから境界を見てみると、たしかにあるべきところが平らです。正面を下から見上げている限りは気づかない。(右手の方が正面。それを裏からみている形。)

まあ頑張って作ったよな。と思います。16世紀に海賊に襲われて島民全員が連れ去られて奴隷になったという悲惨な歴史があるらしく、その恐怖がこういう城塞都市の建築に向かわせたのでしょう。しかし、それも今は中が廃墟みたいになっている。

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教会の博物館に入ったら、マルタを寓意的に表現したという木像が飾られていた。服の模様は魚のウロコなんじゃないか、とは同居人の考察。帽子の飾りに羽が生えている。右手に持っているのは剣、左手は弓を握っているようにみえる。勇敢に戦ってきたといいたいのかな。それは事実だ。

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あとはRabat(旧市街)を散策した。なんというか、手招きされている気になりますよね、歩いていると。道が曲がっていて奥の方が見えないから、何があるんだろう??と思って行きたくなる。

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帰りもちょっと悲惨(?)だった。船に乗って本島に戻ったのはいいけど、大勢の乗客に対してバスの収容力が足りなかった。乗れなかった人たちはいつ来るのかわからない次の便に回された(一応30分に一本、運行されているのだけど。)乗った我々の方も1時間弱立ちっぱなし。今の時期でこの混雑だから観光シーズンがピークとなる6月から7月にかけては、少し策を練らないと無理。ツアーを利用する、というのが解決策だな。(何ら知恵を絞っていないけど。)

猫の国

大学へ行く途中、気配を感じてショーウインドウをのぞくと猫が寝ていた。単に陳列棚に闖入したというよりは定位置のようで猫用座布団が敷いてある。いろいろアングルを試している内に気づいたらしくこちらをじっと見ていた。

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坂の途中でも遭遇。上の方から見下ろして、すぐにそそくさと去っていった。

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大学の生協(みたいなところ)ではソファの上で猫が堂々と昼寝していた。なんというか自分のことを人間だと思い込んでいるのではないかというそぶり。近づいても目を覚ます気配がない。夢を見ているのか時々前足の先やしっぽがフリッと動いた。

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町を観察していて印象的なのは、これだけ高いビルを建てていながらブロックを積み上げているところ。地震がないから問題ないのかもしれないけど、強度はどうなのだろうかと心配になる。少し大きな地震が来たら全壊だろう。

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夕方、買い物していて教会が開いているのに気づいたので訪れた。祭壇にディスプレイが置かれていることに驚いた。しかもキリストがアニメーション化されていて、手を振っている。。。 頭痛。

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今日の試み
・アーティチョークを食べた。初めて自分で調理したので「アーティチョークの食べ方」などを参考にした。レモンを入れなかったので黒ずんでしまったが、まぁまぁおいしくできて満足。
ファゾラーリ fasolari という貝を食べた。大学からの帰り道、魚屋をのぞいてみると朝にはなかった貝が並んでいる。万寿貝みたいだし大丈夫だろうと思って買って帰った。ワインで蒸してもらって食べた。濃厚な味。悪くない。
ヴェルメンティーノ(VERMENTINO)ヴィオニエ(Viognier)(という種類のブドウ)をブレンドした白ワイン。主張がはっきりしていて楽しめた。ヴェルメンティーノに興味を持って、ブレンドしていないものも試してみた。飾り気のない直球勝負の香り、味で好感を持った。
・イチジクのリキュール。Zeppi’s Tinaというのを勧められて試してみた。50メートルを越える大木から果実を収穫しているというが、本当かな。。味はOK。食後酒に最適。

先日、大学の同僚に食事に誘ってもらったとき、地中海ではワインが中心、ビールはほとんど飲まないと言われて、ワインに転向。もともとそちらの方が好きではあるが、日本では味の割に高価なので疎遠になりがち。こちらはテーブルワインが1本1.5ユーロくらいからあるので(200円くらいか)、手を出しやすい。それとその時に面白かったのは、フランス、イタリア、スペイン、さらにはチュニジアなど北アフリカ側の地中海に面した国々も含めて、地中海文化圏ではビジネスでもまずは一緒に食事してワインを飲むことが重要で、それなしに契約することはあり得ないという話。アメリカ人はそこのところが理解できないみたいで困ったものだと言っていた。契約書を交わす以前の信頼関係が重要というのは何となく感じていた。誰の紹介か、というのも重要。すぐ隣のシチリアではその筋の人が今でも力をもっているくらいだから、当地でもファミリーが大事というのは当たり前だろう。

赤い魚カタナウオ

朝、買い物に出たら路上に魚屋が出ていた。家人によれば前日近所に出ていた魚屋だとのこと。一端はやり過ごして通り過ぎたが、帰り道にまた品定めして、結局赤い魚を買った。日本ではアカタチとかカタナウオと呼ばれる深海魚らしい。魚を食べ出すとやはり肉には食欲をそそられない。興味を持ったらとりあえず買って食べる、のが正解だろう。

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夕刻からJohnのスタジオへ。道すがら、Johnがケッパーの花を示してくれた。つぼみの状態で塩漬けにしてサーモンに添えたりするもの。これは栽培が難しいと言っていた。というのも鳥がついばんだタネが鳥のお腹の中で少し消化されて表面の固い皮がとかされた状態で糞として出たものが発芽するから、らしい。そういう理由で、塀とか岩場みたいなところに生えているのだという。花は繊細で美しい。

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ケイバーの花

少し離れたところにオリーブの木もあって、ちょうど花が咲き出していた。

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白い花がやがてオリーブの実になる。

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森を見ながら稽古場へ移動。この森はマルタ騎士団が猟を楽しむために木を植えて作った人工の森らしい。こういう森みたいなところは島内ではここだけという。この日はタスクを決めて動いてもらい、データを集めた。とりあえず実験条件などを整えるための前準備。